tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

金融経済学、労働経済学とインフレ問題

2023年08月01日 14時19分49秒 | 経済
金融経済学、労働経済学とインフレ問題
政府、日銀は2%インフレ目標を掲げています。政府はインフレが2%になれば、それだけ経済活動が活発になるのだからそれが望ましいと言ってきました。

日銀は、インフレが2%になれば、ゼロ金利では経済合理性に反するから、金利を上げて国債や銀行預金にもそれなりの利息が付いて金融が正常化するようになる、インフレ2%は金融正常化への入り口としているようです。

最近の国際情勢では、原油などの資源の値上げ利がきっかけになって、アメリカやヨーロッパでは、10%前後のインフレが起き、政府も中央銀行もインフレ抑制に躍起です。

国際経済情勢が各国経済に及ぼす影響は欧米も日本も同じはずです。日本はインフレにならないと言われてきましたが、この所、日本の消費者物価も上がっています。
2%を超えて、3%台になっていますし、食料品や日用品などの生活必需品は10%前後上がっているのが現状です。

しかし政府も日銀も、インフレ目標が達成されたと喜んでいませんし、日銀も金融正常化に積極的になるわけでもなく、国債金利の変動幅をを0.5%広げた程度です。

しかし、市中銀行は、住宅ローンの金利を引き上げに動くようで、現実は今までのゼロ金利ではなくなりそうです。預金金利を上げるところも出て来るかもしれません。

やっぱり日本も部分的には(値上げし易い所では)インフレになっているのではないでしょうかと思ってしまいます。

インフレの原因には大きく2つの意見があって、金融経済学では、モノよりおカネが増えればモノとカネのバランスが変わってインフレになると考えます。

一方労働経済学では、企業の人件費などのコストが上がると利益が減るので利益確保のために物価を上げるからインフレになると考えます。

日本でも金融緩和でインフレになった時代もありました。カネの足りない戦後はそうでした。第一次石油危機まではそんな雰囲気がありました。
そして第一次石油危機の時は、石油の値上がりに慌て、30%の賃上げをして20%を超えるインフレになりました。最近のアメリカやヨーロッパと同じ(よりひどい)でした。

しかし、そうした経験から学び、慌ててインフレを起こすことをやめました。

第二次石油ショックの時は、落ち着いてインフレは最小限に抑えました。
しかし政府が金融の大幅緩和をやったので、余ったマネーが土地バブルを起こしました。しかし1991年バブルは崩壊して大変苦労しました。

この2回の経験で、日本は石油が上がってもインフレは起こさない、金融超緩和でも地価は上らないという経済を作りました。
では、今の異次元金融緩和のカネはと言いますと多分株式市場や湾岸マンションに少し、後は銀行経由で日本銀行への預金でしょう。使われていないのです。

政府がそれを借りて、いっぱい無駄遣いをしているという批判もあります。

何処かで実体経済の活性化のための政策が故障しているのでしょうね。
(前回もそのあたりを少し書いています。)