tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

新型コロナウィルス政府に助け舟?

2020年02月28日 23時10分01秒 | 経済
新型コロナウィルス政府に助け舟?
 先日、2019年10-12月期のGDP四半期報について、大幅マイナスになった対前期比ではなく、傾向的変化を示す対前年同期比の動きを見ました。

 対前期では、それまで何とかプラス成長だった、実質GDPが、マイナス0.6%となり、瞬間風速(年率換算=それが4四半期続いた場合の数字)ではマイナス6.3%という大幅低下になったというのが多くのマスコミの見出しです。

 その後の政府の発言では、多分このマイナスは一時的なものだろうという見方に固執したのでしょう。「経済は、相変わらず緩やかな成長」の状態にあるという説明でした。

 それを聞いて、いかにアベノミクスの成果を称えたいにしても、そこまでいうのはどう考えても言い過ぎだと感じたのは私だけではないでしょう。

 というのは、2019年10-12月期の場合は、傾向的な変化が良く解る対前年同期比で見ますと、景気テコ入れに精出した政府支出と、景気低迷で輸入がが減ったためにプラスになった外需だけがプラス要因で、それ以外の項目は軒並みマイナス、つまり、民間の経済活動は、消費、投資すべての面で、1年前よりマイナスになって、結果的にそれらの総合であるGDP成長率が、マイナス0.4%になっているのです。

 これは、世界情勢から見れば、米中摩擦その他、経済に影響を及ぼす諸条件が悪化していることの反映で、ある意味では日本だけが、いかに頑張ってもどうにもならない問題だということは大方の認めるところではないでしょうか。

 そうした情勢の中で、まだ色褪せたアベノミクスを擁護しようとすれば、発言への信用がなくなるか、信じた人が後から、なんだ違うじゃないかと言うことになるでしょう。
 そんな時、たまたま新型コロナウィルスが猛威を振るい始めたのです。

 「薬のない病気」というのは、これは本当に困ったことですが、それが人から人に感染する病気で地球的な現実になってしまったのです。
 ワクチンの開発も簡単ではないようで、このウィルスの免疫についてもはっきりした情報はない状態のようです。

 政府も慌てているのでしょう。大規模集会禁止、不要不急な外出禁止、そして小・中・高校は来週から2週間休校が望ましいといった要請を次々出しています。

 遊園地は休業、スポーツ試合は観客なし、盛り場もレストランもガラガラといった状態になってきています。企業活動の大幅に制約されています。
 これでは経済活動は広範に停滞し、GDPの成長は実現しなくて当然でしょう。2020年1-3月のGDPは改めて落ち込み必至でしょう。

 これはまさに天災ですから、人間に出来ることは、マイナスの影響を少しでも小さくするぐらいです。奢る人間も、天災には全く敵いません。やっぱり人間は徒に思い上がるべきではないようです。

 ところで、それにつけても些か気になるのは、何か月か先、景気の低迷、GDPのマイナスが明らかになった時、政府は何と説明するかです。

 先に記しました政府の態度から見ますと、この天災は、政府には援軍で、アベノミクスの行き詰まりはあくまで認めず、景気の落ち込みは新型コロナウィルスの影響によるものですということになって、多くの人もそれで納得させるために多分役立ちそうです。

 わざわざこんな事を書くのも、今の政府には、往々 統計の(意図的な?)誤用をする傾向があるように思われるからです。

働き方改革の今後を考える:1

2020年02月27日 23時20分30秒 | 労働
働き方改革の今後を考える:1
 働き方改革は、労使関係や、統計の利用法など、あちこちでいろいろな問題と国会の混乱を引き起こしたうえで、最後は強硬採決で成立しましたが、その後、仕事の現場では何か変わったのでしょうか。

 今は、たまたま新型コロナウィルスのために職場だけではなく社会全体が混乱していて、働き方改革という難しい問題を考える時期としては、あまり適切ではないのかもしれませんが、コロナ騒動の中でも「就活戦線」もそれなりに動いていくでしょうし、企業の場では、否応なしのテレワークや在宅勤務の導入が、働き方改革とは関係なしに進んでします。

 企業としても働き方改革を本気で考えるのは、新型コロナウィルス問題が鎮静化していからということにならざるを得ないような状況ですが、現状は兎も角、いずれ本格的に考えなければならない問題でしょう。

 このブログの主要テーマは、タイトルの副題にありますように、「付加価値の生産とその分配」です。そして、そこでの最も重要な視点は、「分配のあり方」が「成長のあり方」を決めるという経験的事実にあります。

 働き方改革の主要課題である2点、「労働時間の短縮」と「同一労働・同一賃金」は、付加価値の分配の基本に直接関連するものですから、このブログでは、折に触れて取り上げてきました。
 勿論、今後も実体を見ながら、確りウォッチしていきたいと思っています。

 という前提で、まず、日本企業としては、いかなる方向感覚で取り組んでいくことになるのか、あるいは取り組んでいくべきか、本当に目指すべきは何なのかといった点を些か整理しておきたいと思っています。

 「働き方改革」というのが、一億総活躍社会という安倍政権のスローガンに関連してでしょうか、突然出てきました。

 先ず出てきた論点は、「長時間労働の是正」だったように思います。
 高度成長の末期のころから、「日本人は『ウサギ小屋に住む働き中毒』だ」などと言われていましたが(実は日本人が自虐的に作った言葉らしい)、当時、「一億総中流」などと言われる中で、日本人のウサギ小屋は清潔で住みやすく快適で値段を聞けばアメリカ人もびっくり(高価で)するなどと半分自慢していたものでした。

 しかし、長時間労働は、そのころから種々深刻な問題を起こしていたようです。そしてそれは、長期不況になって、深刻の度を増しました。

 ですから、一億総活躍を目指すなら、長時間労働など止めなければ、活躍などといった雰囲気は出てこない、長時間労働是正大賛成と、このブログも考えていました。
 ところが、後から、統計を誤用して、裁量労働を積極導入しようとか、最後には、副業、兼業、二重就業を推奨すべきだなどという訳の分からない方針が政権から示され、安倍政権はいったいなにを目指すのか全く分からなくなりました。

 「同一労働・同一賃金」については、このブログでは当初から、日本文化の本質を理解せず、机上の単純な合理性追求と、未だに残る舶来崇拝思想の混合の産物と見ていました。

 そんなことで、世間や国会を混乱に巻き込みながら、無理に無理を重ねて成立させたものですが、余程活用の仕方を注意深く検討しないと毒になっても薬にはならないのではないかと心配です。
 これからもこの点に関して、確りと行く先を見極めながら取り上げていってみたいと思います。

転んでもただでは起きるな

2020年02月26日 21時27分14秒 | 経営
転んでもただでは起きるな
 コロナウィルスの脅威がどこまで広がるのか解らない状態の中で、こんなことを書いては不謹慎だとの批判があるかもしれません。

現状では、政府も、企業などの組織も、そして個人も出来る限りの感染ストップに知恵を絞り、努力をしながら、早期収束の努力をすることが最も大事です。

そしてコロナウィルスの脅威に打ち勝った時、その中で経験し、発見した重要なノーハウが、感染症対策以外でも、社会活動の多くの場で、色々と役立つことがあるように思われます。「転んでもただでは起きない」日本人の勤勉さを発揮する場があるはずです。

 感染症対策としては、個人としては、手洗いうがいとか、風邪を人にうつさないようにするのがエチケット(昔は風邪は他人に移せば治るなどといったものです)とか、いろいろあるかと思います。
 もちろんウィルスの突然変異のスピードが早くなっているので、政府の対応も後手後手に回っているようですが、その中から学ぶことも多いと思います。

 企業にとっては、この際、学ぶべきことの一つに「テレワークの活用」の促進、そのための機器の開発、特に、それを使いこなすノーハウ習得・熟練があるように思います。
 今日のニュースでも、資生堂、ユニチャームなどで、大規模なテレワークの実施に踏み切ったとの報道がありましたが、その経験は宝の山になるかもしれません。

 勿論、製造工程など、機械に人がつかなければ不可能なものはありますが、それは省人化、無人化の対象分野として、従来は、人間同士が直接に顔を突き合わせて「会議・打合せ」することこそが大事と思われていたオフィスワークが、やってみれば、テレワークで可能ということになるケースも多いのではないでしょうか。

スマホやパソコンの進歩、特にソフトウェア(アプリ)の進歩によって、特別に高価な装置などを導入しなくても、テレワークの可能な仕事は随分増えてきたのではないでしょうか。

 例えば、企画とか設計とシステム開発、プグラミングなどと言った仕事は、必ずしも会社の机でなければできないという事はないようです(守秘問題はありますが)。従来の風呂敷残業などで、それは証明済みではないでしょうか。

 こうした仕事のやり方は、いわゆる過労死などの問題の際、実は長時間残業だけでなく、上司によるパワハラやいじめ(非生産的な人間関係)に類する問題がその背後にあるという実態からも明らかでしょう。
 
 「濃密すぎる」職場の人間関係は、日本的人事管理、時にはOJTという名目である程度認められてきたのかもしれませんが、これは、日本企業における「ホワイトカラーの生産性の低さ」の一因と指摘する方もおられます。

 ネットを介する仕事上のやり取りは、ある程度の人間関係の希薄化を齎すかも知れませんが、作業の中の無駄な流れを削ぎ落し、本当に必要な事だけのコミュニケーションを明確にして、所謂「スマートワーク」の実現に貢献することも十分考えられる(可能にもなる)ように思います。

 よく言われる通勤時間の節約も含めて、テレワークの必要に迫られた導入が、日本のホワイトカラーの生産性向上の1つの契機になるとすれば、「転んでもただでは起きなかった」と言えそうな気もするのですがどうでしょうか。

豊後梅の開花も早めです

2020年02月23日 23時15分40秒 | 環境
豊後梅の開花も早めです
 東京は昨日が春一番だったようですが。今年は本当に暖かいですね。今朝も外の温度は6°C。先日発見したリュウキンカの花はもう何本も出そろい、あまり日の当たらない所の株も綺麗に花が咲きだしました。

 そして、昨日から開き始めたのが豊後梅です。



 写真のようにバック(南側)は隣家の壁ですから、当然日当たりは余り良くありません。

 例年、開花は近所の日当たりの良い豊後梅から一週間ほど遅れ、3月に入ってからですが、今年はもう開花が始まりました。
 この豊後梅の木は2代目ですが、府中の大國魂神社の例大祭で苗木を買ってきてから、もう20年になり、このブログでも、 「ヒヨドリとムクドリ」の写真や、枝に載せた鳥の巣箱にスズメとシジュウカラが入居争い 「今年はスズメの巣箱に」の舞台になっている木です。

 豊後梅は花も濃いピンク色でびっしり咲くので春は花を楽しめますし、大粒の実は梅酒に最適なので、まさに「花も実もある」有難い木です。そのうえ、庭に来る鳥たちの活躍の舞台にもなってくれるので、自分流の剪定で大事にしています。

 鳥の巣箱は、出入り口のサイズを調整してから、シジュウカラ専用になっていて、今年も、もうシジュウカラが来ています。
 巣作りに入るときは必ず2羽で来ます。1羽が周りの枝を飛び回っていて、1羽が巣箱に入ります。気が向くと2羽とも入るようです。

 今年はもう先日から、入居先に決めたらしい「つがい」が来ていますので、雛の巣立ちが見られそうで、いまから期待しています。

 テレビをつければ、我々高齢者には極めて恐ろしいコロナウィルスのニュース、食欲の減退する国会中継、アメリカの品格劣等な大統領選挙の模様など、世も末と思わせるようのものばかりですので、せめて豊後梅の花とシジュウカラ来訪の様子でも見ていようと思っています。
 シジュウカラ来訪の写真が撮れたら、またご報告します。

大切な日本文化が壊れていく・・・

2020年02月21日 23時04分58秒 | 文化社会
大切な日本文化が壊れていく・・・
 日本文化の良い所はなんでしょうか。
 いろいろあると思いますが、まず、自然との共存を大事にする文化があります。狭い国土に1億2千万人が住みながら、森林面積が国土の7割ほどもあるのです。

 平和を愛する多様性の共生を実践する文化(日本人のDNAの多様性は世界のトップクラス)があります。縄文時代には既に日本列島内の広い交流はありましたが、戦はなく、征服・被征服結果の奴隷制度もなかったというのが多くの調査研究の結果です。戦が始まったのは、武器とともに戦という外来文化が入って来てからのことのようです。

自然は豊かな実りをもたらすが、時に大きな自然災害をもたらすという風土の中で、自然を尊重し巧みに自然と共生する繊細な感覚を磨き、自然と共生のための集団生活(農耕、栽培、後の稲作の影響も大きい)を重視し、人間集団を大切にする文化を育ててきています。(ほかにもいっぱいりますが、さし当たってここまでにします)

 一万有余年の縄文時代を通じて育まれた文化の上に、自然と人間のホリスティック(全体的な)な共生システムの大切さの認識とそのための繊細な感覚の創造と練磨といったものが育ち、、後の世にそれが纏められたものの典型が、聖徳太子の「17条の憲法」といえるのではないでしょうか。

 聖徳太子の17条の憲法は、皆様ご存知のように、第1条「和を以て貴しと為す」から始まっています。
 これは人間を大事にするのは当然ですが、もっと大事なのは「人間集団が仲良くする」ことが大事、人の考えは必ずしも同じではないが、仲良くする事(平和に共存する)が大事と言って言えるのではないでしょうか。
 そこには、仏教の影響もあるのでしょうが、心は多様でも共生、共存は可能という人間への楽観主義がある様に思われます。
 
 勿論そこには、人間集団をまとめるリーダーシップがなければなりません。
 これについては、
第17条「夫れ事は独りにて断ずべからず」と書いてあります。
 これは「必ずみんなの意見を聞いて決めなさい。そうすれば誤ることはないでしょう」という説明がついています。この第17条は大変大事だと思っています。

 ところで、このところの日本のリーダー安倍総理の言動を見ていますと、積極的平和主義とか、一応総活躍社会とか、 働き方改革とか、日本にはカジノが必要とか、改憲をすべきとか、さらには国会答弁まで、だれが反対しようと、自分の言うことを何としてでも押し通すといった態度があまりに多すぎます。

 そして奇妙なのは、自民党や公明党の中にも、恐らく意見の違う人がいるはずですが、「総理、そこまで言っては言い過ぎですよ」という意見は全くなく、官僚も(国税庁、人事院まで)安倍総理の答弁が適切ということになっているようです。

 労務管理の本にこんな解説があります。
 社内に苦情処理委員会を作ったら、
① 苦情が山ほど来た
② 苦情は全く無かった
さて、どっちらが良い会社でしょう?
 答えは、両方ともダメ。①は労務管理がきちんとできていない、②は、委員会が出来ても苦情など出せない雰囲気。
ある程度の苦情がでるのが正常な会社でしょう、という答え。  

 与党も官僚もみんな迎合・忖度では、この先、良き日本文化は破壊され、日本は独裁国家に堕していきそうな気配ではないでしょか。私の杞憂なら結構ですが。

トランプ大統領、対中貿易柔軟化へ

2020年02月19日 23時02分49秒 | 国際関係
トランプ大統領、対中貿易柔軟化へ
 トランプ大統領は、突如としてか、なし崩しにか解りませんが、強硬な対中貿易路線の転換に動いたようです。

 先に、対中関税の半分への引き下げを決めましたが、今度はアメリカGE社が仏サフラン社との合弁で製造しているジェットエンジンの対中輸出制限を非難し、規制を緩めるべきだと政権に指示したとのことです。

 関税引の引き下げについては、それによって、中国のアメリカからの穀物の輸入の大幅増加を引き出したとしていますが、今回のジェットエンジン輸出制限については、「アメリカが輸出しなければ、自力で作るか、よそから買うか」という事で、「アメリカにとって、結局プラスにはならない」という説明のようです。

 考えてみれば、これは全くまともな説明で、アメリカはジェットエンジンをどこにでも売って、アメリカとしては、さらに優れたジェットエンジンを作り続けるのが最善の道というのは自明でしょう。

 ファーウェイについては相変わらず厳しいようですが、これは通信機器という性質上の問題が絡むからでしょうか。我々にはわからない所です。

 いずれにしても、世界経済という視点から見れば、米中貿易摩擦で多くの国の経済がマイナスの影響を受け、結果的に世界経済が下振れし、そこにまた、新しいコロナウィルス問題が発生して、これがまた経済の下振れを招くといった、人災に天災が重なったような状態ですので、ここは少し貿易戦争も休戦して、世界経済に過度なマイナスにならないような選択をする方が賢明かもしれません。

 我われ素人の目から見ていると、トランプさんも、はじめは、中国は、対米輸出で儲けているから関税をかければいいと単純に思って、実際に関税をかけてみると、対中貿易で儲けていたのはアメリカの企業が多かったようで、返り血を浴びて軟化したように思われてなりません。

 マスコミでは、トランプ大統領は利益に敏感なので、損になる事が解れば態度は変わるのは当然のような指摘もありますが、このあたりがやっぱり良く解らない所で、どのくらい長い目で見て損得を判断するかという期間設定によって、判断は変わってきます。

 ユネスコから脱退したり、気候変動のパリ協定やイランの核協定から離脱したりするのも、長い目で見れば、決してアメリカの得にならないのではないかと思うのですが、期間設定はもう少し短期で、認識の分野はビジネスだけなのでしょうか。

 大国の世界的責任とかノブレス・オブリージュといった見方からすれば、期間設定は出来るだけ長期の方がいいし、視野は広い方が良いように思うのですが、いままでのトランプさんには、覇権国の大統領ですが「 国としての地球的責任(NGR)」といった問題までの広い視野での長期的視点は、やっぱり無いのでしょうか。

 これから大統領選挙戦の本格化を控えて、トランプさんの視点の広範囲化と長期化と、アメリカ国民の視点の広さと長さとがどんな関係になるのか、それに巻き込まれる同盟国日本の視点の的確さも含めて、短期的視点と長期的視点や、視点の広さの錯綜や確執が如何なる展開になるのでしょうか。確り見ていきたいと思う所です。

四半期GDP:10-12月速報

2020年02月17日 17時55分48秒 | 経済
四半期GDP:10-12月速報
 今日、四半期GDPの2019年10-12月分が発表になりました。
 数字は、実質で前期比マイナス1.6%、年率換算6.3%の急な落ち込みです。
 説明は、10月からの消費税の増税で、消費が落ちたということのようですが、単に消費税だけではないような気もして、気になることが多い昨今です。

 先日、2019年7―9月の第二次速報が発表になり、設備投資が増えたということで、対前期比の実質経済成長率は、第一次速報のプラス0.1%から0.4%に大幅な上方修正があり、年率換算では0.2%から、1.6%に急上昇ということで、内外から「修正が大きすぎる」といった批判があったようでした。

ということで、7-9月の大幅上方修正が裏目に出たななどと感じて、今日発表の資料の中の7-9月の数字(確報値?)を見ましたら7-9月期の数字は0.1%に戻っていました。(四捨五入しているので、細かく言えば、0.0.8%から0.12%ぐらいの上昇.のようです)

 第二次速報の修正はなんだったのかということになりそうですが、それはそれとして、10-12月期の落ち込みを前期比ではなくて、いつものように対前年同期比で傾向的な動きで見てみましょう。

対前年同期比の伸び率の推移を直近5四半期、2018年10-12月期~2020年10-12月期について、主なものを見ますと(実質値、単位:%)、
・GDP  -0.3 0.8 0.9 1.7 -0.4    
・国内需要  0.9 0.3 1.3 2.3 -.0.8
・消費需要  0.0 0.3 0.7 1.4 -1.9
・設備投資  2.0 1.4 0.4 5.4 -3.3
・政府需要  0.8 0.6 1.8 2.9  3.1
・純輸出  -0.5 -0.2 -0.4 -0.6 0.4
となっています。

 つまり、昨年10-12月期は、民間需要についてはすべてマイナスで、財政赤字を増やしての政府需要(特に公共投資)と輸入の減(輸出より大幅の減少)のお蔭でマイナス0.4%にとどまっていますが、民間の経済活動は前年同期を2%程も下回っていることになります。

 消費税増税の反動という説明になるのでしょうが、消費の落ち込みは駆け込み需要より大きいようですから、やはり景気は減速と見なければならないでしょう。もう「緩やかに回復」ではなさそうです。

 2020年の1-3月期になると、今度は頃はコロナウィルスの影響が出てくる事でしょうから、政府経済見通しの2019年度0.9%成長は、とても無理のようです。

 米中摩擦、自然災害、コロナウィルス、人災がひどくなると、天災も誘発されるのでしょうか、昔だったら、「天が怒っている」などと言って自戒したところでしょうが、日本経済も、何か「弱り目に祟り目」のようです。

リュウキンカ、今年は、もう咲いていました

2020年02月15日 20時29分43秒 | 環境
リュウキンカ、今年は、もう咲いていました

 毎春、我が家の庭で真っ先に咲くリュウキンカ(立金花)の開花を報告していますが、その時期は年々早くなっています。

 一昨年は3月11日、去年は2週間早くなって2月24日、そして、今年は2月の14日、まさにバレンタインの日です。

 南側に面した窓の正面の真正面の梅の木の下にある株はまだ開花の様子がないのですが、そろそろかなと思っていたところでした。
 たまたま今日、家に来られた人から、玄関(東側)の脇の窓の下に黄色い花が咲いてますが、何ですか、と聞かれて、「え、もう咲いてますか」と見に行ってみると、確かにリュウキンカです。咲いていました。

 南の窓から見えるのは、隣家との間の塀の下で、最も日の当たらない場所すから、遅いのは当然で、去年も最初に咲いたのは西側の曙つつじ下、朝日の当たるところです。ここはまだ咲いていません。

 実は東側の窓の下にリュウキンカの株があることは気が付いていませんでした。昨年までは無かったように思います。株分けなど全くしていませんが、知らぬ間に思わぬところに株が増えていきます。(ネットで見ますと、リュウキンカは株分けで増やすと書いてありますが、どうして我が家の株は増えていくのか解りません)

 それにしても葉も艶があって綺麗ですし、花も鮮やかな黄色、春は真っ先に咲く大変結構な花なので、増えてくれて有難いと思っています。 


 

経済低迷の責任は政府にあると思うのですが・・・

2020年02月14日 22時37分56秒 | 政治
経済低迷の責任は政府にあると思うのですが・・・
 前回は、IMFが日本に対して、「今のままでは日本の経済社会の将来が危ぶまれますから、日本としても確りと経済政策を考えた方がいいのではないでしょうか」という提言を出してくれたことを書きました。

 出来れば「日本は、やるべきことはきちんとやっていますから大丈夫です、ご心配有難うございます」そう言いたいところですが、今回はそうも言えないなと思ってしまったからです。

 確かに、日本経済はこの所、誠に冴えませんね。今はコロナウィルスですが、世界中からの観光客は毎年新記録で、日本の食事は美味しい、製品は上質、値段も安い、観光資源は豊富、治安もいい、日本人は親切、とおっしゃって下さるようです。

 こう書くと良いことずくめの様ですが、我々日本人としては、今の世代は親の世代より暮らしは苦しいし、将来も不安で子供をもつのも二の足で、政府も何か頼りないので、一生懸命節約して、貯金して老後の準備などしているのですが、それでも不安なのです。

 海外の皆さん来て頂いて、日本でお金を使って、日本経済を助けて頂きたいということで、来ていただけるのなら、カジノでも何でも作ってお迎えします。政府も一生懸命です。何卒よろしく・・・。ということになるのでしょうか。

 何とも情けない話で、今の日本では、今の世代は親の世代より貧しく、次の世代は、よく解らないけど、もっと貧しくなるのではないかという感覚を持っている日本人は結構多いのではないでしょうか。

 何でこんなことになったのでしょうか。経済というのは、まともに回っていけば、短期の変動はあっても、中・長期的には成長していくことは十分可能だということは産業革命以来、実証されて来ているところではないでしょうか。

 それなのに、勤勉で真面目に働く日本人の住んでいる日本が、どうしてこんなことになったかという最も基本の問題を考えてみますと、やはり経済の運営の仕方を間違った、というしかないよう思われます。

 そして、その原因は、円高という問題を中心に、政府、日銀の政策の失敗として、専門家によって、確り分析されているのではないでしょうか。
 
 そして、今問題になっているのは、昭和末期から平成にかけての日本経済についての円高などの国際経済関係の制約条件は「無くなった」にも関わらず、どうにも日本経済が「成長経済に戻らない」ということではないでしょうか。

 経済活動というのは、その年に創った付加価値を、消費と投資に適切に配分して、国民が勤勉に働けば、翌年の付加価値は増加する(経済成長)という形で進展するものなのです。

 その場合に、消費と投資にどう配分するか、どんな消費に、どんな投資に配分されるかが、成長のスピードを決めることになるのです。
 これを決めるのが経済政策であり金融政策であり、広く社会政策も反映してくる、つまり「政治」というのが現実でしょう。

 付加価値(GDP)が、経済成長に効果的に貢献する分野に向かい、消費がそれに呼応するような政策が着実に取られることが大事なのです。
 そういった点から見れば、今の政策は、そうなっていないから、日本経済は成長力が失われているという事にならざるを得ません。

 政府の政策が適切でないということになりますと、問題は、日本をリードする政治家の頭脳と手腕の問題ということになるのですが、その人達を選んだのは、ほかならぬ国民自身ですから、民主主義の下では、責任は国民にあるという事になるのでしょうか。

 そういえば、最近は選挙の投票率はいつも低く、国民が本気で民主主義を活用しようと心掛けていないように思われるところです。
 選挙がいい加減だと、出てくる人もいい加減で、その人たちのやることもいい加減になるという悪循環になってしまっているような気がしてなりません。

日本はこんなことをやっていていいんですか・・・

2020年02月12日 22時16分21秒 | 経済
日本はこんなことをやっていていいんですか・・・
 2月10日に、IMFが、予想外の低迷を続ける日本経済に対して「こんな政策を取るべきではないですか」という提言を発表したことが報道されています。

 IMF(国際通貨基金)は世界経済の安定と健全な成長を目指して、加盟国の経済・金融政策が上手くいかないと色々とアドバイスをしてくれる国連の専門機関です。
 例えば ギリシャ経済が行き詰まった時も、適切な提言をし、ギリシャも苦しみつつそれに従い 何とか経済を立て直したこと など、このブログでは報告しました。

 今回の日本への提言は、やはり日本政府が聞かなければならない、まともな提言ではないかと思っています。

 提言の内容は、
・少子高齢化、人口減少の進行で40年後のGDPは25%下がる可能性がある
・財政建直しのために2050年までに消費税を20%にする必要がある。
・併せて、富裕層への資産課税導入の必要がある。
という3点です。

 この提言については、40年後にはGDPが25%も下がるなどと考えたくありませんが、今日のニュースによれば、政府は「2%成長をしても、財政のプライマリーバランス(PB)の回復は2027年に、これまでの政府見通しより延びる」と発表していますし、このままでは駄目だなという懸念は大きいでしょう。

 今までもPBの回復は伸びのびになっていますが、今回の見通しも、おそらく実現不可能でしょう。というのは、2%成長確保は夢のまた夢で、2020年度についても、政府の成長見通しですら1.4%で、 民間の見通しは大方0.5%、IMFの見通しも0.7%です。

 安倍政権は、見たところ財政再建には殆ど気合いが入っておらず、気にするのは消費増税で人気が落ちることばかり、予算では減るはずの国債依存度が、決算では増えても、素知らぬ顔、対策は春闘に介入して大幅賃上げを実現する事でしょうか。およそ真面目な取り組みはありません。
 
 そんなことですから、IMFが心配するのも当然で、嘗てはあんな立派な経済を築いた日本が一体何をやっているのかという所でしょう。
 円高不況の時は、経済不振の原因は誰にも理解できますが、異次元緩和で円高が解消してからも、今に至る経済低迷という状態は、外国から見れば異常でしょう。

 IMFは、その原因を、少子高齢化、人口減少が主因で、この儘では上記のようなことになりかねないと今回の提言になったのでしょう。
 現実には、人口減少は極めてゆっくりですから、経済が活発であれば、人口減少でも経済は成長して、国民1人当たりのGDPは増え続け、格差化が過度にならなければ、国民の豊かさ、福祉の充実は可能です。

 いずれにしても、今必要なのは、経済成長率を引き上げる事と格差化を阻止する事で、政府、日銀の政策が今の儘では駄目ですから、そう考えれば、上記のIMFの提言は、すべて最善とは言えないまでも、先進諸国に共通する認識として、十分検討に値すると素直に考えた方がいいようの思うところです。

 それにしても、最近の国会で議論される問題は、答弁の仕方も含めて、些かひどすぎますね。見ていて気分が悪くなって食欲が落ちます。

我が国の経常黒字体質の背景

2020年02月10日 22時29分41秒 | 経済
我が国の経常黒字体質の背景
 前回は、リーマン・ショックによる円高で、日本の国際競争力がダウンし貿易赤字になったものの、第一次所得収支の大幅黒字のお蔭で経常収支の黒字が維持された状況をグラフで見ました。

 日銀がアメリカのFRBに倣い、ゼロ金利・異次元金融緩和をやることで、異常な円高は解消しましたが、今でも「何かあると円高」という傾向は残っています。これは、日本が常に経常黒字を維持している国だという事に起因するものでしょう。

 そして経常黒字の原因は、第一次所得収支(海外からの利子・配当などの純収入)が年20兆円、GDPの3~4%という巨額にのぼっていることが背景にあるからです。ではその大きな黒字の原因は何か、ですが、今回はその辺を見てみましょう。

 プラザ合意以降の円高で、日本の企業にとって、国内生産は大幅にコスト高となり、製造業中心に工場などの海外移転が進みました。海外に工場・事業場をつくるための企業の海外への投資が、国際収支統計でいう「(海外)直接投資」です。

   図1 直接投資と第一次所得収支 (財務省、単位:1億円、暦年)


 日本企業のこの動きは、図1のように、円高に苦しんだ2000年頃(年2~3兆円)から急速に増え、リーマン・ショック前には10兆円近くになっています。リーマン・ショックで一時停滞しましたが、その後は一層の増加です。
この勢いは円レート正常化後もとまらず年15兆円水準から20兆円に達してきています。

 国内に投資するより、広く海外を見て投資する方が、あるいは海外の企業を買収する方が、手っ取り早く収益につながるといった企業行動の変化がこのところ顕著です。
 企業活動の国際化という視点からは望ましいことでしょう。しかし研究開発や教育投資なども含めた国内投資がて些かおろそかにされていると言いう問題もあるようです。
 
 こうした状況から、茶色の柱の第一次所得収支は快調です。このグラフで見ると、第一次所得収支のかなりの部分は、また海外へ投資されているようです。ですからさらに海外の工場や営業拠点が増え、それが第一次氏所得収支の黒字を増やすという形で、付加価値生産(GDP)が海外を中心に回っているという事になります。

 第一次所得収支を生んでいる「海外への「直接投資の残高」は、図2で、2000年あたりから急速に増え、最近の伸びは顕著という状態です、2018年、投資残高は1.6兆ドル(160兆円、1ドル=100円として)が、第一次所得収支の源泉です。

   図2 直截投資残高の推移(JETRO,単位:億円、暦年)


 こうした現象をどう読めばいいのでしょうか。経済成長の源泉は技術革新で、技術革新の源泉は教育投資と研究開発投資でしょう。こうした投資が、今、日本国内では停滞してしまっているのです。

 アメリカも第一次所得収支は常に黒字です。サービス収支も(日本はやっと黒字になったようですが)アメリカは常に大幅黒字です。アメリカの経常収支の万年赤字の原因は、国内需要が大きすぎるための貿易収支の赤字が原因です。

 日本は今内需不振で、その原因は、消費需要が伸びないことです。そしてその原因は、国民が将来不安から消費を節約、貯蓄に励んでいるからです。
 日本人には、今のアメリカのような借金してでも消費するといった態度は真似できないようですが、ずっとアメリカにくっついていくようですと、アメリカが日本の将来像になるのかもしれないなどと考えたりします。

リーマン・ショックと日本の国際競争力

2020年02月10日 22時29分41秒 | 経済
リーマン・ショックと日本の国際競争力
 今日、財務省から2019年12月の国際収支統計が発表になりました。それで、2019年(暦年)の数字がまとまったわけです。
、この機会に、リーマン・ショック以来の我が国の国際収支構造の変化の状況を見ておきたいと思います。

 このブログでは、繰り返し、リーマン・ショックが日本経済社会に与えた影響を見てきていますが、それを国際収支面から眺めてみようというのが狙いです。

 企業ならその競争力や収益性は、経常利益水準に最も素直に反映されると思いますが、一国経済の場合はそれに相当するのは矢張り「経常収支」だと思います。
 これは経済の実力で、経常収支が黒なら対外債権が増加し(ドイツや日本など)、赤字なら外国からの借金が増える(アメリカなど)ということになるわけです。

国際収支の構成要素の主なものは、貿易・サービス収支、それに第一次所得収支です。ここでは経常収支と第一次所得収支をグラフにしました。

経常収支と第一次所得収支の推移(財務省、単位:億円)


 第一次所得収支というのは、言葉としてはわかりにくいですが、企業でいえば、P/Lで営業収支の次に来る経常収支、利子・配当などの収支に当たります。

 グラフに見ますように、日本の近年は経常収支(青い柱)の大幅黒字国で、その規模は年間約20兆円、GDPの3~4%に達する大きさです。

 国際収支の基本は、トランプさんが気にするように貿易収支で、これにサービス収支を加除したもの、つまりモノとサービスの取引の収支が、企業なら営業収支に相当する部分で、それに、さらに第一次所得収支を加除したものが、経常収支になるとみていいでしょう。
 
 という眼でこのグラフで見てみますと、最近10年間で、日本経済がリーマン・ショックを受けた時期には、経常黒字が大きく落ち込んでいることが解ります。
 ということは、この時期は日本の貿易は輸出減、輸入増で赤字化し、(第一次所得収支は頑張りましたが)経常収支を大きく減らしているということです。

 その理由はといいますと最大の要因は円高です。リーマン・ショック前の2007年には120円弱だった円レートは2012年には70円を割り込んでします。これは、アメリカのゼロ金利政策でドル安に誘導したことの裏返しです。

日本も数年遅れてそれに倣い 円レートが120円に戻った2015年には経常収支はほぼ第一次所得収支に追いつき、その後は、両者はほぼ平行です。つまり、このところ、貿易。サービス収支は、プラス・マイナスを繰り返しで、輸出入は均衡状態であることを反映しています。(この数年の遅れが日本経済に大きな歪みを残しました)

 ここから解ることは、円レートが70円とか80円では日本輸出競争力は壊滅的で、海外からの観光客も来ない(日本は物価の高い国だから)といいうことでしょう。
 替為レートが$1=110~120円になって、初めて日本経済は国際競争を回復、観光客も増えて、国際競争の中で安定状態になるというのが現実ではないでしょうか。
 
 関連した問題はこのブログでは折に触れて取り上げていますが、今トランプさんの御意向はドル安(つまりは円高)ということのようです。

 為替は操作するものではなく、安定させるもの(出来るなら固定相場制)という考え方が、最も健全な国際経済関係のベースだと改めて考えることも大事なように思っています。 
 (「 為替レートとゴルフのハンディ」をご参照ください)





2019年の平均消費性向、年末まで低迷

2020年02月08日 16時23分37秒 | 経済
2019年の平均消費性向、年末まで低迷
 昨日、2019年12月の家計調査が発表になり、年末商戦の消費動向はいかにと思って見ましたが、やはり平均消費性向は前年比で低下でした。

 家計調査の調査票は、調査票の改定で、移行期間が2018年19年と2年にわたり、その間は改定によるギャップを調整する措置が取られています。調整は統計理論に基づいていますが、どうしても調整期間中は不安定な感じになります。

 この期間が12月で終わり、2020年1月からは同じ調査票になるので、何となく安心です。
 その意味では、移行期間中だということを前置きしながら、昨年1年間の2人以上勤労者所帯の平均消費性向を月別のグラフにしました。

         平均消費性向の推移(2018年、2019年)

 
 ご覧いただきますとお分かりのように、平均消費性向が前年の同じ月を上廻ったのは、2月、5月、7月、9月の4回だけで、それも9月の場合は消費税増税の駆け込み需要ということが明らかですから、矢張り勤労者所帯の消費性向はまだ下げ止まってはいないということでしょう。
        
 マスコミも書いていますように、駆け込み需要の後は、その反動減で消費が落ち込む(買い溜めしたものは当分買わない)わけで、それがどのくらい続くかでも、家計の消費意欲が解るとも言われます。

 今回は、駆け込み需要が9月で、その後3か月目には年末商戦ということでしたから、家計の消費欲が強ければ、12月の年末商戦で、少し変化がみられるかと期待もしていました。
 しかし現実は、まだ、駆け込み需要の反動は続いていて、脱出はできませんでした。

 しかし、9月以来の具体的数字を見れば、平均消費性向の前年同月比は  
  9月  プラス  6.3ポイント
 10月  マイナス 5.2ポイント
 11月  マイナス 3.7ポイント
 12月  マイナス 2.5ポイント
ということですから、駆け込み需要の影響は着実に薄れているといった見方も可能でしょう。   
 
 このブログでは、このところの平均消費性向の落ち込み、いささか行きすぎではないかといった見方をしています。
 もちろん、少子高齢化が進む中で、年金、医療、介護問題をはじめ、深刻な財政赤字、貯金してもゼロ金利、国会の混乱など、国民の将来不安の種は尽きません。

 しかし、政府が適切な政策さえ取れば(今の国会の状況では難しいかもしれませんが)日本人の勤勉さ、1800兆円を超える個人貯蓄といった巨大な資産もあり、日本経済の復活は十分可能と思っています。

 その意味では、消費の拡大も、消費不振による日本経済の低迷を救うある意味では「投資」になるという側面もあるのではないでしょうか。
 次回、2020年1月調査からは、前年と同じ調査票での調査になり、統計としての安心感が出ますので、また確り見ていきたいと思います。

NYダウは下げられない、日経平均は?

2020年02月07日 20時49分21秒 | 経済
NYダウは下げられない、日経平均は?
 この所、アメリカの株価の動きは順調です。対中摩擦が問題になって下がると、トランプさんが宥和的なツイートをして、結果は上げ幅の方な大きくなるようです。

今回のコロナウィルスの場合も、一時下げましたが、すぐに持ち直しています。頻繁に史上最高といった言葉が聞かれます。
テレビでも「株が上がって生活が安定した。トランプさんのお陰です。このまま行ってほしい。」などというインタビューの様子が見られたりします。

 日経平均の方も、アメリカのコピーなどと言われるように、一時下げても、また上値を追っているようです。

 アメリカでは雇用統計が先行指標のようになっていて、雇用増が予想通りとか予想以上であればアメリカ経済は好調と判断されて株価が上がります。

 素人の私などが見ても、いよいよ始まった大統領選挙戦の中で、株価が下がったらトランプさんの評価にも翳りが出るでしょうから、トランプさんは、何としてでも雇用も堅調、株価も好調という状態を続ける必要があるのだろうと思っています。

ということになれば、当面、NYダウが暴落などないという予測が成り立って、結果的に日経平均もそれなりの水準を維持していくと読めそうな気がしてきます。

 とんだ「桶屋哲学」の株高予想ですが、他方では、「今のアメリカの株価は、はっきり言って、バブルじゃないの?」などという人もいますから、バブルならそう長くは続かないという判断もありうるでしょう。

 おそらく大統領選挙の結果がつくころには、アメリカ経済や株価にも何らかの変化が起きる可能性は大きいと思います。理由は、今のアメリカ経済が、かなりの無理の上に成り立っているという現実があるように思うからです。

 過日も日銀が、アメリカの中小企業向けローンを証券化した商品 CLOについての警告を出しましたが、これは リーマン・ショックを引き起こしたサブプライムローンの証券化のいわば焼き直し版だから要注意ということでしょう。

 基本的に、アメリカは、1986年に純債務国に転落して以来、ほとんど毎年経常赤字で、国としての借金は増加の一途です。
 国でも家計でも収入より支出が大きければ、その穴は借金で埋めなければなりません。
トラプさんは幸運にも、アメリカがシェールオイルの開発で、世界一の産油国になるという時の大統領です。石油・ガスの純輸出国になるそうです。
 つまりこれまでの石油輸入のお金が要らなくなるわけですから、経常赤字も大幅に減るはずですが、トランプさんになってから財政赤字も経常赤字も大幅に増えています。

 ということは、新しい収入源が出来たのに、それは贅沢に使い、そのうえ、今まで以上に借金をして国内景気を支えているということでしょう。
 それなら、雇用も増え、好況感いっぱいで、NYダウが上がっても当然ですが、実はその背後で、借金はどんどん増えているという現実があります。

 いくら基軸通貨国といっても無限に借金が出来るわけでもないので、何時かは資金繰りがつかなくなります。CLOを使って新たなリーマン・ショックをやるのでしょうか。外国も、もうAAAという格付けには騙されないでしょう。
 こういうアメリカ経済の状況を、中国の諺では「累卵の危うき」というのでしょうか。

作られる被害者意識で社会が歪む

2020年02月05日 23時17分29秒 | 政治
作られる被害者意識で社会が歪む
 この所、被害者意識について考えています。最近は、一国のリーダーが被害者意識を強調して得票につなげるような傾向が顕著のように感じられてなりません。

 そんなことから前々回はアメリカ、イギリス、ロシアの状況などに言及し、前回は、それに対して日本人は被害者意識を持つのが下手なのではないかと書きました。
ちろん例外はいっぱいあり、反論もあると思います。我々が戦前・戦中、「鬼畜米英」と刷り込まれたのは、当時の為政者が「日本は被害者」いう意識を国民の団結に利用したということでしょう。その結果日本は大失敗をしたわけです。

 被害者が、それなりの被害者意識を持つのは当然でしょう。しかし問題は、時に、それをうまく利用して、自分の望むところを実現しようという人がいるという事です。そして、最近の政治の世界ではそれが目立つのではないかという事ではないでしょうか。

 人間誰でも悔しかった経験はあり、それなりの被害者意識はあるでしょう。その被害者意識をキャンペーンによって掘り起こし、ストーリーを作ってみんなの共通の敵を生み出す、そしてその共通の敵のために団結しようという仕組みです。

 日本はプラザ合意で円高になってバブルは崩壊して長期不況に陥った時も、G5で円高を押し付けられたせいだと言わず(気付かず?)、一生懸命コストダウンをしてマイナス成長の中で頑張りました。

 アメリカは(トランプさんは)、アメリが貿易赤字でじり貧になっているのは、外国がアメリカに物を売ってしこたま儲けているのに、アメリカから物は買わない、更に、アメリカは世界の警察官だと思っていいように使っている。アメリカはまさに被害者で損ばかりしている、これがアメリカの経済不振の原因だと言うわけです。

 例えば日本はアメリカに沢山の車を売っているが、アメリカの車はほとんど買わない。怪しからん。だからアメリカの自動車産業は不振を極め、失業者が増える、といった具合で、アメリカの車は日本には大きすぎるし性能も燃費も悪いという事は棚上げです。

 それでも多くのアメリカ国民は、経済不振という状況の中で被害者意識を刺激され、「アメリカ・ファースト」、外国に利用されるのはやめるべきだという事になっていったのでしょう。

 ある意味では「被害者意識は作られる」という事になるのでしょう。そしてそうした被害者意識の結集の結果が選挙に反映されるのです。

 被害者意識を結集するのには敵が必要です。トランプ政権の敵はまず中国。しかしこの被害者意識は作られた部分が多かったので、関税合戦は、相打ちで第一幕は終了したようです。(トランプさんは「勝った、勝った」と宣伝中)
 次は日本でしょうか、何を言ってくるか、予断を許しません。

 アメリカの事ばかり書いて恐縮ですが、最近の何かと問題を起こすリーダーたちの主張や行動を見るとこうした見方がかなり成立するように思われてなりません。

 民主主義がポピュリズム化して、差し当たっての人気で選挙結果が決まるようになると、リーダーによっては、被害者意識の利用が最も手っ取り早いと考える人が増えてくるのではないでしょうか。

 しかし、それはまず海外に敵を作り、国内では、理性派と感情派の分裂を引き起こし、国際社会にも、国内にも不安定要因を作り出す可能性が強いのではないでしょうか。

 さて、民主主義を「ポピュリズム的」(人気投票の世界)にしないためにはどうすればいいのでしょうか・・・。