tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本経済の安定成長を考える 5

2023年06月30日 13時51分10秒 | 経済
<賃金、物価、生産性、為替レートの関係の基本から>
前回はマイナカード問題を挟んでしまいました。
河野デジタル相の剛腕に丸投げして無理を通そうという政府のやり方の安易さに愛想が尽きた結果です。

今回は、物価問題に帰って5回目で、今回で纏めにしたいと思います。
4回までに書いて来た事は、すべて国内経済をベースにしたものです。しかし。今のどこの国の経済も国際的な経済変動の影響を受けざるを得ません。特に日本のような無資源国は資源を輸入しそれを加工して輸出するという形で輸出入のバランスをとらねばなりません。

その関係で起きる問題は大きく2つあります。
1つは、海外の資源価格が変動した場合の対応、2つは、為替レートが変動した場合の対応です。

先ず、海外の資源価格が変動した場合です。
下がった場合は、対応は容易ですので、省略します、
主要な問題は資源価格が値上がりの時に起きます。この場合、理論上の正解は、値上がりした分を 正確に価格転嫁していく事です。

資源価格の値上りは、値上りした分だけ日本が損するという事ですから、損した分(実質GDPのマイナス分)を日本国内でその資源の使用分に応じて皆で負担するしかないのです。

この考え方は、日本では第一次石油危機の時の失敗に労使も国民も学び、合理的な対応が出来るようになっています。
今回のエネルギー資源の高騰でも欧米は10%前後のインフレを招き、金融引締めなど苦労していますが、日本ではそうしたことは起きていません。

ネオジムなどの希少鉱物資源の値上がりの場合も、価格転嫁しつつも、日本は省資源の技術開発なども併用し、資源インフレを食い止める努力が確り行われているようです。

この問題についてまとめますと、海外資源の高騰は「世界各国共通」で、日本はその対応には巧みですから、どちらかというと「ピンチはチャンス」の国ではないでしょうか。

次に、為替レートの変動の場合です。
資源価格は世界共通の問題ですが、円レートの変動は日本だけの問題です。円高はプラザ合意(1985)の時、円安は黒田バズーカ2発(2013~14)の時で、どちらも日本は対応に失敗しいています。

ながーい目で見れば、プラザ合意で大幅な円高を強いられた経済外交の大失敗を、30年たって黒田バズーカで取り返したという意味では、黒田バズーカの実行という政策は大成功だったのです。

この30年の間に、諸外国はインフレ、日本はデフレで、プラザ合意当時の$1=240円という為替レートでの国際競争力が2014年には、$1=120円で達成できたのです。

もし、1985年から2014年まで、30年かけて円レートが240円から120円に徐々に円高になったのであれば、失われた30年は無くて、日本はずっと「ジャパンアズナンバーワン」だったという事も十分考えられます。

しかし、現実は僅か2年で円レートが240円から120円になったので、その対応に30年間苦しんで、経済も社会も大きく劣化したのです。

為替レートは1国を狙い撃ちで沈没させることが出来ますから、油断すると大変恐ろしいことになるという教訓を日本は十分学んだわけです。

黒田バズーカ後、10年程をかけましたが、急激な円安への対応に矢張り日本は失敗したようです。
円高、円安に対する賢明な対応策を日本は学んで来ているのでしょうか。

このブログでも、円高、円安になってからの対応策について種々論じてきました。しかし結局は、異常な円高、円安に「しない事」が最大の対応策だという事になるのではないかと思っています。

此の点については、改めて、経済外交の重要性、そして当面する金融政策の面も含め、取り上げる機会を持ちたいと思います。

マイナカード・トラブルの中での疑問

2023年06月29日 12時34分00秒 | 政治
マイナンバーカードというものを作って日本人の全数をカバーし、基本的な行政機能が全国民に、誤りなく公正に行き渡ることが可能になる時代が来たというのがマイナンバーカードの発想の基本でしょう。

プライバシーに関わることは別として、公的に必要な国民一人一人の情報は、これによってもれなく政府が把握し、迅速な行政、正確で公平な行政が可能になるというのでしょうから、私は当初から賛成して率先してマイナンバーカードを作りました。

ところが、そう考える人は少ないのでしょうか、それとも作るためのへ続きが面倒過ぎるのでしょうか、普及が容易でないと政府は次第に慌て始めたようです。
そして今のような、何ともだらしのない体たらくになりました。

本来これ1枚で、行政手続きはすべて済むという便利さを売りにしているのですが、市役所に行ったときに役に立つ程度ではというので、健康保険証の役目も、身障者手帳の役目も、運転免許証の役目も、行政からの還付金口座にもと色々考えて進めています。

マイナカードと健康保険証の紐つけをしましょう。PCでもスマホでも出来ます。出来たらポイントを差し上げますというのですが、これがまた難しいのです。「私? 出来ましたよ」というのが自慢になるくらいです。ポイントの予算も膨大なものです。

やっと出来たと病院に行けば「うちでは未だ使えません」が殆どです。保険証が使えなくなるんですってね。どうなるのかしら・・・、と心配する人も。
役に立つという還付金口座の紐つけでは、地方の窓口でミスが続出。そして全国一斉総点検、いずれも膨大な費用と手間がかかる難事業です。

証明書という点の問題も大きいでしょう。「運転免許見せてください」、「身障者専用です。手帳を拝見」と言われてマイナカードを出せば済むのでしょうか。

本当のデジタル社会にするためには、政府としても、大変なインフラが必要なのです。
それを、高齢者や身障者も含めてスマホを操ったり行政機関に行って登録をしたり、1億2千万人の日本人が、それぞれやらないと完結しないのです。

そう考えてみたら、こんなことに気付きました。
マイナカードに入っている、あるいは今から入れるべき情報は、多分全部が、中央・地方政府、政府外郭団体などの政府関係機関にある情報でしょう。

それなら、先ず、政府とその関係機関を確りしたデジタル組織にして、情報共有システムを構築するとか、中央政府(デジタル庁?)が一元管理するといった「政府自体のデジタル化」を行う必要があるはずです。
そこから個人別のマイナカードに入力すべき情報を、きちんと一揃い取り出して、全国民のマイナカードデータを作り、地方自治体がカードに入力、本人写真を撮って印刷、「ハイ、これがあなたのマイナンバーカードです」と全国民に渡すようにすべきでしょう。

マイナンバーカードの読み取り装置は、病院、薬局から、交通関係の警察官、身障者用がある駐車場の管理者などにも、据え置き用から携帯用迄、総て必要でしょう。
そうなるまでは、従来のカードとマイナカードは併用でしょう。廃止は出来ません。

政府、特に、行政組織のトータルなデジタル化無くして、日本のデジタル化が出来るはずがないと思うのですが。

日本経済の安定成長を考える 4

2023年06月28日 15時01分49秒 | 経済
<賃金、物価、生産性、為替レートの関係の基本から>
前回は物価を中心にみてきましたが、今回は生産性と賃金です。
生産性については「実質経済成長率」の数字で代替して問題ないと前回の最後に指摘しましたように総理府の発表する四半期GDP統計の数字を見て煮ます

最近時点の四半期GDP速報は2023年1-3月期の第2次速報です。
コロナ禍でマイナスになったりプラスになったりのGDP成長率でしたが、これによりますと、昨年1-3月期から今年1-3月期までの実質経済(GDP)成長率は順に0.5、1.8、1.5、0.4、1.9(%)という事で、2022年度の平均は1.4%です。

2022年度からは消費需要が安定してきているので、今年度は2%を超えるのではないかと期待されます。(今年度の政府経済見通しは実質成長率1.5と控えめです)

という事で当面の経済成長率は「2%」程度と考えてみましょう。日本国内で生産され消費されるモノやサ-ビスは、2%程度増えますから、日本人の賃金が2%ほど増えて、ちょうど購買力とモノ・サービスの供給の増加が一致して、経済は2%成長、インフレはゼロという均衡経済になります。

それでは賃金の方は如何なっているかですが、賃金の指標は、未だ春闘の賃上げ率しかありません。連合の集計結果は3.66%(6/5発表、加重平均方式)で、定昇などを除いたベア部分は2.33%と推計されています。

賃金上昇の最終結果は、これにボーナスや残業代が入ったり、定年年齢到達者の賃金減額があったりでGDPから支払われた人件費の総額はGDP統計の「雇用者報酬」として確定するのですが、春闘賃上げ率はその先行指標です。

ところで2022年度の雇用者報酬は、前年比2.1%で、昨年の連合の賃上げ集計は2.09%と偶然にもほぼ同じです。

以上の数字を並べてみますと、今年は経済成長率(生産性)は2%程度、賃上げ率は3.66%という事ですから、今年も賃上げ率と雇用者報酬の伸び率が「もし」同程度になれば、今年は、3.66%から2%を差し引いて1.66%の物価上昇になるという計算になります。

政府・日銀が望んでいるのは、多分、経済成長2%~3%、雇用者報酬4%~5%で、「4%-2%=2%」あるいは「5%-3%=2%」で生産性上昇より2%ポイント高い賃金上昇で、いずれにしても2%程度の物価上昇という「軽インフレ社会」という事ですから、それに近づいてきているという事でしょう。

しかし現実は、前回指摘しましたように消費者物価の独歩上昇状態です。経済は必ずしも理屈のようには行かないのですが、この原因は、これまでの長い間、最低賃金をはじめ賃金も、輸入原材料も、農水産物の価格なども上がって来ているのに、消費不振で値上げ出来なかった我慢の分が、昨年来の輸入物価上昇で限界に達し、一斉値上げが波状的に起きたという事でしょう。

ですから黒田さんも現日銀総裁の植田さんも、この消費者物価上昇は早晩終わるので、それを待ちましょう、という姿勢です。

理論的にはその通りですが、物価には市場メカニズムの中に、売り手、買い手の心理状態が反映して理論と乖離します。これは一種のムードのようなものです。
「値上がりの前に買おうと、買い急ぎ」
「生産性上げず、値上げで利益出し」・・・

この所の、株価の異常な上昇もこうしたムードに影響するかもしれません。
こんな状態になると、経済政策、金融政策は無視するわけにはいかないでしょう。
アメリカ、ヨーロッパでは、こんなムードが10%前後のインフレを呼び、金融引締め、金利引き上げ政策を生むようです。

「インフレだ! 賃上げストで取り返せ」
という動きも、労働側からすぐに起きるようです。

日本人は総てに慎重ですが、人間の心理は洋の東西を問いませんからそろそろ政府、日銀も気を付けた方がいいのではないでしょうか

日本経済の安定成長を考える 3

2023年06月27日 13時28分05秒 | 経済
<賃金、物価、生産性、為替レートの関係の基本から>
前々回、前回で、政府・日銀が、「賃金、物価、生産性」の三者の関係について、どんなバランスが日本経済の安定成長路線と考えているかという事と、それに対して今の日本経済の実情としての「賃金、物価、生産性」の動きはどうなっているかを見てきました。

政府・日銀は、望ましいバランスと現状との違いを識別する方法として、「2パーセントインフレ目標」と「現実」とのギャップを最も解り易い指標として考えているのでしょう。

これは確かにその通りで、目標と現実のギャップは象徴的に、物価の動きに出て来るので、先ずそれを見て、そのギャップの原因を考えてみるとことにします。

先ず、消費者物価ですが、この所の年率の上昇率は3.2%(5月)です。しかしこれは輸入物価の値下がりや、政府の政策が反映するエネルギー価格なども入っていて、日本経済の賃金、物価、生産性の動きそのものの反映ではありません。

そこで、日本経済自体の賃金、物価、生産性の関係を示す「生鮮食品とエネルギーを除く総合」、いわゆるコアコア指数を見ますと、4.3%(5月)という事で政府の2パーセント目標の2倍以上になっています。

日銀の全相殺の黒田さんも、現総裁の植田さんも「そのうち下がるからその時期を待って金融政策の正常化をする」という事ですが、コアコア指数は一本調子で上っていてなかなか下がる気配がありません。

加工食品などを中心に10%前後の上昇を続けているものもあり、最近上げ過ぎではないかといった声も聞かれます。上げ過ぎというのは、値上げムードに乗って便乗値上げの部分が入って来ているのではないかといった見方です。

この場合は値上で利益を挙げようという意識が混ざることになり、行き過ぎると消費者の反発、消費抑制、消費不振などの可能性も生まれ経済が混乱します。

政府も6月からの電気料金の大幅値上げを認めたところですから、少し気にし始めたようです。

ところで、コアコア指数が落ちついて2%程度になれば、ゼロ金利の見直しということになリ、日本経済全体の正常化という段階になるのでしょうが、その際の賃金と生産性は、どうあるべきかという事になります。

大事なのは生産性の行方です。生産性の向上は、日本中のあらゆる産業・企業がそれぞれに、より効率的な生産活動を追求するところから生まれるわけですが、それを示す数字は実質GDPの成長率です。

この場合、生産性は、賃金との関係ですから勿論「労働生産性」ですが、労働力人口や就業者数はほとんど変わらないでしょうから、実質GDPの年率伸び率が生産性の上昇率としてもいいと思います。

日本経済はゼロ成長時代から脱出の気配が見られますが、前々回も触れましったように、生産性が賃金上昇の基準にもなり、賃金、物価、生産性のバランスのベースにもなるものです。勿論経済成長率は、国民全体としても最も望むところでしょう。

次回は、「生産性と賃金」の現状、その関係と物価についてみていきたいと思います。

日本経済の安定成長を考える 2

2023年06月26日 14時31分28秒 | 経済
<賃金、物価、生産性、為替レートの関係の基本から>
前回の第1回に、最近の日本経済の特徴をいくつか挙げ、日本経済が変わり目にあることを見てきましたが、総じていえば、良い方向に動いている事は明らかなようです。

しかし、種々アンバランスな点もありますので、そのあたりを「本来あるべき姿」に持っていく事が必要でしょう。

政府・日銀は、物価上昇2%という指標を重要な判断基準としていますが、これは物価(消費者物価)が0だったころに掲げられたもので、現在はもう3%を超え、国内要因の部分の上昇は4%を超えています。

政府も日銀も、これから下がると言って放置していますが、それでいいのでしょうかという問題もあります。

そこで、政府・日銀が何故そう考えているのかも含めて先ず、物価が何によって動くのかの基本を見てみます。

海外要因は後から付け加えるとして、国内要因による物価の形成は、基本的には、賃金と生産性の関係によって決まります。

生産性が3%上がれば、賃金を3%上げても、利益も3%増え、労使ともに安心です。生産性上昇が3%なのに賃金が5%上がれば企業は利益が出ませんから、企業、は販売価格を2%上げ、売上高も5%増にし、利益も5%上昇で、2%インフレ経済にするでしょう。

政府・日銀が2%インフレ目標を決めたのはゼロ成長ゼロインフレのころで、日本経済は低迷でしたから、2%ぐらいのインフレになれば、何となく景気が良い感じで、経済が上手く回るのではないかという事で、そう決めたのでしょう。

これは欧米主要国では年に2~3%のインフレは普通という現実から、現実の経済として妥当な目標と判断したのでしょう。

そして、賃金を高めに誘導し、2%程度のインフレを起こし、消費者は値上がりする前に買おうと購買意欲を高め、企業は、値上りと売り上げ増で経営を積極化し、結果的に徐々に景気が良くなるという動きを期待し、賃上げ奨励、官製春闘を演出しました。

しかし、この目論見は外れ、消費者は将来(老後)不安から生活防衛の貯蓄に走り、労働組合の賃金供給にも点火せず、目標は棚晒しになったままで、当時の黒田日銀はゼロ金利を続けざるを得なかったという事でした。

これが変わったのが、コロナ明けで消費が動き始めたこと、消費不振で値上げをせずに我慢していた生活関連物資・サービスの生産流通分野で、この際値上げしないともうやれないというる切羽詰まった気持ちでの一斉値上げの動きだったのでしょう。

一斉値上げが始まったのは2022年の春からです。折からの原油価格高騰による輸入物価の高騰、アメリカ、ヨーロッパの急激なインフレもあり、一斉値上げは波状的に起こり、まだ続いています。

この状況は、労働組合の賃上げ要求態度にも影響し、欧米のインフレ抑制のための高金利と日本のゼロ金利継続による円安の急進行で潤う企業が賃上げ容認の姿勢を示したこともあり、(それにしては小幅でしたが)春闘賃上げ率も1%程度高まることになりました。

それぞれの動きはちぐはぐですが、今迄の、長期不況に縛られた意識から脱出したいという雰囲気が広汎に出てきたというのが現状でしょう。 
問題はこの不揃いな動きをどうするかです。これが次回の課題になります。

日本経済の安定成長を考える 1

2023年06月24日 14時23分12秒 | 経済
<賃金、物価、生産性、為替レートの関係の基本から>
日本経済が、従来の長期低迷から脱出するのではないかという見方が最近強くなっています。

昨年から日本の消費者物価が上昇を始めました。欧米に比べれば小幅と思われていますが、5月の消費者物価のコアコア指数を見れば、アメリカは4月の5.5%から5.3%に下がり、日本は同3.9%から4.3%に上昇、このままではアメリカを追い越す気配です。

これも昨年からですが、家計調査(毎月)の平均消費性向が長年の低下傾向から反転上昇する月が殆どになって来ました。

春闘で労使が「共に」賃上げが必要と言い始め、春闘の賃上げ率が、これまでの2%台から3%台に上ったようです。(そろそろ厚労省から最終結果が出るでしょう)

国際情勢の変化からでしょうか、製造業の生産設備の国内回帰が盛んになり、また半導体分野などでは海外企業が日本に巨大工場の建設に動き、日本自体も主要企業が協力しまた政府系機関も大規模生産設備に踏み切りつつあります。

コロナの終息状況から、インバウンドの急速な拡大が見込まれるという指摘が多くなりました。

最近はヨーロッパの機関投資家を中心に東京のマネーマーケットに関心を高めたようで、大量の資本が流入し、急速な日経平均の上昇がありました。

貿易赤字が常態化するような気配があり、円安が、じわじわと想定外の水準まで進んだりする様相が見られます。

動きの中には健全な経済活動とみられるものから、物価や為替など先行きが心配されるような動きもあります。

工場の国内回帰のような実体経済そのものの活動もありますし、株式市場への投機資金流入のような、マネー経済の動きもあります。

それらは、円レートの動きなどと相互に影響し合いながら、これからの日本経済が、健全な成長路線に向かうという、国民の願いにそれぞれにプラスあるいはマイナスの効果を持つのでしょう。

経済活動は、こうした複雑な要素の合成の結果なのですから、大変わかりにくいということになるわけですが、例えば、政府・日銀がインフレ率2%という極めて単純な指標で日本経済の動向を判断し、また政策の調整をしようとしていますように、誰にも解り易い、基本的な数字もあるはずです。

そんな意識を前提にして、今後の日本経済の安定成長のために適切なバランスを構成するべき指標、その数字について、出来ればそれらのバランスの在り方から望ましい方向を確かめてみたいと思いつつ、現状を出来るだけ整理してみたと思います。

5月消費者物価:コアコア指数上昇続く

2023年06月23日 14時34分45秒 | 経済
5月消費者物価:コアコア指数上昇続く
今朝、総務省統計局から2023年5月期の消費者物価指数が発表になりました。

最近マスコミは総合指数ではなく、変動の多い生鮮食品を除いた「生鮮食品を除く総合」(下のグラフでは赤い線)を主要指標として発表することが多いようで、対前年上昇率は3.2%で前4月の3.4%より低下としている見出しもあります。

然し本文の説明では、食品、飲料、外食、宿泊料などの値上がりが続いていて、収まる気配がないといった説明もあります。

以下、実態を確り見ていきたいと思いますが、このままの状態では消費者物価の上昇は問題含みになるというのが当ブログの持つ実感です。

海外では、アメリカはFRBが金利の引き上げでインフレ抑制を強力に進め、明らかに効果を見せています。副作用の景気の減速にも注意を払っていますが、インフレ鎮静が、経済先行きの安心感につながっているようです。

イギリスは、労働側の賃上げ攻勢も強いようで、金融引き締めの効果が小さく、金融引締めの一層の強化で舵取りが難しくなっているようです。

日本の場合は、国民がインフレ嫌いで、放置してもインフレ昂進の可能性は少ないからと考え、異次元金融緩和継続の黒田路線を植田総裁も踏襲しているようですが、些か問題含みではないでしょうか。

先ず下のグラフでは、今年2月は政府の補助金でエネルギー料金が下がり、「総合」(青)と生鮮食品を除く息総合」(赤)は下がっていますが、「生鮮とエネルギーを除く総合」(緑)はまっすぐ上昇です。下がった電気ガス料金は入っていないからです。

         消費者物価指数主要3指数の推移

                資料:総理府統計局「消費者物価指数」

昨年来上り続けて、5月になって漸く青と赤が揃って横這いになったので、これで上昇も「ピークかな」ですがそうはいかないようです。
                
この辺の動きを対前年上昇率で見てみますと、下の様になっています。
消費者物価3指数の対前年同期比の推移

                       資料:上に同じ
     
今年2月のエネルギー補助金の効果は大きかったのですが、政府は6月から電気料金の大幅値上げを認めています。青・赤の線がどう動くか、ちょっと怖いですね。

上のグラフで5月の青・赤の線が横ばいになり、下のグラフでは対前年伸び率が縮小しているのは、総理府の消費者物価10大費目の表で見ますと「光熱・水道」が、対前年同月比でマイナス8.3%だからで主として電気代の値下がりによるものです。

公共料金の動きは、経済現象でない要素が大きいので、よく解りませんが、電気料金はまた6月からは政府の意向で上がるのでしょう。こうした経済現象を攪乱する要因は別として、今の本当の問題は、「緑の線」が一貫して直線的に上昇している事です。

この所毎月指摘しておりますように緑の線(生鮮とエネルギーを除く総合)は日本経済の中の日常の消費活動の動向を天候や輸入物価の影響を除いてみる事の出来る所謂「コアコア指数」(芯の芯)です。

この指数が一貫して直線状に上っているという事は、日本経自体が明らかにインフレ傾向を持って来ているという事を示していると見るべきなのです。

冒頭にも挙げました生鮮を除く調理食品、乳卵類、飲料、外食、宿泊料、日用雑貨などは1年で10%前後の値上がりです。
しかもそれが昨年来の一斉値上げの波を、2年目に入っても上げ幅を大きくするものもあるような形で、続いているようです。

鳥インフルの影響を受ける鶏卵、鶏肉のような特殊事情もありますが、年10%のインフレが2年にわたって続くというのは矢張り問題でしょう。

消費者物価の上昇は、消費支出を抑制します。日本の家計を再び過度な節約指向に引き戻さないように慎重に考慮しながらの経済活動、経済・金融政策が望まれる段階に入っているのではないでしょうか。

改めて日本は米中関係安定に努力を

2023年06月22日 13時54分37秒 | 国際関係
イギリス訪問中の林外務大臣が、イギリスの王立国際問題研究所で、日本の外交政策と日英関係をテーマに講演しました。

大変大事なのは、林外相はその中で、インド太平洋地域の平和と安定を述べ、特に中国の立場の重要性に触れ、中国は、力や威嚇によって国際秩序を変更しないという戦略的な決断を下さなければならないと指摘したとニュースが伝えていることです。

その上で、中国とは国際社会が直面する共通の課題では協力する事が大事だとして、建設的で安定的な関係の構築を図る考えを強調したという事です。

詳しい講演の内容を見ているわけではありません。また、林外相の訪英が、日本政府のいかなる意図で行なわれたのかも詳細を知るところではありません。

然し、この時期に、日本の外相が訪英し、中国に対する平和的で建設的な関係が、今の世界にとって必要だという事を強調したことは大変良かったのではないかと思います。

ブリンケン米国務長官が訪中し、米中対立の片隅に微かな意思疎通の部分を作ったことは、まさに、アメリカでなれば出来ない事ですが、この所、世界からもアメリカべったりのように思われそうな日本が、日本として世界に役立つことを堂々と「日本として」主張することはまさに大事でしょう。

アメリカでは、ブリンケン国務長官がようやく対話の道を付けた直後なのに、バイデン大統領が習近平は独裁者(来年の選挙を意識してか)などと言ってしまい、またトラブルのもとになりそうです。

中国も対立激化は避けたいでしょうから、大事に至らなければいと思いますが、「禍は口より出ずる」の諺は、アメリカでも同じでしょう。

こうした、何かあれば米中をはじめ、バランスが崩れそうな微妙な世界情勢の中で、不戦を謳う日本は、痩せても枯れても世界第3位の経済大国ですから、地道に真剣に世界平和へのバランスの回復に、日本らしい独自の立場で、世界の多くの国々が納得るような主張と行動を常に心がけることがその役割なのではないでしょうか。

ロシアの様に異次元の感覚を持つリーダーが、世界中が望まない暴挙に踏み切り、剰え、核の脅しを乱用するような情況の中で、常に破壊を否定し、世界の平和と繁栄のために発言する日本というあり方を明確に堅持することが、今の世界情勢を考えれば考えるほど、日本の果たすべき役割と思念すべきでしょう。

そのためにも、日本が、アメリカと話すだけではなく、中国とも積極的に話し合い、米中関係の安定に最善の役割を果たすという旗印を世界に向けて掲げることを、先ずは、今日の時点で、日本の現政権に期待するところです。

ホタルは残念! 代わりに旬の花3題

2023年06月21日 11時55分41秒 | 環境
6月3日に、満を持したつもりで「今年のホタルは・・」を書きましたが、残念ながら今年も結果は失敗でした。庭の隅のU字溝に、去年はゲンジだけでしたが、今年はヘイケの幼虫も放流して、上陸、羽化を期待しましたが、去年のゲンジ7匹羽化までも行かず、ゲンジ2匹の羽化で、ヘイケはゼロという結果でした。

原因はU字溝の汚れかと思っていますが、来年は(鬼が笑そう)じっくり考えて改善し、ご近所の方達に「ホタルが出ました」と見に来て頂けるようにしたいと思っています。

そんなことで失意の中で、代わりに旬の花3題にさせて頂きます。

先ずは開き始めたアガパンサスです。家内がママ友のお宅の庭から頂いて来たのは何10年か前になりますが、毎年元気に咲いてくれます。



花冠に何10という花が開くのは、先日の写真の紫陽花と一緒ですが、アフリカ原産、アメリカ経由で洗練されたスマートな空色です。

昨年は同じ時期に咲いていた同じ属のアフリカ原産、ユーラシア大陸経由のルリフタモジ(瑠璃二文字)は今年はまだです。

2つ目はノウゼンカズラで、今年も良く咲いてくれそうです。



3年ほど前に、少し丈を低くしようと主幹を切り詰めたせいか、その後、蕾が開かずに落ちてしまう年がありましたが、昨年からは良く咲いてくれます。

お隣まで枝が伸びるのが欠点ですが、その枝は切ってお行儀よくしています。
長く垂れ下がる枝には何10もの蕾がついて、上から順に開き、最後は先端の1輪が残ります。橙色の花は夏空に良く映えます。

3つ目は極く小さな花です。秋に向って葉の数を増やしてきた秋海棠の間に、所々にピンクの小さな花が咲いたので、何だろうとよく見ましたら、カタバミの花でした。



そういえば、庭の隅で時に見かけるなと思いましたが、緑の葉の大きめなカタバミでした。
写真を撮って、拡大してみますと、素晴らしく綺麗な花でビックリです。こんなのが、品種改良で大きな花になったら人気が出るかと思われるぐらいです。

既に初夏の気配で、そろそろ矮性の百日紅の伸びた枝の先に蕾も見えてきました。これは秋まで咲いてくれて、まさに100日ほどの長い間、ピンクの花冠でミツバチや蝶を呼ぶでしょう。
こちらはまたの機会です。

米中関係は「争い」から「競い」に脱皮できるか

2023年06月20日 14時47分53秒 | 国際関係
アメリカのブリンケン国務長官が中国を訪問しました。
マスコミは、習近平主席にまで会えるかと懐疑的な所もあったようですが、この訪中は大成功だったと言えるのではないでしょうか。

秦剛外相との会談は数時間に及んだようですが、長時間の会談は、米中の思いの共通部分を理解し合う成果を齎したのでしょう。
そして、外交トップの王毅氏との会談に進み、最終的に習近平主席との会談も実現することになりました。

アメリカにはアメリカの事情があり、中国には中国の事情があるのでしょうが、現状の米中関係を見れば、客観的には、対立点よりも、共通点(共益点)の方がずっと大きいのはないでしょうか。

世界の覇権を争う立場にあると言われる2つの国が、より大きい共通点の方を理解し優先するという事は時に困難かもしれませんが、それを願うのは人類社会全体としては当然でしょう。

日本にとってはどうでしょうか。地球人類の平和を希求し、多様性の共存、融合、習合についての文化的、社会的な理解をその原点である縄文時代に持つと言われる日本人にとっては大変望ましい方向への一歩と感じられるところでしょう。

こうした動きに対して、アメリカでは来年の大統領選挙を控えて、アメリカ社会を2分するような動きがあり、現政権としては、外交面での安定の確保が極めて重要だからとか、中国ではコロナ対策の問題もあり、経済不振の様相が懸念されることもあって同様に国際的な安定が望まれるからといった見方もあるでしょう。

更には、アメリカは世界における覇権国という地位の確保を最優先する国で、次の覇権国を狙う中国と、今の時点で、徒に対立することは現状では望ましくないという意識に基づく発想であるとか、中国は満を持して覇権国への力をつけるために有利な政策を選ぶ深遠な意図があるといった解説もあるかもしれません。

勿論世界にはいろいろな立場や意識があり、いろいろな識者が論を戦わせ、またいろいろなマスコミがあって、いろいろな論説があるわけですから、それに最近は生成AIの意見も出て来るのかもしれませんから、議論は尽きないのかもしれません。

沢山の議論があることは大変結構だと思います。多様な意見があって、人びとはそれを見聞きし、学び、咀嚼して自分の意見を持つのでしょう。
反対の意見、視点や角度の異なる意見があって初めて気づきがあり、独善が薄められるのでしょう。

多くの意見に触れることで、次第に個人から国までの行動が、社会全体の望む方向に進むというのが、もともとの人類に与えられた知恵の使い方ではないのでしょうか。

最終的には同じ人間同士というところに立ち帰るという事になれば、世のなか平穏無事に近づき、安定発展の基盤が出来るのでしょう。

こうして、米中関係も、争いによる潰し合ではなく、競いによるそれぞれの成長が実現されることが世界にとって最も望ましい事ではないかと思い、今後のさらなる成果に期待するところです。

そろそろバブルへの分かれ目でしょうか?

2023年06月19日 16時27分33秒 | 経済
今日は株価にも黄色信号が付いたようです。
その道の専門家のコメントでは「底堅い」が共通語になっているようですが、午後になって400円近くまで下げて下値を試したのではないでしょうか。

上げ幅が大きかっただけに、この程度の下げでは、小安いとか、今日は様子見、とかいうことになるのでしょう。

2015年の4月に、「バブルなのか、バブルでないのか」を書いていますが、その前に書いている「2種類の物価」も併せて、実用的な価値(使用価値)に見合った価格はバブルではないが、「値上がりを目指して買う」ような段階になるとバブルの可能性が、というのが基本的な視点です。

今の日本の株価はどうかと言いますと利回りが2%以上もあるような株は国債や預金金利と比べれば、絶対有利ですから値上がりしても当然かもしれません。

然し高率配当に問題があって、突然配当も株価も大幅下げたなどというケースもあるので(カルロス・ゴーン式経営)、これが「確定利付き」と「配当利回り」のバランス関係どう判断するかの時に可否を分ける大きな要因でしょう。

日本国内の人間の場合は、「確定利付き」の金利は日銀、政府のゼロ金利政策の結果ほぼ「0」ですから、利回りは株の方がいいというのが殆どのケースでしょう。ですから政府は預金から株へと言ってNISAやiDeCoを税金まで免除して推奨するのでしょう。

しかし普通の人は株がいつ上るか下がるかは解りませんし、利回りが4%もあるからと買ったら株価が1割下がることもざらですから、簡単には怖くて買えません。

ところで、外国人が、今回の場合は、ヨーロッパの投資家がみんなで日本株を買ったように説明されていますが、そうだとすれば、確定利付きがゼロ金利だからというのではなくて、日本の株は出遅れの様だから(経済が出遅れの結果なのですが)、そこを狙ってみんなで買って、上ったら売って儲けようという事なのでしょう。

もともと日本企業を育てて、日本経済を発展させるための投資ではないのですから、狙っているのは、ある程度のバブルを発生させることが目的なのでしょう。

日本人は真面目ですから、日本に投資してくれるのは有難い、この際、日本株の株価の水準訂正をして、その間日本の投資家も儲けられればなどと考えるのでしょう。

「底堅い」、「未だ上がるのでは」という雰囲気に押されて日本の資産家も素人投資家もこぞって提灯をつければバブルも本番に入りそうです。
外資が引き揚げた後どうなるかが、大小あってもバブルの宴の結末はどれも似たものでしょう。

1990年に付けた3万8千円台の再来があるかもしれないなどという言葉が、そのうち聞かれるのではなどと心配していますが、若しそれも良いじゃないのというのであれば、それに見合った日本経済になる努力が必要です。

防衛装備品を投資勘定に入れたからと言って、それが経済成長を促進することはありません。子育て支援は、看板は出来ていますが、資金の裏付けがありません。
ヨーロッパやアメリカの「日本にバブルを」に乗って、資金を作ろうというのでしょうか。
そういうのが成功したためしは余りないようです。

今日は株価が下がっていますが、「脚下照顧」、足元を確かめる事の方が大事かも知れません。

困った「働き方改革思想」の独り歩き

2023年06月17日 14時34分46秒 | 労働問題
「働き方改革」という政府の方針が出て、日本と文化社会の在り方が全く違う欧米流の「働き方」が一方的にいいものだという浅薄な理解が、日本の職場で働く日本人に適用されるようになり大迷惑の企業が多いようです。

はっきり言って日本の文化・社会の基本には、常に「人間中心」の思想があり、人間の作る社会、人間の作る文化ですから、常に人間を主体にし、人間を大切にすることが基本と考える事が基本になっています。

これに対して、欧米の文化は、人間を場合によっては(主要人物以外は)主体ではなく目的のために使う手段として考える思想が残っているようです。

恐らくこれは奴隷制が一般的だった歴史的な文化の残滓なのでしょうから、縄文時代から奴隷制の無かった日本の文化の中では発想されない思想なのでしょう。

例えば、企業は日本では人間集団で、中の人間が協力して役割を担うという形が一般的です。具体的には、仕事を決めずに人物本位の新卒一括採用という考え方です。
仲間が集まった、みんなで一緒に仕事をしようというのが企業です。

欧米では、企業というのは多様な職務を組み合わせた組織であり、それぞれの職務に適した人間を採用するという形で、職務の必要に応じた随時の採用が普通です。
船の漕ぎ手が何人必要、荷物の運搬に何人必要、その分奴隷を集めよ。昔の話ですが。

生産活動の要素は「人間と資本」と経済学は言います。日本では、なるべく「生産活動は人間が資本を使って行う」というべきでしょう。

属人給中心の日本に「ジョブ型賃金」(昔の職務給)を導入せよというのが安倍政権以来の「働き方改革」の基本ですが、誰か欧米流こそが合理的と思い込んでしまって、日本流の、常に人間が主体という理解を欠いたアドバイザーがいるのでしょうか。

その問題が、今度は退職金制度に飛び火してきたようです。
退職金制度というのは、わが社に加わった人間は、わが社で教育し、出来るだけ長くその成果でわが社に貢献してほしい、それが本人にとってもわが社にとっても最も効率的な人間能力の生かし方ではないか、という考え方に由来するものです。

従って、勤続が長くなるほど有利になるのが退職金制度設計の原則です。
ところが昨16日に岸田政権が閣議決定した「新しい資本主義」の実行計画では、企業が定める退職事由による退職金格差、自己都合では低くなるという決め方は見直しが必要とするようですし、税制で長期勤続を支援する20年勤続以降の税控除の優遇の見直しが盛り込まれているとのことです。

理由はともに、労働移動の円滑化を阻害するという、日本の文化社会の在り方とは異なる欧米流の職務中心の考え方から来ることのようです。

矢張り基本的のおかしいのは「労働移動がしやすいのがいい働き方」という欧米流の企業中心、人間は企業繁栄の手段という日本文化と真反対は思想に従ったものです。

政府は転職してより良い仕事について高い賃金を得ることが良いという固定観念のようですが、現実は転職して賃金が上るというのは一部の能力の高い人の話で、大多数の人は、慣れた企業で慣れた仕事で腕を上げベテラン社員になって、人事異動はあっても安定した雇用、それなりの賃金、優遇された退職金を得て、その後は慣れた仕事で再雇用というのが最も望ましい職業人生でしょう。所謂豊かな中間層というのはこういう人達でしょう

それなのに、多くの企業が困るようなことを政府が考えるのも、どうも「異次元少子化対策」の財源探しの一環という事もあるようです。「働き方改革」という見当違いの政策がそこまで影響するというのも困った事ですね。
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多くの従業員の声を聴けば、「辞めようと思えばいつでも辞められるよ。転職して給料が2割ぐらい上がるチャンスがあれば、考えるかもね。でも、俺の場合、そんなチャンスは、滅多になさそうだね」とのことです。

日銀は静観、異次元金融緩和はいつまで放置か?

2023年06月16日 22時22分52秒 | 経済
昨日、今日と日銀の金融政策決定会合が行われました。
消費者物価の上昇が相変わらず続いている事に、そろそろ家計の消費行動も影響を受ける様子が見え、公共料金(電気料金など)は政府が引き上げを決め、春闘の賃上げが多少高かったと言っても、消費者物価の上昇の方が先行しそうな様相は相変わらず続いています。

一方、無理して(気前よく)高めの賃上げを決めた企業も、日銀の見方によれば収益状況はますます良いようで、海外からの日本の株価はもっと上げるべきだといった意向があるのでしょうかPBRが1を切っているのは日本企業に積極性がないからだと言われたようで、急に自社株買いを始めたり、株価の上昇を望むような動きが出ました。

PBRは企業経営の積極性の指標かも知れませんが、それは企業の積極性や成長力を評価して株価が上るからで、自社株買いをして株価を上げても、別に経営が変わったわけではなく、PBRの数字が上るだけで経営の実態は同じでしょう。

そこにウォーレン・バフェットさんの発言が在ったり、急にヨーロッパのマネーが東京市場に流入して株価が異常な暴騰を示したり、どう考えても、日本企業に賃金より株価を上げろと言う要求をしていると思われるようなことになっています。

こんなに株が上がるほど日本経済は順調なのかと言えば、政府も経団連も、今年は賃上げ率は上ったがこれを継続的にしなければと言いながら、防衛費や少子化対策といった財源の裏付けのない政策を打ち出すだけで、来年の賃上げにはあまり自信がないようです。

今年の賃上げが3%台に乗ったと言っても、為替レートは今年に4月には昨年4月より5%ほど下げて(円安)いますから、ドル建てでは賃上げは帳消しでマイナスです。やっぱり日本の賃金水準は、国際的には下がっているのです。

しかも国内では消費者物価の上昇が続き、コアコア指数は4月には3.8%、5月には3.9%の上昇ですから、実質賃金低下は国内の原因で続いているのです。  

黒田さんが異次元緩和の継続ばかりだから何か新機軸をと言うので経済学者の植田さん替わったという感じなのですが、現実の状況は何も変わりません。
YCCなどと言いますが、金利は経済実態の反映で決まるものですから、無理に金利のコントロールで経済をそれに合わせるというのは、時計の針を回せば時間が経つと考える様なものでしょう。

そして株だけ上がればみんな豊かになったと思うのではとバブルの再現のような株価上昇について「企業の収益性を評価したもの」と言われても、「賃上げが低いから収益が上がるのでは」と「成長と分配の好循環になっていません」という意見が出ても当然でしょう。

「物価の上昇については気にしている」と言われて、日銀は、昔は「物価の番人」と言われていた事を思い出してみても詮無い事のようです。

今回の金融政策決定会合の結果が日銀の分析能力によるものか、折角の円安、折角上がってきた株価を下げたくないような意向の影響か、解らない事ばかりですが、今夜も日経平均のCFDは上がっているようで、6月になれば電気料金の大幅な値上げが待っているといった現実が、何か先行きの不安を感じさせるのではないでしょうか。

ホンダジェット米大陸無着陸横断へ

2023年06月15日 15時09分01秒 | 科学技術
ホンダジェット米大陸無着陸横断へ
このブロ後では、ホンダジェットの描き始めた軌跡を追っていますが、新しい発表がありました。
今迄の同サイズの小型のビジネスジェット機でのトップセラーという実績から、今度は、さらなる新段階のへの計画を披露したのです。

ホンダジェットを製造する「ホンダエアクラフト・カンパニー(HACI)はホンダがアメリカに作ったアメリカ国籍の会社です。

今回発表された新型機は、従来のホンダビジネスジェット「ホンダジェット エリート II」より一回り大きく、定員も8人乗りから11人乗りという事ですが、最大の特徴は航続距離で4862kmを目標にしている点です。

この航続距離は、アメリカ大陸の東海岸と西海岸の距離を無着陸で飛べる距離で、それが実現すれば、小型ビジネスジェット(ライトジェット・クラス)では初めてという事だそうです。

そのためには燃費を二割ほど節約しなければならないという事ですが、その点は今まで培ってきた省エネ技術がモノを言うという事になるのでしょう。

アメリカのように世界一のビジネスジェットの利用国で、国土が広大とはいえ、小型のビジネスジェットでは「ひと飛び」でアメリカ横断が出来ないというのは大変都合が悪いでしょう。しかしそこまで省エネ技術が届いていなかったという事だったのです。

今迄出来なかった「無着陸横断」をホンダの省エネ技術で可能にするというのも、ユーザーには勿論、技術としても素晴らしい事ではないでしょうか。

本田技研の創始者の本田宗一郎氏が、第二次大戦の戦時中、軍の下請けでピストンリングを作りながらの夢を、戦後モーターバイク、四輪車の世界的メーカーで実現、次は飛行機と考えておられたことは話に聞きますが、まさに、夢が花開いていく発展でしょう。

三菱航空機MRJ、後のスペースジェットが、素晴らし試作機を世に問いながら、最終的に生産を中止することになったのは、返すがえすも残念ですが、三菱航空機は日本の会社であり、ホンダエアクラフトはアメリカ会社であることも大きく影響しているなどといったことも聞かれます。

こうした問題には、市井の我々には解らないいろいろな問題が在るのでしょうが、それにしても今回のホンダエアクラフトの発表は、日本産業、ホンダの育てた技術力の成果という点からも素晴らしいものではないでしょうか。

新型ホンダビジネスジェットによる、米大陸無着陸横断の実現のニュースが期待されるところでしょう。
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写真はこちら。ホンダHPより:
url:https://www.honda.co.jp/news/2023/c230614.html?from=top_newsroom_area

「異次元金融緩和の継続」はどうなるか

2023年06月14日 14時17分06秒 | 経済
「異次元金融緩和の継続」はどうなるか
前々回、最近の日本経済は、何かおかしいと書きました。

昨日今日の様子を見ていましても、やっぱりおかしいという感覚は消えません。
直接おかしいなと感じるのは、株価が、どう考えても異常ではないかと思われるほど急激に上がっている事です。

勿論日本人の投資家や大衆株主の力で、こんなに急速で大幅の株高が起きるとは思われません。日本の投資家はもっと臆病でしょう。
これからの日本経済が、こんなに株価が上るほど力強い成長力があると考えているとはとても思われません。

昨日も岸田総理の記者会見がありましたが、防衛予算増額についても異次元の少子化対策の財源についても、国民が安心できるような健全な財源確保の具体案はありませんでしたし、急速な経済成長の回復を感じさせるような発言もありませんでした。

アメリカをはじめ、海外の株式市場も日本のような異常な上昇は見られませんし、何で実体地経済の冴えない日本の株価だけがかつてのバブル期を上回るようなスピードで上がることは、どう見ても異常に感じられます。

日経平均が大引けで少し軟化して終わっても、引け後、CFDは着実に上昇し、明朝の寄りつきに向けて着実の上がっていき、そのまま、上昇した水準で日経平均は始めるといった感じで、何か決められたレールの上を進んでいるような状況です。

報道によれば、ヨーロッパ筋のカネが流入という事ですが、何かヨーロッパが、日本に株バブルを起こしたいという要因があるのでしょうか。

更に、日本政府や日銀が、この異常な株高の進行について何も触れていないという事も何かおかしい感じがします。

菅総理の時、一時日経平均が30,000円を付けました。菅総理は、「3万円は目標のまた目標だった」と喜んでいましたが、今、総理や関係閣僚からは、何の意見も声も聞かれません。
あたかも、「もうそれは当然のこと」と分かっているのではないかと感じられるほどです。

明日からは日銀の政策決定会合が開かれます。
植田総裁の予想の様に消費者物価の上昇率が鎮静かするか、それとも「生鮮食品とエネルギーを除く総合」(通称コアコア)が相変わらず上昇を続けるのか、6月からは電気料金の大幅値上げがあり、心配されるその影響など、日銀としては、最も気になるところでしょうが、どんな見解が出るのでしょうか。

アメリカが、インフレ鎮静から利上げストップに動く時期に、日本が逆に、異常に長期化した「異次元金融緩和政策」から、金利引き上げに動くかは、日本経済にとっても$:円レートに影響し、アメリカにとっても日本にとっても気になるところでしょう。

異常な株高に象徴される日本経済の現状を、一体どう見たらいいのか、政府は無反応、日銀の反応はいかにですが、そのあたりから何か日本経済の現状の異常についての何かのヒントが見いだせるのかと注目するところです。

株式市場関係者は、拍手と万歳かも知れませんが、何か違和感をお持ちの方も多いのではないかと思うのですが、手放しで喜んでいていいのでしょうか。