tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

年金問題の現実が見えて来るでしょうか

2019年08月30日 17時10分07秒 | 政治
年金問題の現実が見えて来るでしょうか
 2019年の年金財政検証結果が27日厚労省から発表になりました。
 野党は3年に一度の年金財政検証の発表をいつもより3か月遅らせたのは、参院選の前に国民の喜ばないデータが発表になるのを避けた、と追及するようです。
 
 ついこの間の7月には大騒ぎになった公的年金では、老後生活に2000万円不足という年金審議会の答申があって、安倍さんが激怒し、麻生財務相は、自分が諮問した答申を受け取らないという珍事に発展しました。

今回の答申も元々は年金審議会のもので、同じ審議会が、2か月後に、全く違った内容のものを出すことはないでしょうから、政府としては今度の検証結果と、例の2000万円不足という答申とが、どう違っているのかを国民に「解りやすく丁寧に」説明する必要があるようです。

今回の検証結果は、令和40年度までの長期の検証という事ですが、ケースがいろいろ分かれていて、どれが現実に近いのか解りません。しかし現実というのは、今からのアベノミクスの成功・不成功の行方如何で変わるものですから、その辺りの政府の見解も、しっかり説明してほしいものです。

例えば、ケースI ですと、経済成長率0.9%、物価上昇率2.0%、実質賃金上昇率1.6%、実質運用利回り3.0%、となっていますが、どうでしょうか。
経済成長率と実賃金上昇率は長期的にはほぼ平行するのが常識でしょうし、ゼロ金利で実質運用利回りが3.0%なんてことがどう可能になるのか(まさかマネーゲームで?)、国民にもノーハウを教えてもらいたいものです。
物価上昇率2%で実質賃金1.6%上昇ということは、毎年ベースアップが3.6%ということで、定昇込みだと5%を超えなくてはなりません。

ケースⅢは、本命のようにも感じられますが、経済成長率0.4%、物価上昇率1.2%、実質賃金上昇率1.1%、実質運用利回り2.8%、となっていますが、ケースⅠより穏当ですが、政府日銀のインフレ目標2%は一体どうなるのでしょうか。2%を目指しても結局は上がらないと思っているのでしょうか。実質運用利回り2.8%も低成長の中でさらに難しくなるでしょう。 実質経済成長率と実質賃金上昇率のアンバランスも、現実的ではないことも明らかでしょう。

ケースⅤになると実質経済成長0%ですから、令和40年度まで、日本経済がゼロ成長などという状態は政府自身も認めるはずはありませんからもう論外でしょう。
勿論、勤勉な日本人が真面目に働いているのですから 、多分政府の政策の失敗の結果でしょう。そんなのは、国民が許さないでしょう。

以上が2009年「年金財政検証結果」の前提条件を見ての、率直な感想です。国民が安心する政府の説明が、出来るなら聞きたいものです。

コミュニケーション手段と思考回路:ツイッター文化の落とし穴

2019年08月29日 01時38分35秒 | 文化社会
コミュニケーション手段と思考回路:ツイッター文化の落とし穴
 トランプさんはもっぱらツイッターでコミュニケーションですが、立場上、世界を動かすような大変なことを発言するのに、140字という制限の中でというのはほとんど無理でしょう。(英語は280字にするそうですが、まさに、50歩100歩でしょう)

 最近も「中国が買わないので余っている玉蜀黍を日本がみんな買ってくれる」といったそうで、アメリカの農家は大変喜んでいるそうですが、日本では菅官房長官が、早速補足説明をしなければならなかったようです。

 実は、これはツイッターではなく記者会見での発言ですが、世界中の人がトランプさんはツイッターで結論だけ言うのを見て来ていますから、トランプさんは結論しか言わない人で、詳しくは、後から関係者の説明を聞いて理解しようという思考回路が出来上がっているのではないでしょうか。
 人間は言葉がなければ論理的思考ができないのだそうですから、言葉の使い方は当然思考回路に影響するでしょう。

 ところで最近の世の中を見ていますと、コミュニケーション手段がだんだん短くなって、簡略化しているようです。
本が読まれなくなくなり、漫画もコマ数が多いとコマを追うのが面倒で、まずは結論を急ぐのだそうです。

 そういう意味ではツイッターは最適かもしれませんが、覇権国の大統領までツイッターで便利に事を済まそうというのですから、ますます世界中の人の思考回路が短くなってくるのではないかと心配されます。

 碁や将棋では長い思考回路がきちんと出来ないと勝てないという事のようですが、これは素晴らしいことで、こういうことが特定の人の離れ業のようになって、一般の人にはなじまないということになったらどうもいろいろ大変のように思います。

 トヨタ式経営でも、「なぜ」を5回繰り返すと本当の原因がわかるといいますが、こうしたことを地道にやるのが面倒になって、結論だけ先に出されたと思われる短い言葉ばかりがすっと頭に入るような事になると、早とちりの間違いが起きる可能性はどんどん大きくなりそうです。

 人間は短い表現ですまそうとするとき、どうしても強い言葉を使うようです。婉曲とは正反対ですから、婉曲な表現を理解する能力もなくなり、強烈は、刺激的な言葉にだけ反応するようになります。
 日常生活でも、ビジネスでも、選挙などでも、地道に理を説くより、一言で相手を喜ばせたり、気に入らないとバッサリ切ったりすようなるような言葉が受けることになります。

 これはおそらく動物の中でも人間しかできない「思考」という素晴らしい能力を劣化させることにつながるのでしょう。
 強い言葉に反応し、短絡的に判断するというのが一般化するのは、人間の退化でしょう。
 
ツイッターの言葉と、ブログの言葉を比較してみるとそんな感じを強くするのではないでしょうか。

アメリカ・パッシング(敬して棚上げ)というわけには・・

2019年08月27日 12時56分20秒 | 国際政治
アメリカ・パッシング(敬して棚上げ)というわけには・・
 G’7ビアリッツ・サミットは、開闢以来の「共同声明なし」で終わったようです。

 それでも、何にもなくて済むわけではないので、議長役のマクロン大統領は、合意事項を1枚に纏めて発表すると記者会見で述べています。
 さらに、個別事項については、項目ごとに整理するという意向のようです。

 合意出来たものだけでも確認することは重要ですから、7首脳で合意できたものはやはり世界に向けて確りと発表することが大事でしょう。

 当面まとまる様相にない米中経済摩擦問題などは、アメリカが好んで2国間に持ち込んでいるものですから、G7でどうなるというものでもありませんが、イランの核問題については、なんとか米・イラン首脳の会談の可能性にきっかけぐらいは出来たようです。
 気候変動の問題もほとんど触れられなかったようですが、覇権国アメリカが原因でもめている問題は、結局G7の手に余るということでしょう。

 マスコミの見出しにあるように、まさにアメリカに振り回されたG7ですが、アメリカ以外の国々は、いかにアメリカの反対を避け、余計なトラブルなしに、纏まるものだけでも纏めようということになるのでしょう。

 超大国アメリカを無視するわけにはいきませんが、出来るだけアメリカの迷惑な主張には触れず、纏まるものだけでも纏めようということになると、これはまさにアメリカ・パッシング、アメリカは出来るだけ敬遠するに如かずということでしょう。

 さきにTPPは、まさにアメリカ・パッシングの先例を作ったわけですが、今のトランプさんのアメリカが続く限り、この傾向は進みこそすれ、アメリカも同じ仲間にということには、なかなかならないのでしょう。

 問題は、そういう状況をアメリカ自体がはっきり認識して、それでいいのか、それでは駄目なのか、何が正論かを理解することでしょう。
 当面トランプさんにはそうした思考回路が出てくる可能性はないようですから、アメリカの世論に期待るよりないのでしょう。

 アメリカ・ファーストと言って大統領になったトランプさんとしても、アメリカの世論に抗することはないでしょう。もちろん、アメリカ・ファーストのままでいいのか、最終的にはアメリカの世論がトランプさんの去就を決めるのでしょうから。

 来年のG7サミットは、アメリカはマイアミだということのようですが、トランプさんはそこで、再選を確実なものにしたいと思っているのでしょう。
 しかし、アメリカ・パッシングの様相が種々あらわれてくると、それはまさにトランプさんにとっては危機でしょう。

 さて、そんな兆候が見えたG7サミットでしたが、来年のG7サミットまでにどんな展開があり、来年はどんなサミットになるのか、関係国首脳の今後の動き、アメリカの世論がいかに覚醒するか、今後の1年は大変大事になるような気がするところです。

すすき出穂、夏の終わり、秋の気配

2019年08月24日 14時11分37秒 | 環境
すすき出穂、夏の終わり、秋の気配
 世界中多事多端ですが、土日はお休みが多いのでしょうか、ビアリッツG7サミットは進行中なのでしょうが、昨日暴落したNY市場も今日、明日はお休みです。

 つかの間の平穏でしょうか、今日は、家の前が水道管の工事で、車も出せないので、狭い庭の隅まで見回して、夏から秋への季節の移り変わりを感じてみることにしました。

 というのも、先週の初めごろにススキの穂が出始めたのです。まだ8月中旬、ずいぶん早いなという感じですが、今日はもうだいぶ出揃ってきたので、写真を撮っておこうと思っていたからです。



 昼過ぎていたので逆光になって、せっかくきらきら光っている穂の感じは出ませんでしたが、早い出穂の証拠写真にはなります。
 ついでに夏の終わりで少し元気のなくなった「ショウジョウソウ草(猩々草)」、新しく出る花穂も小さくなった「セージ」、あけぼのの下でまだ咲いていた「花みょうが」の写真も撮りました。

しょうじょう草(猩々草)
 ポインセチアの仲間、一番上層の葉は、育つにしたがって、付け根から赤くなります。一見、花が咲いているようです。


セージ(sage)
 ハーブの一種、戦後、疎開先でこの花を見つけると、花の部分を引き抜いて付け根を吸って「甘い、甘い」と喜んだものです。


花みょうが (訂正:藪みょうが=下記)
 花は咲きますが、いわゆる「みょうがの子」はできません。


 庭で写真を撮っていても、この間までの様な焼けるような暑さではなく、秋の気配ですね、風も何となく涼しさを感じるものでした。気候変動の中でも、やっぱり秋は確実に来るようです。
<訂正>
 後から気がついて調べてみましたら、「花みょうが}と思っていたのは、「藪みょうが」の誤りでした。「花みょうが」の花はこれとは違うようです。「花みょうが」は「しょうが」の仲間、「藪みょうが」はツユクサの仲間だそうですが、葉の様子はみょうがによく似ています。間違えて申し訳ありませんでした。 

世界が何かバラバラに、こんな時、日本は何をしますか

2019年08月23日 17時09分01秒 | 国際関係
世界が何かバラバラに、こんな時、日本は何をしますか
 ついこの間、日本の諺「人の噂も75日」をもじって、「戦争の記憶も75年」では人類の記憶力が問われますよと書きましたが、このところ急速に国際情勢が混乱していきました。

 象徴的なのは明日からのG7で、ホスト国のマクロン大統領が、今回のG7では恒例の共同声明は出さないといっていることでしょう。

 ロシアは、クリミア半島併合以来、G8から除外され、G8がG7になっているわけですが、トランプ大統領がロシアを復帰させたらどうかといい、賛同が得られないことなどがあり、何がどう絡まり合っているのか解りませんが、せっかく世界の主要国が、世界の安定のために話し合いをしても、共同声明が出せないような会合になることを予測しているのでしょう。

 トランプ大統領は、北朝鮮がミサイルを発射しても、アメリカに届かなければいいと言っていたり、INFの失効を待っていたように巡航ミサイルの発射実験を再開したり、ホルムズ海峡の安全航行のために有志連合を組織しようと参加を募ったりして、何か世界の不安を煽っているさ中のG7です。

 ホルムズ海峡などは、国連が、イラクとオマーンに海峡の安全航行を要請するのが一番合理的だと思うのですが、「自国で守れ」なということになると、余計な混乱が起きることは必定です。

 またこれは身近な話ですが、日韓の関係が急激に悪化し、日米韓3国の結束にひびが入るとアメリカが大きな懸念を示していますが、その日韓と中国は、日中韓の外相会談を行い、日中韓サミットに向けた準備を合意するといった展開もあり、対立する米中経済関係とのバランスがまさにどうなるものか、先行きどうにも不透明のようです。

 こうした中、主要国の中で唯一「平和憲法」を持つ日本でから、常にトラブルシューターの役割を担うべき立場にあると思いますが、今度のG7、安倍さんはどんな役割を果たしてくれるのでしょうか。日本人の1人として、期待を持って注目しています。

 こうした混乱を作って頑張っているのは「国民の輿望を担っている」と思っている(勘違いしている)それぞれの国のリーダーたちで、国民のほとんどは平穏な生活を願っているのです。

 それでも国際的なリーダーたちの会合が、頻繁に開かれるというのは良いことで、通常、人間は接触すればするほど理解し合えるものなのです。もしそうならなければ、会うのは形だけで、本当の対話がないからでしょう。

 それだけに、G7の結果には誰しも期待し注目するのです。今回は共同声明が出ないことになるのかもしれませんが、人間同士としての本当の対話ができれば、必ず人類社会にとって望ましい共同声明が出ることになるはずです。
 安倍さんには、困難かもしれませんが、世界平和の願う日本の代表として、そうしたあるべき国際関係への推進役を期待するところです。
 
 アインシュタインは、第3次、第4次の世界戦争は別として、第5次世界戦争は石と棍棒で行われると予言したそうです。
 アインシュタインの予言は、物理学に関しては次々実証されていますが、この予言は当たってほしくないですね。

理解不能?トランプ大統領の頭の中

2019年08月21日 17時36分21秒 | 国際政治
理解不能?トランプ大統領の頭の中
 またトランプ大統領が変わった事を言いだしました。 「グリーンランドを買いたい」といったようです。

 トランプさんはもともと不動産屋だから、土地と資源欲しさに冗談を言ったのかと思いましたが、この話を聞いた、デンマークのフレデリクセン首相から、「馬鹿げている」と言われたとかで、忽ちお臍を曲げたようです。

 グリーンランドは、人口わずか5万6千人ですが、デンマークの中で高度な自治権を認められていて、EU脱退なども自治政府が決めています。
 今の世の中で、誰が考えても不動産取引の材料になるなどという発想は生まれないはずですが、さすがはトランプさんですね。

 しかしこのやり取りの結果、フレデリクセン首相が話し合いをするつもりがないのなら9月2にからのデンマーク女王招待のデンマーク訪問は「また別の機会に延期する」と説明をしたということです。

 トランプさんの頭の中は、国際関係も不動産取引と同じで、領土の買収も企業のM&Aと同じだということになっているのでしょうか。

 かつてアメリカは、19世紀初頭、フランスのナポレオンからルイジアナを買い、その後の西部開拓で(西部劇というおまけもついて)西海岸までが今のようにアメリカになったようですし、19世紀中葉には、ロシアのロマノフ王朝からアラスカを買ったわけですから、その伝で行けば、グリーンランドを買いたいといっても、おかしくないのかもしれませんが、世界の常識とはかなりかけ離れているようです。

 目的は、版図の拡大、資源の確保、それらによる地政学的な優位性の確保という事でしょうか。

 しかし今の世界は国連という地球人類全体をカバーする組織もでき、核兵器の開発で、世界戦争は不可能といった世の中になっています。
(まさかアメリカは第三次世界大戦を考えているのではないでしょうから)
アメリカだけが版図を広げ、資源を持っても、それで「偉大なるアメリカ」が実現するとは考えられない時代になっているのです。

 広大な領土の経営には巨大なコストがかかりますし、資源は経済力さえあれば買える世の中です。戦後の日本の経済発展がそれを実証しています。逆に今のアメリカはシェールガス・オイルで世界一の産油国になっても、経済活動の結果は万年赤字国です。

 それを挽回しようということで領土と資源を求めるのであれば、それはまさに19世紀の知恵でしかないのでしょう。
 アメリカが何処まで堕ちるか、アメリカの擁する優れた頭脳は、一体今何をしているのでしょうか、アメリカ自体が本格的に自らを再検討しないと、とんだことになりかねないようい思う所です。

法人企業製造業:利益とその処分の動向

2019年08月20日 20時48分26秒 | 経営
法人企業製造業:利益とその処分の動向
 前回は法人企業製造業の付加価値とその配分の状況を見て来ました。
総務省の「法人企業統計年報は現状では2017年度までですが、日銀の異次元金融緩和で為替レートが正常化して以来、企業収益は急速な回復・伸長を見て来ました。

 今回は順調に増加した利益を企業はどのように処分(活用)しているのかを見ていきたいと思います。
 今回は表でなくグラフにしてみましたが、その方が一見して解り易いかと思います。

 最初の「営業純益」は、前回の付加価値構成の表に出てきた、法人企業統計で利益を表すものですが定義は、「営業利益-支払利息等(金融費用)」です。これは付加価値の構成要素として、この統計では営業利益を考えているのですが、別途、支払利息等を構成項目として出しているので、その分は差し引いたという事でしょう。

 営業利益から当期純利益に至るには、営業外収支と特別損益を計上し、さらに法人税を差し引かなければなりません。営業外収支の中の、支払利息等の減少は前回の付加価値構成の中でも触れましたが、営業外収益である受取利息・配当の著増、特別損益のマイナス幅の縮小(リーマンショックで一時急拡大)などの要因が当期純利益には反映されています。

 図に見ますように、2013年度から円安により当期純利益は大幅に増加していますが、この処分先は2つです。株主に対する配当金と内部留保です。

 配当金は、資本金を提供してくれている株主(法的には企業の所有者)に報いるためですからたとえ利益が出なくても、往々内部留保を吐き出してある程度は払うことになります。
 こうした状況は2008年度、2009年度の状況を見れば明らかです。

 その後何とか経営を立て直し、内部留保の取崩し(人体なら出血)は止まりましたが、2012年度までは、内部留保は微々たるものです。$1=¥80の円高がいかに日本の製造業に苦難を強いたかが歴然です。

 2013年度、円安が進行してからの内部留保は、まさに水準訂正といえましょう。我が国製造業の競争力は回復、正常な経営に復していいます。
 当然株主への配当金も著増する状態になりました。2017年度にはこの状態がさらに進んだようです。

 経営としては、めでたし、めでたし、ですが、企業の発展のエネルギー源である内部留保を食いつぶさざるを得なかった経験は、内部留保回復への強烈な動因になったのでしょう、内部留保に励んでいます。
加えて、近年の「物言う株主」の台頭は、配当の充実を強く要求してきます。配当金の増加も顕著です。両者のバランス、企業の選択は難しいところです。

 加えて、利益の著増は、付加価値配分の基本である人件費への配分、いわゆる労働分配率論争も引き起こします。

 さらに企業としては、企業発展の原動力である内部留保を、遊ばせておくのではなく、如何に将来の発展のために投資するか、その選択も、「 ものに投資するか」「 人間に投資するのか」という企業経営の最大の問題点に発展していきます。
 
 余計な事まで書いてしまいましたが、こうした問題も、すべてその源は「付加価値」をどう作り、どう使うかにかかってくるという事ではないでしょうか。
 ということで改めて、付加価値関係指標の動向を見た次第です。

日本企業の付加価値の現状を見てみましょう

2019年08月19日 14時47分15秒 | 経営
日本企業の付加価値の現状を見てみましょう
 テーマに掲げてありますように、このブログの基本テーマは「付加価値」です。我々日本人は日本経済の付加価値つまりGDP(正確にはGNP)で暮らしています。

GDP=国内総生産:国内で生み出した付加価値:国境線で定義
GNP=国民総生産:日本人(日本企業)が生み出した付加価値:国籍で定義
という事になっています。

 経済学的には、国内の雇用はGDPに強くかかわり、国民生活はGNPに依存しています。(外国で日本企業(人)が稼いだ分も、日本の国民所得ですから)

 ところで、両方とも「G」が付きますが、これは、おおまかにいえば減価償却が含まれているということで(この分は生活費には使えません)、日本語では「粗」の意味です「純」にする(減価償却を差し引く)と、「国民所得」ということになって、日本人はこれで生活しているのです。

 定義はここまでで、国民所得のもとは純付加価値ですから、ここで日本企業の純付加価値の動きを見てみました。(ここでは「製造業」の数字をとっています。



 日本の国民所得は400兆円で、法人企業製造業(財務省「法人企業統計」)の付加価値は80兆円ですから、比率としてはそれほど大きくありませんが、モノづくり日本の基幹産業の動きを代表するという意味では最も大事な部分でしょう。

 統計は平成29年度(1917年度)まで発表になっていますので、この10年間ということになりますが、ざっと動きを見てみます。この表は、「法人企業統計年報」当該ページをそのまま映したものです。

まず、上の表に至る準備として財務省「法人企業統計」で製造業の売上高と付加価値について見ておきます。
2008年度の製造業法人企業の売上高445兆円、2017年度の同売上高406兆円で、付加価値は74兆円と83兆円ですから、売り上げは減っていて、付加価値は増えています。付加価値率は16.6%から20.4%に改善していますから結構ですが、さてその付加価値の分配を見ると上表の如くです。

 役員給与は年収1億円以上の経営者が400人を超えたなどといわれますが、全体では減っています。役員の数が減ったり、統計には中小企業なども全部入っているっことも関連するのでしょう。
従業員給与も減っています。賞与はこの3年増えています。福利厚生費は削られています。合計の人件費は59兆円から57兆円に微減です。労働分配率は、70.7%から68.6%に下がっています。

 一方、資本費の方を見ますと、金利負担は半分近くまで減り、賃借料も大幅減です。ゼロ金利が企業経営を大きく助けています。租税公課も上下はありますが減少です。
 これらの効果も相まって、営業純益が大幅増という結果が見えて来ます。
ただし、2008年度はリーマンショックの年ですのでその影響の勘案は必要でしょう。

 次回、増加した利益の行方、利益処分の中身についてみてみたいと思います。

日本企業の付加価値の現状を見てみましょう

2019年08月19日 14時46分13秒 | 経営
日本企業の付加価値の現状を見てみましょう
 テーマに掲げてありますように、このブログの基本テーマは「付加価値」です。我々日本人は日本経済の付加価値つまりGDP(正確にはGNP)で暮らしています。

GDP=国内総生産:国内で生み出した付加価値:国境線で定義
GNP=国民総生産:日本人(日本企業)が生み出した付加価値:国籍で定義
という事になっています。

 経済学的には、国内の雇用はGDPに強くかかわり、国民生活はGNPに依存しています。(外国で日本企業(人)が稼いだ分も、日本の国民所得ですから)

 ところで、両方とも「G」が付きますが、これは、おおまかにいえば減価償却が含まれているということで(この分は生活費には使えません)、日本語では「粗」の意味です「純」にする(減価償却を差し引く)と、「国民所得」ということになって、日本人はこれで生活しているのです。

 定義はここまでで、国民所得のもとは純付加価値ですから、ここで日本企業の純付加価
値の動きを見てみました。ここでは解りやすく「製造業」の数字をとっています。


 日本の国民所得は400兆円で、法人企業製造業(財務省「法人企業統計」)の付加価値は80兆円ですから、比率としてはそれほど大きくありませんが、モノづくり日本の基幹産業の動きを代表するという意味では最も大事な部分でしょう。

 統計は平成29年度(1917年度)まで発表になっていますので、この10年間ということになりますが、ざっと動きを見てみます。この表は、「法人企業統計年報」当該ページをそのまま映したものです。

まず、上の表に至る準備として財務省「法人企業統計」で製造業の売上高と付加価値について見ておきます。
2008年度の製造業法人企業の売上高445兆円、2017年度の同売上高406兆円で、付加価値は74兆円と83兆円ですから、売り上げは減っていて、付加価値は増えています。付加価値率は16.6%から20.4%に改善していますから結構ですが、さてその付加価値の分配を見ると上表の如くです。

 役員給与は年収1億円以上の経営者が400人を超えたなどといわれますが、全体では減っています。役員の数が減ったり、統計には中小企業なども全部入っているっことも関連するのでしょう。
従業員給与も減っています。賞与はこの3年増えています。福利厚生費は削られています。合計の人件費は59兆円から57兆円に微減です。労働分配率は、70.7%から68.6%に下がっています。

 一方、資本費の方を見ますと、金利負担は半分近くまで減り、賃借料も大幅減です。ゼロ金利が企業経営を大きく助けています。租税公課も上下はありますが減少です。
 これらの効果も相まって、営業純益が大幅増という結果が見えて来ます。
ただし、2008年度はリーマンショックの年ですのでその影響の勘案は必要でしょう。

 次回、増加した利益の行方、利益処分の中身についてみてみたいと思います。

難民問題、素直(すなお)に考えてみれば

2019年08月16日 21時40分47秒 | 国際政治
難民問題、素直(すなお)に考えてみれば
 昨日は終戦記念日。日本では、「不戦の74年を令和の時代にも変わらずに続けていきたい」という願いが、戦争経験を持つ人、経験はなくても戦争の不条理を理解した人達から強く聞かれました。

 確かに1945年夏以来、日本は不戦の時代を過ごして来ました。国民はそれぞれにいろいろな問題を抱えながらも、不戦の世の中の有難さを実感して来たのでしょう。

 しかし、世界を見れば、内戦などで住むところを失い(勿論、命さえ失う人も少なくない現実です)、戦のない所を求めてさ迷う人たちが急激に増えているのが現状です。

 その点、日本は幸せだと思うからこそ難民支援のプロジェクトに協力する人も多くおられるのでしょう。(私も最低限の協力はしていますが)

 国連には「難民高等弁務官事務所(UNHCR)」という組織があり、日本には駐日事務所もあり、それに協力する「日本UNHCR協会」があり、広報活動や募金活動などが活発に行われているようです。

 かつては日本の女性がこの国連組織のトップを務めておられ、高い評価を得ていたことをご存知の方も多いでしょう。
 こうした貴い活動があっての国連の評価ですが、大変気になるのは、
「難民を救う活動は貴重ですが、難民を出さないための活動を国連はどう展開しているのか」という問題です。

 国連の中枢機関は「国連安全保障理事会」、通称「安保理」です。これは国連常任理事国5か国、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国(第二次大戦の戦勝国)の首脳で構成されています。
 これは本来、その名の通り「世界の安全を保証する」役割を持つ組織でしょう。

 ですが、この組織は、その役割を果たしているのでしょうか。現実には、何らかの理由をつけて外国に侵攻する常任理事国もあれば、内戦が行われている国があると、内戦の各側に安全保障理事会構成国が自国の利害や面子から援助して内戦をより熾烈なものにしてしまうといったことが起きているのです。
(関ヶ原の東西両軍に、それぞれ外国の支援が付いたらどうなっていたでしょうか)

 安全保障理事会メンバーは、その組織の役割をどう考えているのでしょう。国連というのは世界の平和と繁栄を目指す組織です。その中枢機関のメンバーが、現に難民の発生を促進するような行動をし、同じ国連の組織であるUNHCRに対策を何とかしろというのが現実の姿なのです。

 先入観なしに素直に考えてみれば、安全保障理事会常任理事国は。世界の平和と安全に常に最大の配慮をし、自国の利益よりも、世界に発生する問題のトラブルシューターとしての役割を果たすことを誇りをもって遂行することに邁進すべきでしょう。

 公害問題では「汚染は元から絶て」と言われましたが、難民問題も、元から絶つことを考えるのが国連常任理事会の役割だと考えるべきではないでしょうか。

 それが出来ないのであれば、「安保理」という名称に馴染みません。もしかしたら、安保理の組織も含めて、国連の在り方の本質論を、世界に問うことが必要な時代になっているのかもしれません。

日本は貴重な財産を失おうとしているのではないか

2019年08月14日 23時23分02秒 | 国際関係
日本は貴重な財産を失おうとしているのではないか
 日本は戦後74年、営々と努力して新しい財産を積み上げてきました。
財産といっても、金銭ではありません。日本は、世界にとって「人畜無害の国」という評価です。

 もちろん、「人畜無害」だけではたいした財産にならないのかもしれませんが、その上に、日本は「役に立ってくれる国」という評価も加わってきていました。
 害がなくて益はあるという国でしたら、何処からも歓迎されるのは当然でしょう。

 実はまだその境地に十分には達していないようですが、少なくとも、そういう国であろうとしているという日本の意図は、世界でもかなり認識されてきているように思われます。

 日本自体、第二次世界大戦で、世界に大変迷惑をかけ、自らも大きな痛手を受けて「もうこんな馬鹿バカしいことはやめた」と世界の平和を願い、まずは自ら戦争をしないと宣言したのです。

 こうした立場で国際関係を持てば、だれもが安心してお付き合いをしてくれるのです。アジアや中近東、アフリカなどの多くの国が、安心して日本とお付き合いをしてくれる背景にはこうした日本の明確な立場があるからだといっていいでしょう。

 これこそが真に貴重な、日本の財産です。企業でも相手に損をさせてでも儲けようという所より、お互いに利益になるように協力しましょうちう所の方が信用されるのは当然です。

 アメリカなども、トランプさんが「アメリカ・ファースト」と言い出してから、次第に「安心してつきあえない国」になってきています。
 アメリカは経済力(金融力?)も、軍事力も抜群ですから、それでも何とか通していますが、日本が「ジャパン・ファースト」等と言ったら、たちどころに相手にされなくなるでしょう。

 日本は、時間をかけ努力して積み上げてきたこの貴重な財産を決して手放してはならないのです。
 あらゆる機会に「やっぱり日本の言う事の方がまともで良く解る」と世界中から思われなければならないのです。

 ところが今、日本は、どういう訳か、世界唯一の被爆国なのに、核兵器についての態度がはっきりしなかったり、せっかく平和憲法があるのに改憲の方針を打ち出したりで、世界のところどころから「あれまた日本は昔に戻るの?」等と勘繰られたりしているようです。

 戦争を体験し、戦後は営々と経済の再建と、新しいイメージづくりに努力してきた人たちから見ると、最近の日本は、何か大変勿体ことをやりそうなことになっていて、どうにも心配だという事ではないでしょうか。
 折しも明日は「終戦の日」です。

最強の為替操作国、アメリカ?

2019年08月13日 17時11分50秒 | 経済
最強の為替操作国、アメリカ?
 為替操作国という言葉が生まれ、それに指定されることは、その国の権威に関わる重大問題になるようです。
 日本なども、何かあると安全通貨としての円買い、円高という結果で、この所も105円台前半という事になり、大変具合が悪いのですが、政府・日銀も当面静観ということで下手に動かないようです。

 円レートは、国際投機資本の思惑次第でしょうから、いちいち反応するよりトレンドを確り把握することの方が大事かもしれませんから、短期には動きようもないのかもしれませんが、日本国民が、アリのように真面目に働いて、きちんと将来への蓄えをしようとすればするほど、円は安全通貨だといわれて円高になり、経済的に損ばかりするというのも困ったものです。

 何でこんなことになったのかといえば、事の始まりはプラザ合意による円高で、さらに遡れば、アメリカが、自らが唱導したブレトンウッズ体制を放擲し、基軸通貨のドルを兌換紙幣からペイパーマネーにして、変動相場制にしまったことが全ての始まりでしょう。

 変動相場制では、マーケット次第で為替相場は自由に動くものになるわけです。
 これによって、国際収支が赤字の国は、経済の立て直しの努力をするより、為替レートを引き下げた方ら楽、という状況が生まれました。

 国際競争力を維持して、経済の健全性を守ってきた国といえば、日本もそうですがドイツ、スイスなどが有名です。こうした国は、自国通貨が高くなることで、その分だけ競争力が弱まり、経済健全化努力の成果が大きく減殺されるのです。

 固定相場制を止めて変動相場制にしたアメリカは、この制度変更を活用して、その後いろいろな事をやってきました。
 まず対米競争力が強くなった日本に対しては、G5の国々の賛同も得て、日本に円高容認を迫り、認めさせました。
 その結果日本の円の価値は対ドルで2倍になり、日本の競争力は失われました。

 その後また大きな世界的な事件が起きました。リーマンショックです。この時、アメリカは、世界金融恐慌を防ぐという大義名分で、ゼロ金利政策を実行しました。その結果ドルはまた大幅に下落しました。日本円との関係で言えば、1$=120円が80円です。日本はまた対米競争力を大きく失いました。

 リーマンショックが世界金融恐慌を引き起こす危険は回避されたかもしれませんが、この問題はもともとアメリカがサブプライムローンという信用度の低い貸付金の残高を証券化し、AAAの格付けで世界に販売し、結局馬脚が表れて、アメリカの債券価格が暴落、それを買っていた世界中の金融機関の資産に大穴が開いたことによるもので、アメリカ金融機関の不良債権を世界中の銀行が負担したようなものでした。

 アメリカはゼロ金利政策の効果でドル安になり、世界で最も早く経済が回復するということなりました。
 日本はアメリカをまねてゼロ金利政策(異次元金融緩和)を導入するまでの5年間最悪の経済状態に呻吟しました。

 金融工学全盛だったこの時期から、金利政策は、本来の金利水準の効果で経済が動くというより、金利を下げれば自国通貨安になるという為替操作の道具になってきてしまいました。

 今度トランプさんが金利引き下げをFRBに強いたのも、ドル安を目指したことは当然で、それを容認したくなかった中国を「為替操作国」に指定したという事でしょう。
 
 日本の事情から言えば、アメリカは固定相場制時代から見れば、対日競争力では1$=360円から80円にまで円高ドル安にして、日本がアメリカの真似をして、120円まで戻せば、また日本に様々な要求を突き付けてきます。

 為替操作国をアメリカどう定義しているかは解りませんが、これまでの経緯を見れば、日本はアメリカの望むドル安を容認して、苦しみながらアメリカとお付き合いしています。
 他方、中國経済は停滞している日本を追い越して、アメリカに迫ろうとしています。そこでアメリカは対日経済政策の中国版を、やろうというのでしょうか。

 しかし中国は、日本とは国家の体制が違いますし、日米経済関係を先例として十分学んでいるようです。対中国は対日よりよほどアメリカにとって難しいものでしょう。
 あまり酷い「こじれ方」をしてとんでもないことにならないように、米中両国の知恵の発揮を期待するところです。

瑠璃二文字ふたたび

2019年08月11日 14時13分56秒 | 環境
瑠璃二文字ふたたび

 今日は日曜日です。世界情勢は多事多端ですが、関連するニュースは、北朝鮮が、「我々の近距離ミサイルの発射は、アメリカ大統領も自衛権として認めている」という発表をしたなどです。 トランプさんのツイッターの方は土日は休みでしょうか。

 先日我が家のフェンス際の片隅に、可愛らしいピンクの花が咲いているのを発見しました。見覚えのある花ですがこの何年か見ていませんでした。
 心覚えで自分のブログを検索すると、3年前の6月に、同じ花が咲いたことがトンボの写真とともに出ていました。

 花の名は「 瑠璃二文字」(るりふたもじ)その時調べた名前の由来なども書いてありました。
 思い出しましたが、あの時可愛らしい花なので鉢植えにして、庭の片隅のドクダミなどが生えてくるホタル羽化用の藪の端に半分土に埋めておいたのです。

 すっかり忘れていましたが、2年のご無沙汰の後に、今年は花をつけてくれました。
 しかし、3年前には6月、今年は8月です。
 開花が遅いのは今年の天候のせいか、置いた場所がフェンス際の日当たりの余り良くない場所だからかは解りませんが、ウエルカムバックで、これからは毎年咲いてくれるといいなと思っています。

 そのためには、すっかり忘れたりしないで、気をつけていてやらないといけないのだろうと思っています。

4~6月GDP速報、構造変化の兆し?

2019年08月09日 21時38分53秒 | 経済
4~6月GDP速報、構造変化の兆し?
 2019年4~6月の総務省からGDPの第一次速報が発表になりました。マスコミの見出しは年率1.8%(実質)の成長で、3四半期連続のプラスということです。

 過去の動きを見てみますと、昨年7~9月期が落ち込んでいてこれから景気減速かなと思われましたが、10~12月期は微かな改善、今年の1~3月から持ち直すといった状況です。
 これからどうなるかは米中問題の深刻化如何ですが、日本経済としては、何か少し構造変化が起きるのではないかといった兆候のようにも感じられ、外部環境が良くない中でも今後は要注目のような気もします。

 このブログでは短期の変化よりも少し長めの動きを見た方がいいのではないかという立場から、季節調整をしない原系列数字で各4半期の対前年同期比の変化を見るようにしています。

 支出面から見たGDP の項目は「家計消費」「民間住宅」「企業設備」それに「公的(政府)需要」最後に「貿易収支」ということになりますが、これらについて、最近5四半期の動きを見てみると下のようです。

 順番は2018年:4ー6月期、7~9月期、10~12月期 2019年:1~3月期、4~6月期で、数字は対前年同期比伸び率(%)です。
国内総生産(GDP)  1.5  0.1  0.3  1.0  1.2
家計最終消費支出  0.0  0.5  0.4  0.6  1.0
民間住宅     -9.0 -6.6 -2.3  0.7  2.9
民間企業設備    6.6  1.1  3.9  2.8  2.4
公的(政府)需要  ー0.1 -0.3 -0.3  0.1  1.5
純輸出       0.5 -0.2 -0.5 -0.2  NA

 一番右が4-6月期ですが、この4~6月期の成長率には民間住宅と政府需要が1.2%のうち0.5%分を占めていますので、いわばそれらによって押し上げられた分が大きいことが解ります。

一方、GDPの基本を担う消費と投資の動きを見ますと、消費を代表する家計消費支出、投資を代表する民間企業設備の動きを見ていきますと、家計消費の動きに何か傾向的な変化がみられるように感じられないでしょうか。

昨年4~6月期の0.0から、今年の4~6月期の1.0まで、次第に上昇してきているように見えます。
毎月チェックしている勤労者所帯の平均所得性向では前年比低下の月が多いもののトータルの消費支出は、小幅ですが着実に増加幅を広げているのです。

これが一時的のものか、日本人の消費に対する意識が変わってきたのか、俄かには判断できませんが、投資片肺型の経済成長から消費・投資のバランスのとれた経済構造への動きに向かうものであれば、今後の日本経済は過少消費による低迷から脱出する可能性も出てくるわけです。
 今後さらなる追跡が重要になるような気がします。

為替操作国とは何か

2019年08月08日 18時05分28秒 | 経済
為替操作国とは何か
 今月5日、トランプ大統領が、お得意のツイッターで「中国は為替操作国だと」書いたことが報道されました。そして即日アメリカ財務所は、中国は為替操作国であると指定しました。

 詳しい調査の結果そう断定したのだそうですが、それはアメリカ・スタンダードでの話で、中国は否定しています。

 客観情勢からみれば、アメリカの多くの企業は中国に生産拠点を移し、アメリカの製造業が空洞化し、アメリカの対中貿易の赤字幅が拡大して、アメリカは困惑、打開策として関税上乗せで輸入を減らし、貿易赤字削減を図って、中国との関税合戦になりました。

 結果、アメリカも返り血を浴び、トランプさんご自慢の経済成長と雇用の増加に蔭が差し、慌ててFRBに圧力をかけて金利引き下げを実現し、その結果ドル安が進行することになりました。

 ドル安になりますと、日本は円高になりますし、中国は人民元高になります。中国は関税を上乗せされた上に人民元高ではどうにもならないので、人民元高対策を講じるのは経済政策上の必然ということにもなります。

 日本は、日銀が、円高になるようなら適切な対応策を取ると口先介入だけで、1$=105円になっても我慢していますが、中国は人民元高が習近平体制を脅かすことも考え、対抗策に出たのでしょうか、2~3%の人民元安になりました。
 そこで、アメリカは、人民元安にするのは怪しからんということで、中国を為替操作国に指定することになったわけです。

 かつては日本も為替操作国予備軍に指定されたこともありますが、歴史を見れば、円高は日本経済に致命的ですから、明日は我が身ということになるかもしれません。

 所で、アメリカ以外の国からか考えてみれば、こうした問題が起きるのは、もともとアメリカ経済が双子の赤字を垂れ流しながら、自国経済の健全化よりも相手国の黒字がけしからんということに発しているのです。
 世界一の経済規模を持つアメリカが、己を持し、赤字が出ないような経済運営を心がければ、関税戦争も、為替合戦も起きないで、世界経済は安定して繁栄を続けられるのではないでしょうか。

 アメリカ以外の国から言わせれば、トランプさんがツイッターでな何を言うかで為替レートは忽ちにして動き、その結果、何らかの対策が必要になり、我慢して新しいレートに合うような体質改善の努力をするか、為替介入などで逃れるか、その2つをどう使い分けるか迷わなければならないという事でしょう。

 見方によっては、トランプさんのツイッターこそが、最強の為替操作だということになるのではないでしょうか。