tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

「時間がない」、プーチンは焦っているのでは?

2022年02月27日 14時18分11秒 | 国際政治
プーチンさんは69歳、今年70歳になるのです。
古稀という言葉がロシアにあるかどうかしりませんが(多分無いでしょう),ロシアの平均寿命はかなり短く、2020年の数字ですが、女性は78.2歳、男性は特に短く68.2歳という事のようです。

プーチンさんは2000年に大統領になって、途中再選制限の規定のために大統領をメドベージェフさんに譲って総理大臣になりましたが、それは一期4年間で2012年には改めて大統領に当選という事で大統領就任、その後ルールを変えて2036年まで大統領をやれることになっているようです。

2036年にはプーチンさんは84歳になる計算ですが、平均寿命の短いのが気になったのでしょうか、統計上の予測を随分先取りして2024年に。ロシアの平均寿命を78歳(男女平均?)にするという目標(?)を大統領令で決めていたようです。

それでも、更に平均寿命から平均余命を算出するとしても2036年という大統領の就任可能な年とはかなり差があるようで、やはり(多分)念願として考えているロシアの旧ソ連圏への拡大の達成には時間が足りない、時間が惜しいという事なのでしょうか。

先ずクリミヤそして今回はウクライナ全土を目指すという事を21世紀には誰も「ない」と思っていた「戦争」という形で始めてしまったのです。

プーチンさん自身が大統領であるロシアの国民の多くが見ても、21世紀の今にあるまじき戦車と飛行機それにミサイルで地上戦を展開するといった常識外の暴挙に出てしまったというのは、やはり「時間がない」という「焦り」なのでしょうか。

日本にお住まいるロシアの方がたも「戦争はダメ」と言っていますし、世界中のいろいろなところに居るロシアの人達も同じようにデモや集会で訴えています。

プーチンさんの生まれ故郷の旧レニングラードの方がたも、モスクワその他どこの都市でも「戦争は要らない」とデモをしているのが今のロシアです。

これもプーチンさんの焦りの結果でしょう、ウクライナの軍部に「クーデターをやれ」と言ってみてもそう巧くは行かないでしょうし、ミャンマーでクーデターをやって政権を握ったフラインさんをロシアに呼んでみても、事態が進展することはないでしょう。

ウクライナでの進撃は、ボクシングでいえば顔面ストレートかもしれませんが、自由世界からの各種の制裁はボディブローでこれから効いてくるのでしょう。ルーブルの価値は下落の一途のようです。

中國を頼れば、結局中国に頭の上がらないロシアになるという結果が待っているでしょうし、焦ってやることは、なかなか巧くはいかない事が多いようです。

世界にとって「起きなければよかった」という事になっていまいました。世界も(日本も)種々不自由、不具合なことは出てくるでしょう、しかし、地球市民のほとんどは、世界人類が絶滅危惧種にならないために、知恵と努力でこの困った問題に対処する意思を固めているのではないでしょうか。

起きてしまったことは事実なので、後はいかに破壊と犠牲が少なく、出来るだけ早期に終わることを願うばかりです。

ロシア国内の戦争反対の声を大事に

2022年02月26日 13時12分05秒 | 国際関係
プーチンがウクライナ侵攻を始めたとき、最初に気になったのは、ロシア国内の状況はどうなのか、はっきり言えば、ロシア国内に、この時代錯誤の戦争を仕掛けてプーチン政権に対して「戦争などと言う手段を使うのは大きな間違いだ」「この時代に戦争を仕掛けるなどは国として誤った選択だ」といったプーチン批判はないのだろうか」といった事でした。

つまり、今回のウクライナ侵攻はプーチンの個人的な意思で起きたもので、多くの国民はそんなことは望んでいないのではないか、それなのになんで?
という気がしたのです。

勿論、今や主要独裁国家の典型のようなプーチンのロシアですから、プーチンを崇拝する人たち、プーチンの言う通りに動く軍隊・警察があってのことでしょうが、一方にはノーベル賞の反政府ジャーナリストも、民主主義でなければという元大統領のゴルバチョフさんも居て、国民全体がプーチン独裁を認めているわけではないはずだと思っていました。

そうした中でやっぱりと納得したのが、ロシアの数十の主要都市で戦争反対のデモが起きたというニュースでした。
プーチンの出身地というサンクトペテルブルクの大通りを埋め尽くしたデモの写真は当然と思いながらも驚きでした。

プーチン政権は、神経を逆なでされたのでしょう。各都市で合計1800人以上を逮捕、拘束したとのことですが、問題は今後でしょう。

ロシアも形は民主主義で反対党もあるわけですが、プーチンは反対党党首については毒殺を試みて失敗、投獄して立候補させないといった事がマスコミ報道されていました。

プーチンに反対することは恐ろしい事でしょうが、それでも、逮捕者が出ても、デモが起きるという事は、今やロシアの中にプーチン独裁反対の機運が高まりっつつあるという事の証明でしょう。

ロシアのアカデミアの中では、ロシアの孤立はロシアの研究開発活動の劣化を齎すと危機感を表明する声が多いとのことです。

バイデン大統領は、今や世界の3分の2がロシアの行動に反対しているといっていますが、おそらく国の数でいえば90%以上になるのではない愛でしょうか。
こうした国際世論を「根拠のある情報」として出せるのは国連でしょう。

ロシアも形は民主主義国です。国際輿論の現実を示されればそれに反対することは多分にやりにくい事になるでしょう。

更に重要なことは、プーチンの足元、ロシアの世論が、プーチンの選択した「戦争」という手段に否定的であることが最も重要な決め手になるのでしょう。

今起きていることは、第三次世界大戦の入り口ではないかという見方さえあります。そしてそれは民主主義と独裁(専制)主義の戦いとなるのでしょう。

21世紀の地球市民が、そんな愚かな選択をして仕舞わないためにも、地球市民の多数の声が、人類社会の進む方向を決定するような、全地球的な民主主義の視点を持って、今の混乱状態についての合理的、適切な判断をするようにすることが、まさに地球市民に求められているのではないでしょか。

その意味でも、戦争をおこした当事国であるロシアの市民の声は極めて大切な意味を持つのではないでしょうか。
ロシア国民の「戦争は要らない」という声を大事にしたいと思います。

「ホンダジェット」翼を伸ばす

2022年02月25日 11時33分19秒 | 科学技術
このブログでは2015年の4月に「ホンダジェット羽田に飛来」を書いています。そのホンダジェットがその後も順調に翼を伸ばし、先日小型ジェットの部門で5年連続納入機数が世界トップを続け世界17か国で200機以上が運航中とのことです。

ホンダジェットを作っているのは「ホンダ エアクラフト カンパニー」でホンダの全額出資の子会社ですが所在地は米国ノースカロライナ州グリーンズボロ市にあるアメリカの会社という事のようです。

ネットで検索すれば、大変可愛らしくスマートなホンダジェットの姿が沢山出てきますが、翼の上にエンジンがついているという独特な形、無駄を省いて豪華さはないが、性能は航空機の諸元で見れば抜群といった、まさに日本的な小型ビジネスジェットという感じです。

昨年はその活躍ぶりから米国航空宇宙学界から、ホンダ エアクラフト カンパニーの藤野社長に「リード航空賞」授与という名誉もあったようですが、現地でもアメリカの会社として存在価値を高めているようです。

航空機産業では、中国ロシアは別として自由世界では、アメリカのボーイングとヨーロッパのエアバスが旅客機(大型)の部門では双璧で、日本も旅客機部門への参入を目指し、かつてはYS11,そして最近ではMRJ,改称してスペースジェットという優れた中型機を生み出しましたが、諸種の事情から、三菱重工は中断(開発中止?)という事になっているようです。

そうした中で、自家用機部門だすが、ホンダジェットが、完成機のメーカーとして日本の技術で気を吐いているという事は、まさに頼もしい存在という事ではないでしょうか。

ホンダジェットは、乗客乗員計7名という、小回りの利く小型ジェットですが、ホンダ エアクラフト カンパニーは、やや大型版のコンセプト機「2600」を昨年発表しています。

これは11人乗りで、航続距離を伸ばしアメリカ大陸を無着陸で横断でき、燃費は類似サイズのものより20%から40%の改善を目指すものだという事で、ホンダ伝統の省エネエンジン開発が生きた高性能ビジネスジェットのようです。

世界の航空機業界の中で部品では気を吐く日本ですが、完成機については経産省の方針はあっても、思うに任せない日本です。

かつては航空機の開発大国の日本でしたが、戦後はまさに鳴かず「飛ばず」です。ホンダが、アメリカに進出、こうして気を吐いていることは、将来への可能性を広げる重要な前進ではないかと思うところです。
ホンダジェットの 益々の活躍を期待するところです。

春闘は順調な出足、個人消費回復は?

2022年02月24日 14時09分15秒 | 経済

2022春闘も、そろそろ個別企業の交渉の時期を迎えていますが、順調な滑り出しのニュースも流れて来ています。

春闘の所謂パターンセッターは時代と共に変わりますが、今は何といっても自動車産業でしょう。

自動車産業も、この所の世界的な混乱の中で、国内ではコロナ禍、海外関係では原油の高騰だけではなく、国際的なサプライチェーンでの問題から部品供給も思うに任せず、更には、米中貿易戦争などいろいろなトラブルの影響を直接間接に受けながら、円安という助けもあって、多様な努力の末の増益基調といった状況のようです。

日本の自動車産業のリーダー、トヨタでは、既に、労使の話し合いが始まり豊田章男社長から「賃金・賞与について会社と組合の間に認識の相違はない」と、驚くような前向きの発言が聞かれたことが、組合側からのニュースで入ってきています。

勿論自動車産業の中でも事情はいろいろでしょうし、日本の産業全体を見れば、コロナ禍もオミクロン株の予想外の猖獗で、終息の目鼻はまだまだつかず、深刻な打撃を受けているところもありますから、結果を予想するのは早すぎるでしょう。

しかし、多くの人の希望的観測から言えば、連合のいわば控えめな要求に対し、政府の賃上げ奨励、加えて経団連の賃上げ肯定の意思表示もあり、結果は高めと予想されるのではないでしょうか。

このブログもそんな感覚を共有しながら、その先の、高めの賃上げの個人消費への反映、それによるGDPの増加(経済成長率の上昇)、日本経済の停滞状況からの脱出といった夢を描いたりしています。

その中で当面する最初の問題は、賃金が上がっても可処分所得(手取り賃金)が増えるかといった問題です。
当面増税はないようですが、社会保険料負担はどうでしょうか。年金生活者の場合は、制度改正で、手取りに影響が出そうですが、勤労者所帯の場合はどうでしょうか。

その次の最も重要な問題は、勤労者所帯が、増えた手取りをどこまで使うかという問題です。
これには2段階あるでしょう。第一段階は、コロナ禍の終息です、コロナ感染の危険があるうちは、誰もが行動の制限をしています。皆んなコロナがOKになったら、大いに羽を伸ばそうと考えています。

次の第2段階は、コロナの心配がもう大丈夫となった時に、つまり、日常生活が正常に戻った時に、どこまでそれぞれの個人・所帯が消費を伸ばすかです。

これは、統計上で見れば、将来不安・老後不安からずっと低下傾向だった、勤労者の消費性向、ひいては日本の全所帯の平均消費性向が、何時、日本経済が健全だった頃の水準まで戻るかという事です。

これは、恐らく容易なことではないでしょう。
出生率を始めいろいろな難問がある中で、例えば、日本経済が順調に成長を続け、賃金も年々上がる状態が実現する事、貯蓄をしておけば、適切な利息が付いて、かつてのように年金は「確定給付」が当たり前、といったことも必須です。

これだけ取って見ても日本の政府・日銀に、何時になったらそれが出来るだろうかなどと考えてしまいます。
しかし、出来ないと、日本は救われないので、何卒よろしくお願いしたいと思います。

ロシアの暴挙、世界の輿論を国連に結集せよ

2022年02月23日 16時44分28秒 | 国際関係
ロシアという国の在り方が著しく時代遅れであることが世界に知れ渡ることになりました。

今回のウクライナ侵略などはかつての植民地時代か、さらにさかのぼれば中世の領土獲得が国力の誇示の最高の手段だった時代と変わらないメンタリティーを持ち続けながら、国連という組織が確立している今日に存在しているというアナクロニズムの典型のような国だという事が世界に明らかになったのです。

先日、「情報化時代と戦争の開始」という、今日の情報化社会を前提にした現状分析の様なものを書きましたが。時代認識が全く違う国を相手にしては、現代の感覚は必ずしも分析の手段にならないという事を実感した次第です。

最近の(プーチンの)ロシアの様な、時代感覚、版図拡大が、本気で国力の増強や誇示につながると考えているような国に対しては、世界が、国連という組織のもとに衆知を集めて、そうした国の再教育をし、今はもうそういう時代ではないのですよという事を理解させなくてはならないのではないでしょうか。

既に国連はその役割を果たすべく、今日の世界では、こう考えるべきなのですよという事を的確に闡明しています。

グレーテス国連事務総長の発言は
「同意なしに他の国に軍が入るとき、それは平和維持部隊ではない」
と明言して、ロシアに自制を求めています。

国連は、世界人類社会においてそのガバナンスを発揮して、人類社会に平和と安定と発展を齎すために作られた組織で、ロシアもその組織の中で、最も重要な中枢機能を果たす「常任理事会」を形成する5か国の1つという地位も名誉ある国なのです。

世の中では、時に、こういったトンデモナイことが起きることがないわけではありませんが、今回のケースは最悪の例の一つかもしれません。

いま世界には200余の国があるそうですが、ほとんどの国は国連加盟国でしょう、その世界の国々が一致して、国連を支持し、国連憲章に則った行動をすることの大切さをロシアに教えることが、この際大変大事ではないでしょうか。

戦後から一貫して国連中心主義を掲げている日本政府などは、そうした運動のために、どこよりも積極的に国連を支持し、国連憲章の意義を加盟国とともに世界に訴え世界の輿論を糾合する活動を始めるのが良いのではないかなどと感じるところです。

余計なことを付け加えれば、領土の広さに関係なく、いくらでも経済発展は出来るのですよという事を、教えられる国の一つでもあるのですから。

日銀の金融政策は何処へ行く

2022年02月22日 16時38分18秒 | 経済
去る2月14日、日銀は「指値オペ」をやりました。
10年物の国債を利回り0.25%の価格で無制限に買い入れるというのが内容です。しかし応札は全くなく空振りに終わりました。

その時は「日銀が少し安く買おうとしたんだな。マーケットの方はもっと高かったので、誰も日銀に売らなかっただけのことか」と思っていましたが、どうもそれだけではないようなので、一寸気を付けて見てみました。

世界経済がインフレ傾向を見せる中で、急激なインフレの進むアメリカが利上げ方針を打ち出し、それを受けて、主要国で金利が上昇傾向を見せる中で、日本でも「指値オペ」の直前10年物国債の利回りが0.23%まで上がったとのことで、ゼロ金利を目指す日銀は上限の0.25%以上には上げさせないという強い意思表示をしたという事のようです。

考えてみれば、黒田総裁の基本方針というのは、何はともあれ円安維持という事のようです。先日の政策決定会合でも、黒田総裁は記者に、異次元緩和継続と説明し、最近の円安傾向については、日本にとっては円安のメリットの方が大きいと説明されたようです。 

最近は、円安になると輸入物価が上がって、消費者物価も上がるという事で、賃金が上がらない中でこれは「悪い円安」その結果の「悪いインフレ」だなどという変な経済用語が使われますが、その辺を意識しての発言でしょう。

考えて見ますと、日銀は歴史的に「物価の番人」を自認し、出来るだけインフレを避け、物価安定を維持するために、円の価値を大事にしてきたように思います。

高度成長期は貯蓄増強中央委員会を主導し、国民の貯蓄による資本蓄積の基本を堅持し、高度成長を支える国民の貯蓄を奨励、生産性向上と物価の安定を目指し、固定相場制の中で、円の価値の向上策を推進していたと思います。

1970年代に入り、変動相場制の時代以なると、円の価値の上昇、変動相場制の中では円高という事になりますが、円高こそが物価安定を維持する重要な要素という事でしょうか、円高は、日本経済にとって好ましい物という基本的な姿勢を持っていたように思います。

その延長線上で、プラザ合意による過度な(日本経済の実力を上回る)円高に際しても、これは円の価値、日本経済の価値の高まりを示すもので好ましい物という立場を崩さなかったように思います。

しかし、リーマンショック後、1ドル=75円といった円高になり、当時の白川総裁が円高のデメリットの容易でない事に気づき、円安模索の姿勢を見せた直後、総裁の交替で黒田総裁が誕生、それまでの日銀の基本方針である円高容認を180度転換、異次元金融緩和による円安追求路線に入ったという経緯が読み取れるところです。
黒田総裁は、その後一貫して円安追求路線を取り続け今に至っているという事ではないでしょうか。

戦後一貫してインフレの番人、円の価値の維持向上に邁進してきた日銀が2013年を境に、円安追求に変わった、いわば歴史的転換は、日本をめぐる通貨環境の変化の結果でしょう。

1970~1980年代にかけての欧米主要先進国のインフレとスタグフレーションによる通貨価値の下落の中で一人インフレを抑え、競争力を高めた日本は、プラザ合意でその努力を無にされたばかりか過度な円高で経済の繁栄も成長さえも失いました。

そして今また円安政策を進め、ある程度(2%)のインフレ目標を掲げつつも、現実は、インフレを招かず競争力を強めています。(実施地実効為替レート50年ぶりの低さ)

欧米主要国はこれをどう見ているのでしょうか。資源価格などの値上がりで、インフレ化する国が多い中で、物価安定を維持する日本に、何時か、第2のプラザ合意が待っているのかどうか・・・。
変動相場制の中での物価問題を日銀、そして政府はどう考えているのでしょうか。

全個体電池の開発競争を勝ち抜け

2022年02月21日 16時19分09秒 | 科学技術
長期不況の末期2012年に「蓄電技術で世界制覇を」を書きました。この長い深刻な不況脱出のために、起死回生の技術にもなりそうな蓄電技術について応援するために書いておこうと思ったからです。

その後、日本の関連企業は本当に頑張ったようです。
そして時代は変わり、自動車のエンジンがモーターに代わるEVの幕開けの時代に入って来ました。蓄電技術の高度化は、まさに決定的に重要になって来ました。

今世界に名をはせているイーロン・マスク氏率いるテスラの車は、当初からパナソニックの蓄電池で走っていたことは知られています。

そして今蓄電池は、電解液という液体を使う電池から「全個体電池」の時代に入ってこようとしています。

先ず本命は,リチュウムイオン電池の全個体化のようですが、すでに電池産業だけでなく自動車産業をはじめ、多くのスタートアップも含めて熾烈な開発競争が展開されています。

欧米は勿論、アジアでは、韓国も総力を挙げているようで、また玉石混交のようですが、原材料分野も含め、中国も本気で力を入れているようです。

世界はどんな状態なのかとネットで見ましたら、全個体電池関連の特許の出願件数のランキング(「全個体電池特許ランキング」で検索)がありました。

トップは韓国のサムスンでした、2位がパナソニックIP、3位がLG、4位がトヨタ、5位ボッシュ、6位から日立、ソニー、NEC、日産自動車、東芝 でベストテンという事です(2000~2018年計)。
中国は入っていません。事情は解りませんが、ニュースでは中国も航続距離の長いEVを出していることが報道されています。

全個体電池は、火災を起こしにくい点が最も優れていることは勿論、出力が大きくなり形状はコンパクトなど種々の利点を生かすべく、先ずはリチウムイオン電池の全固体化という事のようですが、欠点としては、リチウムやコバルトといったレアメアタルを使うという点だそうです。

レアメタルはその名の通り希少資源で、産地も限られているという事ですし、精錬工程が中国に集中しているようで、種々問題なしとしないようで、トヨタはナトリウムイオン電池の開発にも注力しているようです。

偶々今日の日経産業新聞が報じていたのは、日本電気硝子がレアメタル不使用のナトリウムイオン電池を開発、実用化を急いでいるという情報です。

ナトリウムイオン電池の電極に長年培ったガラスとその技術を使用することから、高価なレアメタルを 使わずに全個体電池の開発に成功して実用化を急いでいるという事で、こうした従来の事業で培った高い技術を新分野に活用して、会社の中身が蛻変して進化発展を遂げるというのは日本企業の特色(多くの繊維企業の変身、このブログでも取り上げた富士フイルムの例など枚挙に暇がない)ではないでしょうか。

電池の性能向上は今後ますます必要になる電気エネルギーの貯蔵問題の中でも最も身近なものですから、その中で全個体電池という安全で高出力の電池の開発競争はますます熾烈化するでしょう。

改めて、日本企業の頑張りに期待するとともに、これまで手を抜いてきた日本の技術開発政策を韓国、中国に負けないものにする努力を岸田政権に強く要望するところです。

情報化時代と戦争の開始

2022年02月19日 18時06分15秒 | 国際政治
ミサイルと核弾頭で戦争を仕掛ける様な事は、破壊が大きすぎると解っているので人類はしないと思っていますが、やっぱり戦争をしたい国(人間)が今でもいるようです、

今日現在も、世界はウクライナを挟んでの欧米とロシアの緊張状態を大変心配しながら注目しているというのが現実です。

しかし、通常兵器での戦争という事になりますと、陸上なら戦車、海上なら軍艦を集結させ、兵力を動員して戦う準備をしなければなりません。

第二次世界大戦のころはまだ、隠密行動、奇襲攻撃が可能だったのでしょうが、今は無数の人工衛星が常時地球を回り、地上の動静が1人ひとりの人間の動きも解るような解像度で見守っている世の中です。

ロシアとウクライナの国境に集結するロシアの兵力の様子は実際には丸見えなのでしょう。撤退するといって、実際に撤退しているのか、いないのか、逆に増強しているのかも、衛星はまさにライブで伝えているのでしょう。

バイデン大統領はそうした情報を刻々受け取りながら、「ロシアの侵攻はいつ始まってもおかしくない、今日かもしれない」といった情報を発信し、それは瞬時に世界中を駆け巡って、世界何十億の人々が、情勢の緊迫度を理解するのです。

既に、2014年、ウクライナのクリミヤ半島を力ずくで占領し、ロシアの領土と言い張っているロシアのプーチン大統領は、さらなウクライナの部分的占領を狙っていると見られているわけですが、もし本心からそれを狙っているとしても、こういう情報化時代の中では戦争を始めるタイミングをどう計るか、大変難しいのではないでしょうか。 

プーチン大統領自身も、ラブロフ外相との会談の模様をビデオで流し、ラブロフ外相の外交交渉の余地ありという提言を承認していることを世界に見せつけていますし、ドイツのショルツ首相の「戦争をしたいのか」という単刀直入の質問に対し「戦争を望んではいない」と述べたことも世界に報道されています。

しかし、戦争をしないと明言しえいるのではありませんから、世界の多くの人は疑心暗鬼で行く先を気遣っているのでしょう。

そういう中で、バイデン大統領の「今週の可能性も十分ありうる」などという発言が聞こえますと、例えその気でいても、「ハイ、その通りです」と言ってウクライナ侵攻を始めるというのはどうもまずいと感じるのではないでしょうか。相手の準備の情況も考えますから。

矢張り戦争を始めるというのは、何かきっかけがあって、偶発的に始まってしまったといった事にしたいという心理は働くのではないでしょうか。

そういう意味で、ウクライナの東部の州で、停戦協定がウクライナ側から破られたというニュースを流しましたが、これは即座に否定されるニュースが流れ、大事には至っていません。

こうして見てきますと、映像、ニュースの発信・受信が、世界中に即座に伝わり、世界中の人々がそれによって、それぞれに判断できる今の情報化社会というのは、使い方によっては紛争勃発の抑止に役立ち得る有効な手段になるのではないかといった気がします。

ウクライナ問題は、こうした情報発信戦略がどこまで紛争開始抑止の力を持ちうるかを考える第一歩になるのではないでしょうか。

国民負担率と政府の信用

2022年02月18日 22時16分22秒 | 政治
政府が今年度の国民負担率が48%になる(実績見込み)と発表しました。

国民負担率というのは、国民所得の中の何パーセントを、税金と社会保険料という形で、国民が政府に納めているかという数字です。

サラリーマンにしてみれば、給与の明細表の中で、所得税、地方税、諸種の社会保険料として一体何%が天引きで取られているかという数字です。

48%といえばほぼ半分ですから、給料もらっても手取りは少ないなという現実と重なるものでしょう。
半分という所は藩幕時代の「五公五民」と同じだなという感じを持つ方もおられるかもしれません。

ところで、ご承知のように、国民負担率という事になりますと、北欧諸国は70%前後と高い事が有名で、ヨーロッパ諸国が50~60%、アメリカが一番低くて30%ほど、日本はヨーロッパとアメリカの間で35~40%前後というのが従来の常識でした。

その日本が50%近くになったという事は、日本がヨーロッパや北欧のような、社会保障の進んだ国になって来たのかという事になるわけですが、高齢化で社会保障負担が高くなっているという意味で、それもそうかなと言えないわけでもない面もありますが、どうも少し違う様でもあります。

というのは日本の場合、積極的に社会保障を充実させて、福祉国家に近づくといった政策での結果国民負担率が上がった、と言うよりは、世界一の高齢化のスピードのせいで、否応なしに社会保障負担が大きくなったという面が大きく、社会保障の中身は、年金に見ますように、次第に削られていくといった状況です。

更に言いますと日本の場合は、税金や社会保障負担という形で国民が拠出するのではなく、政府が国民からカネを借りて財政を賄っているという面が大変大きく、そのために国債残高が異常に大きくなっているという現実があります。

国民は、税金を払うのは嫌だが、カネを貸すなら(利息が安くても)まあいいや、いずれ返してもらうのだから、税金で取られてしまったら無駄遣いされたらアウト、という感覚なのでしょうか。

政府の方は、税金で取ったら国民が使い道にうるさいだろう、借りると言えば手軽に貸してくれるから余程自由に使えるという感覚でしょうか。

そんなこんなで、国債残高は世界が驚く巨大さ(GDPの2倍)になっているのです。
財政学には、当然、国債発行額も結局は国民のカネを政府が使っているのだから(いずれ返済のためには増税しなければならないのだから)実質的には国民負担率の中に入れるべきだという事で、『潜在的国民負担率』という言葉があり、これは通常の国民負担率に国債発行額の分を加えたものです。

政府(財務省)もそれは解っていて、今回も2021年度の48%に、国債発行分を加えた潜在国民負担率も発表していて、それは61%でまさにヨーロッパの国民負担率の水準に到達しています。

コロナのせいもあるのでしょうが、そろそろ北欧並みに届くかもしれないなどと驚く水準です。
北欧諸国の国民負担率が高いのは、国民が「それだけ負担しても、政府は国民の必要なことは確りやってくれるから」と政府を信用しているからと言われています。

日本の場合は、政府に納めてしまったら、何に使われるかわからない。貸すのなら返してもらえるから、と政府をあまり信用していないからでしょうか、それとも、国債は安全だと政府を信用しているからでしょうか。

警報の発令と解除の常識

2022年02月17日 17時11分15秒 | 政治

太平洋戦争の末期、サイレンが鳴ると、それはアメリカの重爆撃機、当時「空の要塞」と言われたB29が近づいてきているという知らせでした。

 私の住んでいた甲府市は、東京を爆撃に行くB29が、富士山を目当てに北上して来て、富士山を迂回し90度右旋回(東向きに)して東京方面という通り道だったようで、警戒警報のサイレンは毎度のことでした。
東京へ向かってしまうと警戒警報解除のサイレンが鳴ります。それでホッとするわけです。

晴れた日の昼間はやがてジュラルミンの機体が光る編隊が見えてくるのですが、夜は何も見えません。警戒警報が鳴ると身構え、解除になると一安心の繰り返しでしたが、1945年6月6日の晩は警戒警報と空襲警報が立続けに鳴って、すでに爆弾・焼夷弾は落ち始め、全市火の海、B29が去っても、すべて焼失、サイレンも焼失したのでしょう、解除のサイレンはありませんでした。

余計なことを書いて申し訳ありません。書きたかったのは警報とその解除のタイミングの事です。

これは大雨警報でも、津波警報でも同じでしょうが、素人には状態が解らないので、気象庁が教えてくれるという国民へのサービスです。
危険を早めに察知できる専門機関が前もって注意を喚起してくれ、危険がなくなったと解ればもう大丈夫と解除の知らせをくれるのです。

自然現象についての事は素人には解らないのが普通ですし、たとえ心配のし過ぎでも、早めに最悪の事態も考慮して知らせるべきだという対自然災害の鉄則を確りと守るよう努力しているという態度であることが理解できます。

解除の時は往々「遅すぎるよ」というぐらい、慎重に情報を出すようです。予測し切れないケースもあり得るからでしょう。

という警報発令と解除の常識からすると、コロナに関する「緊急事態前言や蔓延防止措置」の発出(発令に相当?)と終了(解除宣言というケースも)とは、相手が自然現象であることは共通ですが、大分違うようです。

発出だから発令とは違うのだといえばそれまでですが、誰が考えても、もうどうにもならないという段階が来て漸く「明日、専門家会議に諮って発出」ということになっているようです。

では解除の方はと言いますと、解除という言葉は通常使われず、その代りに、発出はいつも期限付きなのです。期限が来れば自動的に切れる(解除)という事なのです。

という事になりますと、期限の決め方は大変難しいはずですが、拝見しますと大変簡単に、腰だめで暦の切りのいい日で決めているようです。

これを最初に始めたのは安倍政権の第一次緊急事態宣言で、確か発出は1920年4月7日で、期限は1か月連休明けとなっていましたが、結局5月31日までに延長ということになりました。

この例はずっと踏襲されていて、岸田政権でも今の蔓延防止措置は2月20日になっています。岸田政権になったら、「状況が許すことが明らかになったら解除」というぐらいの合理的な形になるのかと思いましたが、違いました。
  
事は人間とコロナのせめぎ合いで、コロナの動きについては予測などできる筈はないのですが、どういう訳か期限を決めます。そして期限には何の根拠もないのです。

加えまして、状況によって、早く解除することもあるし、ダメなら延長をするということになっているのです。今回も2月20は延長という事になるケースがほとんどでしょう。

つまり期限は決めていないのと同じなのです。それなのに必ずいい加減な期限を決めて、国民に何を知らせようというのでしょうか。
お解りの方がいらっしゃっいましたら、是非教えていただきたいと思っています。(後半の本論は笑話です)


ウクライナ情勢が緊迫しています

2022年02月15日 15時59分19秒 | 国際政治
〇曜日にロシアがウクライナに侵攻してもおかしくないなどという、我々にはウソかホントか全く解らない情報がマスコミに登場したりして、不安感が煽られるばかりです。

プーチン大統領も、そんな状況を気にしたのか、ラブロフ外相との話し合いの映像を公開して、ラブロフ外相が「欧米との対話継続は可能」と外交路線継続を進言する様子などを世界に明らかにしています。
またプーチン大統領自身ドイツのショルツ首相の「戦争をしたいのか」という質問に対し「戦争を望んではいない」と答えているそうで、すぐに戦争をする気はないようです。

いま、NHKニュースで報道していましたが、ロシアは、国境線に配備した戦車などの撤収を始めたという事です。

その通り受け取れば大変結構なことですが、それなら何で、世界中が戦争を懸念するようなことをしたかが問題で、それは、何とかしてウクライナを自分の配下に置きたいという願望があるからだという事はクリミヤ半島併合の時から世界中に解っていることです。

ウクライナはもともとソ連の領分だったのですが、ソ連解体で独立国家となったのは皆様ご承知の通りですが、だからと言って、今から力づくで自分ものにしようというのは、世界中どこへ行っても通用しない考え方でしょう。

それが、プーチン大統領の頭の中では、ウクライナをあらためてロシアの配下に置くことがいいのだという形で存在していて、独裁者がそういう考えを持っていると国がそれに従って動くというのが独裁国の困ったところです。

恐らくウクライナが豊かな国ですから、それを併合すれば得になるという理解なのでしょうが、それですとウクライナが損をする事になるので、ウクライナは反対というでしょう。

ウクライナが順調に発展し、ロシアも発展して友好国として経済交流をした方が、ずっと成果が大きいという「少し長い目」の展望がなく、今あるものを分捕ればその分得だというのは、あまりにも構想が小さい近視眼という事になるのでしょう。

その点日本は、アジアを傘下に収めればいいかと思って戦争をしたのですが、それが大失敗で、4つの島の狭い日本になってからの方がずっと経済発展して、発展したアジアの国々と友好関係を結んで、密接なビジネス関係で、相互に裨益して来ていますから、何が大事かはよく解っています。

ところで、外交余いうのは、昔から騙し合いなどと言われまあすから、今回のロシアの行動も、相手を油断させるためだなどという見方も当然あるでしょう。

しかし、国連の常任理事国の大国同士が絡むような戦争が起きれば、本気でやればばどこまで地球を破壊するか解らないと思われます。

破壊の大きさと得るものの小ささを比べてみた上で、民主主義で独立する国はそれぞれ独立国として共存発展し、ロシアも資源大国として民主主義の国になって発展していけば、NATOも要らなくなって、みんな経済発展と地球環境問題に専心出来て、この話はハッピー・エンドになるでしょう。

ちょっとした発想の転換で、地球はいくらでも良くなるようです。
中国の問題も基本的には同じでしょう。

2021年10-12月、GDPは回復基調

2022年02月15日 15時59分19秒 | 経済

今日、内閣府から標記の統計が発表されました。
マスコミの見出しは2期ぶり年率5.4%成長ですがこれは対前期比の年率換算で、前7-9月期はデルタ株の最盛期、第5波のピークで経済活動が落ち込んだ反動の面もあります。

実際の感覚から言えば、GDPは、対前年同期比で0.7%増という数字の方が実感に合っているような感じです。
0.7%というのは高くありませんが、前年(一昨年)の10-12月期は政府がGoToなどのキャンペーンをして関連業界は少しは盛況で、経済もいくらかよかったのです。それと比較してですから、余り伸び率は高くなくても仕方ありません。(しかし、その後は、コロナの拡大で昨年1月には緊急事態宣言に入るという状態でしたね)

ということで、一昨年に比べて昨年の10-12月は0.7%伸びというのは、まあ結構な情tくぁいという所が本音でしょう

昨年1年の4半期別の対前年同期の経済成長率を見ますと
1-3月   -2.1%
4-6月   7.3%
7-9月   1.2%
10-12月   0.7%
という事で、春が一時的になぜか快調で、あとはコロナ慣れ、巣籠り需要などで、何とかプラス成長に持ってきているといった所ではないでしょうか。

先に昨年12月の家計調査を見ましたが、GDPの細田尾のシェアを占める家計消費は対前年同期比で夏以降はコロナの第5波の影響を受けマイナス続きで12月になってやっとプラス転換という状態でした。

勤労者世帯で見ますと12月も実収入の5%増に対し、消費支出は3%増と小さく消費意欲の停滞県は変わりませんが、年率3%のプラスに転じたという事はデルタ株による第5波が秋以降急速に縮小した事の影響もあるように思われます。
 
コロナは相変わらずで、今度はオミクロンの猖獗ですが、オミクロンについては、デルタまでと違って、われわれ自身の近辺に感染者が出ても、これまでのように大変だと心配しない情況ではないでしょうか。

ワクチン接種の効果もあるでしょうし、オミクロン自体が、感染しても重篤化の心配
をあまりしていない人が多いといった、コロナについての意識変化があるようです。

諸外国でも規制を緩める国が多くなり、日本でも入国条件の緩和も含めて、規制を緩めてもいいのではないかといった意見もでつつ あるようです。

この所の経済は、コロナ次第という状況が実態でしたが,コロナが直撃する個人消費に注目しますと、今回発表のGDP統計で見る限り実質で対前年同期比1.9%増(GDPは0.7%増ですが)になっています。

こうした動きを見ますと、新年以降、少し雰囲気が変わってくるよな気もします。
さて今年はどんな展開になるでしょうか。

政労使が一堂に会するといいですね

2022年02月14日 21時59分50秒 | 労働問題

昨日のNHKの日曜討論には、政府と労使の代表が揃って出席し、かなり忌憚のない意見交換がされたので驚きつつそれなりに楽しく視聴しました。

今の経団連会長の十倉さんという方は、拝見する所かなりリベラルな考え方の持ち主のようで、このことは、このブログの1月10日の「2022春闘を占う:新しい動きが出るか?」でも触れましたが日曜討論でもその通りでした。

いわば日本の経済界、経営者の重鎮という立場で出て来られた経団連会長が、大変ざっくばらんな態度で発言されたことが、昨日の労使間の問題も含めた春闘論議を大変和やかにしていました。

最初は緊張していた連合の初の女性会長である芳野会長も時に笑顔で発言するなど、深刻になる春闘問題を、和やかな協力関係もあり得るようなものしていました。

労使の間を調整する政府代表の山際経済再生相も、随分リラックスできたようでした。

アメリかのように、労使は敵対的でなければならないなどという考え方のない日本の労使関係ですから、1980年代まで春闘華やかなりしころも、労使は対立点は主張しつつも、協力できることは積極的に協力するという極めて理性的、合理的な態度で、優れた産業社会を創るパートナーとしての相互信頼関係を築いてきていましたが、そんな昔を髣髴させる所もほの見えたような感じでした。

基本的には、十倉経団連会長が、賃金引き上げはすべきものという点を明確にしたこと、それに、大企業と中小下請け企業の関係を力関係でなく合理的なビジネス関係にすべきだといいう点を明確に発言したことが極めて重要で、連合にしても、勿論政府にしても、それならまともな議論ができると感じたことが良かったのでしょう。

連合の芳野会長の主張する「定期昇給相当分とベースアップをふくめて4%」をベースにする賃上げ要求は、最近の輸入インフレ含みの経済情勢の中では極めてモデストなもので、連合のバランス感覚を示していました。
山際再生相のいう3%程度はベースアップ分のつもりでしょうから、政府の賃上げへの多少の焦りが感じられるところですが、介入という印象はありませんでした。

山際再生相の、労使のおやりになることですから、政府はそれがやり易くなるような条件整備をするという視点は、それこそ真面なものと感じるところです。

関連して山際再生省は中小企業が輸入原材料の価格上昇を納入価格に適正に上乗せできるようにして、中小企業の賃上げを可能にするという発言は、経団連の視点とも共通するものですが、望むらくは、政府がそう言う場合には、理論的根拠をしっかり説明して、価格転嫁が適正に行われることは商取引上必要な事といった明確な根拠とあるべき論を、政府の立場として明言することが環境づくりとしては重要だったのではないかと思っているところです。

敢えて改めて書かせて頂きますが、海外で資源価格などが高騰して、日本でも輸入インフレが起きる場合には、それは日本と外国との関係で起きることで、日本国内では対処のしようがないものだという事を政府が明確に指摘し、それは日本全体で「適切」に負担することが大事であり、「適切な負担」というのは、輸入物資の値上がり分をそのまま顧客(納入先、販売先)に価格転嫁し、最終消費者がそれを支払うようにする以外に適切な方法はないという説明を政府が全国の企業、消費者に徹底することが必要でしょう。

話がそれましたが、昨日の日曜討論から感じたのは、政労使の三者が、和やかにそして、率直にモノを言い合えるといった状態を作っていくことが、当面する経済社会問題解決への近道ではないかという思いでした。

中国的パラドックスは成立するのか

2022年02月12日 22時04分18秒 | 文化社会
皆さんご存知のように、中国は「社会主義市場経済」の国という事になっています。

鄧小平の改革開放路線以前は、経済も政治も共産主義体制でしたが、その中で経済の部分は市場経済にしようという事になって、中国経済は大発展し、アメリカを追い越す世界一の経済大国になるのではないかと言われるようになりました。

しかし、一つの国が経済は自由経済(市場経済)で政治は共産主義という自由と平等のパラドックスでうまく成立するのでしょうかという疑問は依然残っています。

共産主義国というのは、もともと自由経済だと資本家が労働者を搾取して不平等な社会になるので、社会「正」義を求める人々が社会主義の旗の下に集まり、平等な社会を目指して革命を起こしたりして、資本家のいない人民だけの皆が平等な国(社会)を作ろうと頑張って作った国でしょう。

生産手段は資本家ではなく人民が共有しみんなで出資、みんなで生産、みんなで分配
が素晴らしいと言って始めてみましたが、なかなか上手く行きません。
そして結局は、共産党という党がルールを決めて人民を指導し、上手く行くようにと考えたのです。

しかし、そこは人間のやることです、理想通りにはいかず、共産党組織が生産手段を含めて全ての権限を握る独裁組織になって共産党幹部が特権階級として君臨することになってしまったというのが歴史の示すところです。

こうなると人民は、共産党組織のために働き、貧しくても平等な生活を保障されるだけになってしまい、働く意欲もなくなり、国としては経済発展も思うに任せなくなるのは当然でしょう。

鄧小平さんはそこに気が付いたのでしょう。土地(中国で地上権)をはじめ生産手段の私有を認め、私的な資産蓄積も認めるという自由経済の原則を共産主義の中に持ち込んだのです。
それ以来の中国の経済発展はご承知の通りです。まさに自由経済の効果は大きいですね。

経済発展は進み、巨大な資産家も生まれ共産主義の理想にした平等は失われました。いま中国は巨大な格差社会でしょう。

ところで、格差拡大を許容して、政治は共産主義というのは共産主義の自己矛盾、パラドックスに他なりません。はっきり言ってしまえば、資本主義自由経済を独裁的な為政者の意向に従ってコントロールするという事になってしまうのではないでしょうか。

それを可能にするのが共産党一党独裁という制度でしょうが、それでは、共産党という名前は形だけで、中身は、単に独裁システムで自由主義経済を適宜コントロールするということに他ならないでしょう。

戦前の日本は、資本主義自由経済でしたが、軍部の独裁システムで、軍部の都合のいいようにそれを動かしていたのでしょうし、現在のロシアの場合には、民主主義自由経済を、かつてのKGBのノーハウを生かしたプーチン政権の独裁システムでコントロールしているという事でしょう。

そして中国は、経済活動の市場経済化で中身の空(カラ)になった共産主義の残った殻(一党独裁という政治システム)で、大きく成長した市場経済を都合よくコントロールする独裁システムという事になるのでしょう。

こう見てきますと、経済システムは自由主義市場経済が良い事は明らかで、どの国でもそれで決まりですが、政治システムは独裁主義が良いという国が、時々、所々にあるという事でしょう。
それが、かつての日本の軍部にも、プーチン政権にも習近平体制にも、共通の考え方であり、国の状況という事になります。

結局は、経済は自由主義市場経済が良いとうのは共通なのですが、政治体制が独裁政権(バイデンさんは専制主義と言っています)か、民主主義政権かという違いになって、「やっぱり本質は民主主義か独裁主義かという違いだけだったのか」という事になるようです。

どちらが良いかは疾うに解っているはずなのですが、問題は、独裁者にはそれが解っていないという事でしょう。

アメリカの心配より日本は?

2022年02月11日 17時50分11秒 | 経済
アメリカの事ばかり書いて来ましたが、我々にとっての問題はやっぱり日本ですから、日本の事も付け加えておきたいと思います。

コロナの中でのオリンピックでみんな大変ですが、もっと大変になるかもしれないという問題が動いています。
ロシアの、プーチンさんの動きです。

アメリカは、ロシアがいつウクライナ侵攻に動いてもおかしくないと世界中に警戒を呼び掛け、世界の世論の中でプーチンさんが動きにくいようにと情報戦を仕掛けています。

ロシアは、北朝鮮にミサイルを供給して、北は喜んで花火のように打ち上げ、極東に緊張状態を起こしておいて、本命のNATOとの境界問題に全力を集中できるようにしているように見えます。

独裁国家というのはリーダーの意思でどうにでも動きますから、本当に危険で、困ったものです。

日本としては、出来るかどうかは別にして、問題が有事に発展しないように、あらゆる神経を使うしかないのでしょう。
もし戦争になれば、経済の予想や政策はまず中断という事で、みんなガラガラポンです。

従って、ここで論じることも、全て戦争は起きないという前提です。
アメリカは親切な顔をしていますが、かつても書きましたように、「レーガン・中曽根」の関係が「ロン・ヤス」などと親密という中で、日本に円高を認めさせ、日本を長期不況に陥れています。

余程注意しないと日本にとってとんだ結果になるようなことをシレッとしてやります。
日本のもっと利口になって、日本にとっても良く、アメリカにとっても良いという事ならやりましょうと先回りをして考えておかないといけないようです。

そんな意味で考えますと、日本が今のように将来不安に囚われたの国である状態から早く脱却し、国民は、将来はもっと良くなると自信を持ち、生活にも仕事にももっと積極的になり、子や孫の世代は楽しみだ、と考えるように社会の雰囲気を変えていくことが日米双方にとって良いように思われます。

そのために賃上げをというのは全く成功していません。政府は景気を良くするのは政府の政策だという考えを捨てて、「国民の皆さん、2000兆円になった皆さんの貯蓄を使って景気を良くしてください」「そのためにしてほしい事があったら、政府はその通りやりますから」ぐらいの政策転換をしないと駄目でしょう。

日本人は、やる気になれば、かなりの事をやって来ていますから、政府は自分の考えでなく、国民の考えを実現するためのルール作りの役割に徹するのがいいようです。

例えば、国民の要望には「以前のような格差の少ない社会にしてほしい」という意見は強いでしょう。
政府はすぐに税制や社会保障制度を組み替え、予算額を増やすのではなく予算の配分を国民の意向に沿える様に変えるのです。多分景気拡大効果は大きいでしょう。 

景気が良くなれば経済成長率は高まり、税収も増え、政府も助かるはずです。
そして、そうなれば、国民も企業も将来を心配して貯金や内部留保ばかりするのではなく、積極的な生活、積極的な経営をやる気になるでしょう。

そうすれば、その結果は、日本を、稼いだ分を使わずに貯め込む国でなく、稼いだら使う国に変えることになるでしょう。当然日本の黒字は減ります。

アメリカは、日本が黒字を出すからアメリカの赤字が増えるという文句は言えなくなるでしょう。多分、回り回ってアメリカの赤字も減るでしょう。

日本人は、本気になれば、このぐらいの事は十分できるだけの頭脳も、行動力も持っていると思っています。
これまでの政策が上手く行かなかったのは、政府が国民の力の引き出し方を知らなかったからだという気がしてなりません。