tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

三題噺:インフレ、円安、経済政策

2023年08月31日 14時57分30秒 | 経済
<インフレ>
去年、原油の値段が上がってアメリカやヨーロッパも8%とか10%のインフレになりました。その後下がって来て、アメリカでは3%台に落ち着いています。

しかしFRB議長のパウエルさんは、インフレについて大変心配性のようで、インフレマインドが消えない内は、金利を引き上げると牽制して、徹底的以インフレを抑えようという事のようです。

アメリカやヨーロッパでインフレが激しくなるのは、物価が上がると賃上げ要求が激しくなって、賃金が上がり、それでまた物価が上がるという悪循環になるからで、日本の日銀に当たるFRBが金利を引き上げて、経済活動の過熱を抑え、賃金も物価も安定させるという政策を取ることになります。

パウエルさんはインフレに厳しいので、まだインフレ再発の懸念があるから金利を引き上げるという気構えをなかなか変えません。

一昨日ですか、アメリカでは雇用統計が発表になって、雇用が増えないようだから賃金も上がらずインフレ懸念も薄らいだという見方が出て、パウエルさんもすこし安心したと伝えられ、金利引き上げがなさそうだという事でNYダウも日経平均も 上げています。

<円安>
お陰で147円まで行った円安も145円台に戻していますが、本来なら110円~120円とみられる円レートが150円近くまで円安になったのは、日本はゼロ金利、アメリカではドンドン金利が上がるという事で、利息の付かない円を売って利息の高いドルを買う人が増えるからです。

アメリカのインフレを抑えるというFRBの政策が、そのトバッチリで日本では円安が進行し、原油が値上がりしているのに加えて、円が安くなるのですから輸入原油の円価格はますます高くなります。

円安になった分だけ原油もLNGも、大豆や小麦、トウモロコシなどもみんな値上がりするのですから、アメリカはそれでいいのかもしれませんが、日本はたまりません。

忽ちガソリン価格はリッター185円になり、運送会社も自家用車族も大変です。加工食品や調味料の値段も10%近く上がるものもあって、今度は日本がインフレです。

<経済政策>
アメリカの都合で、日本がインフレになっても、アメリカは全く気にしません。アメリカから買う防衛装備品の値段も円安で随分上がるでしょう。アメリカはドルの値段は同じですというでしょう。

もともとインフレでない日本では日銀は金利引き上げなどしませんから日本の経済はアメリカの都合次第という事になります。

大体、原油値上がりで賃上げをし過ぎてインフレになって、それを金利引き上げだけ(金融政策だけ)で抑え込もうというのが経済政策としては良くないのです。

原油値上がりが忽ち賃上げに繋がるのは、国民が慌て者だからで、政府が合理的な説明をして、国民が慌てないようにし、インフレを未然に防止して、外国に迷惑をかける金融政策に依存するようなことを最小限にすべきでしょう。

変動相場制の中でも為替の変動を最小限にするような行動をアメリカのような基軸通貨国は取るべきなのです。これはG7やOECDの課題ですね。

そんなことは、日本は1973年の第一次石油危機の経験に学んで、きちんとやっているのです。
アメリカにも、もう少しお行儀のいい国になって欲しいところです。