tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アガパンサスは例年通り元気に咲きました

2022年06月30日 17時24分07秒 | 環境
急に暑くなって体がついていかない感じです。

先ずは、熱中症にならないように、水の補給には十分注意ですね。電力不足に備えようと、軽く冷房それにプラス扇風機、これで大丈夫だろうと思っても、未だ今日は6月、この暑さが何時までと考えると容易ではなさそうです。

庭で写真を撮ったり、パソコンを叩いたりしていますと、結構その気になったりして、気が付かない事がありますが、熱中症の前段階ぐらいにはなるようです。なんか調子が悪いなと感じたら水を飲むのがいいと心掛けてはいます。

時に、折角の家内の注意も聞き流しているうちに、これは熱中症の症状だぞと気がついて、あわてて水を飲んで、これまさに「冷や水」なり、では洒落にもなりません。

庭のミニ菜園も、盛りになって来たのに、キュウリが水不足で午前中から葉が萎れて来て可哀想のようです。夕方になったら水をやります。

ところで、今日のテーマのアガパンサスですが、これは確りと地中に根を張っているせいか、いくら日照りになっても青々と葉を茂らせ、花茎を伸ばしその頂上に綺麗な空色の花を次々に開いて立派な花冠を飾っています。

早すぎる梅雨明けの強烈な太陽光と太陽熱を吸収して、あの涼しげな空色の花の冠を創りだしているのです。



    まだ蕾が沢山開花を待っています


アガパンサスは盛りだなと思って、昨年は一緒に咲いた瑠璃二文字の鉢を見ますと、今年はまだ葉が伸びてきているだけで、花茎は見当たりません。

偶々、昨年は一緒に咲いたので、昨年6月、花の大きさは違うがよく似た花だなと思って、調べてみましたら、共にアフリカ原産で、どこをどう経由したのか、多分ユーラシア大陸経由の瑠璃二文字と、多分アメリカ大陸経由のアガパンサスが共に我家の狭い庭に同居して一緒に咲いていると大分感慨を深くしたものですが、ことしは残念でした。

でもまだ、アガパンサスは蕾が沢山あって、花が持ちそうなので、後から瑠璃二文字が追い付いてくれるかな、などと思って瑠璃二文字の小さな鉢に水遣りをしています。

「独裁度指数」:22世紀の笑話

2022年06月29日 18時00分49秒 | 国際関係
アインシュタインは「第三次、第四次世界戦争は解らないが、第五次世界戦争は確実に石と棍棒での戦いになるだろう」といったそうです。

核戦争の恐ろしさをブラック・ジョークにしたものでしょう。
本当か作り話か知りませんが、アインシュタインが言ったといえば、そんな気がしないでもないところです。

話は22世紀に飛びますが、そんなことにならないようにと、とある研究組織が、世界各国の「独裁度指数」という数字を発表することにしました。

その研究組織の発表によりますと、
いろいろな研究機関が、世界各国の生産性や、国民の満足度、ジェンダー平等の度合い、デジタル化などのランキングを発表しているが、もっと世界の役に立つランキングを考えてみましたというのです。

考えたことは、歴史上、戦争を起こしているのは独裁者が殆どだから、国のリーダーが独裁化する事に十分注意しなければいけない。

国のリーダーが独裁化することがないように、我が研究組織では、世界の国々の政権の「独裁度」を示す指数を作成し、ランキングを発表することを決定したのだそうです。

指数は、~59:問題ない、60~69:トラブルを起こしやすい、70-79:しばしばトラブルを起こしている、80~89:問題を深刻化させる恐れがある、90~:危険な国、という事になっていて、いろいろ問題はあるでしょうが、世界の平和のために思い切って発表を決めたというのです。

これを聞いて世界では、無関心な人や国から、関心あるという反応、馬鹿な事はやめろという意見、絶対やめろという強硬な態度までいろいろな反応がありましたが、その第一回が発表になりました。

結果は9割の国が60未満で、残りの10%の国が60~100の間に散らばっていました。

世界からの反応は、あまり大きくありませんでしたが、上位10%の国からは多様な反応がありました。

相手があるからトラブルが起きるという言い訳じみたものから、当事国間で解決に努力しているという現状報告などはいい方で、わが国のランキングは高すぎる釈明と謝罪を要求するというもの、更には、我が国を侮辱することは許さない貴研究組織の存在を認めないというものまでいろいろでした。

そこで、研究組織は、考慮の末、その反応を正確に文書にして発表し、その内容を指数の検討項目に加えて、新たな指数を作成して発表しました。結果は多くの人が予想した通りで、指数の高い国ほど指数がさらに高くなっていました。

この発表によるトラブルは簡単に収まりそうにありませんでしたが、これまで横眼で見ていた国連が調整に出ました。

22世紀には、国連も民主主義の基本である『多数決』の原理を尊重するようになっており、安全保障理事会も、国の数を増やし、多数決が原則になっていました。

この数十年で、国連の役割は強化され、21世紀より人類社会の中での権威が増し、信頼感を持たれ、頼りにされるようになっていましたから、問題は収拾の方向に向かいました。

世界の国の独裁度ランキングを発表した研究組織については、そうした仕事は、国連としても関心があるから、国連外郭にそうした研究機関を作ることも考慮し、独裁度指数のランキングを発表した研究組織の人間の中で、希望者がいれば、国連で採用することも可能いう事になったそうです。

という事で、先ずはメデタシ、メデタシ。

改めて国連の役割を問う

2022年06月28日 12時04分30秒 | 国際政治
改めて国連の役割を問う
ロシアのウクライナ侵攻という戦争は、長期化の様相を濃厚にすると同時に、ますますおかしな形のものになって来ました。

ロシアの侵攻の様相は、占領したいウクライナの地域の都市の完全破壊が目的という状態です。

常識的に考えれば、こんなに破壊してしまって、自分の領土にしても、人間が住み、働く場所として再建するのには膨大な時間とカネがかかる事は明らかなのに、無理を重ねて野蛮な破壊行為をすることに何の意味があるのかと思ってしまいます。

考えられるのは、恐らくプーチンが自分のメンツにかけて、「勝った」と言える戦争にしたいという事でしょうか。プーチン以外の人にそれが何の意味を持つのでしょう。

ロシアは、ウクライナの首都キーウでも、どこの都市でも勝手に爆撃やミサイル攻撃が出来るのに、ウクライナでは、モスクワはおろか、ロシアの領土にはミサイルも撃ち込めない(撃ち込まない)と言う戦争になっているようです。

国境線での戦闘のウクライナの不利は明らかで、こんな状態を見れば、日本でも、いざと馴れが「敵基地攻撃能力」が必要だなどという意見が強まるようです。

ロシアは民間施設、民間人も無差別に攻撃しているように報道されていますが、ウクライナはそのあたりは自重しているように思われます。

戦争犯罪についても、ロシア兵については国連の担当機関の調査が行われているようですが、ロシアについては、捕虜(民間人も含む?)はシベリアやサハリンにまで移送して何らかの労働に従事という事のようです。(昔、日本人のシベリア抑留を彷彿)

こんな異常な形の戦争(戦争は皆異常なものですが)長期化している中で、自由と平和を掲げて世界人類のガバナンスを担う立場になる国連は何が出来るのでしょうか。

国連のグテーレス事務総長はプーチン大統領と会談しました。グテーレス総長は、ロシアのウクライナ侵攻は国連憲章に違反していると指摘しました。プーチンは持論の正当性を勝手に主張しました。結果はマリウポリの民間人避難問題に矮小化していました。

世界では国連の権威に期待する人は多いでしょう。しかし現実は、国連の権威は、それを無視する相手にとってはほとんど無力なのです。

ウクライナの頼みは、アメリカ、NATOをはじめ世界の良識ある人達の支援です。しかし世界の良識を以てその権威を支えるべき国連は,「国連憲章を無視する人」にとっては無力なのです。

滅多に出てこないかもしれませんが、地球人類の中に国連憲章を無視する人が一国のリーダーになる事も有り得るのです。

地球人類の平和と持続的発展を目指して、そのためのガバナンスを目指す国連は、その権威を支えるための権力も併せ持たなければならない事を、今回のロシアの暴挙は、はしなくも明らかにしてしまったのではないでしょうか。

ウクライナで被災した方は「21世紀にこんなことが現実に起きるなんて・・・」と天を仰いでいました。
しかし、21世紀にもプーチンは存在したのです。

ところで、世界を見渡せば、21世紀の今も、国の権威を維持するために警察力を持たない国はないようです。
国連にも、やっぱりそれが必要だという事になるのかどうか、国連の権威維持のために、如何なる権力が必要なのか、世界の国々が、国連総会と言う意思決定機構の中で模索すべき当面する最重要な課題になりうるのではないでしょうか。

転んでもただでは起きるな:その後

2022年06月27日 14時42分09秒 | 労働問題
2020年2月26日、「新型コロナ」がいよいよ大事になるかもしれないという危惧が一般的になってきたころです。「転んでもただでは起きるな」と願いを込めて書きました。

論点は、日本人はもともと「転んでもただでは起きない根性」を持っているはずだという前提です。

その上で、きっと、個人個人の感染防止対策の実行といった基本的な問題から、政府の感染対策への取り組み、そして企業では、まだ数少ない特定企業だけでしたが、テレワークというかたちを日本のホワイトカラーの生産性向上につなげられるかといった問題まで、何か新しい進歩につながるのではないかなどと期待したのでした。

その後2年と4カ月ですが、新型コロナについての総括はまだ少し早そうです。

その中でも、政府の対応については、ワクチン、治療薬の外国頼みに終始といった問題点から、アベノマスクや1率10万円の支給、GoTo推進と感染予防の混乱、打撃の大きい飲食産業への給付金など「後追い」と「パッチワーク」が目立ち、現状でも、インバウンド拡大と感染防止のバランスは試行錯誤の繰り返しなど、問題が多いようです。

しかし、これまでの状況を結果的にみれば、日本は、政府の規制や強制などでは世界の中でも極めてソフトな対策が中心だったのですが、感染者数、死亡者数などの比較から見て、ベスト・パフフォーマンスの国の1つと言えるのではないでしょうか。

これは多くの人が予測していましたように、日本人の衛生観念、日常の手洗いうがい、マスクの着用、ソーシャルディスタンス、混雑の回避行動といった、個人ベースの社会的パフォーマンスの良さの徹底という面が大きかったのではないでしょうか。

一方、企業も、感染予防への配慮は、かなりのレベルの高さを維持したようです。
一般企業の感染対策のㇾベルはかなり高かったようで、その中で、テレワークの普及は、予想外の広範囲に及んだようです。

リモートワーク、モバイルワーク、テレワークの利用は次第に日常的なものになり、そのための機器、ソフトの普及も急速でした。

従来、毎日職場で顔を合わせて直接のコミュニケーションをとらないと仕事は上手く行かないなどというのが日本のサラリーマンの常識だったのですが、どうもそうでもないらしいとか、通勤時間がないというのはこんなに余裕が出るものなんですねぇ、とか中には、上役がいないから余計なストレスがないとか、帰りに一杯付き合えがなくなって小遣いに余裕が出来たなどという、様々なメリットが聞かれます。

勿論、日本の、サラリーマンですね、勤務時間はきっちり仕事をしています、という点は、かなり徹底しているようです。

そうした所にショッキングなニュースが入ってきました。
NTTが「仕事は原則自宅、出社が出張扱い」という社員をだんだん増やしていくという方針を打ち出したのです。
驚くなかれ、遠隔地からの出社で航空機を使えば航空運賃は出張旅費として支給ということだそうです。

これはまさに極め付けですが、これを効率的にする人事制度のソフトウェアが生まれることになるのでしょう。

恐らく、これからも多様な勤務体制・制度が生まれ、対応する人事管理上のソフトウェアが発展して来るのではないでしょうか。

偶々「新型コロナ」で転んだ結果が、こうした人事制度の開発を生み、デジタル社会の中で、より合理的、効率的な働きかたが生まれてくるという事は、低いと言われた日本のホワイトカラーの生産性の向上を齎し、「転んでもただでは起きるな」が現実のものとなっている事を示すものではないでしょうか。

恐らく政府も「後追いばかり」などと言われながら、ワクチン開発をはじめ、種々の分野で遅れてしまった日本の研究開発に力も金も注ぎこむ気持ちのようですから、少し長い目で見て「ただでは起きなかった」という事を実証してほしいと思っているところです。

アメリカと日本、物価上昇の比較

2022年06月26日 10時06分38秒 | 経済
昨日、アメリカFRBのパウエルさんが、アメリカの金利引き上げについて、インフレ抑制に効果を発揮してきているという発言をしていました。

勿論、金利引き上げは、折角上がって来ている景気を下押しする効果も持つのでしょうが、アメリカの景気の状況はかなり強いという判断でしょうか、金利引き上げの結果、ドル高になっているので、輸入物価が引き下げられることになり、その分物価上昇にブレーキがかかるという効果もあるとの説明でした。

確かにその通りですが、日本にとっては、逆に円安が続くという事で、輸出産業にとっては有利ですが、輸入物価は上昇し、物価上昇を刺激するという効果があるわけです。

日本は折しも参院選で、その中で最大の争点は、物価上昇対策をどうするかという事ですから、ある意味では深刻な問題でしょう。

そこで今回は前回との関連にもなりますが、アメリカと日本の物価上昇の中身を比較して、日本ではどうすればいいかのヒントを探してみることにしました。

     日米物価上昇率の中身の比較(2020年5月、単位:%)

                         資料:各国統計
統計のまとめ方の違いで全く同じ比較にはなりませんが、出来るだけ似た様なものを並べました。

先ずアメリカの物価上昇ですが、総合が8.6%上がっていて、大きく上っているのは食料とエネルギーです。
アメリカで上がっているものは日本でも上がっています。しかし上げ幅は日本の場合アメリカの半分程度です。

日本でも食料品特に加工食品などはこの所また上がっています。アメリカの場合は、鳥インフルで鶏肉や鶏卵が大幅(30%以上)に上っている影響があるかもしれません。ガソリンの値上がりもアメリカの方が大きいのですが、日本の場合はもともと税金が約半分ですので、ガソリンが上がっても税金は金額で決まっていますから(消費税は別)値上がり幅が薄められるといったこともあります。

こうした国際商品の値上がりは世界共通で、日米両方とも上がりますが、日本の方が上げ幅が小さいという関係のようです。

一方アメリカのコアコア部分(食料とエネルギーを除いた部分)と日本の「生鮮食品とエネルギーを除く総合」は、国際商品の影響は部分的で、国内の事情で決まりますから、こちらは日米格差が極めて大きくなります。

アメリカのコアコア指数は6%の上昇、日本の生鮮とエネルギーを除く総合は、わずか0.8%です。

この物価上昇率の差の原因は、最下欄の賃金上昇率の差です。賃金を上げず物価も上げず、国際収支黒字の維持に固執する(?)日本、物価は上がっても、賃金も利益の上がって好景気になることを目指す(国際収支は万年赤字)アメリカといういわば真反対の構図です。

国際商品の価格が上がったから、国内商品の価格も引き上げやすい(ムード的に)賃金も利益も上がれば景気は強い、アメリカは元気という事ですが、結果は、アメリカの物価が上がるわけですから、問題は国際競争力(万年赤字)の行方です。

表に見ますように自動車の価格も宿泊料、航空運賃も、サービストータルの価格(ほとんど人件費)も上がります、輸出、インバウンドには不利でしょう。
加えて金利引き上げによるドル高です。貿易赤字国ですからドル高になれば輸入品が安くなり輸入産業の収益改善の方が大きいとは言え、輸出不振は赤字を増やします。

円安になっても賃金も利益も増えず、その中で物価安定と国際収支黒字が取柄で景気は低迷続きの日本、そして、それと全く反対のアメリカという構図が数字の下からはっきり見えてくるようです。(影の声:どちらも極端はやめたら!)


2022年5月消費者物価の動向

2022年06月24日 14時23分13秒 | 経済
今朝、5月分の消費者物価統計が発表になりました。
先日までの国会でも、今度の参院選でも物価問題は一番大きな争点ですが、さてどんなことになっているのでしょうか。

先ず、消費者物価の原指数を見てみましょう。これは2020年の年平均の物価を100にして、その後物価がどう動いているかを示すものです。
マスコミでは「総合」(2.5%)か「生鮮食品を除く総合」(2.1%)の数字(対前年上昇率)を見出しにすることが多いようですが、今の物価上昇は主にエネルギー価格の上昇によるものですから、「生鮮食品とエネルギーを除く総合」も加えて3種類の物価を比較してみると今の状況が解り易くなります。

      消費者物価指数の原系列の動き(2020年=100)


消費者物価の調査品目の全部が入っている「総合」が最も上がっていて、2020年つまり2年前に比べてみますと「総合」が1.8%、「生鮮食品を除く総合」が1.6%、「生鮮食品とエネルギーを除く総合」になりますと、この2年間で、わずか0.1%の上昇です。

生鮮食品はお天気次第ですから、結局はエネルギー価格が国際的に上がって、それに、3月ごろから円安が進んで、という事で、輸入品の価格がそのに影響された分上がって、全体を示す「総合」の上昇が早くなったという事でしょう。

ところで、グラフ見ると、去年の4月、急に物価が下がっています。これは、携帯電話料金の大幅値下げがあったからです。その後じりじりあがっているのですが、上がっているのは殆どエネルギーで、原油や天然ガスが上がらなければ、日本の物価はほとんど上がっていないということが解ります(緑の線)。

ところがアメリカやヨーロッパの物価は8%とか9%も上がっているのでびっくりします。実は、アメリカやヨーロッパの物価上昇をこれと同じ様なグラフで見れば、一番上げ幅の大きいのは「緑色の線」なのです。これが5-6%で青や赤の線は、その3%ぐらい上というところでしょう。

アメリカ・ヨーロッパは金融引き締めで物価を下げようとしていますが、日本は金融は緩めっぱなしです。この違いは、消費者物価上昇の内容の違いからきているのです。

次に下のグラフはマスコミの見出しに出る「対前年上昇率」をグラフにしたものです。去年の同月より何%高くなったかという数字ですが、上昇率は、この5月で、「総合」2.5%、「生鮮食品を除く総合」2.1%で、「生鮮食品とエネルギーを除く総合」(緑の線)は、わずか0.8%です。
「総合」で欧米の7~9%と言う水準、「緑の線」6%前後と高いのとはとは大違いです。

      昨年4月以降の消費者物価指数の対前年同期比の推移


それでも、今年に入って、各色の線とも急上昇ですが、欧米並みにはいきそうにありません。ところで、3本の線は共通に「4月から5月は横ばい」です。これは上の「原指数」のグラフで分かりますように、物価上昇が止まったのではなく、昨年4月の携帯料金の引き下げの影響で今年の4月が上がり過ぎ、5月は横ばいになったという事です、来月からはまた上がることになるでしょう。先行きに注目しましょう。

日本は国内ではインフレなど起きないように注意しているのですが、エネルギーの値上がりや円安といった、国際関係の中でインフレにさせられているという事がはっきり出ています。

こういう時の物価論議は、感覚的や感情的な議論になりやすいのですが、冷静な理論的な議論が望まれるところです。







核兵器禁止条約と日本

2022年06月23日 22時51分36秒 | 国際政治
核兵器を持たない国の思いを集めた核兵器禁止条約第1回締約国会議が昨日終わりました。

批准国50か国で第1回会合という目標が達成され(批准国65か国、署名86か国)、オブザーバー国も含めて開かれた第1回の会合です。

核兵器を保有しない国が描く、核兵器のない人類社会への具体的な道を検討するという意味で、今後ますます重要な意味を持つものになるのではないでしょうか。

日本は核兵器を持たない国です。非核3原則も持っています。しかし、残念ながら、今回の会議にはオブザーバー参加もしない国になり、世界中から広島、長崎の経験を持つのに参加しないのは残念という声があったようです。

しかし同時に、核兵器禁止踏み切れないという意味で、残念という声と共に、一抹の不信感を持たれる立場になったような気がします。

今、世界では、核兵器を持つ国と核兵器は持たないが核兵器を持つ国の傘に入っている国と、核兵器を持たない国の大きく3種の国があるのではないでしょうか。

こうした状況の中で、いわゆる核の抑止力という観点から、現実に核兵器が使用されることはないだろうという考え方が、如何なる役割を果たしているかという問題は極めて微妙なものになってきています。

核保有国が、核兵器は持っているが、他に先んじて使う事はないだろうというのが核の抑止力という考え方の根底にあるものでしょうが、ロシアが今回のウクライナ侵攻の中で、率先使用をも感じさせるような発言をするという現実が出てきました。

これが、単なる脅しなのか、それともプーチンが土壇場になれば現実になるのか、それは今のプーチン自身にすら解らない問題なのかもしれません。
本当は、プーチンに、核兵器は絶対に使うべきでないと考えさせることが必要なのでしょう。(もしプーチンがロシア正教を信じるのであれば「神との契約において」です)

現実の国際情勢が、こうした予測不能な状態にあるのであれば、今人類社会がしなければならないことは何なのでしょうか。

冷静に考えてみれば、かもしれないという事が現実になる可能性を計算に入れつつも、人類社会全体が、そういう事は起きないという信念に向けて行動する以外にはないのではないでしょうか。

幸なことに、世界で唯一の核戦争被爆国の日本は、恨みつらみをいつまでも残す国ではなく、より良い将来に向かう未来志向の考え方に切り替える事のできる国民の国です。
アメリカの原爆投下に関しては、世紀の和解が成立している国なのです(これは稀有の事かもしれません)。

今人類にとって必要なことは、先ず、核兵器は、例え持っても、人間はそれを使う事はないという原則、信念を、すべての人間が確りと持つことではないでしょうか。
全てはそこから始まるように思う所です。もちろん終着駅は核廃絶です。

核兵器が人類に与える、人類社会にあるまじき現実を体験し、そこから再出発している日本の果たすべき役割は大変大きいような気がします。

こんなに沢山政党があるのですね!

2022年06月22日 16時14分52秒 | 政治
いよいよ参院選が始まります。
昨日は日本記者クラブに各政党の代表が出席され、党首討論会が行われ、壇上に横一線に並んだ各党代表の写真がマスコミで紹介されていました。

一見して吃驚したのは、「え! こんなに沢山政党があるのだ」という事でした、きちんと数えないと一見では解らないので数えましたら9人でした。

先ず感じたのは、日本にはこんなに沢山の政党が本当に必要なのだろうかという事でした。マスコミが要約されたそれぞれの党の意見を拝見しますと大きな問題は「物価問題」と「憲法問題」です。

物価問題ですと、それぞれ主張は少しずつ違うのですが、一通り読んでどの党が何を主張しているか正確には覚えきれません。もう少し整理してほしいと感じましたが、論点を整理のためには政党そのものを整理しなければならないようです。

しかも、殆どが対策の羅列です。世界中で急に物価が上がり始めたという現象に対して、何故そんなことになるのか、日本としては国際的、国内的にいかなる発言や行動が必要かそこから引き出される政策とは何かといった本質論が参議院では必要なのではないかと思うのですがあまり見当たりません。

憲法問題では先見性と洞察力を駆使した明示的なあるべき論がまず必要なのでしょうが、洋服(憲法)を着替えますと言っても、着替えて、礼服にするのか背広にするのか、戦闘服にするのかは何か曖昧にして改憲、改憲では国民は判断に迷います。

参議院らしい議論や主張というのはあまり見えず、衆議院とどう違うのかもあまり感じられません。
以前、参議院が衆議院のコピーなら不要だなどという意見があったのも思い出しますが、もう少し、参議院らしく日本の将来と取るべき立場という大所高所から整理してもらわないと、よく解らないから選挙に行かないなどと言う人が増えるのではないでしょうか。

こうした問題の結果は、多分投票率に出るのでしょうが、これからの選挙戦の中で、候補者の皆さんが、日本のあるべき本質問題について確り論じられ、より多くの国民の理解が促進され、投票率が高くなることを願うところです。

「半夏生」か「半化粧」か?

2022年06月21日 12時06分05秒 | 環境
毎年この時期になると、我が家の狭い庭の塀際の辺りに半夏生が伸びてきて、一番上のよく見えるところに真白な葉をつけます。

暦の上の半夏生と言うのは、七夕の前の数日ののことを言うのだそうですが、丁度その頃に元気に伸びる半夏生は、その先端に2~3枚の真白な葉をつけて「いよいよ暑い夏が来ますよ」と教えてくれるのが役割のようです。

雨上りのせいかもしれませんが、今年はどういうわけか白い葉の白さが目立つような気がしてそばに行ってつくずく眺めてみました。

半夏生というのが一般的な書き方のようですが、半化粧と書いていある場合もあります。



何と無く気が付いていたのは、1枚の葉が全部真白になっているのではなくて、半分ほどは緑で半分ほどが白くなっているのが普通だから「半化粧」というのだろうなどと思っていましたが、よく見ると何か、今年は1枚が全面的に真白というのが多いようです。

それが、特に今年白い葉が目立つ理由かななどと思いながら一本一本見ていきますと、頂上に小さな房の様な花が咲いていて、その下の2~3枚の葉だけが白くなるようです。下の方の葉は皆みどりです。



面白いのは、真白になっているように見える葉でも、どこかに緑の部分が残っていて、全体真白と言うのはないようです。
真白に見えても、葉の先端の部分にはやっぱり緑色がきちんと残っているようです。



どの部分まで白くなるかというのは、どうも白い部分がだんだん増えていくのではなく最初から決まっているように思われます。
そして白と緑の陣取りは各葉各様で、何か決まった法則や原則はなさそうです。
色々な葉を集めてみれば、その白と緑の織りなす柄は、千差万別、きっと面白いのではないかといった感じです。

ついでにネットで調べていましたら、頂上に花の房が咲かないと頂上の近くに白い葉が出てこないのだそうです。半夏生に白い葉が出ないというのは、地味や日当たりの関係で、花が咲かないからですと書いてありました。

というのは白い葉は、花の房の親衛隊だという事でしょうか。あまり目立たない花を『ここに咲いています』と昆虫などに教える役割でしょうか。

もう1つ、あの白粉を塗りまくったような真白な葉の色は何かと見ましたら、はっきりしないが葉の表面に微細な水滴が出来てそれが光を乱射して白く見えるのだろうという説があると書いてありました。

梅雨の明けきらない蒸し暑い夕べ、時に網戸越しに風が入り、宵闇のなかに点々と半化粧の白い葉が浮かぶ様子は、まさに初夏の風情です。
今日もそろそろ夕方、今日は夏至、宵闇が待ち遠しい、というのは文章上で、本音はビールが・・・。




民主主義の「トリセツ」 第3回

2022年06月20日 11時42分31秒 | 政治
民主主義の「トリセツ」も第3回になりました。
過去2回にも、何故、こんなテーマで書くのかという理由を書いています。

理由は大体こんなものです。民主主義というのは優れた哲学であり、思想であり、政治システムでありますが、優れた道具や機械装置と同じように、使い方を間違うと、怪我をしたり、感電したり、燃え出したり、爆発したり大変なことになる可能性があるので、誰にも解り易い「トリセツ」つまり『取扱説明書』を用意した方がいいと考えたからです。

ロシアも中国も、それなりに民主主義の形を取っています。しかし。現状は、独裁国家になってしまっているようです。

民主主義の「トリセツ」として、解り易く、みんなの役に立つものが出来れば、国民のより多くが望まない戦争といった事は起きなくなるのではないかと思っているのです。

そんなことで、今回も民主主義の心臓部である、選挙という場面で、その取扱いに際して「こんな事に気をつけたら良いのではないでしょうか」という事を2点付け加えていくことにしました。
これまでに4点挙げていますので、今回は5点目と6点目です。(1~4は、第2回に載せてあります

5、強い被害者意識を持っていて、それへの共感を求める人をリーダーに選んではいけない。

ロシアは常にヨーロッパからの膨張圧力に曝されているというのがプーチンの心情のようです。メルケルさんはその氷の様な被害者意識を融かそうとしましたが、結論は「あの人の意識は誰にも変えられない」という事だったようです。

トランプさんの「アメリカは損ばかりさせられている。」「世界がアメリカを利用して得をしているのは許せない。」だから俺は「アメリカ・ファースト」と言ってアメリカの被害者意識を持っている人の支持を得ようとしましたし、今もしているようです。

加害があるから被害が生じるので、加害の総量と、被害の総量は同じはずですが、大抵の社会では被害者意識の方が加害者意識より何倍も大きいのです。ですから、被害者意識に訴えた方が得票は多くなるという傾向があるようです。

被害者意識は、往々に、報復、叛乱、抗争、戦争に向かい、社会に混乱を齎します。

6、選挙権を持つ人は、候補者の「信者」にならないように気を付けなければいけない。

信者になると、その人の一挙手、一投足にも共感を持つようになる可能性が大きくなります。
宗教の世界は別として、民主主義や選挙は世俗の行為、行動です。合理的に割り切ってすべてについて客観的に判断し、感覚や感情的な思い込みや、不用意・安易な信頼感に頼り、「自分の責任で判断する」という民主主義の基本原則から外れないようにすることが大切です。

かつては日本人も、教えられた通り「天皇陛下万歳」と国の為に死ぬ事が本望だと大日本帝国主義の信者になって国の行く先を誤りました。

同じ頃、「ハイル・ヒットラー」とナチズムを信仰したドイツもあり、結果は同じでした。

第二次世界大戦後の平和と民主主義の一般化は、その反省の上に立ったものでしょう。

(以下宜しくお気づきのことを挙げて頂ければ幸甚です)

多くの人の知恵で、民主主義がより良い物になりますように。 

円安の進行と「成長と分配の好循環」

2022年06月18日 14時22分23秒 | 経済
この表題の意味がピンと来るかどうかですが、あまりピンと来ないのが一般的な状況ではないかと感じています。

なぜこんな事を考えたのかと言いますと昨日、日銀の政策決定会合の後、黒田総裁が、「円安で利益が出るところは(賃金などへの)分配を考えてくれるといいのではないか」といった趣旨の発言を歩きながらされたように聞き取れたからです。

瞬間的なテレビの画面の中の発言ですから、正確性は保証できませんが、そう受け取った時、これが問題の本質だなといった感じを受けたので、今日はその点の深堀りです。

円レートが変わりますと、日本経済の中で損するところと得するところが出ます。黒田さんは就任以来一途に円安が日本経済の為と考えておられるようで、現状でも「まだその方が日本経済にとって良いはずだ」と考えての緩和継続でしょう。

黒田さん以前は、プラザ合意とリーマンショックで30年近く円高で苦しんできた日本経済ですから黒田さんの気持ちもよく解ります。

ところで、円高になりますと輸入部門は利益が出て、輸出部門は損が出ます。円安の場合は、輸出部門は利益が出て、輸入部門は損が出るので、丁度反対です。

国際経済関係が安定していれば、為替レートの変動はあってもそれほど大幅には動かず、円高、円安があっても年間平均すれば損得無しといったことで済むのかもしれませんが、現実は為替戦略などもあってそうではありません。

ですから、ずっと円高だとか、当面円安で行くとかいったことが起きます。そうすると日本経済の内部で、損する部門と得する部門という明暗が起きます。

現状、黒田さん(日銀)の判断は、金融緩和継続の方が、金融緩和をやめて円高になるより日本経済全体でいえばプラスという判断でしょう。国際投機筋に、急に何円も円高にされるより現状維持がいいという判断でしょう。(多分そうでしょうね)

黒田さんにしてみれば、そうやって、日本経済が活動しやすいように考えて努力しているのに、加えて、岸田総理は「成長と分配の好循環」と言っているのに、政府も企業も、何をやるべきかが解っていないという憤懣が、冒頭の発言になったのではないかと勝手な推測をしたわけです。

考えてみれば、日本経済全体ではプラスと日銀が判断した結果の円安で、日本の輸出部門は付加価値を得、輸入部門は付加価値を失ったことになります。円安の幅が大きければ、産業別の付加価値配分が大きく変わります。同時に、労使間の配分(労働分配率)も変わります。

円安で利益が増えても、それは従業員の貢献による生産性の向上ではないので、労働分配に回す必要はないという理論も有り得るでしょう。(せいぜいボーナス増額?)
(因みにこのブログでは、労使の分配は貢献度によるものではなく、将来の成長が最適、長期的には最速になるように分配すべきという立場です)

「円安差益は黒田さんお蔭だから日銀に収めたら」などと言う悪い冗談もあるようですが、産業別や労使間で生じた円安による付加価値配分の突然の歪みを日本経済の中で、いかに調整するかという事は、まずアカデミアが、そして国会が十分に「理論的に」検討すべき問題でしょう。

そして結論が出たら、国民に周知し、そのための適切な政策を取ることが必要です。

これは、「プラザ合意」「リーマンショック」による円高、「2発の黒田バズーカ」「今回の異次元緩和継続」による円安、といった問題に共通する理論的課題でしょう。

金融政策の限界:スタグフレーションの懸念

2022年06月17日 14時01分02秒 | 経済
アメリカの中央銀行であるFRBが日本の公定歩合に相当する「ffレート」を0.75%の引き上げを決めました。

3月0.25%引き上げ、5月0.5%引き上げ、これは倍速の引き上げと言われましたが、今回は3倍速という異例の引き上げになりました。

これで結局金利そのものは1.50~1.75%という水準になりました、パウエルFRB議長は物価上昇の状況によっては、更なる大幅引き上げを示唆するといった様子で、何が何でも「インフレ退治」といった思いが感じられます。

これに対して日本は、今日の日銀の政策決定会合終了後黒田総裁から説明があると思いますが、異次元金融緩和継続の予想で、金利引き上げについて何か触れるかどうかといった程度の予想のようです。

日本の消費者物価はまだまだ上昇率は低く4月の段階で、2.5%これから上がるとの予想ですが、アメリカの8%台とは大違いですから日銀はあまり動かないのではといわれています。

しかし、日銀が気にしている10年物国債の利回りは日銀の上限2.5%を、アメリカの影響を受けて一時上回ったようで、日銀も多少神経質というところでしょう。

アメリカがインフレの早期の鎮静化を狙う気持ちは解りますが、インフレを金融政策だけで抑えようというのはかなり難しい話で、当然金利を劇薬のように強めに使わなければならないでしょう。

その結果は前々回に懸念を指摘しましたように、スタグフレーション化の恐れは大きく、すでにアメリカ経済のスタグフレーションだと指摘する向きもあるようです。

何故スタグフレーション化するかと言いますと、今のアメリカ、ヨーロッパ起きているインフレはアメリカでいえばコアコアの部分(日本の「生鮮食品とエネルギーを除く総合」に対応するもので、つまりは自家製インフレ、賃金コストアップや便乗値上げで起きているものですから、引き締めで売り上げが落ちると、賃金コストは下がらず金融コストの上昇も加わって、物価上昇が続き、利益が急激に減少するという事が起きます。この状態がつづくのがスタグフレーションです。

こうならないためには、国際価格が上昇して(原油など)輸入インフレが起きたとき、輸入コストの上昇は認め(国内価格に転嫁し)、しかし便乗値上げをしてそれで賃上げをする、また物価上昇を梃子に大幅の賃上げをするといったことを避けることが必要です。

コアコア物価が上がった時に金融引き締めで対応するとるいうのは、極めて困難だという事はスタグフレーションが「先進国病」といわれたことからも、既に1970年代から実は経験済みのことなのです。

その後労働組合の力が弱くなって、インフレが起きにくくなりましたが、今回のコロナ禍と資源価格上昇で、輸入インフレが起きると労働組合が覚醒し、賃上げが復活、自家製インフレも復活したのでしょう。

日本の場合は、労働組合がまだ真面目に賃金インフレを起こすような大幅賃上げをしていませんから、物価は上がらず(コアコア部分:アメリカ6%台、EU4%台、日本1%)日銀はゼロ金利維持で景気刺激、賃上げ促進でやれています。

先ずは、アメリカ、EUのインフレが早期に鎮静するかどうか?、よく見ていくべきでしょう。

参院選モードへ、与野党、国民の意識は

2022年06月16日 12時44分41秒 | 政治
通常国会は順調に閉幕、法案通過も上々のようで、与党にとってはこのまま順調に参院選に入っていけると過半数獲得に着々と狙いを定め、出発進行でしょうか。

当面する問題点は、やはり1にコロナの終息、2に物価対策、3に子供(貧困家庭)政策委というところでしょうか。

与党にしてみればコロナには「感染症危機管理庁」を作ったし、物価問題には「物価賃金総合生活本部」構想を準備したし、子供問題には「こども庁」の発足を決めたし、国民の要請にはきちんと答えたから、後は、国民にポピュラーな(人気者)を集めて参院選勝利に邁進というところでしょう。

国民は大人しいし、野党は俺が俺がの分裂専門家が多くて結束などは夢の夢ですから、まあほぼ安心というのが本音でしょう。

その意味では岸田政権はこの難局をなんとかスマートにこなしてきたようです。後の問題は「仏作って魂は?」でしょう。

昔と違って、政治家も官僚も、国民や日本国の将来の事よりも「自分ファースト」の傾向が強くなっているようですから(世界的にそうですから仕方ないかとも思いましが)、魂はなかなか入らないでしょう。

感染症危機管理庁も、ワクチン開発の現状のように、多少の補助金を出しても、研究開発そのものがどうも上手くないようで、長年の研究開発手抜き政策で人材を育てて来なかったからだという声もあります。

「生活総合対策本部」構想も、物価問題についての正確な認識が出来ていない中で何をしようというのか(給付金・補助金の額を競う?)中身不明です。

かつて1970年代の石油危機で、消費者物価がピークで26%も上がった時、労使の協力でインフレ抑制に世界に先駆けて成功した日本の労使と政府の協調も今は昔の夢でしょう。

こども庁も立派な仏像は作ったが、「魂が入らなかった」などという事にならない事を切に願うところです。
少子化と育児負担の悪循環の問題は、上に括弧内で書きましたように「貧困家庭」の拡大(結果国民の将来展望が暗い)に大きな原因があります。

この問題の原因を詰めていけば、長期不況の中で急速に進行した格差社会化の問題です。「こども庁」を作ってみても、格差社会化が進むようでは「魂」は入りようがありません。
物には原因がって結果があります。この所の与党の政策は、結果に湿布を張る後追い政策が主流です。野党は、その湿布をもっと十分にというばかりです。

参院選はそんな状況の中で行われます。また投票率は下がるのではないでしょうか。
当選と投票率を上げるためには人気のある有名人(ポピュラーな人)を候補者にすればいいといった傾向はますます強まりそうとの意見もあるようです。

ポピュラーにはいい意味もありますが、現実には、こうした状況が進んでいくと結果は民主主義のポピュリズム化でしょう。国民は政治と人気投票をを混同し、民主主義は空洞化し、時に独裁者を生み出すことは歴史が実証しています。

参議院は本来「良識の府」です。今回は参院選なのです。
人格、識見、発言、行動などが、日本国民のための政治を創り出すような人を、いかに選ぶか、国民の良識ある審判を以て結果を出し、日本の将来を明るくするような参院選にしたいものです。

ゲンジボタルの羽化累計7匹でした

2022年06月14日 22時38分17秒 | 環境
5月の24日にゲンジボタルの羽化を待っていると書きました。

その後の状況は5月27日に2匹羽化、30日に3匹、31日に1匹、それで終わりかと思っていましたら、大幅に遅れて6月12に1匹、多分これで終わりでしょう。

写真もうまく撮れず、庭の草叢で数日、淡い光を明滅させてくれましたが、羽化率は1割、思いなしか元気がなく、寿命も3~4日で、本来の1週間とはいかず、やはりまだ一昨年の殺虫剤による土壌汚染が消えていないようです。

そんなことで残念な報告になってしまいました。今年も幼虫に謝らなければならないようです。

ゲンジは成虫の光は大きいのですが、土中で繭を作るために何メートルも移動するので、土壌汚染の影響が大きいわけです。

ヘイケは発泡スチロールの箱の中でもOKなので、来年はヘイケにしようかなどと考えていますが、鬼に笑われそうなのでこれで終わりにさせていただきます。 


アメリカ経済の問題点、日本を走らす

2022年06月13日 17時04分26秒 | 経済
週明けの今日、円レートは135円7銭を記録、これは24年ぶりの円安だそうです。
原因は言わずと知れたアメリカのインフレ急伸を抑える金融引き締めと、日本銀行の異次元緩和継続のギャップです。

しかもこれが一過性のものではなく、アメリカのインフレ退治には時間がかかり、インフレと金融引き締めの戦いが長期に亘るのではないかという見方が出、これにマネーマーケットが反応、先週金曜日のダウ平均は880ドルの値下がりとなり、連続3日の下げで計1700ドルの下落という惨状です。

アメリカの動きを追って東京市場も今日は830円ほど下げて、円安なのに輸出産業の自動車も大幅下げが多いようです。
これから少しづつ良くなるのだろうかと、コロナの終息を望みつつある国民は、何か新しい不安な感じを強くしているのではないでしょうか。

マネーマーケットは実体経済とは違って、「恐怖指数」などと言うインデックスがあるように、安心感や恐怖心で動きますから、円安で儲かるはずの輸出産業の株が一時的に下がっても特に不思議ではないのでしょう。

本当の問題は、この所突如深刻になったアメリカのインフレが、一体どうなるかですが、もともとアメリカは値上げできればする、賃上げできれば取るという傾向が強いので、現状の8%インフレが簡単に収まるとは思えません。

消費者物価のコアコア指数が6%を越えている状態というのは、物価と賃金のスパイラルが起きているという事で、金融政策、金利引き上げでこれを止めることは容易ではありません。

かつて、同じようなことが起きたのは1970円台、石油危機後のアメリカで(ヨーロッパも同様でした)、原油高騰からインフレが酷くなり、金融引き締め政策を強めた結果はスタグフレーション、当時は「先進国病」と言われました。

結局それが治ったのは1980年代半ば以降、典型的には政権が変わり政権が労組の権限を抑え(レーガン改革、サッチャー改革、ミッテランの賃上げストップ、イタリアのスカラモビレ停止など)労組の穏健化で賃上げが小幅になって、やっとスタグフレーション脱出でした。

日本はこの時、政府は特に手を打ちませんでしたが、日経連(現経団連)と労働側の自主的な話し合いで早期にインフレを脱出(労働側も「経済整合性理論」を提唱)、スタグフレーションにもならず、「ジャパンアズナンバーワン」と言われました。

この所、欧米では賃上げが昔日の力を取り戻したようで、インフレと金融引き締めの競合の再燃です。
日本は、相変わらず賃金上昇の自主的抑制でインフレの炎は燃えません。インフレの炎が上がらなければ、日銀は金融緩和でOKサインです。

ただし、岸田政権は、全く慣れない事に直面ですし、参院選挙も控え、日本は大丈夫と国民に説明するために必死に走るでしょう。「新しい資本主義」と「成長と分配の好循環」の旗印だけでは足りないようです。

アメリカ、ヨローロッパで、金融引き締め、株価暴落で、マネーマーケットの不安が賃上げ抑制の効果を持つか、持たなければ、インフレと金融引き締めの戦いは長引き、実体経済在活動も次第に影響を受ける懸念があります(スタグフレーションの懸念)。

コロナの鎮静化による経済活動の活発化、加えて、ロシアのウクライナ侵攻という消耗戦が、欧米の生産活動にどう影響するかはまだ未知数ですが、状況はかなり難しいものになる可能性も小さくないようで、大変心配です。