tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

GDP統計に騙されるな

2023年07月18日 12時05分08秒 | 政治経済
景気回復のせいか、それとも物価上昇のせいか、税収が増えているようです。

赤字財政続きで、財政再建の可能性がどんどん遠退いて絶望的になるような状況の中で、先ず防衛費を大幅に増やし、さらにその上に財源の見通しのないままに異次元の少子化対策を打ち出すと公約している岸田政権です。

理由は何であれ、税収が増えることは大変ありがたい事でしょう。
先ず税収増の半分は防衛費に、とかいろいろ算段を始めているようですが、国民は誰も巨大な防衛費の積み上げなど希望していないのに、何故そうなってしまうのでしょうか。

国民の希望としてはまず「異次元」という掛け声の少子化対策に使ってほしいし、高齢者は、介護などエッセンシャルワーカーの待遇改善を高齢者の拠出で賄うなどという「たこ足」政策の解消にというところでしょう。

それなのに先ず「防衛費」というのは、一体誰の希望なのでしょうか。防衛予算を増やして一番喜ぶのはアメリカだそうですから、アメリカに言われてか、アメリカの御意向を忖度してか、そのいずれにしても、国民よりアメリカという事だと考えてしまいます。

カジノもトランプさんから言われて、3か所作ろうということなったという情報はアメリカから漏れて来たとのことでしたが、カジノに賛成する国民は限られています。

ところで防衛費ですが、以前のGDP統計では戦闘機や戦艦や戦車の購入代金は「消費」に計上されていたのですが、今は「投資」に計上されるようです。

投資というのは、経済学では「労働生産性向上」に役立つものという意味を持っているはずで、ですから「労働生産性」は「資本装備率」に比例する、などと言われます。

F16戦闘機やイージス艦を装備すれば、日本の労働生産性が上がって賃金引き上げの原資が増えるのでしょうか。
戦争がなくて使わずに置いておくだけでは膨大な維持費がかかるだけで、労働生産性にはマイナスでしょう。

では、使えばいいのかと言いますと、使うのは戦争をすることですから、生産性が上がって人件費の原資が出来るかどうかは、今のウクライナの現実を見れば、巨大な経済的マイナス、加えて人命の毀損を生むだけだという事は明らかです。

防衛装備品を投資に計上するというのは、経済学の定義から逸脱した誤りでしょう。
今後防衛予算の巨大な積み上げが行われれば、それは内閣府が発表するGDP統計のかさ上げになるでしょう、数字の上では「日本経済が成長した」ように見えるかもしれません。

しかしそれが日本経済の成長の原動力になる「投資」であるとは、誰がどう考えても合理的な説明は出来ないものでしょう。

そしてそれを本当に活用する日が来たら、日本国土の一部か全土に、人命の損傷も加えて、壊滅的な影響を齎すことは必定でしょう。

これからの国民経済計算には騙されないようにしましょう。

すれ違う政治と経済、日本は何処へ行くのか

2023年05月24日 22時06分04秒 | 政治経済
この所日本経済は何となく回復に向かうと見ている人が多くなってきているようです。

勿論、日本人の多くが、そんな感覚を持ち始めているようで、企業活動も活発な動きを見せるところが多くなってきていますし、消費者も(コロナ鎮静化もあり)日常生活の活発化を志向している様子も見えています。

海外も日本経済について、これからは少し変わるのではないかと見ているようです。日本株買いもその表れかもしれませんが、ハイテク企業の対日投資や、不動産買いもあるようです。勿論、観光客の増加はこの先も一層活発化が予想されています。

かつて世界第2の経済大国に成長した日本経済が、プラザ合意による円高以来30年に及ぶ低迷期を過ごしてきましたが、海外も、このまま衰退していくとは見ていないという事もあるのでしょうか。

折しも輸入物価の高騰、内需の活発化などが日本を貿易赤字国に変え、その結果の円安という新しい環境が、プラザ合意やリーマンショックによる円高と逆な国際経済環境を作り出してくれたことも大きいでしょう。

国内的にはまだまだ問題の多い日本経済ですが、大学発ベンチャーの盛況や、企業の国内回帰なども含めて、日本経済も少し変わりそうという感じはこれからも強くなるのではないでしょうか。

こうした(思わざる?)環境変化による日本経済再活性化の動きを、日本の政治が上手く活用していければ大変結構ですが、どうもその点が些か心配になるところです。

というのは、最近の日本の政治情勢を見ますと、国民が日本の政治そのものを、何か見限っている 節があるように見られるからです。

典型的な状況はこんなところに出ているのではないでしょうか。
国民の大多数が、選挙をすれば自民党が勝つと思っています。例えば、野党はオレがオレがで乱立し、どう考えても政権など取れそうにないという意見に代表されます。

選挙で、変わった事をいう人がいると、面白がってその人に投票し(ガーシーさん)、結果は周知のとおりという、真面目に選挙をしているのかと問いたくなるような「民主主義」の使い方をしていたり、投票率は次第に下がって来ていたりが現状です。

国民が政治に本気で期待しなくなって来ている様では、民主主義は成立しません。日本の民主主義はかなり深刻な病気のようです。
国民が政治に本気で期待していないというのは、矢張り国民が悪いというより、政府
が十分に責任を果たしていないという事でしょうか。

ロン・ヤスの日米関係の中でプラザ合意を飲まされたり、リーマンショックで経済破滅の淵に立たされたり、近くはアメリカとの集団的自衛権をOKし、中國との対立を激化させたリ、アメリカ依存は本当に日本国民の意思で、国民のためでしょうか。

プラザ合意がその30年の日本経済低迷のきっかけになりましたが、集団的自衛権は、これからの日本に何を齎すのでしょうか。

政治と経済の関係がちぐはぐでなく、整合的に組み合わせられるようになることを国民は望んでいるのではないでしょうか。

「好事、魔多し」 いま、経済が良くなりそうな気配の中で,日本国民は十分に注意して今後を考える必要があるように思います。

経済復活のチャンスを逃がす日本

2023年05月16日 13時53分23秒 | 政治経済
東証平均が連日の高値です。玄人筋から素人まで、「もうは未だなり」、先ずは日経平均が3万円を超えるまで、などと考えているのではないでしょうか。

GPIFを始めそういう方々には大いに儲けて、日本経済の活性化の貢献してくれればと思ったりして、当方は横目で眺めています。

東証が盛況なのはウォーレン・バフェットさんが「日本株に投資する」といったからだけ
ではないでしょう。

・アメリカの金利高が予測される、日本の貿易収支が赤字続きになり、経常収支も黒字が大幅減といったところから$1=130円台の円安が続きそう。

・コロナが終息の様相で、長らく停滞していた個人消費が、インフレの中でも伸びているのに加えて、インバウンドが改めて増加が確実な情勢で、日本中の街に賑わいが戻って来ている。

・インバウンドが広告塔の役割をしてくれているのか、日本食が世界遺産に指定されたからか、世界で日本食ブームが起き、日本の農畜産物、調味料、飲料などが世界で大人気。

・地球環境問題、それに絡むエネルギー革命が進展、関連の技術革新が広範囲な技術革新の波を起こし、電機自動車、燃料電池車、水素自動車といった多様な自動車が競い合う状況が続きそう。

・それに関連して蓄電池や水素、アンモニアによる電力貯蔵技術の多様化、その貯蔵や運搬技術の高度化要請。

・更に進んで、CO2の資源化、CO2からメタンを作るメタネーション、CO2からプラスチックや蛋白質を作る水素菌の活用技術。
などなど、世界中が新技術の開発に鎬を削る様相は、ますます熾烈になっています。

こうした技術開発には、膨大なおカネと人的資源(ヒトの力と頭脳)が必要になりますが、それを助ける多様なロボット進歩、更に加えて生成AIという新しい技術開発分野が、脚光を浴びています。

こうしたものの中には、日本がかなり先行しているものもあり、日本人の行動様式や思考方法が適しているものもあるようです。

これだけ並べてみても、30年来の経済低迷の果てに、経済も社会も、世界の中で大幅に後れを取った日本が、起死回生のキッカケをつかむチャンスが、選り取り見取りで並んでいるように見えます。 

今こそ日本経済再活性化のために、総力を挙げて得意分野を中心に持てる生産資源(資本と人間)の積極大量投入が必要という時期が来ているという認識は、官民挙げて持っていると思っていました。

ところが残念ながら、現政権は、持てる余裕資本のほとんどを、税外収入や国有財産売却なども含めて、洗いざらい外国から防衛装備品の購入などに使うとのことです。

長らく問題になっている少子化対策などについては、カラになった財布を振りかざし「誰かこの中にお金を入れてくださいませんか」というばかりです。

この絶好のチャンスに気がついていないのでしょうか、気が付いているのなら、トップ会談もあるようですし、今からでも遅くないですから、「やっぱり日本はこちらの道を選ばないと国民が納得しないので」という説明を必要な相手に確りやって欲しいと思っています。

ドイツ、原発全ての廃止を決定

2023年04月17日 15時58分17秒 | 政治経済
ドイツは思い切りましたね。
世論調査では原発全廃には反対という意見の方が多いというのに、メルケルさんの方針の原発全廃を今の時点で実行しようと政府が判断したのです。
このドイツの勇断に対する、評価が、世界でも、また日本においても、あまり大きなものでない事に、何となく違和感を持ちます。

EUの電力ネットを持つドイツと日本は、いろいろ違うでしょう。ウクライナ問題で、ロシアのLNG供給が大事か、戦争と原発といった問題の判断をどうするか、などなど多様な要素を全て考えに入れながら、最終的判断に至ったのでしょう。

そして、結局、核分裂を利用した発電は、核廃棄物の際限のない拡大を齎し、人類社会の将来に禍根を残すという「核分裂利用は人類の誤り」という基本命題に忠実な結論に到達したのです。
この判断が「正」か「誤」かを決めるのはこれからの歴史でしょう。

些か話が逸れ、性質は全く違う問題ですが、この判断は、戦後、日本が「戦争放棄」を宣言したのと似ているような気がしてなりません。

そんなことを決めても通るはずはない「誰かにお世話になるだけ」と言われても、人類社会の将来を考えれば、「国際問題の戦争による解決は人類の誤り」という基本命題に忠実な判断を選んだことと共通点を感じるのです。

日本も今、「不戦」を守りきるかという問題で、ギリギリの状況に直面していますが、ドイツも、これから、原発無しで国民生活を安定させ、ドイツ経済社会の着実な発展のためのエネルギーを如何に確保するかという困難に直面するでしょう。

日本の問題は、ここでは論じませんが、ドイツはすでに再生可能エネルギーで40%以上を賄うところまで達しており、ロシアとの問題はあるにしても、多様な形でのLNGの確保、それに、いざという時には、豊富な石炭資源の活用は可能です。

恐らく、石炭にしても、従来の単純に石炭を燃やすのではなく、石炭のガス化、更にはCO2のメタネーションによるメタンガスの生成技術などの開発に総力を挙げるのではないでしょうか。

フォルクスワーゲンが完全EV化からエンジン技術を残す方針に転換、EUがハイブリッド車を認めたことも、日本ではトヨタ有利と報道されましたが、今後のメタネーション技術の進展を考慮したのではないかと思われます。

ドイツの原発全停止についてのマスコミの論調や種々の意見や書き込みの中にも、太陽光発電、風力、火力などの問題点を指摘し、原発全廃に批判的なものも見られます。
然し、メタネーションなどCO2の資源化の可能性についてはほとんど触れていません。

こうした新技術の今後や、火山国日本では地熱発電など、あらゆる努力を傾注しても、核分裂を利用して際限なく増え続ける核廃棄物の処理に行き詰まることを出来るだけ早期に終わらせることは、人類社会にとってにとって大変重要なことでしょう。

その問題意識から見れば、原発全廃に踏み切ったドイツの英断を、世界がもう少し評価し、、日本も日本なりの努力を嵩ね,核のゴミはこれ以上増えないという安心感を、世界の齎すことの重要性をより大切に考えたいと思う所です。

国民の力による経済回復を考える

2022年01月25日 17時40分36秒 | 政治経済

国会が始まりました予算委員会の質疑が毎日、予算をどう編成しどう使えば日本経済が良くなるか議論をしているのでしょう。

このブログでも、前々回「日本の経済回復を本音で考えよう」、前回「消費より貯蓄の心理学」という事で、国会の空中戦と違って、国民の意識と力で日本経済を成長経済に持っていく方法を検討しています。

というのは、今の岸田政権は財政再建も考えているようですが、自民党の中にも、もちろん野党の中でも、政府が赤字財政など気にせず国債をどんどん発行し景気テコ入れをする事こそ景気振興策という意見が強いのです。

政府がカネを使うと言っても、それは国民が貯蓄している2000兆円近い貯蓄(前回参照)を当てにしてわけで、国民が無駄遣いしないで貯蓄しているお金を政府が借りていろいろ無駄遣いしているという事になっているようです。

政府が国民の貯蓄をみんな借りてしまったら、後は外国から借金するしかないのですが、外国からの借金は利息も高いし、もし利払いや返済が滞ったら、たちどころに円も日本国債も暴落、MMTなんて嘘理論という事になるのでしょう。

ここで問題にするべきは、現状では政府が借りようとしている国民の貯蓄を「国が借りて使うのがいいのか」、それとも、「国民が自分で取り崩して使った方がいいのか」という問題です。

まず、政府が使うのと、国民が使うのとどちらが経済効果が大きいかの問題です。
これは政府が予算を何に使うかによります。現実は国債残高が増えるばかりで、経済は殆ど成長していません。結局、役に立つ使い方をしていないという事でしょう。

それならこの辺りで選手交代で、国民が自分でカネを使う、つまり国民の力で個人消費を増やしてみるのはどうでしょうか。

政府は当てにならない、ならばコロナ後を目指して、今から専門の学界も経済界も、企業労使も、一般国民も、本気で、国民の力でやる経済回復策のブレーンストーミングをやったらどうでしょうか。

今のコロナ、オミクロン株の猖獗の状況の中では具体策の試行や実行は無理でも、コロナの終息とともに現実の問題になるのですから、今からその準備です。

今やるべきことは、コロナ対策に最大限の投資を行う事でしょう。ワクチン、治療薬の国産化、これにはかなりのカネがかかるでしょう、しかしそれは今こそやるべき事です。経済回復への「条件整備」ですから。

このブログでは随分以前から「10万円消費拡大運動」とか、カネでなく「頭を使った経済政策」とか、「国民のやるケインズ政策」とか、消費拡大策の提言をしてきています。

大事なことは、前回も指摘しましたが、日本人の心理状態を、かつての日本のように「将来は明るい」に変えていく事が必須と考えられますし、それには国民が納得してやる気になり、実行し、そしてその成果を実感することが必要でしょう。

国民が意識を変えることが最も大事ですが、そのためには、もちろん政府の役割もあります。
政府の役割は、国民がそうした意識改革や行動をやる気になるようなルール作りや環境整備を地道に適切にやることです。

政府は自分がプレーヤーでなく、国民こそがプレーヤーだという事をしっかり理解することが、今は一番大事なことのようです。

今年も有難うございました、来年も何卒宜しく

2021年12月31日 11時12分12秒 | 政治経済

今年も tnlabo's blog に多くの方にお立ち寄り頂きました。有難うございました。来年もまたお立ち寄り頂ければ幸甚です。

結局、持越しとなってしまった重要問題が多いですが、まず第一は新型コロナで、オミクロン変異株がどんな展開になるかでしょう。
感染力は強いが、症状は比較的軽いという見方が多くなってきたようですが、これは、ウィルスのことだけに予測がつきません。
勝負は対抗する医薬品の開発という事になるのでしょう。日本の研究機関、関連業界にも期待したところです。

意味合いは全く変わりますが、2つ目は岸田政権への期待です。安倍、菅政権下で日本はいろいろな面で劣化しました。
日本社会が、真面目で、嘘偽りのない、誠意に満ち、潔い社会を取り戻すためには、岸田政権が、安倍・菅ラインと決別しなければならないでしょう。より多くの国民の社会正義への誤りない志向がそれを支えることが必要のようです。

3つ目は、世界における専制主義化、独裁政治への動きの抑止がどこまで力を持てるかでしょう。
習近平の歳と共に強まる独善と独裁志向、それに刺激を受けたのか、しゃにむに独裁制と領土拡大を進めようとするプーチン。この2人の大国のリーダーの暴走の懸念は大です。それを止めるのはそれぞれの国の国民か、国連の努力か、世界人類の意思か、世界を巻き込む騒乱の発生をいかに防止するか、人類社会の大きな課題でしょう。

その他こうした大きな問題の派生現象は、残念ながら、内外ともに沢山あります。
2022年も、このブログは、何とかこうした問題を追いかけ、みな様とともに喜んだリ、ゴマメの歯ぎしりをしたり、嘆いたりしながら、出来るだけ真面目に、辛抱強く、続けていきたいと思っています。

来年もまた、時々お立ち寄りくださいますよう、宜しくお願い申し上げます。

日本人の貯蓄行動と国会の議論

2021年12月28日 10時56分58秒 | 政治経済
オミクロン変異株による新規感染者増加、いわゆる第6波が心配されていますが、確かにこの所、東京の感染者などもじりじり増えてくるような気配が感じられます。

今日のテーマは、その感染拡大の懸念もそうですが、そうした問題に対する政府の政策と財政問題、更には日本経済の今後の全般にかかわる問題です。

岸田総理は、財政の健全化という意識の持つ重要性を理解しておられるようですが、国民の生活を預かる国会の、今までの議論では、問題が起こると安易におカネをばらまくことで対応するといった意識が、与野党ともに強いような気がしています。

これまでも随分バラマキに対する賛否が論じられてきていますが、こうした問題は矢張りしっかりしたデータを集め、過去のデータを参考にして賢く、正確に判断することが必要なようです。
そうしないと、折角効果的な政策を打ったつもりが、全く見当違いで、財政出動が無駄になってしまうからです。

下に2つのグラフを出しました。1つはこのブログで過去に掲載したもので、2020年の国民1人10万円という給付金のかなりの部分が貯蓄に回っていることを示唆するグラフです。
もう一つは、2020年のGDP統計がまとまりその中にある2020年度に家計の貯蓄が著増しているというグラフです。(内閣府も給付金の効果も、と説明したようです)

  2020年の可処分所得と消費支出   

 総務省「家計調査」:2人以上勤労者所帯)

  アベノミクス期の貯蓄率の推移

       (内閣府:国民経済計算)

上のグラフは家計調査の2人以上勤労者所帯のもので、下のグラフは内閣府が推計している自営業を含む家計全体の貯蓄率を示しています。

勤労者の場合と、自営業を含む全家計の場合ではベースが違いますから貯蓄率の水準は違います。しかしそれぞれ2020年(GDPレベル)と、2020 年の給付金支給時期が突出しています。
 
ここから見えてくることは、国民が困っているから給付金という思考は、単なる思い込みで、多くの国民は使わないで貯金しているという現実ではないでしょうか。
本当に困っている人は少数で、均等にばらまくと、財政負担は大きいが、効果は小さいことが見えてくるようです。

このブログでは、今の日本の家計が消費を増やさないのはカネがないからではなくて、お金があっても、あるいは、お金のある人ほど使わない行動が問題で問題で、政治家は(国会は)、なぜ「お金があっても使わないのか」を考えないと、国の将来のために大切な視点や判断がきちんと出来ていないということになるのではないでしょうか。

次の通常国会では、政治家としての議論のレベルを1段も2段も上げてほしいと思う所です。 






社会・経済の関係でいろいろな事が起きています

2021年10月11日 22時39分20秒 | 政治経済
①コロナの新規感染者が異常なほど急速に減少しています・
ついこの間、東京では1日5000人などという日が続いたのですが、今日は49人とか。確かにワクチンはかなり普及してきたことはあるでしょうが、第6波も心配さる中で、ここまで減ることは専門家の方々でも予想外といった声が聞かれます。

このところ、人流は急速に回復しています。その影響がいつ出るかと心配する人も多いようですが、この状態が本当に続くのでしょうか。それにしても、この驚くほどの感染者減少の本当の理由はいつ頃解るのでしょうか。

②円安が急速に進んでいます。
アメリカの利上げが現実になるということでドルが買われ、金融の異次元緩和の政策は当面変えるつもりはないという日本の円が安くなるというのは理論通りですが、ドル高はアメリカにとっては、それなりの不都合があるのでしょうから、アメリカは何か手を打って来るのでしょうか。イエレン財務長官の胸の内は・・・。

円安になれば株が上がって結構という意見は当然あるでしょうが、アメリカの出方次第でどうなるか 不安ですし、株が上がっても格差社会が深刻化するだけだという意見もあります。

③法人税の最低15%はコンセンサスになりつつあるようですが。日本の新政権は当面これには触れないとのことです。
日本の法人税率はアベノミクスでちびちび下げて23.2%という半端な数字(基本税率)になっています。

タックスヘイブンへの誘惑はいつの世にも存在しますが、日本は真面目に35%などという高い法人税率にしてきていました。人気取り政策で下げてみても、下げた時は有り難くても、それで経済が回っていくうちにそれなりのバランスになり、またもっと下げて欲しいということになるのだから、多少水準は高くてもそれを織り込んだバランスにしていく方が健全との意見でしょうか。

④最近ガソリンが高いですが、鉄鋼などの原材料をはじめ、食生活に関わる小麦や大豆の値上がりで、加工食品などの一斉値上げがあります。
消費者物価指数が上がるほどの影響が出るのかどうか、これからの動きを見ないと解りませんが、今までほとんど上がらなかった消費者物価が上がってくると、賃金をどうするのか、ゼロ金利でいいのかといった問題が起きそうです。政府や日銀それに連合はどうするのでしょうか、何か怪しげな経済状態に要注意でしょう。


来年にかけての(勝手な)ロードマップ

2021年06月05日 22時53分36秒 | 政治経済
来年にかけての(勝手な)ロードマップ
 今年ももう6月に入りました。
 もうすぐ今年も前半終了、東京五輪をはじめ、あらゆるごたごたを抱えながら、ワクチン、ワクチンと言っているうちに夏、秋、冬、年越し、そして来年になるのでしょう。

 ここへ来て、菅政権とコロナ禍の相性の悪さも、次第に調整されてきているようで、ワクチン接種も1日50万回ほどになり、3か月で5000万回、6ヶ月で1億回以上になれば、対コロナも先が見えてくるのではないでしょうか。

 五輪での混乱はあるでしょうが、今から卓袱台返しはなさそうですし、国も都もアスリート中心の最小限の方向を模索しているようで、アスリートも、観客はいなくても世界中がテレビで見ているとは解っていて、観客代表も、発言する相手もテレビカメラという状況にも慣れてくるようですし、それなりに納まるところに納まるのでしょう。

 政権も、コロナ対策はワクチンだという事がやっと解り、日本を世界のワクチン開発の拠点に、などと言い出し、それに倣ったのか、日本をもう一度半導体先進国にしようと経産省が言い出したり,選挙対策のスローガンも見えてくるようですが、モリ・カケ・サクラよりは、この方がましでしょう。

 何はともあれ、今の社会経済の活動の落ち込みは、コロナウィルスのせいなのですからその征圧が見えてくれば、低迷していた社会経済活動も、様変わりに元気を取り戻すだろうと見るのは至って自然のように思われます。

 五輪のごたごたが多少のブレーキになる可能性や、選挙の結果がどうなるかという事もそれなりの影響はあるでしょうが、なんといっても、一番大きいのは、コロナによってもたらされた社会経済活動の抑制から解き放たれることが見えてくる段階で、世界もそうでしょうし、日本も世の雰囲気が中が変わってくるのではないでしょうか。黙っていても民間(国民)は頑張ります。

 呑み会がOKになるだけで、GDPも1%くらい伸びるかもしれませんし、まず国内旅行、そして海外旅行もご自由にとなるなるなど、社会経済活動が正常化するプロセスは、そのまま順調な経済成長のプロセズという事になるでしょう。 

 という事で来年にかけてのロードマップは経済活動の復元とともに、多分大幅な経済成長が記録されるということになるのでしょう。何はともあれ大変結構なことです。

 そんな単純な経済の動きを予想しながら、国内のワクチン接種状況、国際的なコロナ禍の鎮静化を望んでいるのですが、いわばここまでは誰にでも予想できるロードマップでしょう。

 問題は、その後の、回復から成長への移行が順調にいくかどうかという問題で、これには政府も民間も含めて本格的なロードマップの作成が必要になるのでしょう。
 それは総選挙後の問題で、良い案を作れる人たちが選ばれる必要があるようです。

力技では世界を動かせないのでは・・・

2019年11月08日 23時36分20秒 | 政治経済
力技では世界を動かせないのでは・・・
 戦後世界でもダントツだったアメリカは、その経済力も次第に落ち、国際競争力も落ち、経常収支赤字が固定化したところから、ドルの金兌換停止、変動相場制移行、それによるドル安から始めて、追い上げる国への為替レート戦略、次いで金融工学を駆使したマネー戦略、さらにはゼロ金利の導入によるドル安実現、など窓、多様な戦略で赤字解消を狙ったのですが、こうした奇策が却って仇となり、アメリカ経済への信用は低落、赤字解消は遠のく状況は変わっていません。

 信用を失墜したアメリカには資金の流入が難しくなるのは当然でしょう。こうなると後は力技でしょうか。
 当面のライバルはGDPでアメリカを追い越そうと頑張る中国です。手段のなくなったアメリカは、これまでの「自由貿易がベスト」という主張をかなぐり捨てて、関税戦争を仕掛けることになります。

 しかし、やってみれば中国の生産力を活用してアメリカを始め世界に Made in China の製品を輸出していた企業の中には多くのアメリカ企業があったのです。GMの車もアイフォーンも中国製・・、といったのが現実でした。 アメリカは返り血を浴び、次第に見直しを迫られつつあるようです。

 トランプさんは、もう一方では、力を抜いてコストを下げる政策も考えられてきました。選挙の公約でも「もう世界の警察官はやめる」という趣旨の発言をしています。

 国連機関からの脱退、外国への米軍の派遣や駐留の資金負担の見直し、引き上げです。
 NATOや日本も槍玉にあがり、日本の「思いやり予算」も愈々「重い槍予算」だ、などの駄洒落もあるようです。
 アメリカ軍の引き揚げ問題はより深刻です。混乱している世界のパワー・バランスに与える影響を考えれば、アメリカも簡単には「やーめた」というわけにはいかないでしょう。
 

いずれにしても、覇権国をもって任じてきたアメリカが、その権威は保ちつつ、役割の方は縮小しようといっても、世界は納得しないでしょう。覇権国には、それなりのコストを払うことを世界は期待しているのです。

今日の世界で究極の力技とは何でしょうか。多分それは核戦力でしょう。しかし、もし誰かがそれを使えば、人類は破滅の危機に陥るでしょうから、現実には脅しとしてしか使えないというのが多くの人の理解でしょう。。
 ならば、経済の分野で、力技で世界を動かすことは、かつてのアメリカの方針で、貿易から金融まで自由化を進めてきた今の世界では、多分不可能でしょう。

 トランプさんも、次第に、態度を柔軟にした方が支持を得られると思うようになっているのかもしれません。(いま世界は株高ですが、マネーマーケットはそれを読んでいるのかもしれません。

 ところで2つほど付け加えておくことがあるような気がします。
 1つは、いまアメリカが「 CLO」を売り出していることです。しかし、世界的にアメリカの証券の信用は地に落ちたままです。日本では日銀がすでに警告を発しています。

 もう一つは、アメリカ発の新経済理論「 MMT]です。通貨供給はいくら増やしてもいいのだという詭弁に類する経済理論です。そして、その成功例として、日本が巨大な財政赤字を積み上げながら、インフレにもならず政府の信用も落ちず、経済は安定しているという現状が引き合いに出されています。

 この理論が認知を得れば、アメリカは甘んじて赤字を出し続けられるかもしれませんが、多分行く先にはお思わざる破綻が待っているでしょう。

 何せ、日本は万年黒字の国で、アメリカは万年赤字の国です。国民の思考方法が真逆です。
 この2つが大手を振って世界でまかり通るようなことは多分ないと思いますが、やはり要注意ではないでしょうか。

日本はなぜ経常黒字の国なのでしょう

2019年06月10日 23時56分47秒 | 政治経済
日本はなぜ経常黒字の国なのでしょう
 昨日はG20で経常収支の不均衡の多国間調整の問題が取り上げられたことを書きました。

 麻生議長がどういう意識でこの問題を取り上げたか解りませんが、恒常的に大幅な経常黒字を出している代表的な国はドイツ、日本などでしょう。

経常収支は、貿易収支・サービス収支、それに第一次所得収支(直接投資の利子配当の収支)からなるもので、日本が大幅黒字なのは、主として第一時所得収支の黒字が大きいからで、貿易収支やサービス収支は赤字のことも多いのが現実です。

トランプ流の解釈では、競争力が強すぎる、円レートが安すぎるといったことにいなるのでしょうが、これはきわめて単純な 見かけ上のものです。

もっと本質的な見方をすれば、アメリカのような国は、アメリカの国としての稼ぎであるGNI(国民総所得)より余計に金を使っているから当然赤字になるわけで、浪費型(キリギリス型)経済だから経常赤字(借金の増加)という事になります。

 日本のような場合は、正反対で、勤倹貯蓄型(アリ型)で、一生懸命稼いだGNIを毎年遣い残して貯蓄に回し、将来に備えているから経常黒字(貯蓄の増加)になるわけです。

 アメリカの政府や国民が、ベンジャミン・フランクリンの教えに忠実であれば、経常赤字の国にはならないでしょうし、日本人がもう少し楽天的になって、稼いだ分は、みんな遣おうと考えれば経常黒字は忽ちなくなるでしょう。

 国際競争力の格差とか、関税・非関税障壁の有無が、赤字か黒字かの原因だ、などと単純に考えていては、解決出来るものも解決できないといったことは十分ありうるのです。

 これから、日米間のFTA交渉も本格化するのでしょうが、赤字・黒字の原因が那辺にあるのかをよく考えることも大事ではないかと思いますので、随分以前に書いた問題を、また、改めて取り上げてみました。

消費税増税まで半年を切る:与野党は?

2019年05月15日 17時19分55秒 | 政治経済
消費税増税まで半年を切る:与野党は?
 副総理兼財務相の麻生さんは、先日、消費税増税はきちんとやらなければいけないという趣旨の発言をしておられました。
 財務大臣という立場ですから当然といえば当然ですが、政府自民党としてその方針が決まっているのかというと、我々には何とも解りません。

 政府与党としては、リーマン級の経済問題が起きない限り増税は実施ということになっていたと思うのですが、総理腹心といわれる萩生田官房副長官は、経済情勢は不安だとして、何かあいまいな発言を繰り返しています。

 この発言は、経済不振で消費税増税をやらないとなれば国民に信を問う必要があるということで、参議院と衆議院の「同日選」に主眼があるとの見方もあり、二階幹事長は総理の意向に従う(同日選について)といっています。

 過日も書きましたように、萩生田発言は総理の指示と受け取られているようですから、選挙の勝敗と消費税増税はセットになっているといいうことでしょうか。
 政府与党にとっては、恐らく財政再建より衆議院で安定多数を得る方が大事でしょうから、消費税増税の行方は皆目わからないということにもなりそうです。

 国民にとっては、社会保障の健全化を目指す消費税増税の方がどちらかといえばより重要な問題と思われます。
しかし、政府与党にとっては野党がこぞって「消費税増税反対」を言っていることは多分大変気になっているのでしょう。

 野党が一致して消費増税反対といっているのもよく解りません。
 消費税を増税して社会保障の充実を図るというのは、福祉国家のビジョンを大事にしていると思われる野党にとっては、本来望ましいはずです。
 反対するなら、消費税を社会保障以外に流用することに反対してほしいと思うところです。

 政府与党が、消費税増税をやらないといえば、与野党の主要な対立点が消えることになりますから、与党には魅力的なのかもしれません。

 結局、消費税増税は、選挙の道具にされているというのが見えるような気がしてくるのが現状ではないでしょうか。
本気で財政の再建、健全化を図り、社会保障の充実をベースに、日本経済のサステイナブルな安定発展を目指すという消費税増税の本来の理念はどこかに行ってしまっているように思われてなりません。

 日本がついて行こうとしているアメリカも、何か、国際関係も、経済政策も、金融政策もすべて来年の大統領選挙でトランプさんの再選を目指したものに収斂しているような印象を受けますが、どうしてこんなことになってしまったのでしょうか。

 選挙も政策も、すべて国民のためのより良い国づくりのための装置という長期的視点を見失っては本来のその意義が失われるように思うのですが、何か違ってきているように感じられるこの頃です。

国際経済情勢は混乱の度を強めるか

2019年05月07日 21時22分33秒 | 政治経済
国際経済情勢は混乱の度を強めるか
 令和元年のビジネス・ダイアリーは今日から本格始動です。
社会のインフレを担う方々は、「とんでもない、我々は5月1日からだよ」とおっしゃるでしょう。まさに「休まない人が支える10連休」ですね。

 ところで、株式市場は今日からです。
 連休中に日経CFDなどを見て、連休明けには21,500円に挑戦か、などと読んでいた方も多かったのではないと思いますが、世の中はままならぬモノ、トランプさんの「2000億ドルの輸入に関税25%」という対中強硬発言が出て、楽観的予想は消し飛んだようです。現実は厳しいですね、今日の日経平均は335円の下げになりました。

 まさかトランプさんは長く休んだ東京市場の開くのを狙ってツイートしたたわけではないでしょうが、突然のツイートで世界を混乱させて世界の注目を集めようというのも困ったものです。

 中国の方が冷静な対応をしているようにさえ見えますが、トランプさんが「早く点数を稼ぎたい」と急げば、中国も我慢も限界と先延ばしに出るかもしれません。
 いずれにしても思惑の駆け引きですから、合理的な判断などは役に立たない世の中になってきたようです。

 この先の展開がどうなるかは、トランプさんと習近平さんの頭の中にあるだけで、我々凡人には皆目見当もつきませんが、世界の二大経済大国がこうした状態にあるということは、経済学者の理論的思考や統計分析で、読むような経済社会の経験的法則性で、ある程度の予測も不可能ではないといった「まともな」状態ではないことになってきそうです。

 たとえて言えば、地震の予測のようなもので、アメリカの赤字、中国の黒字の動きを見ていれば、「いずれ何か起きる」とは予測されても、それがいつ起こるのか、明日なのか、3か月後なのか、はたまた、手打ちがうまくいって起きないのか、なんとも解らないということの似てくるようです。

 このようなことは、今後進められる日米交渉でも当然予測されるでしょう。アメリカのやることは、一生懸命やったTPPでも最後の最後で「ちゃぶ台返し」だったような、想定外が当たり前といったことになるのではないでしょうか。

 相手を(世の中を)不安にするのは、自分の発言や行動を相手に予測できなものにすることが往々効果的な戦術でしょうが、それは信頼関係とは全く相容れない異質なもので、信頼による絆を避けて、不安による支配を選択することでしょう。

 日本では、令和を良い時代にしたいと誰もが思っているのでしょうが、今日1日の感覚では、令和は、やっぱり難しい時代になりそうだといった感じはないでしょうか。

 国内でも、これから、消費税、同日選等々いろいろなことがあるかと思いますが、やはり令和には、「予断を許さない令和を過ごす新たな覚悟」が必要なようです。
 いささか悲観しすぎでしょうか。

中国GDP下げ止まる?

2019年04月17日 23時13分39秒 | 政治経済
中国GDP下げ止まる?
 今日17日、中国の国家統計局が、この1~3月のGDPの数字を発表し、対前年同期比の伸び率が実質6.4%と、前の10~12月期の伸び率と同じという事でした。

 かつて習近平さんが「ニュー・ノーマル(新常態)」として提示した7%には達していませんが、中国政府も様々な政策を講じている中で、現状、一応下げ止まったという事は、大いに良かったのではないでしょうか。

 このところ、中国経済の減速がいろいろと言われる中で何故か株式市場だけが比較的強い動きを示していましたが、またそれが勢いづくかもしれません。

 それほどに今では、全世界にとって中国経済は注目しなければならない存在という事でしょう。
米中交渉の行方が当事国である米中の実体経済にも大きな影響を与えるわけですから、あまりひどいことにはならないと予想しながらも、それぞれの関係筋が心配したり楽観視したりしながら注目しているという事でしょう。

 GMの車にしても、最大の生産は中国で2番目が北米という実態が象徴的に示しますように、アメリカの企業が中国に進出して、そこから収益を上げているという事も事実ですから、やはりアメリカとしても自分の首は絞めたくないという事もあるでしょう。

 中国も今回の日米交渉の中では、思いのほか大人の態度を示しているように感じられ、最大の問題である知的財産権の問題にしても、解決志向の行動をとっているように感じられます。

 客観的に見れば、自国の都合やリーダーのメンツといったことで世界経済の安定的な発展を阻害するといったことは、決して望ましいことではないでしょう。
 
 世界の二大超大国の問題ですから、何とか失敗のないような。トラブル・シューター同士の話し合いという形で進めていただければと思うところです。
 
 これから具体化する日米交渉についても、全く同じことが言えるのではないでしょうか。リーダーの知恵が問われているようです。

日米交渉で日本が言うべきこと

2019年04月15日 23時31分29秒 | 政治経済
日米交渉で日本が言うべきこと
 日米貿易交渉がいよいよ目前に迫ってきました。
 日本では政府が、「物品に関わる交渉」(TAG)だといっていましたが、これは日本政府が勝手に言っただけで、アメリカはFTAだとはっきり言い、さらに、日本に為替の円安誘導もさせないという事を言いたいようです。

 このところ、種々の問題で、アメリカの言うことは(トランプさんの言うことは)道理に叶わない事が多いようですが、日本政府としては(安倍さんとしては)世話になっているアメリカに顔を立てて差し上げなければいけないと思うのかもしれませんが、やはり、必要なことは、正論をきちんと述べる事ではないでしょうか。

 日本がアメリカの車を買わないのは(関税障壁はありませんから)非関税障壁を含め、アメ車を買わない様な政策をとっているといっても、日本人は誰も本気にしないでしょう。
 事実は単にアメ車に魅力がないからという事はみんな知っています。

 農産物問題で無理強いをしてくる可能性は大きいようですが、この問題をきちんと解決していこうというのであれば、アメリカはなぜTPPを最後の最後で蹴飛ばしたのでしょうか。アメリカ自身に責任はないのでしょうか。「二国間交渉なら力ずくで」と考えてのことではないですかといった問いかけも必要でしょう。

 為替問題で、円安政策はけしからんというのであれば、プラザ合意とリーマン・ショックで、ドル安、超円高状態を作り出した張本人はアメリカでしょう。黒田バズーカは単にアメリカと同じ政策をとって、円レートを正常な水準に戻しただけのことと言うべきでしょう。
 円安誘導をすべきでないというのなら、「固定相場制ならいつでも受け入れます」と日本は十分言える立場にあります。

 アメリカ(トランプさん)が困っているのは、アメリカの経済力が落ちてきているからで、例えば、アメリカがラストベルトの繁栄を取り戻そうというのならば、アメリカの鉄鋼産業をはじめとして金属産業を国際的に通用するものに再建するしかないのでしょう。
 
 自国の産業再建の努力をせずに、相手国に注文だけ付けるという行き方は、確かに多国間交渉では成り立たないでしょう(だから二国間に持ち込む)。
 加えて、ドル安の可能性だけを相手国に認めさせようなど迫るなどは、産業発展をしようと努力する国を叩いて、世界経済の発展を阻害する以外のなにものでもないでしょう。

 言い方は婉曲であった方がいいのかもしれませんが、世界経済社会の安定的発展の考えるとき、アメリカの昨今行動はかなりおかしいという事をアメリカに解ってもらわなければならないというのが一番のキーポイントではないでしょうか。