tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

経済政策はどちらを向いているのか

2022年03月30日 16時17分05秒 | 経済
春闘は、政府の関心を持って発言していた集中回答日までの段階を過ぎて、中堅中小の交渉に進んでいる所でしょう。

中小の賃上げにも関心を持っていたはずの政府も、もうインフレ対策にかまけて春闘は忘れられているのでしょうか。

しかし、インフレ問題については、海外物価や円安の影響もありますが、一番影響のあるのは賃上げなのです。
大手だけではなく、賃金コスト総額の高い中小企業の賃上げを含めて、日本経済の賃金コストがどれだけ上がるかが、最も大きいインフレ要因です。

今、アメリカをはじめヨーロッパでも、長らくおとなしかった労働組合が元気を取り戻し、大幅賃上げ要求を掲げてスト戦略も用いながら、賃上げ獲得に一生懸命のようです。

アメリカは既にそうですが、資源価格など国際価格の上昇に上乗せして賃金上昇の「賃金コストプッシュインフレ」が急速に進みつつあるといった様相です。

日本はというと、労組の総本山の連合を見ましても、欧米と違って労使は対立すべきものではなく基本は信頼関係で、労使共通の目的は日本経済、自分たちの産業・企業の発展であるという意識が根付いています。

当然賃上げは取れるだけ取ろうというのではなく「日本経済の実態に見合ったものでなければならない」という「経済合理性」「経済整合性」の意識が働きますから、無闇、無鉄砲な要求はしません。

これは素晴らしい事で、これによって、日本経済は、過度なインフレに陥ることなく、物価の安定を維持してきているのです(特に第二次オイルショック以降)。

結果的に、2011-2021年の10年間の消費者物価の上昇率を見ますと、アメリカ、イギリスは20%、インフレ嫌いのドイツでも15%の上昇ですが、日本は、大幅円安があったにも関わらず5%です。

これでは国際競争力が強くなるわけで、コロナがなければ(日本で買い物をしようと)インバウンドは年々巨大になっていたでしょう。
コロナがなければ、ウクライナ問題が解決すれば、改めて、日本の国際競争力に強さがはっきりしてくるのではないでしょうか。

最近の政府、日銀の政策を見ますと、政府はインフレになると、国民の不満がたまるだろう、ガソリン・灯油が高くなったから何とかしなければ、4月から年金の目減りする高齢者にも何かしなければ、などと迷いに迷う様子です。政府には金はないので、どうせ国民から借金するのです(結局は国民負担)。

日銀は、未だ円安を維持することが大事だというのでしょうか、国債の指値オペも含めて大量買い入れをして長期金利を下げる努力です。
長期金利は下がったようですが、円は逆に高くなっています。

短期の動きは国際投機資本の都合によるのでしょうが、2000兆円の個人金融資産の太宗を占める預貯金、さらに国債、生命保険もゼロ金利で、庶民は「貯金貧乏」(貯金をしても利息が付かないので自分で利息分貯金を積み増すこと)を続けるようです。

コロナや国際関係が落ち着いた暁には、日本の競争力の強さが問題になり、また円高で深刻化する日本経済なんて事にならないように願いたいものです。

こんな事を繰り返していて、何か心配だなと思う人はいないのでしょうか。

悪いのは、プーチンか ロシアか

2022年03月29日 15時11分49秒 | 政治
バイデン大統領の発言が物議をかもしています。 
事の起こりは、バイデン大統領のポーランドでの「プーチンに権力を握らせてはいけない」という発言です。

ロシアのペスコフ大統領報道官はバイデン氏の発言に対し、バイデンが決めることではないと反発。「選ぶのはロシア国民だ」と強調したとマスコミは書いています。
米ロ間でも日本の国会のように、スレ違いの「ごはん論争」があるようです。

バイデンさんは、世界人類(ロシアの国民も含めて)のためにも、という意味の発言をしていると思われます。
これは、国連総会でのプーチンの独裁的行動反対の票数を見れば明らかで、世界の輿論は明確です。

これに対してロシアの報道官の発言は、大統領を選ぶ手続きについての話で、そんなことは誰にでも解っている事です。そしてこれは、今回の暴挙は、プーチンを選んだロシア国民が悪いという事に繋がります。

バイデンさんの発言は、問題の核心を世界の人にわかって欲しかったという気持ちから発したものでしょう。でも、是非とも解ってほしいと思っていた相手は、ロシアの国民だったのではないでしょうか。

ロシア国民でも、デモをしている人、デモには参加しないが思いをデモに託している人は、自分たちの行動や信条に一層の確信を持つことになるでしょうし、虚構の国営放送に騙されている人たちに気づきのきっかけになること、プーチンを盲信している人達にも何か少しでも影響を与えられればという意識はバイデンさんの心のどこかに確りあったはずです。

別の角度から見れば、決してロシア国民が悪いのではない、悪いのは、国民を騙してでも自分の勝手な欲望を遂げたいと、こんな戦争を起こすプーチンという個人が悪いのだという事をはっきりさせようという強い意図からの発言という意識がはっきり出ているのです。

ロシアの報道官が言うとおり、プーチンを選んだのはロシア国民ですから、ロシア国民の力で(自分の野望のために核の力にまで言及すような)プーチンを権力の座から降ろしてもらうのが世界人類のために望ましいというのは、まさにその通りなのです。

バイデンさんは、問題になっている発言について、自分の怒りを表したものと釈明したとのことですが、それだけ個人として、世界人類の一人として怒りを持ってプーチンという人間を見ているという当たり前の人間らしさを思わず表してしまったという率直さを、同じ人類の仲間としてしっかり見、感じるべきだというのが自然ではないでしょうか。

その辺は、どんな意識で、どんな形で、この発言を取り上げるかによるのでしょうが、マスコミの意識や認識力も、この発言の取り上げ方から垣間見えてくるように思います。

プーチンの戦争

2022年03月27日 16時09分30秒 | 国際関係
今回のロシアのウクライナ侵攻問題につては「プーチンの戦争」と言う人が多いようです。

恐らく、ロシアがウクライナの併合を目指して侵略の始めたというのは形式上の問題で、問題の本質(真の原因)を端的に言ってしまえば、プーチンという人間が、旧ソ連かロマノフ王朝の様な大きな国の「皇帝」になりたいという時代錯誤の野望みを持って、その個人的な夢を少しでも実現したいと思ったことから起きたもの、と認識する人が多いからではないでしょうか。

侵攻の始まった初期段階から、ロシア国内のほとんどの都市で「戦争反対」のデモが繰り広げられたという事がその実態を示しているように思われます。

プーチンは自分の思いを押し通すために、デモをする人々を何千人、何万人と逮捕して、国内での自分の意見に反対する行動を抑え、国民が皆この戦争に賛成しているという形を整えることに汲々としています。

デモに参加しないまでも、戦争に反対している人はデモに参加する人の何倍も多いでしょうし、国営放送のウソに騙されている人たちも、何らかの方法で真実を知れば、戦争反対の結論に行き着くのではないでしょうか。

問題は、プーチンが20年余をかけて作ったロシアの統治システムで、どこまで国民を騙し、また抑えられるかが、プーチンの邪悪な野心の命運を決めることになるのでしょう。

この戦争は、まさに「プーチンの始めた」「プーチンの戦争」なのです。ロシア人は、単純にプーチンを信仰している人と、プーチンに(国営放送に)騙されている人と、戦争に反対の人の3つの立場に大きく分けられるのではないでしょうか。

問題は、単純にプーチンを信仰している人と国営放送に騙されている人でしょう。その人たちが、何が真実で、何が正しいかに覚醒したとき、プーチンの野心は決定的に挫折することになるのでしょう。

この戦争は「プーチンの戦争」なのです。そう考えれば、戦争をやめる事の出来るのはプーチンなのです。プーチンがやめと言うまで戦争は続くのでしょう。

アメリカもEUも日本も制裁は出来ても、戦争をやめさせることは至難です。
既にプーチンは、核の使用をほのめかすような発言を脅しか本気か解りませんがしています。
当然、プーチンをあまり追いつめるな、追い詰めるのは危険だという意見が出ています。

矢張り「プーチンの戦争」をやめさせるという仕事はロシアという国の国内の問題として、プーチンを選んだロシア自身にやってもらうのが最良の選択でしょう。
戦争は、国際的な広がりにならず、ロシアの国内問題のレベルに収斂して、ロシアの国内問題として解決し、終戦を迎えるのが本当の解決でしょう。

バイデン大統領は「プーチンに権力を握らせてはいけない」と言っています。これは事の本質を明確に突いています。

既に、プーチンの側近の№1と言われた大統領特別代表のチュバイス氏が辞任、出国と言われ、そのほかにも、政権中枢の異変の情報の流れているようです。

国民が真実に目覚めたとき、プーチンは、権力を失うでしょうし、相手がモスクワやサンクトペテルブルグにいたのでは、核の脅しは効かない事を悟るでしょう。

「プーチンに権力を握らせてはいけない」というバイデン大統領の指摘は、いつの世でも、独裁者は、国の内外の多くの人々に災厄をもたらすという歴史の経験を指摘しているものとして、「プーチン」を独裁者の普通名詞として、何時の時代も、人類共通の指針とすべきものだという気がしています。

取引と贈与、再論:合理性と人の心

2022年03月26日 22時24分57秒 | 経済
随分昔ですが「おカネの役割と限界」という事で「取引と贈与」について書きました。

このブログでも主要なテーマの一つの「経済」は取引が中心の世界です。勘定はいい加減の事では済まない訳で、キッチリと最後まで詰めてルールに合うようにしなければいけません。

ルールというのは、本来合理性の塊で、合理的でないルールは必ず問題を起こしますから、そうした場合は改められて徹底して合理的になることで作られています。

ビジネスの取引というのは、そうしたルールに基づいて行われなければならないというのが基本原則でしょう。

取引が合理的に行われて初めて「公正な取引」として認められ、当事者も第三者もみんな納得して、世の中は正常に動き、誰もが安心してビジネスができるのでしょう。

貨幣はその中で、価値の基準として重要な役割を果たしています。貨幣の御蔭で価格が決まり、マーケットメカニズムの働きを全て明確な数字で表すことが可能になります。

こうしてビジネスは、世界共通に、何処でも公正な活動ができることになり、世界経済は大きく発展してきているわけです。

ところがこうした合理性の世界と別に、人間の社会には「贈与」という行動があります。
贈与というのは一体何なのでしょうか。

取引は合理的ですから、世界で普遍的なものですが、贈与は、必ずしも合理性はなく、従って普遍性もありません。

しかし、人間は時によって、取引より贈与を好むほど「贈与」が好きです。
キッチリ計算して、お互いに多少の不満はあるけれども、最終的には納得して「ではこれでお願いします」と取引が成立したあとで、「いろいろ有難うございました。それで気は心ですが、こんなものを付けさせて頂きます」「これは、これは。ご丁寧に済みません」などという事で、その場の空気は「ホッ」と和むといったこともあります。

勿論それもビジネスの内と言ってしまえばそれまでですが、それでも、その部分はもともと勘定に入っていたのか、それとも「持ち出し」なのか「はっきりしない」というところに、そうした効果が生まれるのでしょう。

そんな時に使われる「気は心」とか「ほんの気持ちですが」という言葉もそうですが、まさにこうした「贈与」に類する部分というのは、合理性や金銭では測れない「人の気持ち」を表す部分なのでしょう。

もともと人間には合理性を追求する部分と、非合理的でも人の心を満たそうという部分があるのでしょう。
この合理性では測れない心と心の授受を具体的な形で表すのが「贈与」の世界で、人間同士の緩衝地帯のような役割を果たしているのでしょう。

ビジネスの中に贈与を持ち込めというつもりは全くありませんが、人間にはそうした面、損得とは別に、貨幣の価値観では測れない「人の心」の曖昧なバランスを大事にするという面もある事が、世の中を優しくソフトに、居心地のいいものにしているという事も、現代人は、時に思い出すのも良いような気がしています。 
(これは仏教での慈悲の心にも、どこかで繋がるものだという人もいるようです。)

円安はまだ進む? 日本の対応は

2022年03月25日 20時49分03秒 | 経済
長い間円高に悩まされてきた日本ですが、この所は急に円安が進んで、1ドルが120円になった吃驚していましたら、122台まで安くなりました。
今は121円台になっていますが、最近は「悪い円安」などという言葉も出来て「インフレになる」とか、「日本の評価が下がっていて危険」などといった意見もあり、判断に迷う所です。

2013、14年には日銀が2回の大幅金融緩和をやって円レートを1ドル80円から1ドル120円の円安にして日本経済は息を吹き返したと言われました。
あの時は「良い円安」だったのでしょう。

このブログで、アクセスがコンスタントにあるものに「為替レートとゴルフのハンディ」がありますが、ゴルフのハンディは、実力に見合ったものがベストなはずで、為替レートもそれと同じです。

日本の実力より円高になると日本は物価は高くて競争力が無くなりますから賃金などのコストを下げて物価を下げ、競争力を回復する努力が必要で、デフレになります。
実力より円安になると、日本の物価は安くて輸出は順調、インバウンドの多くなりますが、輸入原材料などは高くなって輸入インフレになり危険だと言われます。

現状では、日本人は1ドル=110円ぐらいが実力で、円レートはその辺りがよいと考えている人が多いのでしょう。それより円安になるとインフレの可能性も出て来て、良くないという事なのでしょう。

前々回書きました原油価格の値上がりの場合には、日本の富が上納金のような形で産油国に移転するのですが、為替レートの場合は、そういう富の移動ではなく、為替レートの変動分だけ、外国との取引で、売と買の間に価格のギャップが出来るという事です。

基軸通貨はドルですから、取引はほとんどドル建てです。円が10円の円安になれば、1ドルのものを買う人は10円余計出して1ドル札を買って払うことになり、1ドルのものを売る人は、1ドル札を受け取って銀行で円に変えれば10円余計に受け取れるという事です。

輸入業者は損して、輸出業者は得するという事が自動的に発生するのです。
若し、輸入業者は余計払った10円分を完璧に価格転嫁し、輸出業者は得した10円分を完璧に賃金や仕入れに還元すれば、何も変わらずで、もっと簡単に言えば、円レートをドルリンクにする、それより円を止めドルを通貨にすれば、為替問題はなくなります。

しかし現実は、為替差益は輸出業者のもの、輸入業者は十分な価格転嫁はできないのですから、国内で、富の配分に不公平が出ます。
結果は、輸出業者は輸出を伸ばし、輸入業者は倒産したりで、次第に輸出が増え、輸入が減り、貿易黒字が増えて円高になり、バランス回復が、経済メカニズムでしょう。

しかし為替レートは経済の実力に合うように巧く動いてくれませんから、歪んだ為替レートが続いたりすると経済に大きなプラス、マイナスの影響が出ます。

日本は世界的に見ても、こうした場合に、巧みに対応してきた国です。そしてそれは、政府の力というよりは民間の企業や労使の力によるようです。
ですから、今回も、多分大きな失敗はしないのではないのではないかと思っています。

今日は春らしい良い日です

2022年03月24日 20時05分05秒 | 随想
此の3日ほど、天気も良くなく真冬のように寒い日があったりしましたが、今日は春らしい良い天気になりました。

天気が良くなると、気分も明るくなります。朝方大幅に下がっていた日経平均も午後になって持ち直して、これで気分がさらに明るくなった人もいるのではないでしょうか。

これでロシアの暴走問題がなければ、もっと明るい気持ちになれるのでしょうが、人間というのはまだまだ未熟なようです。

今の人間は「新人」、ホモ・サピエンスで、30万年ほど前にアフリカで生まれ、10万年ほど前に一部がアフリカから出て、世界に広まったようです。

原人やネアンデルタール人は絶滅して人類はホモ・サピエンスだけが生き延びて地球を支配するに至っているのですからホモ・サピエンスは環境適応能力がそれだけ優れているという事でしょう。 

それでも、宇宙の歴史138億年(ビッグバン以来)、太陽系が生まれてから46億年の中で言えば、ほんの一瞬の出来事かもしれません。

それでも人間にとってはそろそろ100年になろうという寿命は結構長いので、その間に、良いことをする人も、悪いことをする人もいるわけです。
みんな仲良く元気で過ごせればそれでいいのに、何でトラブルを起こすようなことをするだろうと考えても、それが人間ですと言われればその通りなのでしょう。

今度のロシアが仕掛けた戦争が、世界中で評判が悪いという事は、もしかしたら、こういう人と人とが殺し合うような野蛮な戦争は今回で終わりという事になる兆しかもしれません。人間は経験に学ぶことが出来るのでしょうから。

しかし、もしこの戦争が、人類が最も恐れている核戦争に発展すれば、環境適応能力に優れていたホモ・サピエンスは、その優れた能力の使い方に失敗して絶滅したということになるのでしょう。

太陽の寿命は100億年ほどと推定されており未だ何十億年かは地球人類に無償のエネルギーを供給してくれるようですから、人類は地球上で、まだまだ長い間、楽しく多様な進歩を経験して行けるのでしょう。

宇宙の事ですから、何が起きるかは解りませんが、このままでいけば、ホモ・サピエンスには、生まれてこの方の30万年とは比べ物にならない何十億年という長い時間が与えられているようです。

その時間をもっともっと楽しく有用なものにしていくためにも、無用なトラブルを早く処理するような知恵を、みんなで出していきたいと思う所です。

輸入インフレへの対応策を整理する

2022年03月23日 20時41分25秒 | 経済
企業物価がこの2月は、対前年同月比で9.3%上がりました。原因は原油などの国際価格が上昇したからで、輸入物価指数を見ますと昨年11月には(同)45.3%も上がり、この2月には原油価格が少し下がって34.0%の上昇になっています。

輸入物価が上がれば、企業物価が上がり、いずれ消費者物価も上がると誰もが考えます。消費者物価はこの2月で、未だ0.9%の上昇です。
政府は、輸入価格が上がったたら、その分は価格を引き上げなさいと言っていますが、ガソリンが1ℓ=160~170円になって困っているようです。

円安も進んでいます。去年の2月は$1=105円台でしたが今日は121円になっています。
輸入するものは殆どドル建てですから円安になると円安の分値段が上がることになります。

輸入価格が上がっている上に円安になりますと、ダブルパンチで円表示の輸入価格は上がり、最終的には、消費者物価に影響してくることになります。

という事で今からインフレが心配されています。
あまり影響が出ないうちに、原油価格も下がり円安も元に戻ればいいのですが、経済評論家やマスコミはこれは構造的は変化で、今後インフレになるなどと指摘します。

具体的な話では、原油が上がって、ガソリンが上がったから、政府に補助金を出せとかトリガー条項を適用せよという意見が出て、政府は検討をしています。補助金の方はもう出ています。ただしガソリンなど燃料だけです。

なにか場当たり的な対策のようですが、こういう場合はどうするのが一番まともかという議論は一切ありません。本当はどうすればいいのでしょうか。

という事で、輸入価格が上がった場合の、誤りのない対処法を考えてみます。
実は、これはすでに、1970年代のオイルショックの時に、理論的には結論が出ていて、当時の日本は、政府も解っていたのですが、忘れてしまったり、当時のことを勉強していなかったりで、また、議論になっているのでしょう。

原油価格の上昇については過日取り上げましたので、基本的には同じことですがもう一度整理したいと思います。

輸入品が上がった、円が安くなった、とはどういう事でしょうか。
それは、外国からモノやサービスを買う時、自分の稼ぎの中から今迄より余計に払わなければならないという事です。

日本の場合稼ぎというのはGDPです。つまり、同じだけ輸入しても、GDPの中から、今迄より余計支払うことになるのです。その分、日本は貧しくなるのです。

これが輸入物価上昇の「真実」です。日本が貧しくなったのですから、国内でどうやっても元の豊かさには戻りません。政府に補助金を出してもらっても、政府のカネは国民からの税金か借金ですから、結局、国民が不公平な形で負担することになるだけのことです。

一番公平なのは、輸入品値上がり分はきちんと価格転嫁して(便乗値上げはいけません)輸入品を余計使う人が沢山負担し、少し使う人は少し負担するとい価格メカニズムに従って負担することでしょう。

そして、海外に高く売れる商品を開発して、高く売って取り返すという事を日本はやって、オイルショックの後「ジャパンアズナンバーワン」になったのです。

産油国は石油を一時高く売っても値下がりするときもあります。そして、いつかは再エネの時代になるのでしょう。最後は頑張った国が勝つのです。それが最善の対策です。

(円安の場合については、少し違った要素が入ってきますが、基本は同じです。)

世界経済混乱と日本経済の立ち位置

2022年03月22日 17時35分26秒 | 経済
コロナから始まり、原油価格の高騰、そしてロシアのウクライナ侵攻問題と、世界経済に異常事態が重なってきてしまいました。

最も心痛むウクライナ問題の早期の解決を願いながら、混乱する世界情勢の中で不透明化する日本経済の立ち位置と今後について選択肢の予備的考察しておきたいと思います。

絶対条件はウクライナ問題が破局的な状況に発展しないという事です、プーチンのロシアが自らの異常な時代錯誤に終止符を打つ日を待ちながらです。

コロナ問題は本来景気下押し要因でしょう。しかしこの所、そろそろコロナも征圧がされそうだという事で、欧米諸国も日本も経済対策に力を入れ始めているようです。
これが予想通りいって、コロナ終息が本物になれば、経済は回復基調に入り、本来ならば経済急回復というところでしょう。

しかし、現状は原油高、ロシア制裁問題で多様な混乱が起きる可能性もあり、景気回復がサプライチェーンの混乱でインフレ要因になることも考えられます。

原油価格問題はもともとインフレ要因ですが、石油やガスの主要供給国の1つであるロシアへの制裁問題とその他の産油国の動向などからエネルギー価格の上昇は長引くのではないかとみられているようです。

ロシアのウクライナ侵攻問題はたとえ戦端は止んでも制裁問題などの行方は簡単には見通せません。種々の混乱は続きそうです。

こうした種々の制約要因が考えられる中で、経済活性化への動きが強まった場合、資源価格の上昇などが一層強まる可能性もあり、結果的にインフレ傾向が強くなるのではないでしょうか。

典型的には今のアメリカの状態にみられるような現象が更に広く発生した場合、世界経済、そして日本経済にいかなる影響があるかという事でしょう。

無資源国日本の立場は容易でないかもしれません、ロシアとは国交回復の動きも中断になりましたし、中国との関係も、これまでのようにスムーズにいくかどうか状況は微妙かもしれません。

しかし、経済回復は急がなければならないという中で、日本は従来から上手ではない経済外交を本気で上手にしなければなりません。
勿論、無手勝流ではやれませんから、必要なのは、相手の役に立つもち札如何です。

従来は、真面目に経済協力をする、平和憲法を持って、役には立つが「人畜無害」というのが日本のセールス・ポイントだった事が大きかったと思います。
その辺は、このところ、日本を見る目も些か変わって来たのではないでしょうか。

もう一つは、先端技術分野での優位性です。アベノミクスが研究開発費を増やさなかったこともあるでしょう。企業が即戦力採用に傾き、教育訓練費を絞ったこともあるでしょう。
ワクチンでは100%外国依存、先端分野でも中国、韓国、台湾に後れを取ることが増えています。

こうした状況に気付いたのでしょう、岸田政権は研究開発の促進について力を入れ始めています。しかし成果が出るまでには、それなりの時間がかかるでしょう。

こうした中では、日銀の異次元緩和継続の結果の円安で、日本製品の価格が安くなり、外国の消費者は喜び、輸入資源、輸入物資等の高騰から日本の消費者は苦しむという事で、当面を凌ぐという事になりそうな気配です。

いずれにしても、落ちた競争力を回復するためには、それだけのエネルギーを使わなくてはならないというのが、経済活動の原則のようです。
日本人は、ここでもうひと頑張りしなければ、という事になるのでしょうか。

民主主義は時に独裁者に弱い?

2022年03月21日 14時04分28秒 | 政治
皆さんご承知のように、ロシアも形は民主主義です。しかし現在は明らかに専制政治、プーチンの独裁です。

どうしてこういう事になるのでしょうか。
理由はいくつかあるように思います。まず第一に、長い間同じ人が政権についていると、その国の社会体制が、その一人の人の思い通りに作り変えられる可能性があるということでしょう。

第2には、国民の方が、何が良いか自分で考え、判断し行動するより、「良さそうな人」についていった方が安易で、楽な生き方が出来るだろうと考える事でしょう。

今のロシアは、実体的にプーチンが20年も政権を担当し、政党組織も、官僚組織も軍隊組織も、情報システムも、プーチンの思い通りになるよう作り変えられているようです。

今日のように、世界に同じ情報が同時に伝わる世界では・・・、と我われは考えますが、ロシアの国営放送は、ナチスドイツのようなヨーロッパ軍が攻め込んできているから、ロシアとしてはウクライナを助けなければならないといったことを多くの国民に信じさせているようです。

この情報化時代にと思いますが、在日のロシア人がロシア在住の母親に電話して、母親が頑なにそう信じて説得できないといったのが現実のようです。

真実を知っている人はデモをやっていますが、官僚組織、警察、軍隊は、プーチンの命令に絶対服従のシステムが出来上がっているのでしょう。逮捕、拘束の数は増えるばかりのようです。

今の国連を含む国際システムの下では、ロシアの始めた戦争は、ロシアがやめるしかないという事の様ですから、ウクライナの犠牲は増え続けることになるのです。

こうした悲劇が、何とか地球上から無くなるようにと多くの人が願っているのですが、それは容易ではありません。

考えてみれば、こんな大きな悲劇ではないにしても、そうした問題に「繋がるような事件や悲劇」は、アメリカでも日本でも起きているのではないでしょうか。

「繋がるような事件や悲劇」というのは、民主主義の中で、独裁的な動きから発生する異常な現象です。「アメリカや日本でも?」と訝る方もいらっしゃるでしょう。

未だ記憶に新しいと思いますが、トランプが大統領であった時期、トランプの「国会へ行こう」という一声で、トランプを支持するアメリカ市民が国会の窓ガラスを割って国会に乱入するといったことが起きています。

こんなことがなぜ起きるのか疑問がのこる中で、今年の中間選挙で、トランプの動きが心配されていることも事実でしょう。

日本ではと言いますと、安倍政権の時期、森友学園の問題で、自民党は勿論、日本の官僚組織も、徹底的に安倍擁護組織になり真実を覆い隠して、その反省もなく今に至っています。この問題では一人の命が失われています。

アメリカもそうですが、日本の場合には、情報はロシアと違って、国民に行き渡っています。しかし、与党の中にも、官僚の中にも、安倍批判の声は全く沈黙しています。恐ろしいことです。

こう見て来ますと、民主主義というのは、意外に脆い所のあるものではないでしょか。
もともと、民主主義というのは、政治家であろうと官僚であろうと一般市民であろうと、皆が(少なくとも半分以上)、人間としての正しい理解と判断が出来ないと、誤った方向に進む可能性があるということがその原因でしょう。

民主主義を使いこなすためには、まだまだ現代人は未熟なのでしょうか。

円安119円台へ、円評価に変化か?

2022年03月19日 17時10分33秒 | 文化社会
円レートが118円台になってビックリしていましたら、今日は119円台です。
2013年、14年の二回の黒田バズーカで120円までの円安を実現したのですが、その後も「万年経常黒字」を背景に「有事のドル」に代る「安全通貨の円」で105円から110円辺りの上下でした。

こうした円への評価、安全通貨という認識が、黒田日銀の円安メリットの一貫した認識に繋がり、異次元金融緩和の長期継続となっていたのでしょう。

しかし、このところの状況を見て、何か基調的な変化があるのではないかといった見方もあるようで、このまま120円を切り上げると円の暴落につながる恐れすらあるといった意見まであるようです。

そこで気が付くのが、昨年12月、今年1月と経常収支が赤字になっていることです。
このブログでは、「万年赤字のアメリカ」と「万年黒字の日本」と対照的に書いてきましたが、実は今年の1月は大幅赤字なのです。

  経常収支  貿易収支  サービス収支  第一次所得収支
12月  -3708    -3187    -3213      3988
1月  -11887   -23422    -7379      12880
     (単位:億円) 
赤字の原因は、貿易収支とサービス収支の赤字にあることは明らかですが、サービス収支は、一時来日観光客の増加で赤字が減りました(物品購入は輸出勘定)。しかし今は消滅、最大原因の貿易収支は、実は以前は黒字稼ぎの旗手だったのですが次第に輸出入トントンといった状態になり、コロナ問題が起きてからは、ワクチンの輸入などが赤字化の要因になり、そしてそれに追い打ちをかけたのが今回の原油の値上がりという事のようです。

従来は貿易収支、サービス収支がある程度赤字になっても、第一次所得収支(海外投資からの利子・配当など)の大幅黒字が赤字を吸収して余りありで万年黒字というのが常態でしたが、コロナの長期化、更に原油など資源の値上がりで第一次所得収支では吸収しきれなくなったというのが率直なところでしょう。

さて、問題はこの現状をどう判断するかです。
長期的にみれば、アメリカに見るように、第一次所得収支やサービス収支が今でも巨大な黒字を出していても、「ものづくり」のほとんどは海外移転で、貿易収支がより巨大な赤字を計上、結局経常収支は万年赤字というのが、経済発展の行方だなどと言われます。

アメリカは一方で巨大が資源国でもありますから、未だいいのかもしれません。日本は無資源国ですから、国内の付加価値生産だけがGDPを生み出すことで生きる国なのでしょう。

その意味では、円安は、日本には最大の恩恵を与えてくれているのです。
黒田総裁の円安重視の姿勢は、まさにそれを意識してのことでしょう。

ただし、もう一方ではそれを生かして貿易黒字を稼げば、対アメリカをはじめ国際摩擦を招き、その結果円高を招き、深刻な不況に苦しむ可能性(平成不況)が出てきます。

という事で、今後の日本経済について、その弱体化を案じ円安進行を心配する立場と、強い経済力を回復しつつ、円高を恐れる立場とが、それぞれ日本経済の将来を心配しているのでしょう。

さて、日本の選択すべき道は何処にあるのでしょうか。

アメリカにスタグフレーションの恐れ、日本は?

2022年03月18日 20時27分53秒 | 経済
ウクライナ問題の深刻化で、世界からそのリーダーシップが注目されていつアメリカです。
現状、バイデン大統領は冷静に、そして適切にその役割を果たしつつあるように思います。

こうした国際的な危機への対応は、流石にアメリカという所でしょう。残念ながら日本などとはその情報も諜報も、判断力も、実行力も桁が何桁も違うようです。

しかし、経済について見ますと、我々から見ても、何か危うく見えて来ていて心配です。

今、アメリカ経済で起きていることの要点を整理しますと、

1 原油価格上昇などで、物価が急激に上がっている
2 景気回復で企業の求人意欲が高い
3 物価と景気の上昇で賃金上昇率が高まっている
4 FRBが景気過熱防止のために金利の引き上げを行う
といった所でしょうか。

順番に問題点を見ていきますと、物価が急激に上がっていることは確かでしょう。2月の7.9%上昇というのは、40年ぶりと言われているようです。
原因は第一に原油の値上がりで、それにサプライチェーンの混乱、関連商品への波及、国際社会の混乱など国際的な原因が大きいようです。

一方アメリカの景気は世界に先駆けて回復していて、求人が活発です。それにコロナ感染で、要員不足も多いようです。

そうした事から賃金の上昇圧力が強く、業績の良い企業で物価上昇のカバーの要請も強まり最近の賃金上昇は、従来の4%程度から7%レベルに上がってきているとのことです。

FRBは、景気の回復から金利の正常化(ゼロ金利脱出)を目指していていましたが、インフレの加速から、金利引き上げ0.25%→0.5%を行いましたが、今後も連続して引き上げを考え、加えて量的引き締めで、インフレと、景気過熱を未然に防止ししたいという姿勢のようです。

こうした状況から見えてくるのは何でしょうか。
鍵になるのは何といっても、インフレの高進と賃金上昇の関係です。
原油の上昇もコロナや国際情勢の混乱によるサプライチェーンのトラブルも、少し長い目で見ると一時的なもので、いずれは正常な状態に戻るでしょう。

金融引き締めで企業の行き過ぎた行動を抑え、一定時期が過ぎれば経済は正常状態に戻るのです。

然し、原油、コロナ国際情勢といった一時的な要因で上がった物価を、賃金の引き上げで補填すれば、上がった賃金は下がりませんからインフレはアメリカ自体のコストである賃金に組み込まれ、今度は賃金上昇がインフレの要因になります。

この賃金インフレを、また賃金引き上げで補填すれば、いわゆる賃金・物価のスパイラル現象が起きる可能性が高くなります。

一方、引き締め政策としての金利の引き上げは、ドル高を齎します(今の円安はアメリカの金利引き上げの結果でしょう)。
アメリカの国際競争力はドル高の分だけ落ちます。これはアメリカ経済にとっては停滞要因です。

こうして起きるインフレと景気停滞の併存は、まさにスタグフレーションで、すでに1970年代、主要先進国が先進国病として苦い経験をしたものでしょう。

アメリかに、世界のために大変重要な役割を担って頂かなくてはならないこれからの時期に、アメリカ経済がスタグフレーション化したら、これは心配なことです。

同時に日本にとっては、このまま円安が進むような事になれば、アメリカからの円高要請(プラザ合意の再来)が起きる可能性もないとは言えないでしょう。
これはかなりありそうなことです。ならば、誰がどう気を付ければいいのでしょうか。

2022春闘、出足快調、労使関係の復活

2022年03月17日 13時36分43秒 | 労働問題
今春闘の集中回答日3月16日、水曜日、昨日からニュースで回答速報があいつでいますが、出足は快調のようです。

パターンセッター的な位置にあるトヨタは要求自体平均額は出していませんが、回答はボーナスを含め満額回答という形で、役割を果たしたのでしょう。
企業側の説明も、グループ企業の大手から中小まで出来るだけのことをしようという気持ちが出ているように感じられました。

個別のデータは、専門のところにお任せして、全体的に見ますと、自動車総連、電機労連、JAMなどでリーダー的な企業は、出来るだけ満額内藤で妥結という労使の姿勢を経営サイドも見せたいという意識の出た春闘といった感じがします。

経団連の十倉会長の発言も、昨年までの春闘の雰囲気を変える効果があったような気もしますし、日本の賃金が韓国に追い越され、特に大卒初任給などに日本の遅れが目立つといった情報が一般的になったことも影響があったのかもしれません。

現に一部に大卒初任給を、組合側の要求以上の7000円から1万円引き上げるといったところもあるようです。

今春闘で、で連合サイドの要求がとくに強烈だったとは思いませんが、労使交渉の中で、恐らく労使双方に、今迄の繰り返しでは先がない、何か突破口を開く必要があるのではないかといった、新しいエネルギーへの渇望の様なものがあったのではないかと感じるのは私だけでしょうか。

かつての高度成長期も、オイルショック後の安定成長期も、日本経済のベースを固めていたのは「春闘」と言って名称は「闘争」だったかもしれませんがその基底には、労使の相互理解と信頼関係があった事が大きかったのではないかと思います。

長期不況の中で「春闘は終わった」などと言われ、代って官製春闘が登場するような労使不在の時代が続きましたが、何かのきっかけで、日本経済の基盤を作る日本の労使関係が息を吹き返せば、日本経済のエネルギーも蘇って来るような感じがします。

折しも、世界を見渡せば、コロナとの戦いが終盤を迎え(そう願いたいところです)、突発した独裁者と自由世界の対決が世界に混乱を齎す異常な事態です。

国際関係、国際政治、国際社会は勿論、世界経済、国民生活にも多様で多大のインパクトが、さらに押し寄せる可能性も大でしょう。

既にアメリカはインフレ抑制に向け金融引き締めに入りました。円安が進行していますが、今後の日本経済にどのようなインパクトがあるかも容易には見通せません。

しかし、今春闘をきっかけに、本来の日本の労使関係が目覚めれば、これは日本の経済社会にとって、大きな力になるのではないかと思いつつ、今春闘の動きとこれからの労使関係それから政労使三者の関係に注目してみたいと思うところです。

本質はロシアの国内問題

2022年03月16日 15時45分24秒 | 国際関係
ロシアがウクライナに軍事進攻してから3週間になろうとしています。
21世紀の今日、こんな形の地上戦を展開するような戦争が現実に起きるとは殆どの人が予想もしなかったのですが、ロシアは夥しい数の戦車とミサイル砲を使ってウクライナに攻め入りました。

恐らく、基本的には、ロシアのプーチン大統領という人間の個人的な欲望とその裏返しの故なき恐怖感、それを形作ることになった偏った情報の集積といった事が、時代錯誤の戦争によって自分の思いが実現するという誤った判断(錯覚?)に至る思考過程を齎したのでしょう。

当然、事は思うように運びません。プーチン大統領は、既に激しい焦りを感じているのではないでしょうか。それがまた惨禍を増幅するのです。

「プーチンは、2日ほどでキエフは陥落と予想していたが、15kmから30kmほど手前からほとんど進めない状況が続いている」といった見方が報道されています。

ロシアでは、ロシア軍がウクライナに行けば、多くの市民が歓迎すると教えられている人が多いようで、侵攻した兵士もそう考えていて現地へ行って戦争状態に驚き怖がっているというような報道もあり、真偽のほどは解りませんが、有り得ることのようです。

若しかしたら、プーチン大統領自身が、そうした自分に有利な情報しか受け入れていなくて、ある程度そうした情報を信じていたという「裸の王様」状態だったのかもしれないと思ったりします。

そんな勝手な想像は別として、プーチン大統領の固定化した信念はソビエト連邦の復活であり、NATOには徹底して対抗し、その侵略は許さないという思い過ごしの被害者意識でもあるのでしょうから、その信念を正当化することを自身にも国民にも徹底しようという事になるのでしょう。

ゴルバチョフさんであれば、21世紀は、もうそんな時代ではないのだから、東西対立を掲げて核弾頭を積み上げるようなことはやめて、民主国家として平和共存が適切と考えるのでしょうが、時代錯誤のプーチン大統領にはそうした思考の柔軟性は殆ど欠如しているという事なのでしょう。

そこに事の本質があるのであれば、今回のウクライナ侵攻問題の様な戦争による現状変更の試みはプーチン大統領が存在する限り常に起こりうるという事になります。

ならば、解決策は、プーチン大統領自身が、事の本質に気づいて自らの考えを改めるか、あるいは、ロシアの国民がリーダーとしてのプーチンの役割を何らかの手段によって停止するかしかないという事になるのでしょう。

つまり。ウクライナの徹底抗戦の意思と現実も、アメリカやEUを始めとした様々な対ロシア制裁政策も、その2つのどちらかを実現するための努力なのです。

世界経済の犠牲を伴い、更に最も重い人命を賭してまでの努力も、ロシアという国、その国民がプーチン独裁に終止符という行動を成し遂げることへの出来る限りの支援という事になるのでしょう。

国連に法的強制能力があれば別ですが、国連総会の決議でさえも強制能力はありません。

国の行動を決めるのは、直接的には、その国の国内問題としてしか方法はないのです。
ですから、今回のロシアのウクライナ侵攻問題も、戦争による解決を是としない限り、その本質は、ロシアという国の国内問題としての解決によるしかないという事なのです。

プーチン大統領はそれを恐れて、国内の情報統制を強めています。おそらく、ロシアの半数程度の国民はどの情報が正しいかそれなりに感づいているのでしょう。

今、最も重要なのは、1人でも多くのロシア国民に、特に権力サイドに立つ国民に、何が正しい情報かを知ってもらう事でしょう。
いずれ、ロシアの国民の大部分が真実を知ることになるのでしょうが、その日が、出来るだけ早い事を願うばかりです。

円安が進んでいますね

2022年03月15日 21時40分59秒 | 経済
今日、円レートを見たら118円台になっていてビックしりしました。

去年の桜の咲くころは107円台だったといった記憶ですが、1年たって10円の円安です。昨秋から円安傾向が出て、またこのところ何やら不安定な感じで円安が進んでいる感じです。

事の起こりは、アメリカの中央銀行に当たるFRBが、金利の引き上げを言い出してからのことと思われます。
それに加えて、この所のインフレ昂進に対応の金融引き締めでしょう。

FRBが15,16両日の会合で多分0.25%の引き上げで0.5%にするであろうという予測が118円に繋がっているのでしょうが、日本としてはどう考えたらいいのでしょうか。

アメリカは物価の上がりやすい国のようですし、日本は物価の上がりにくい国の代表のような存在です。

原油や穀物、各種資源などの国際価格の高騰で、アメリカの消費者物価が7~8%ほども上がっている状況では、もともと金利正常化の基本方針を持っているアメリカですから、インフレ対策としての金融引き締め、金利引き上げに動くのは当然でしょう。

アメリカは海外インフレを賃金引上げなどを通じて国内インフレに転嫁しやすい国ですが、日本はと言うと、海外インフレを国内インフレに転嫁するのが容易でない国のようです。

日本は春闘で賃金が決まりますが、アメリカはその時の労働需給によって、物価が上がれば賃金も上がるといった傾向が強く、このままでは賃金も物価も上がる可能性が高く、当然インフレ対策が必要になります。

一方日本は、前回の日銀の政策決定会合でも、黒田総裁は、異次元金融緩和政策は当面続けるという事で、「現状では円安の利点の方が大きい」という趣旨の発言でした。
そして政府は、ガソリンの価格が上がれば補助金を出して上昇を抑えることに熱心で、企業は輸入品の値上がりを価格転嫁を抑えて、合理化や利益減で吸収する努力をします。

国際金融理論でいえば、円安になれば物価が上がるですが、日本の場合は円安になってもインフレはひどくならず、国際比較すると、相対的な物価水準はどんどん低くなる傾向があるようです。

今年の春闘も、政府は補助金で物価を抑えながら、賃金はなるべく高めに引き上げなさいと旗を振っているのですが、労使は賃上げに慎重です。
多分春闘の結果もそれほど大幅な賃金上昇にはならず、物価上昇もアメリカの様にはとてもならないでしょう。

多分こういう状況が続きますと、将来、世界の人的・物的交流が活発に戻った時になって、日本はどんな立場になるか、日本の政策担当者は頭の片隅のどこかに入れておいた方がいいように思います。

多分その時日本の国際競争力は、インフレを起こさなかった結果強化され、日本の物価は安く、インバウンドは改めて大盛況になり、海外から、特にアメリカから、日本は少しやり過ぎではないかといった意見を聞くことになりそうです。

この儘いきますと、状況はプラザ合意の前に似てくる可能性があることに早めに気づく必要があります。
為替レートとゴルフのハンディ」も書きましたが、為替レートは低すぎても高すぎても、都合が悪いのです。舵取りは結構多様で微妙です。
プラザ合意の失敗を繰り返さないためにも、普段から不断の注意が必要なのではないでしょうか。

人類社会と独裁者の存在:SDGsの視点から

2022年03月14日 16時39分08秒 | 国際政治
今、地球人類は1人の独裁者に振り回されています。
過日「独裁者の傾向ある人を見分ける方法」書きました。しかし、油断すると独裁者は生まれてくるようです。

王朝制が続いている場合は独裁政治は王朝の継続とともに続くこともありますが、民主主義国家では独裁者は個人ですから本人の寿命以上には続かない様です。

ですから、その独裁者が君臨する期間は国の命運が痛ましいことになりますが、独裁者が死亡すれば、後継者がその経験から学び、良い国造りをして、再び国は発展するという事になるよう、国民は考え努力しなければならないのでしょう。

ところで、今、地球人類にとって大事な問題になっているSDGs(持続可能な開発目標)の立場から見ますと、独裁者の存在は、その国という単位で、SDGsの阻害要因になるのが一般的で、例えば、中国の文化大革命、カンボディアのポルポト政権などは、それぞれぞれの国の発展を大幅に遅らせたことは明らかですし、今回のミャンマーの軍事政権でも、ミャンマーの発展は大幅に遅れるでしょう。

歴史に鑑みれば、独裁政治は一般的に、あるいは必然的に結果としてはSDGsに反したものになっていると言えそうですが、それが一国のレベルにとどまらず、地球的な問題になる可能性が大きいのが今日の人類社会の深刻な問題なのではないでしょうか。

それは、すでに皆様お気づきのように、「核兵器」の存在と深く関わる問題です。

すでに今現在、ロシアに君臨する独裁者プーチンは、ロシアが核超大国であることを世界に喧伝し世界人類を人質にとって、自らの意思を押し通ろうとしています。

常人であれば、冗談で言うのも憚られるようなことを、真面目に、世界人類を脅そうとして発言するという異常な人間が核超大国の独裁者として君臨しているというのが現実なのです。

この発言は今は脅しなのかもしれません。しかし今後のロシア対地球人類社会というウクライナ侵攻に発する問題の展開如何によっては、これが単なる脅しではなく、恐るべき現実になる可能性を完全に否定することは誰にも出来ないでしょう。

SDGsの視点から言えば、これまでの多くの独裁政権による統治、そこから発する内戦や社会の混乱は、国内問題として、その国の持続的な発展を阻害し、その国の国民の、家族の生活の持続的発展を破壊するものという事だったのでしょう。

しかし、ロシアの、というよりプーチンの今回の行動は、現実に国際間の戦争に発展し、その抑止のために世界の経済社会の持続的発展に深刻な混乱をきたすという地球的な問題に拡大し、さらに、もし「核」の問題に発展すれば、世界人類社会トータルの持続的発展に、場合によっては「終止符を打つ」ような超危険な事態を将来しないとも限らないものになりつつあるのではないでしょうか。

「核」の時代の核大国が独裁国になるという事は独裁国という事は独裁者の思考過程に異常が発生した場合には、地球人類社会のSDGsといった目標、それを掲げる人類社会を、まさに烏有に帰す可能性を持つものになっているのです。

科学技術の開発は、独裁者の権能を、ここまで大きくする可能性を開いたのです。
あらゆる科学技術の可能性は、人類社会がそれをコントロールできる範囲を超えているのではないかといったことが、今回、はしなくも見えてしまったのではないでしょうか。

果たして、人類社会はその修復に間に合うのでしょうか、それとも間に合わないのでしょうか。