tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

釣鐘水仙と白雪芥子のせめぎ合い

2022年04月30日 13時32分49秒 | 環境
アケボノは花が落ち始め、一方オオムラサキは、今日は5~7分咲きです。昨年はコロナのデルタ型で外出まかりならぬという事でGWも「花を愛でて過ごします」と書きましたが、今年も高齢者は巣篭りです。

昨年は5月2日に満開のオオムラサキの写真を載せましたが、あと3日、やはり同じように満開になるのでしょう。

今日はオオムラサキの下のホタル上陸・羽化用の藪の様子です。
ハナニラや黄水仙、貝母、アリストロメリア、キスゲ、ジャーマンアイリス、ウラシマソウ、シラユキゲシなどを家内が植えていたのですが、ここ何年かシラユキゲシ(白雪芥子)が塀際から進出して、一面に葉を広げるようになりました。花も良く咲いて真白な綺麗な花なので自然のままにしていました。

ところが、今年はツリガネズイセン(釣鐘水仙)がシラユキゲシの中に随分たくさん伸びてきました。
シラユキケシの花は塀際は元気ですが、手前の方はツリガネズイセンの紺色の花が、シラユキゲシの葉の間から高めに揃って伸びて咲いています。



ツリガネズイセンの葉は、水仙と同じ細長い艶のある葉で、根元にびっしり広がるのですが、その葉はシラユキゲシの伸びた葉の下に隠れてしまい。シラユキゲシの葉の中にツリガネズイセンの花が咲いているような景色になりました。

来訪される方のなかでも気がつかれて、「綺麗ですね。これ何ですか」などと聞いてくれる方もいたりたりします。



ツリガネズイセンは我が家の狭い庭ではよく増えて、リュウキンカと同じように、気が付くと至る所に出て来ているような感じです。
もともと球根なのに、なんでそんなにあちこち増えるのかわからないのですが、ゴールデンウィークには毎年きれいな花を見せてくれるので、増えるままにしています。

オオムラサキの下の藪は、これからもシラユキゲシとムラサキズイセンのせめぎ合いになるのか、それとも共存になるのか解りませんが、それは自然に任せようと思っています。

このせめぎ合いの上の方では、枝を広げたおオオムラサキが5~7分咲きで、薫風5月の光と風を受けて満開の準備をしています。



ウクライナの思いをはせて、しかし協力は些少の(毎月のUNHCRへの)寄付だけで、申し訳ないと思いながら、平穏のゴールデンウィークを老夫婦静かに過ごしています。


ウクライナ問題の中の昭和の日

2022年04月29日 13時05分19秒 | 政治
今年も「昭和の日」が来ました。ゴールデンウィークの始まりです。
一昨年の昭和の日に、昭和天皇の誕生日と明治天皇の誕生日だけが何故「国民の祝日」になって残っているのかの理由を考えることになったいきさつを書きました。

政府が決めたことですから、決めた時の経緯を知っている人に聞いてみなければ本当の理由は解らないのですが、その時は、家内の質問でしたから、私なりの答えを考えて答えました。

2年前の今日のこのブログをお読みになった方には、蒸し返しになって恐縮ですが、答えは、
明治の時代から日本は国内では戦争をしなくなった。昭和の時代から日本は外国とも戦争をしない国になった」この画期的な変化を記念するためでしょう、というものでした。

本当の理由と同じかどうかは別として、だれもが知っている現実にぴったり合っているのですから、また世界の誰が聞いても、それなりに納得してくれると思われますので。それでもいいかと自画自賛しているところです。

ところで、今年の昭和の日は、ロシアのウクライナ侵攻という異常事態の真っ只中です。
国内の平和を維持したいと願うウクライナに、折あらば旧ソ連時代の版図を部分的にでも取り返したいと考えているらしい独裁者プーチンのロシアが攻め込んでいるのです。

喧嘩両成敗と言いますが、今回の場合は腕力に自信を持つロシアが一方的にウクライナに侵攻しているのです。
第二次世界大戦の悲惨な経験を経て、もう、一方的にこじつけの理由を作って他国に攻め入るなどという事は民主主義国ではありえないと考えられている時代です。

そういう意味で、自由世界、民主主義国では、これは独裁国家、本質は独裁者個人の問題で、地球上の独裁者の率いる独裁国家がある以上、こうしたことは起こり得ると考え、独裁国家が存在しないようにするための人類社会にとっての試金石という理解が広まって来ている所でしょう。

プーチンは昨日も、自分の考えを貫くためには核戦力の使用も辞さないと世界が受け取るようなメッセージを出しています。
究極兵器を独裁者が持っているのですから、独裁者は最強です。民主国家は、独裁者が自暴自棄になる事を世界人類とともに恐れるからです。

今、合法的にプーチンを独裁者の地位から下ろす事の出来るのはロシア国民だけです。
80%の支持(?)があっては、とても難しい事でしょうが。
国連の力をもってしても、プーチンを思いとどまらせることは不可能なようです。

独裁者は、一度つくり出してしまいますと、平和裏に合法的に下りてもらうということは至難です。何と言っても「独裁者」ですから。

おそまきながら、独裁者つくり出さない方法を考え始めたのが「民主主義のトリセツ」です。独裁者になるのには時間がかかります。プーチンも20年をかけています。習近平もこの秋の定年制廃止をしなければなりません。

「民主主義のトリセツ」の第一は、過去の経験から決められている任期を伸ばそうとするリーダーは独裁者化の危険性があるので、任期は変えない、という事です。

でも、もう独裁者が生まれてしまってからでは間に合わないですね。
独裁者がいる限り戦争は絶えないという事でしょうか。

地球人類社会の意思決定機関は「国連総会」でしょう

2022年04月28日 20時31分34秒 | 国際政治
ロシアのウクライナ侵攻は、ロシア、中国のこれからの態度次第で、第三次世界大戦につながる可能性もあるといわれています。
 そんなことを地球人類は許していいのでしょうか。

ごく自然に考えれば、地球人類の大部分がそんな事は望んでいないといと解っていながら、人類社会の中の数えるほどの人間でしかない独裁者と、そうした人たちを信仰する極く少数の取り巻き、そして独裁者の恣意的な誤情報に騙されている人々、煎じ詰めれば、数えるほどの独裁者のために、人類のほとんどが望んでいない世界戦争という野蛮な行為に曝されるということが「起きるかもしれない」と言われているのです。

こんな事、人間が戦争をしなければならないといった事は、国際関係がどうとか思想や主義の違いとかいった難しい事を持ち出さなくても、「人間の自然な心情として」、おかしな事、あるべきでない事、人類社会は、そんなことはなくて当たり前と考えるのではないでしょか。

もともと、民主主義という考え方は。そういった「みんなが、より多くの人々が、良いと思う事が良いのだ」という人間本来の考え方から来ているのでしょう。ですから、これが人類社会の自然の在り方でしょう。

こうした人類の基本からきている民主主義ですから、正面切って、これに反対して、「みんなが嫌だと言っても、俺の考えに従え」と言う事は、出来ないし、時に出来ても長続きしないのが歴史の経験です。

今地球上に独裁国と言われる国はありますが、そういう国でさえ、その多くは、形は国民によって独裁者が選ばれているのです。
その意味では、民主主義という考え方が、基本的に人類社会のとって望ましい物であるという事は、独裁者においてすらも、頭のどこかには入っているはずです。

であってみれば、地球上から独裁者をなくすことは決して不可能ではないのではないでしょうか。
そして、そのために必要なことは、人類社会の行動についての絶対的な権威は、ほかならぬ人類社会の総意の多数決ということではないでしょうか。

一国の政権のリーダーであろうとも、地球人類の多数意見には従わなければなんらいという「地球人類民主主義」こそが最高の権威ということであれば、地球上で、独裁者による戦争といったものは、恐らく消滅するのではないでしょうか。

考えてみれば、既に人類は、それだけの知恵を持っており、そのためのシステムも作ろうと努力して来ているのです。
具体的には、国連機構がそれでしょう。国連総会は、世界人類のための「地球人類民主主義」実現の舞台です。

この、「地球人類民主主義」の舞台を、いかに生かしていくかが、当面する課題ということではないでしょうか。

今回国連総会で決まった「常任理事会」で拒否権を行使した場合には「理由を説明すること」は、その第一歩になるのかもしれません。

民主主義国は多数の意見を合理性の根拠にして「力による解決」は否定します。一方、独裁国は、政権に反対する世論を抑えるために「力がもっとも重要」です。
従って、戦争という「力の勝負」になれば、独裁国の方が強いのは、いわば当り前です。

そこで、意見は2つに分かれます。1つは民主主義国も力を強くする必要があるという意見、もう1つは、地球人類の最高権威である「国連総会」の決定を執行する統一地球行政機関である国連組織が「人類多数決の権威に裏付けされた力」を持つべきという意見があるでしょう。

今は、民主主義国も力を強くという意見が一般的なようです。然しそれは人類の生活を破壊する兵器の山を、人類のより良い生活を犠牲にして築くことでしかありません。

いつの日か最高権威である国連総会、国連組織が、世界人類の平和と繁栄のために必要な「力」を保持するという事になるのが理想でしょう。
そしてその時は、「国連軍」ではなく『国連警察』ということになるのが、あるべき姿ではないでしょうか。

「アメニモマケズ」自然は元気です

2022年04月27日 12時12分44秒 | 環境
この所お天気は日替わりで、降ったり照ったり。今朝の都下国分寺の気温は21℃で20度を超えていました。

曇りかと思ったら雨で、先程は強く降っていましたが、今は急に強い日差しに変わっています。

チューリップは殆ど散ってしまいましたが久留米ツツジ、アケボノ、玄関先のフェンスに這うモッコウ薔薇が順繰りに咲いてくれています。

アケボノが年々伸びて、その下になってしまった久留米ツツジが最初に満開になり、モッコウ薔薇アケボノが開き始めてからもう一週間ぐらいでしょうか。

    満開のアケボノツツジ、右下が久留米ツツジ




急に夏日が来たり、また好天と雨が1日交替の様な天気が続き、綺麗に開いた花も雨に打たれて、大丈夫かなと気になったりしたのですが、天気が回復すると花弁をしっかり伸ばして「満開ですよ、どうぞ御覧下さい」と言っているように、確りした姿を見せてくれます。

      満開の久留米ツツジ


久留米ツツジとモッコウ薔薇は、昨日あたりから盛りを過ぎましたが、アケボノは今日もまだ元気に大きな花をびっしりと精一杯開いています。

      満開の日のモッコウ薔薇


今週末にはアケボノの兄弟のオオムラサキが、狭い庭の反対側でそろそろ満開になるのでしょうか。
これはずっと以前、ほんの30㎝ぐらいの丈の株を知人宅から頂き、芯の一本だけ残して高く育てた結果が今の姿です(多分、来週ご紹介します)。

リュウキンカからチューリップ、今年は紹介しませんでしたが、ハナニラ、ツリガネスイセン、シラユキケシから、ツツジ、モッコウ薔薇と次々咲いてくれる花々とその自然環境に毎年々々感謝するところです。

格差社会化の阻止と年金問題

2022年04月26日 17時46分43秒 | 経済
コロナ禍の影響でしょうか、合計特殊出生率の低下が見られるようです。一時的なものであってほしいと思っていますが心配です。

いま日本で、社会保障関係で最も心配されているのが年金問題でしょうか。政府自体がまったく定見を持てていないのでしょう。

麻生さんの、審議会の答申受け取り拒否(老後生活に2千万円の準備が必要という答申)についての説明もありませんし、積立金の運用をマネーゲームで稼ごうという事で何とかなるのかどうか誰にも解りません。

基本的にはマクロ経済スライド方式で、つまりは日本経済の動向次第ですという事で、理屈はその通りでしょうが、現実はどうなるかが国民の心配なのです。

老後が心配の国民は、自力で老後資金を準備しようと、現実の生活は「貯金貧乏」になっています。

「貯金貧乏」とは、老後のために頑張って貯金をするのですがゼロ金利で貯金が増えないので(物価も上がりそう)利息を自分でつけなければならず、その分だけ必要貯金額が増えて、消費生活が貧乏になっていくという事のようです。

振り返って見ますと、かつて「厚生年金基金」が大流行の時代がありました。これは厚生年金の報酬比例部分を、企業やその連合体などが○○厚生年金基金という基金を作って政府の代行をし、集めた掛金を運用し、厚生年金より割の良い利回りで、上乗せ給付が可能になるというシステムで、1966年に制度がスタートし、急速に増えて、1996年には1883基金もあったそうですが、今はほとんどありません。

その理由は当時は金利も高く運用益の順調で、基金は好業績で急速に増えていきました。しかし円高とバブル崩壊で長期不況に入り、1996年に公定歩合が0.5%にまで下げられ低金利時代になり、その後ゼロ金利時代に入って運用益が出なくなってしまったからです。

結局、厚生年金基金は積立不足になり、不足分を企業が自己資金で補填したりした上で、本体の厚生年金に返上したのです。

この現実が象徴的に示しますように、ゼロ金利を続ければ、「基金」というものは存在できなくなるのです。

政府関係の基金では経費は国家予算で出るようですが、民間の基金は(財団法人なども)金利がつかなければなり立ちません。

仕方なしに株式投資などのギャンブル収入を得ようとして多くは失敗したりし破産や解散になったりしたのでしょうか。
公的年金の資産を運用するGPIFも頑張っているのでしょうが、なかなか難しいようです

こういうマネーゲームは一般的に資金量の大きい方が有利と言えるようで、マネーマーケットをリードできるような力と、情報力の強い所が有利と言われます。

個人の財産づくりでも、資金力の大きい方が有利で情報力もあり、結果は所得格差、資産格差の拡大になるというのが資産運用では一般的なようです

こうした状況を何とかするためには、まずゼロ金利をやめる事が必要ということになるのでしょうが、
・ゼロ金利をやめたら円高になる可能性が高い
・国債の金利負担が増え、既発債が暴落する
・経済成長がなくては実質金利が挙げられないのではないか
などなどいろいろな問題が一斉に噴き出してくるでしょう。

政府、日銀、産業界、生活者(庶民)の皆さんが、十分なコミュニケーションの下に、ありったけの知恵を出さなければならない(影の声:まず経済成長でしょうね)というのが今の日本でしょう。

格差社会化の早期是正を(国の政策編)

2022年04月25日 14時42分14秒 | 経済
前回は、雇用や賃金を中心に、産業界や企業労使が考える、いわば企業の経営理念や人為制度における日本企業の伝統的な活動について見てきました。

しかし現在の世界の潮流を考えれば、放置すれば進行する格差社会化を阻止し、国として適切な平等度の実現を目指す手段は、基本的には国の役割というのが正常な姿でしょう。

今回は、国としてのいかなる政策が望まれるのか、何が間違っていたから、急速な格差社会化が進んでしまったのかを見ていきたいと思います。

問題を大きく分ければ、所得税制、企業税制、社会保障制度、中でも児童手当制度、それに今後問題になるキャピタルゲイン税制といったことになるのではないでしょうか。

<個人所得税の累進度の問題>
日本の高度成長期には、個人所得税の最高税率は、国税・地方税合わせて80%を越えていました。そこまで高いのがいいかどうかは別として今は55%です。

これはかつてアメリカがレーガン税制で所得税のフラット化を打ち出した時、日本も真似して最高税率を下げてきたことに由来します。
アメリカ型の社会がいいとは限りません。今後は試行錯誤も覚悟しながら、国民が納得するように、累進度の設計をし直すことが必要でしょう。

<法人税率の是正>
世界的に法人税率の引き下げで企業競争力をつけよう動きが行き過ぎ、G7でも最低税率15%といった合意があったようです。日本も高度成長期は地方税も合わせて概算50%というのが常識でしたが、これもレーガン税制改革の影響で引き下げられ、さらにアベノミクスの中でじりじり下げられ23.2%になっています。(中小特例15%)
税制構造のバランスの中で、日本的経営に適切な水準の探求が必要でしょう。

<社会保障制度>
これは問題が大きすぎて簡単には論じられませんが、政・社会保障の一体改革に本気で取り組む時期でしょう。
特に、消費税は社会保障との関係を国民に解り易く説明できることが必須でしょう。消費税増税は、これこれの社会保障給付に充てるものといった具体的な説明があれば、納得性も高まるでしょう。(年金問題はまた改めて)

<児童手当制度> 
かつては企業が人間中心の経営という立場から支生計費援助として、かなり手厚い家族手当を支給していました。
今は児童手当が少子化対策として重要な国策です。しかし、本気で少子化対策としてやったフランスなど比べれば、極めてお粗末です。
当時フランスでは子供5人いれば可処分所得は平均給与の2倍になるといった水準でした。

<高等教育の無料化>
これは容易でないでしょう。OECD加盟国で北欧諸国など7か国が実施していますがGDPの1~1.5%(大学進学率50%前後)がかかるようようです。(参考:日本の防衛費は1.24%)

<金融所得課税の考え方>(試論)
これは今後の問題でしょう。今は利子・配当所得のようなインカムゲインと株式の売買な租のキャピタルゲインが同じ20%分離課税になっていますが、本来の性質からすれば、キャピタルゲイン税制とインカムゲインの税制は別物であるべきでしょう。

さらに、キャピタルゲインにしても、単に金でカネを儲ける場合と応援する企業の安定株主になって会社の成長の結果キャピタルゲインを得たといった場合の税率には違いがあって当然です。
コンピュータ取引で、瞬時に1000万円儲かった場合と10年持っていた株の値上がりで1000万円儲けた場合の税率が同じというのは、資本主義経済の中で資本を提供して経済成長への貢献という面から不公平、税率に差があった当然でしょう。

余計な事まで書いたかもしれませんが、資本主義が持続可能であるためには格差社会化を防止する事が必須です。
 
日本社会は伝統的に格差社会化を防止するシステムを内蔵していたように思います。
欧米では資本主義と社会主義の対立の中で福祉国家の概念が生まれ、北欧のような国づくりが実現しました。

日本は伝統文化をさらに洗練するか、福祉国家の思想を導入するか、いずれにしても、資本主義を持続可能なものにするために、真剣に努力する必要がありそうです。

当面する経済問題を整理する:格差社会化の早期是正を

2022年04月23日 15時40分03秒 | 経済
現在わが国が直面している社会・経済的問題は、世界的な混乱による部分もありますが、日本の社会経済自体の構造に問題が在る部分が大きい事もこれまでの検討で見えてきました。
そしてその主要なものは、格差社会化の深刻化にあることもはっきりしてきました。

格差社会化の最大の要因は非正規雇用の拡大にある事は前々回指摘しましたが、格差社会化の是正には、まず雇用構造の正常化が必要でしょう。

戦後、日本の経営者は、従業員の身分制を廃止し、全員「社員」とい事で統一しました。賃金体系なども全従業員共通の企業も多かったようです。
これは、格差拡大を進めないうえで大きな効果があったと考えられています。

ところが、プラザ合意で、円レートが2倍になってからの円高不況の中で計算上は賃金を半分にしなければならないのですが、そんなことは不可能です。

2割、3割下げた企業もありましたがそこで企業は賃金水準が社員平均の3分の1以下の非正規従業員を雇用する事です。

当時は非正規従業員(所謂パートさん)のほとんどは家計維持者ではなく、家計補助者で雇用者に占める比率は15%程度だったと記憶しますが、その後急速に上昇し今日の40%近くになっているのが実態です。

2014年には、日銀の金融政策によって円レートは正常に戻り、企業の収益率なども円高以前と遜色ない水準に回復しています。しかし、非正規従業員の比率は殆ど戻っていません。

家計に責任を持つ人は当然正規従業員を望みますから、経済が正常化すれば、企業は「社会的責任」として正規従業員として採用するという慣行を徹底することが必要でしょう。
企業にはそれを可能にする、人事賃金制度、支払いうる総額人件費の中での配分を、人事制度根幹として考える態度が必要なのでしょう。

これは、それぞれの企業が、それぞれの企業の中で、格差の小さい社会を実現するという考え方と関係があります。
日本の企業では、伝統的に仕事の出来る出来ないで処遇に大きな格差をつけることは好まなかったようです。

同期の中で良く出来ても給与やボーナスの差は僅かで、長い目で見て昇進が早いといった処遇で報いるのが普通でした。
これは、企業の経営理念も人事制度も「人間中心」が基本でした故に、あまり大きな差をつけることが憚られたからでしょう。

欧米流の人事制度でいえば、能力が違えば職務が違い、成果が違うから賃金に大幅な違いが出るという仕事中心・利益基準とは異なる、人間中心、社会貢献が目的という日本の企業理念の故でしょう。

結果的に、かつての日本では、所得格差縮小は、税・社会保障制度による再分配の前に企業の内部でも、行われていたと考えられます。

その意味では、かつての、企業の手になる家族手当制度その他の福利厚生制度も。所得格差の是正に大きく与っていたということが出来るのではないでしょうか。

日本企業の中でも、以前から職務給が合理的という意見はあり、仕事に関係ない子供の人数による給与や手当の支給などはおかしいという意見もあり。国の児童手当制度の発足などとともに、それは国の手に移っていきましたが、日本の場合、少子化に悩んだフランスのように手厚い物にはなっていません。

日本の所得格差が少なかったという背景には、政府の税制などの効果も大きかったと思われますが、企業の経営理念(いわゆる日本的経営)に発する企業の人事、処遇制度によるものも小さくなかったということが出来るように思います。

アベノミクス以来の「働き方改革」で人間中心からジョブ(職務)中心の人事賃金制度が推奨され、企業による格差縮小の要素がなくなり、政府の再分配による格差是正の動きも進まないといったことになると格差社会化による日本社会の劣化が止まらないのではないのではないかと心配されます。

次回は、国の手による所得再分配について見ていきたいと思います。

3月の消費者物価を追加しました

2022年04月22日 15時51分22秒 | 経済
主要3物価の推移

         資料:日本銀行、総務省
今日、総務省から2022年3月の全国の消費者物価が発表になりました。
2020年=100の指数は101.1で先月発表の先行指標、東京都区部の3月分の速報値101.1と同じでした。
結果、上のグラフ2021年1月基準でも、2月の0.9%上昇から0.4ポイント増え、1.3%になりました。
じりじり上昇が続きそうですが、グラフで確り追跡します。

当面する経済問題を整理する:対策の基本は所得構造

2022年04月22日 14時20分29秒 | 経済
この4回ほど「当面する経済問題を整理する」という事で書いてきましたが、きっかけは、やっと2%インフレ目標が達成されたのに、政府は大慌てで低所得層への給付金のバラマキの仕方の摺合せに走るだけという奇妙な事態でした。

懸案の目標達成ならば、何かいい事があるはずが、実はなんもないのだという事が、国民に広く知れ渡ってしまったという事は、政府の目標はとんだ見当違いだったという事でしょう。(言い訳はあるでしょう。それならそうと最初から・・・)

今は、そんなことになった原因を確り整理して、説明できるようにすることが政府の仕事でしょうが、そんな事はそっちのけで、参院選のための人気取りに、インフレで困っている人により手厚い給付金のバラマキをと与野党ともに競っているのです。

何とも情けない構図ですが、それも我々が選挙で選んだ人たちがやっているのですから、民主主義の原則に則れば、やっぱり責任は我々にあるのでしょう。

ということで、我々が、どうすればこんな奇妙な政治にならないで済むかを考えなければならなくなるのでしょう。

そして最終的に「こうしたインフレ要因を放置する日本経済社会の構造問題」の検討が必要ということになり、今回はその中心「所得構造」、端的に言えば、「所得の格差拡大」といういわゆる格差社会化の放置が、こうした奇妙で不合理な結果につながっているというところまで来たわけです。

確かにジニ係数は大きくなっています。歴史的にはプラザ合意の結果、円レートが1ドル=240円から120円になり、日本が(ドル建てで)賃金も物価も世界一高い国になったことから所得格差の拡大は始まりました。

そして、30年に及ぶ円高不況の中で、日本経済の最大のコストである賃金の引き下げのために、賃下げをやり、それに加えて、賃金の大幅に安い非正規労働力を増やすことで平均賃金の引き下げを図ったため、日本社会に巨大な低賃金層が生まれたのです。

この非正規労働者問題は、賃金格差だけではなく、企業の社会人教育、技能技術教育、人材育成の手抜きにもつながり、結果は、いわゆるメンタルヘルス問題や引きこもり、80=50問題にまでつながる後遺症となっていると見られています。

この問題については、為替レートを2倍に切り上げられて、経済が壊滅しなかっただけでも評価されるべきで、賃下げや非正規雇用像は緊急避難のための已むを得ざる選択だったという見方のあることも事実でしょう。

しかし更なる問題は、安倍政権になって、円レートが$1=120円に正常化してからも、雇用・賃金構造の復元、特に非正規雇用の正規雇用化がほとんど起きていません。
この点については、政府の政策の問題、と企業経営者の業員重視の考え方の希薄化(人よりカネへ)が言われるところです。

このブログでも、再三にわたり、為替レートが正常化すれば、経営者の雇用についての考え方の復元現象が起きるはずだと述べてきましたが、残念ながらその見方は全く外れたままです。

はっきり言って、政府がかつてのように所得税制、企業税制を格差社会化の阻止の重視に切り替え。企業が、非正規従業員の正規化を積極化し、かつてのように企業は人を育てるのが社会的責任といった経営思想に戻れば、2%インフレで、低所得層に慌てて給付金をバラ撒くといった事で大騒ぎする必要はなくなっていたでしょう。

そのあたりの問題を、次回もう少し具体的にみていきたいと思います。

当面する経済問題を整理する:輸入インフレ対策は?

2022年04月21日 11時49分34秒 | 経済
この問題はすでに何回か触れているので簡略に整理したいと思います。
前2回で円安対応について整理しましたが、円安の場合も輸入価格が上がりますので、現実には、今回のように現象としては輸入インフレと一緒になります。
しかし、理論的には全く違うので、一緒に起きても、海外価格が上がる部分と円安の部分は分けて考えなければ本当の姿は解りません。
今回取り上げるのは海外価格が上がって輸入物価が上がる部分のことです。

典型的には今起きている原油の値上がりです。これは世界でほぼ一律に起きます。産油国でもガソリンは値上がりします。国内で安く売るより海外に高く売った方が得ですから、政府が介入しない限り国内価格も上がり値上がりは世界共通です。

当然日本でも原油輸入価格が上がりガソリンの価格が上がります。それで困る人がいるのという事で政府は補助金を出したりして弥縫策を取っています。

いずれ下がるからその時まで補助金をというのでしょう。通称{トリガー条項}という激変緩和措置もあり、値段が一定額を越えたら、ガソリン税を安くするという方法もあるのですが、いずれも政府が負担するという事で形が違うだけです。結局は税金などで国民負担になります

こう考えれば解りますように、原油の値上がり分は結局、日本経済として持ち出しにならざるを得ないのです。産油国への上納金か義捐金の様なものです。
という事で結局負担からは逃れられません。しかし、世界中同じように値段が上がるので、日本だけが不利というのではありません。 

ところでこの輸入インフレに対処する方法というのは、上がった分をきっちりと価格転嫁して、値上がりを我慢するしかないのです。
円安の場合は、輸出部門で為替差益がありますから、日本経済としては損得チャラで(輸出入同額として)ですが、原油価格の場合は日本経済としては純損失です。

我慢すればいいのですが、我慢しない場合もあります。アメリカやヨーロッパでは、物価(ガソリンなど)が上がるのだからその分賃金で補填しろと言う場合が多いようです。
日本も1973年の第一次石油危機の時は春闘で32%の賃上げをして20%を越えるインフレになりました。

インフレが酷くなると、国際競争力が落ちます。今のアメリカのように心配して金利を上げてインフレを抑えようとしています。それで不況になったりします。
日本は第一次石油危機の失敗に学び、第二次石油危機の時は春闘は平常に戻り、石油の値上がりは省エネ努力や節約我慢して、インフレにしませんでした。

一方、欧米諸国は第二次石油危機の時も賃上げインフレを続け、結局国際競争力を軒並み落としてスタグフレーションになりました。国際競争では日本が独り勝ちで、「ジャパンアズナンバーワン」ということになっています。

今回の原油値上がりでもアメリカ・ヨーロッパは、既にかなりインフレ状態ですが、日本の物価は多少上がり始めましたが、春闘の様子を見ても、比較すれば、ほぼ健全な安定の範囲でしょう。日本の労使は経験からよく学んでいるようです。

輸入インフレ対策というのは、それを賃金上昇に持ち込んで、賃金インフレにつなげてしまうかどうかが決め手です。アメリカは金利引き上げでそれをやろうとしていますが、上手く行くといいですね。

<蛇足>という訳で、日本経済は安定の範囲ですが(慌てているのは、参院選を控えた各政党などの責任者だけ?)、問題は、日本だけがあまり安定していると、また外国から、「日本はやり過ぎだ」「インフレにしないのだったらもっと円高を認めるろ」などと、プラザ合意の二の舞の憂き目をみる可能性も出てきますから、政府・日銀には「十分にご注意あれ!」

当面する経済問題を整理する:円の安定が最善

2022年04月20日 14時35分05秒 | 経済

前回は円安になった場合に、日本経済にはどんな影響がどのくらい出るのかといった基本的な問題について見てきました。

答えは、日本の場合10円、15円の円安では、そのまま消費者物価に影響してもせいぜい1~1.5%ぐらいということが解りました。

それなら、なんでアメリカでは7%とか9%とか消費者物価が上がるのかと言えば、それは便乗値上げとか、流通混乱で商品が足りなくなるとか、物価が上がったからとすぐに賃金も上がるとかいったことが重なるからでしょう。

日本の経済社会はもう少しお行儀がいいので、そういう部分は少ないようです。

ところで、問題は、もともとの原因である円レートの問題、円レートがなんで急にそんなに動くのかという事です。

今回の直接の原因は、お行儀の悪いアメリカなどで、物価が上昇し、インフレ抑制のために金融の引き締め、金利の引き上げをするのに対し、日本が金利は当分引き上げませんと明言したことがきっかけのようです。

それだけでは多分今回のような大幅な円安にはならないのでしょうが、現実に円レートが決まるのは、円とドルを売買する場、金融市場で、そこでは実需の売買より、国際投機資本のマネーゲームで動くカネの方がずっと大きいのです。

こうした金融市場でキャピタルゲインを得るためには、相場が動かなければゲームになりませんンからなるべく相場を動かすというマネーゲームの力学が働きます。

所謂「ボラティリティ」(変動幅)を大きくしてビジネスチャンスを大きくするというのはマネーゲーマーの本能でしょう。

ですから、多分、今回のように、急激に円安が進むと次の段階では、必要以上に円高に振れる可能性も出て来るわけです。

同様なことは株式市場での起きるわけで、ここまで円安になると輸出産業は為替差益が大きいだろうということになり、この所半導体不足などで冴えなかった自動車関連も今日は株価が上がっているようです。

国際投機資本などのマネーゲーマーは、為替も株のやっているわけですからこういう時は各種の相互関係を先読みして絶好のビジネスチャンスでしょうか。

しかし、実体経済の世界では、為替レートなどは安定している事がビジネスの安定のために大事ですから、マネーゲーマーとは、利害相反することになります。

中央銀行の立場としては、多分マネーゲーマーより実体経済の方が重要ですから、為替の変動はなるべく小さくする事を考える立場にあると思うのですが、その意味では、今回の日銀の対応には一部に「異次元金融緩和に固執し過ぎ」という声もあるようです。

アメリカが金利引き上げにきわめて積極的という状況の中では、日本もゼロ金利脱出のきっかけがつかめるかどうか、口先だけでもマネーマーケットの反応を見るといったことが必要という意見もあるようです。

確かに、いずれ日本も金利の正常化をしなければならないでしょう。その時、マネーゲーマーがビジネスチャンスを広げようと必要以上に円高に動かそうとする可能性もあります。

実体経済の安定の面から日銀にお願いしたのは、今円安で大騒ぎし、近い将来には行き過ぎた円高で大騒ぎといったことに以ならないような為替レートの安定策を巧みな采配で実現してほしいという事でしょうか。

当面する経済問題を整理する:円安の分析

2022年04月19日 17時17分58秒 | 経済
政府はインフレ対策に熱心で、来週には方針が出るようです。

今迄の様子では、多分に後追い政策の範囲と予想されますが、今の日本経済の状況を考えれば、より本格的な対策が必要で、当面のインフレ対策もその一部として、それに整合するものでなければならないでしょう。

多分に選挙との関連が考えらえる時期ですが、そういう事は別にして、こうした多様な問題が重なってインフレが起きている現状についての対応策を考えてみたいと思います。

当面する問題はさし当たって大きく3つあるように思います。
① 為替変動によって起きる問題への対処の仕方
② 資源価格等の上昇による輸入インフレへの対処の仕方
③ こうしたインフレ要因を受ける日本経済社会の構造問題

今回は先ず、為替変動に関わる問題を考えてみます。
今日のニュースで、鈴木財務相が「今の円安は悪い円安だ」といったようです。ただし「悪い円安」と、「良い円安」の違いにつての説明はありません。

2013年、14年に黒田日銀総裁が金融緩和政策を取って、大幅円安になりました。この時は誰も「良い円安」とは言いませんでしたが日本としては大歓迎でした。それまで円高で日本経済はデフレ不況の泥沼を這い廻っていたからです。

当時の状況でいえば、1ドル120円ぐらいが日本の実力なのに、為替レートは80円でしたから120円になって、これでデフレは終わると皆ホッとしたのです。

政府・日銀はデフレにサヨナラし少しインフレぐらいが良いとい考えて「2%インフレターゲット」を政策目標にし、2年ぐらいで達成すると言いました。

しかし日本人は、インフレ嫌いなので、円安の分をすぐに値上げするようなことをせず物価は安定させて国際競争力をつけるという選択をしたのです。
結果的に、日本は物価が安い国になり、コロナ流行の前の「インバウンド全盛」、「日本で買い物旅行が大繁盛」ということになっています。
これが続けばよかったのですがコロナ禍に入り、インバウンドも来ない、物が売れないということになりました。

安くても売れればビジネスはやれますが、売れなくなったら、やっていけないところにコロナです、そしてその上に、アメリカの利上げで低金利路線の日本は円安です。

では、円安によるインフレ効果は、正味でどのくらいかと言いますとこんな計算でしょう。

1ドル115円が127円になって12円の円高です。輸入品は一律約10%の値上りです。輸入品はGDPの約1割です。日本経済の1割のものが10%値上がりしました。GDPデフレータにして1%です。現状の円高によるインフレはこの程度です。

ただ、アメリカも含めて経済が正常であれば、日本にとっては必要のない円安で物価が上がるのは良くない円安だから「悪い円安」なのでしょうか。

それではと輸入の反対側の輸出を見れば、輸出も現状偶々GDPの約1割です。ですから10%円安になると、為替差益が(GDPの)1%分出ます。
輸入の値上がり分と同等の金額が輸出では円安による収益増になるのです。輸出部門では大変に有難い円安という事になるのです。

理屈から言えば、輸入の値上がり分を完全に価格に転嫁し。輸入の差益分を完全に適切にGDP内に分配すれば、日本の物価水準が1%上がって、損得は誰にも起きないのです。

価格転嫁が出来なくて、為替差益は輸入部門が独り占めでは、経済活動は。ぎくしゃくします。

でも円レートは上がったり下がったりしますから、その都度損得が起きて、長い目で見れば結局損得はチャラという事で済んできているのでしょうか。

為替レートが10%動いても、それだけでは、経済全体への影響はこの程度という事をご理解頂ければと思います。

世界的インフレ状態、対策の方向は

2022年04月18日 17時10分10秒 | 経済
政府・日銀の長年の目標であった2%のインフレがようやく達成される段階になって、政府は慌てて与党内のインフレ対策のすり合わせに奔走しています。

後追いの給付金で問題が解決するとは誰も思っていませんが、参院選もあり、民主政治の「人気取り」という悪い面が確り出ているというのが実態でしょう。

政府は赤字財政を受持ち、日銀はゼロ金利を受け持ちと分業で、繋いでいるのは国債の日銀引き受けという一点。日本経済はどこへいくのでしょう。

世界経済は容易でない事態です。もともと気候変動という重大問題が在るところに、コロナウィルスが闖入、そしてこれでもかというように独裁国ロシアが自由世界に戦争を仕掛けてきているのです。

問題を担当するのは、政府。日銀だけではありません。産業界の労使、生活者であり、同時に、政権担当者を決める権利を持つ一般庶民、日本のあらゆる組織からすべての個人まで、皆が一体になって、難関に挑む心構えをしなければならない時でしょう。

気候変動やコロナ、独裁国家の平和の破壊については、国民の意識も政治における与野党の意見、産業界労使の意見も揃っているでしょう。

しかし、生活者であり同時に政治の主権者である庶民の日々の生活に直接関わる経済の問題、特に最も身近な物価と収入の問題は、政治家にとっては最も気になる問題でしょう。それだけに政治が「問題の本質よりも人気取り」に誘惑されやすい所でしょう。

こうして当面するインフレ対策の問題は補助金・給付金のバラマキに偏るという問題が起きるのでしょう。

この辺りが端的に表れている様子が今日の朝日新聞朝刊に出ていました。
同社の調査結果ですが、岸田総理の「ロシア軍の行動は戦争犯罪」という発言については支持が88%、一方岸田総理のインフレ対策については評価しないが53%(評価するは32%となっています。

ロシア軍の行動については岸田総理の評価が極めて明確ですが、一方、インフレ対策については割れていて、評価しないの中にも多分金額が不足というのと、バラマキはダメとうのが混在するのでしょう。経済問題は十分説明しないと解りにくいのです。

一方朝日新聞は今日の社説の中では、世界で原油がこれだけ値上がりしているときに、日本の国内で補助金を出して安くしてみても本質的な解決にならないという趣旨のことを言っていますから、輸入物価の値上がりによるインフレは国内では解決不能ということが次第に広く理解されていることの証左でもありましょう。

そうした中で、与党は連立する公明党に配慮してか、バラマキを続けそうですが、そういった行動は、やはり選挙を意識した人気取りに堕す行為でしょう。

本質的な解決の方向、政策の王道について論じるつもりでしたが、今回は話が横道にそれてしまいました。申し訳ありません。

「ウラシマソウ」今年は早め

2022年04月16日 12時26分09秒 | 経済
例年5月のゴールデンウィークあたりに載せているウラシマソウ(浦島草)ですが、今年は育ちが早いようです。

先週あたりから立派になって、特徴である、浦島太郎の釣竿を思わせつる「弦」も随分長く伸びています。

オオムラサキの下の一本

     拡大すれば(立派な弦が)


毎年元気に生えて来てくれるのですが、なかなか増えてはくれません。
狭い庭の東側のオオムラサキの下、ホタルとメダカを育てるU字溝に沿った藪に1本、西側のアケボノの下に、こちらは、毎年向き合うような形で2本出てきます。

    アケボノの下の2本(それぞれに弦が)


大分前に、家内が近所の仲良しの奥さんから分けてもらって植えたのですが、春にはきちんと伸びてきて、秋になると小さなトウモロコシの様な実がつきます。

それが緑から真っ赤になり、最後には崩れて、直径5mmぐらいの赤い実がいっぱい散らばるのですが、何故かそれが芽を出して伸びて来るかと思うと、どうもそうはならないのです。

それでも宿根草の部分(?)は、きちんと毎年大きく伸び、花も開いてくれますので、それでいいんかなと思っています。

サトイモ科で、仲間には、ムサシアブミ、マムシグサ、などよく似た形のもがあるようですが、どれもあまり綺麗なものではありません。でも、絶滅危惧種に指定されている県などもあるようで、珍しいのと、特にウラシマソウは模様も綺麗ですし、何よりも長い弦が面白いので、結構人気があるようです。

サトイモ科ですが有毒ということで、赤い実は触ったてを洗ってくださいなどとネットには書いてありますが、その毒がサポニンと書いているので、サポニンは高麗人参の貴重な薬効成分なのにと、思って不思議です
今年は秋になったら、赤い実の写真も載せたいと思っています。

インフレ対策と格差社会の是正

2022年04月15日 16時02分40秒 | 経済
政府・日銀が安倍政権時代から目指していた2%インフレターゲットがようやく達成される時が来た様です。

まだ元気らしい安倍さんは、「2%インフレ達成お芽出とう」のメッセージを出すのかと思っていますが、もうそんな目標はお忘れなのでしょうか。

一方、マスコミの報道によれば、与党は、何とか庶民をインフレから守る方法を考えなければならないと慌てているようです。

その方法というのは、低所得の人達に何かの形で給付金を出すという事のようですが、その財源をめぐって、自民党は早い対策が重要と予備費からの支出を考え、公明党は長くなるかもしれないので確り補正予算を組むべきだという意見で、急いで両者の調整をするとの事のようです。

いずれにしても、こういう時に低所得層に対するバラマキの議論ばかりがされているというのは、何かお寒い感じがします。

もともと欧米の数%から10%近いインフレに対し、日本の場合は当面せいぜい2~3%のインフレですし、ほんとが世界的な資源価格の上昇からきているもので、日本国内では対策が不可能なものです。

つまり輸入インフレというのは、本来は国民が耐え忍ぶべきものですし、赤字財政で給付金を出しても、結局は国民負担ですから、マクロ経済的には、耐乏生活の先延ばしでしかないのです。

今政府がやっていることはまさに「朝三暮四」で本質的な対策ではありません。
ではなにが対策かといえば、資源価格の上昇はどうにもなりませんから、せめて円安でそれに輪をかけることをいかに防ぐのがまず必要でしょう。

そしてもっと本格的な対策は、この所の進行する格差社会化を逆転させ、かつての日本のようにジニ係数の低い、格差の少ない「1億総中流」と言われたような状態の日本社会を創りだすことでしょう。

国際的にみても、日本は決して貧しい国ではないのです、2000兆円という世界屈指の個人貯蓄を持ち、国際貢献も比較的おおらかにやっている国なのです。

問題は、それなのに今日、明日の生活に支障をきたすほどの貧困家庭が随分増えてきてしまったという事ではないでしょうか。(子供の6人に1人が貧困家庭といわれる)
これは本来一時的な給付金のバラマキで対応できるような問題ではありません。


本来なら「問題の根源は格差社会化にあり」と政策のターゲットを決めて、政府が税・社会保障の一体改革で真剣に取り組むべき問題でしょう。
何故そうした本格論議をしないのでしょうか。それこそ国民待望の国会論議だと心得るべきではないでしょうか。

それと同時に。この問題は、政府・日銀だけがやる問題ではありません。産業界自体が、格差社会化を止め、逆転させることが、日本経済の長期の安定した発展のベースを作るために必要なことだと認識しなければならんでしょう。

政府はそういう雰囲気をつくり、産業社会出は労使が。さらには一般庶民も、そうした取り組みを促進する気になるような多様な政策を進めるべきでしょう。

この問題については、改めて、また論じてみたいと思います。