tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

企業の収益構造の変化、今昔の感ですが

2022年11月30日 19時19分27秒 | 経営

大分以前から企業統計を見て感じていた事ですが、この所アベノミクス問題点も指摘され、コロナもあって、企業収益も冴えないなと思いながら、今年9月に発表になった法人企業統計年報で現状を確かめてみました。

この統計は、企業統計としてかなり良く出来た統計だと思っています。年報と季報があって、季報は時々、最近の状況を見るのにこのブログでも使いますが、年報は企業経営の長期のトレンドを見るのに最適です。

拾ってみたのは2つの利益率、売上高営業利益率と売上高経常利益率です。

     営業利益と経常利益(製造業)

              資料:財務省「法人企業統計年報」
     営業利益と経常利益(非製造業)

              資料:上に同じ

ご承知のように、営業利益はその企業が本業としている仕事から生まれる利益で、経常利益は営業利益から金融関連の支出を差し引き、金融関係の収入を加えたものです。
(さらに特別損益を加除したのが純利益です)

思い出せば、日本経済も元気よく、企業経営もぐんぐん伸びていた高度成長期の日本企業は、成長に追いつく資本蓄積が出来ず、いわゆる借金経営が一般的でした.

勿論金利も高く、今のゼロ金利とは違いますから、営業利益で稼いでも金利負担が重く、経常収支は何処も赤字で、その結果、経常利益は営業利益よりずっと少ないというのが一般的な企業の姿でした。

東京電力の経営分析をしたら、人件費総額よりも支払金利の方が大きいのでびっくりしたこともありました。

ところで最近5年間の数字を法人企業年報で見たのが上の2つの図です。製造業と非製造業に分けて取ってみました。

ご覧頂きますように、青の営業利益の柱より茶色の経常利益の柱の方が高いのが明らかです。
これは、経常収支のが必ず黒字であることを示しています。
経常収支の支出は殆どが借入金や社債の支払金利で、収入の方は、受取金利、受取配当、為替差益といったところです。

中身は企業によって異なるでしょうが、企業の自己資本比率は高まり有利子負債は減り、おまけに金利は史上最低です。支払金利は極小でしょう。
一方余裕資金は、多様な資金運用が可能なマネー資本主義の時代、株式投資で配当は金利の何倍も高いのが今の金融情勢です。
更に製造業の場合を見て頂きますと、非製造業の場合よりも茶色の柱が高めです、これは海外への企業進出による利子配当の増加によるものでしょう。輸出が多ければ、円安の時期には為替差益も貢献してくれます。

こうして、経常収支(金融収支)で、企業経営は安定の度を増しているのです。前述のように、これにはゼロ金利政策も大きなプラスになっているわけですら、今後ゼロ金利政策が終わればその分はマイナスですが、企業の財務体質の強化による分は変わりません。

そういった意味で、高度成長の昔と企業の収益構造は(財務体質の健全化によって)大きく変わってきているのです。

ただこれを単純に善しと見るか、成長への積極性、国内経済活動の活発化につながらない、収益志向、安定指向の結果とみるかは、議論のあるところでしょう。

折しも日本経済の再活性化が言われていますが、これからの企業の選択が注目されるところです。

旧統一教会問題は日本の民主主義の病気か?

2022年11月29日 14時18分47秒 | 政治
旧統一教会は、今国会では宗教団体などの信者の寄付問題という事で議論になっているようですが、大きな問題は別のところにあるような気がしています。

市井の一市民として、マスコミ報道から理解できる旧統一教会問題というのは、次 の様なものではないでしょうか。

① 韓国に、日本は韓国の植民地であるべきだといった考え方を当初(今でも?)持っていた宗教団体がありました。
② その宗教団体は、日本に進出して布教を行い信者を集めました。
③ 信者はどんどん増え、合同結婚式などといったイベントを開催、人気の芸能人なども参加して、マスコミで大きく取り上げ    られました。
④ その後マスコミをにぎわすようなこともあまりなく、名称変更などもほとんど知られていませんでした。
⑤ しかし、布教活動は進行していて、信者は増え、巨額な寄付金を信者から集めていました。
⑥ そのカネは、韓国における協会の建造物等の建設に使われていたとのことです。
⑦ 旧統一教会は、日韓海底トンネル構想を持っておりそのための寄付も募りました。
⑧ 日本の政治家、学者でも賛同する人もいますが、現状、具体的進捗はありません。
⑨ 旧統一教会は、信者の意思を左右できる可能性を活用、日本の政治家に接近しました。
⑩ 特に自民党は、安倍元首相も含め、票田としての価値を認め、接近し、活用しました。
⑪ 安倍元首相暗殺事件で、上記の様な問題が、マスコミ報道を埋める事になりました。
⑫ その結果、自民党の政治家を中心に、「票」につながる組織としての改称後の「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が改めて俄に日本中で有名になりました。
⑬ マスコミは、旧統一教会を票集めに利用したと思われる政治家の名前などを多く報じ。国民は政治と旧統一教会の癒着といった問題を知ることになりました。

ざっと、こんな所ではないでしょうか

何人かの韓国の人から、「昔、朝鮮の王朝の族の一人が日本に行ったといわれている。日本の天皇家の始祖はその人物ではないかと思っている」といった話は聞いたことがあります。

日本は、仏教も、織物や陶磁器などの先進文物も韓国から沢山取り入れていますから、韓国にそうした見方を持つ人がいても不思議ではないと思っていました。

旧統一教会が、日本に進出して何をしようとしているかは知りません。
しかし、多くの自民党の政治家などが、何故、旧統一教会に接近したかはよく解ります。

理由は旧統一教会の「集票力」でしょう。政治家は「地盤、鞄(カネ)、看板」などという言葉がありますが、総ては「票」のためでしょう。

旧統一教会はその票を(信者という形で?)握っているという事で、俗な言葉でいえば「政治家が群がる」ことになったのではないかという事になります。

これがマスコミ情報から得られる日本の現代の民主主義に内在する問題という事で、その通りなら大変な問題でしょう。

政治家として何をするかより前に、先ず票(当選)が必要という認識に立てば、旧統一教会に接近するのが良いという選択肢が選ばれることになうるのではないでしょうか。

票に繋がるものは色々です。優れた人柄、魅力のある言動、立派な業績もあります。信念を共有する人を頼えむというのも一般的です。テレビに出る、マスコミに載るといったアプローチもあります。カネをばら撒くという方法もあるでしょう。

しかし、思想も信念も共有しない組織に、「票」さえ貰えればと接近するというのは、民主主義の病気ではないかと思われますし、かなり重篤のような気がします。

日本人として、何故こんなことが起きたのか、深刻に反省しなければならない問題ではないでしょうか。

コロナ第8波に油断はないか

2022年11月28日 13時45分29秒 | 経済
コロナ対策の最も基本であるマスク着用については、日本人は、従来の生活習慣もあるのかもしれませんが、諸外国に較べてかなり徹底しているように思います。

アルコール消毒も、公共の場所やお店では広く普及され、こまめに利用される方が殆どのようです。
嗽については家に帰ってからですから解りませんが、励行される方が多いでしょう。

こうした社会規範に対しては、きちんと対応することで、世界でも知られている日本人ですが、今回のオミクロン対応ンのワクチン接種については、何故か少し出遅れているようです。

心配されている第8波の動きを見ますと新規感染者数は東京都ですでに連日1万人を越え、日本全体では10万人を越えるようになり、じりじりと増加中で、近い将来の急加速も心配される状態です。

そうした中で、オミクロン対応ワクチン接種がいまだに15.5%という、接種の遅れを心配する数字が発表されました。

政府は年内に必要な人には接種が行き渡るようにと1日160万回を超える接種の体制を調えていますが、未だ週平均の接種回数はは60万回を越えた程度という所のようです。

第7波が収まり、一時はコロナもそろそろ終息かといった予想も出たりしたが、折しも秋祭り、秋の行楽シーズンという事もあり、続けて年末に入れば忘年会、続いて新年の行事、若い人たちには受験のシーズンという事にもなります。

インフルエンザとの同時流行も懸念され、寒い時期は特に要注意という意見も多いようです。

これまで感染もしなかったし、度重なるワクチン接種で、副反応を経験する人もあり、些か億劫になるという気持ちも出るのかもしれません。

しかし、ワクチン接種は、本来、自分のためだけではないのです。「コロナの無い頃は良かったですね」という状態に戻すのには、誰もが出来るだけコロナに罹らないようにすることが必要なのです。

コロナについては、未だ解らない事もいっぱいあるでしょう。例えば、「変異株発生」が最も迷惑ですから、どうすれば変異株発生を減らせるか等々です。
素人目にはコロナ菌が活発に活動する中で変異株が発生しやすくなるというような気もします。

いずれにしても、余りコロナに流行ってもらいたくないのは共通の意識ですから、やっぱりワクチン接種促進への積極的な協力が期待されるところです。

客観的にみれば、日本人のコロナ対応の行動は、ベストのグループに入るものかもしれません。ならば、ここでさらにその努力を徹底して続けることが必要なときのようです。
まさに「油断大敵」ではないでしょうか。

経済政策は労使で 3(補論)

2022年11月27日 13時49分33秒 | 経済
前回、円レートの正常化に成功したアベノミクスの「第一の矢」、今でいう異次元金融緩和の後、何をすべきだったかについて、その考え方と方向を整理しました。

蛇足かもしれませんが、今回は、ここでもう一度、その方向への進め方を明確にし、更に、それが多少行きすぎたとしても、日本経済は、多分心配する様ことにはなりそうにない体質を持っているといった点を整理しておきたいと思います。

第1の点は、日本はプラザ合意後の円高に際して、賃金を中心に徹底したコストカットを長期間続けた経験に鑑み、円安の場合はその逆を徹底してやるべきだったという事です。

具体的以は、賃金水準の復元をすることが、日本経済のバランス回復に必須だったのです。しかし、第一の矢で、円レートが復元しても、賃金水準の復元をやらなかったのです。

その結果が、長期の消費不振をもたらし、安倍政権以来の景気の低迷を引き起こしているという事です。

幸い、漸く「賃金を上げなければ」という意識が、経済学者、評論家、そして「労使」の間でも共有されてきました。ここでその経済的意味をしっかり理解することです。

賃金を上げなければという問題を具体的に考えますと、円高の時にしたことの逆、
非正規従業員の割合を今の40%から(社会情勢の変化も考えて)20%以下にする
② 賃金水準は物価上昇を1~2%ポイント程度上回る引き上げを当面続ける
この2つを、3年程度でやる努力を企業労使がが主体的に考えることでしょう。

企業にとっては厳しいと思われるかもしれません。しかし、それは経済成長を回復する中で、対応を模索すべき課題です。法人税率も当時より下がっています。

本来、円高というのは日本の要素費用(コストと利益)がドル建てで円高分だけ上がったという事です。それを下げないと国際競争力がなくなるという事です。日本は円建てでそれを下げることに徹底努力して努力をしました。

2013~4年、異次元金融緩和で円安になりました。日本の国際競争力は回復しました。円建ての賃金と利益は引き上げる余裕が生まれました。

この状態の下で、利益は、順調に回復しました。これは多く海外投資やマネーマーケットに向かったようです。

しかし賃金は発生した余裕分に追いつくような引上げはありませんでした。その結果、消費不振が顕著になりました。経済成長は円安にも拘らず消費不振で低迷を続けました。

政府は低成長で税収は増えませんでしたが、消費不振の分を財政政策でカバーせざるを得なくなり(第2の矢の誤用)、その結果赤字国債増発、財政は再建不能状態になりました。消費増税は焼け石に水で、賃金の上がらない家計に追い打ちとなりました。

これがアベノミクス以来の日本の経済政策のあらすじでしょう。

必要なのは「雇用者報酬(日本経済の人件費総額)」を増やし、日本経済の消費と投資のバランスを回復し、家計の意識を変え、消費を伸ばし経済を安定成長の軌道に乗せることです。(インバウンドは、あくまでプラスアルファでしょう)

指摘している雇用者報酬の引き上げは(触れてきませんでしたが、格差拡大に気を付けて)、行きすぎれば賃金インフレに繋がり、今の欧米の様なことになりますが、日本の労使が欧米よりひどい自家製インフレ(賃金インフレ)を招くことは多分ないでしょう.。(政府の役割は、第二の「プラザ合意」に気を付ることでしょうか)

これらのバランスのとれた日本経済の復活の成否は、総て、来春闘を皮切りに、日本の労使の積極的な話し合いと本質的には共通な目標に向けての協力と努力にかかっているのです。 

政府の出番はありません。「いいね」とか「応援」、「続き希望」、「役立った」を押してくれればいいのです。
以上が前2回の補論です。

経済政策は労使で 2

2022年11月26日 14時05分06秒 | 経済
黒田日銀総裁の異次元金融緩和路線で円レートは$1=120円と円レートの正常化を実現しましたが、これはアベノミクスの第一の矢「大胆な金融政策」でした。そしてこれは「第二の矢「機動的な財政政策」さらに第3の矢「民間投資を喚起する成長戦略」とつながるはずのものでした。

ただこれは、あまりにも図式的で、具体的な中身の解らないものでした。
今考えてみれば、本当に必要だったのは「第一の矢」だけで、為替レートが正常化(購買力平価近傍になる事)で、日本経済は自律回復が可能でしたから、政府は産業労使に自律回復を期待してその環境整備いればよかったのです。

しかし、安倍政権は、「決める政治」を旗印に政府が経済回復の主役になるべく不必要なリーダーシップを発揮してしまいました。

当時20年不況と言われた日本経済の不振の原因は、政府の経済外交の失敗による過度な円高だったわけですから、円レートが正常化すれば、「これで失敗は取り返しました、長い間迷惑かけてゴメンナサイ。後は宜しくお願いします(政府)」でよかったのです。

なのに、政府が全部やりますといって主役になったことで、民間は出る幕がなくなり「それなら政府に任せて財政出動(再建?)でも頼めばいいか」という「易きに就く」ことになった面が大きかったように思います。

そこで改めて、強いられた円高の中で民間労使がやって来た最大の問題は何だったのか考えてみますと、それは、1にも2にも「コスト・カット」でした。

日本経済のコストの太宗は人件費です。国民所得の7割強が人件費なのです。
前回も書きましたように、春闘での賃下げ、正規従業員を非正規に置き換えることで、(非正規労働者の賃金水準は正規労働者の半分以下から3分の1強ですから)それによる賃金コスト削減が大きな効果を持ったのです。

それなら、為替レートが大幅円安になったのですから($1=80円→120円)、円高になった時と反対の事、つまり賃上げはもとより、非正規の正規化を徹底して進めるのが正道だったはずです。

これが進められたでしょうか。2014年の連合主催のメーデーには、安倍総理が出席、アベノミクスについて自画自賛すると同時に、連合の賃上げや、非正規従業員の正規への転換についても必要と指摘しています。

しかしその後のアベノミクスの展開はその方向には進まず、働き方改革や、裁量労働制の拡大など、民間労使の現実の認識とは食い違う非現実的な方向で、モリ・カケ・サクラなどの全く経済成長とは関係ない事で国会は混乱を続け、年金問題などの将来不安の拡大、企業や家計を自己防衛の方向に向かわせる不安定路線を、赤字国債発行の財政支出でつぎはぎするようなことになってしまっていました。

本来、人件費を引き上げ、消費需要拡大を目指す所を、人件費は上げず、不足する需要を赤字財政で賄うという異常な政策を取ってしまったのです。

「事、志と違った」というのでしょうか、有言不実行というのでしょうか、結果は経済は低迷、実質賃金水準は低下、非正規労働者数は雇用者の4割に達しようという惨状です。

結局は政府への信頼の喪失、独断で進める政治姿勢と多くの見当違いの政策展開という実態が成果に乏しいアベノミクス以降の10年の日本経済の不振を作ってしまったという事でしょう。(コロナもありましたが)

しかし、責められるべきは政府だけかというと、その政府に注文は付けるが、自らの活動に積極性を欠いた民間労使にも反省の要はありそうです。

そうした中で、政府の方針は規制とは無縁のところ、サブカルチャーと言われたアニメ、ゲームなどの世界への進出、多くのスポーツでの世界的活躍、日本食文化の世界的な地位の確立、産業界では、国内を嫌い海外に進出した産業企業の活況(第一次資本収支の増大)など民間の自由な自主性が発揮される部門では、躍進が目立ちます。

一方、日本産業のメジャープレイヤーである経団連と連合が日本産業を背負って行う春闘では、残念ながらそうした自由闊達な活動が見られなかったのは、やはり政府が主役という状況への依存(忖度?)が強すぎたという事ではないでしょうか。

賃金決定が経済政策の重要なカギになる2023年の来春闘では、日本の産業労使が、自由闊達な議論を行い、政府は観客の一人という「労使交渉、賃金決定の世界標準」に立ち戻って民間労使の意思決定が日本経済の方向を決めるという交渉をしてほしいと思っています。

経済政策は労使で 1

2022年11月25日 20時04分11秒 | 経済
「新しい資本主義」「成長と分配の好循環」などのスローガンで始めた岸田政権の経済政策も、中身のはっきりしないままに行詰まっている様相です。

現状、日本経済は、世界の混乱の中ですが、長期の低迷から抜け出すための条件は何とか準備されている状況ではないかと思っています。

そうした条件の中で、政府が上手く動けないのならば、実体経済の現状を最もよく解っている民間の産業人がきちんとした方向を見定め、具体的なアクションを自主的に取っていくことが益々大事になっているのではないかと思われます。

産業人、つまり産業に携わる人間、具体的には「労使」ですが、この労使が平成の長期不況の中で動きが取れなくなり、財政出動を中心に、政府に頼むことが多くなって、労使という経済活動の主体が、自分たちの力で、日本経済を動かしていくという意識を希薄化させてしまったようです。

振返れば、1985年、政府が「プラザ合意」で「円高OK」と答え、為替レートが$1=240円から120円に、2倍の円高になった状況の中で、労使に出来ることは、日本のコスト(人件費が最大のコスト)を半分にして、国際競争力を回復するしかなかったのです。

企業に出来る事は、先ず賃下げ、人減らしですが、当時の日本企業は、雇用安定が社会の安定の基盤という意識でしたから、雇用を維持し賃金引き下げが至上命題でした。

その結果、失業率は最高でも5%でしたが、正規従業員の代りに非正規を増やすことで平均賃金を下げるという対応策の選択になってしまいました。
 
一方、労働組合に出来ることは、雇用の確保を要求する事と、賃金交渉ではゼロ回答、賃下げを受け入れる事しかありませんでした。

当然経済は不振、景気悪化ですから、あと出来ることは、政府に財政出動を頼む事ぐらいでした。

当然財政赤字は増え、財政の不健全化は進みます。当時、財界トップセミナーで、小沢一郎氏を呼び、講演の後で参加者から「財政の不健全化」を問う質問が出て、小沢氏はそれに対して、「財界が、財政出動を要請するからだ」と答えたという話を聞いたことがあります。

それでも当時の労使は辛苦の果てにリーマンショック前の2006~7年には、新卒採用が「売り手市場」になるほどまでに合理化、生産性向上に頑張ったのです。

しかし、そこでリ-マンショックでした。円レートは$1=80円に、また大幅円高です。
その後の日本経済の惨状は目を覆うほどで、「頑張れば円高」などと言われ、経済学者の中には「円レートは$1=50円になって日本は潰れる」など言う人もいました。

この惨状から脱出したのが2013~14年の黒田日銀総裁の「異次元金融緩和」です。
円レートは$1=120円となり、これは、日本の実力(購買力平価)相応の水準の回復でした。日本産業は長期不況の間にここまで生産性を上げて来ていたのです。

さてここで日本経済の復活のために何をするかが問題になります。本来アベノミクスは、為替レート正常化に次ぐ二本の矢で、日本経済を長期不況前の元気な状態の戻すことを正確に、キチンとすべきだったのでしょう。しかし・・・

次回は、アベノミクスがなぜ失敗したのかの検討も含め、今後の方向を探りたいと思いますます。

インバウンドに頼りすぎるな

2022年11月24日 14時51分35秒 | 文化社会
コロナの第8波はどうなるのでしょうか、ワクチン接種は順調のようで、あまり大きな波にならなければいいなと願いながら、五回目のワクチン接種も終えたから、会合に出てもいいかななどと考えています。

もうすぐ師走、今年の年末商戦は、少し元気が出てくれることを期待しながらコロな新規感染者数とのバランスを見ているところです。

同じことが、期待されるインバウンドの増加と新型コロナの流入でも言えそうです。
色々な国からの観光客が、日本の色々な場所を楽しんでいるのをテレビで見るのも結構なことですが、水際作戦は大丈夫かななどと心配になります。

現状、中国のゼロコロナは別として、ワクチンや各種の防御態勢、生活習慣の進歩で、コロナの抑え込みに人類が成功することを願うばかりです。

政府もインバウンドの受け入れの積極化を消費の回復、経済テコ入れの起爆剤のように考えているようですが、偶々大幅な円安も手伝ってくれて、インバウンドの増加については「いい円安」になっているようです。

今の行き過ぎた円安は、いずれアメリカのインフレ鎮静とともに消えていくのでしょうが、例え円レートが120円、110円になっても、インバウンドは確実に増え続けるでしょう。
日本は文化、観光資源、日本食、安全性、居心地の良さといったいろいろな面から見ても、世界の多くの国の人々が、尋ねたい国で当分在り続けるでしょう。

そうであってみれば、政府の、インバウンド推進への積極政策は、容易に成功するでしょう。日本人誰もがそのあたりは、共通に感じている所ではないでしょうか。

こうした結構な条件が一つあるのですが、翻って考えれば、この、世界の多くの人びとが訪ねたいと思う日本で、日本に住む日本人が、低迷する経済と劣化する所得水準、社会保障の先細りで、長期の不況に悩み続けるというのは余りにも情けない話ではないでしょうか。

インバウンド盛況の中で、日本政府は食事や旅行に補助金を出し、賃上げを少しでも高めにした企業には税金を負けてあげましょうなどという政策を取りながら、日本人自体は「笛吹けど踊らず」で実質賃金は低下傾向だったり、個人消費支出は万年不振状況という事になっているのです。

しかし本当のことを言えば、日本の消費需要の不振は、インバウンドではなく、日本国民の消費意欲の向上で解決され、支えられるのが本筋でしょう。

こんな事になって仕舞ったのも、振り返れば「プラザ合意」という経済外交の失敗、アベノミクスという経済実態を理解しない政策、更には最近見られるような自民党を中心にした政治家の人間性の劣化といった日本中枢の退行現象の結果でしょう。

インバウンドに力を入れるのも結構です。しかし外国からの客人の魅力になっているのは、日本国民が築き上げてきた文化や社会の在り方によるものでしょう。

その日本人が、このら所の失政続きでで、政府を信用できなくなり、日本人の勤勉さを、先ずは自己防衛、生活防衛の方向にと舵を切ったことで日本全体の元気が失われる現状を齎したという事ではないでしょうか。

今必要なことは、政府が、国民に信用されるものになること、そして日本人の持つ豊かな能力を自由に発揮できるような社会の枠組みを作る事でしょう。

昨晩のサッカーは良かったですが、毎日、テレビや新聞を見るたびに、この政府を信用しろと言うのか、というような記事にばかり出くわす状況はもう御免です。

今日は勤労感謝の日です、何をすれば?

2022年11月23日 11時45分17秒 | 文化社会
勤労に感謝する日、とてもよい日だと思います。
こんな趣旨の国民の祝日がある国が世界にどのくらいあるのか知りませんが、日本にあるのは素晴らしいと思います。

10月23日というのは昔の新嘗祭(天皇が初穂を召し上がる日)ですが、戦後、占領軍といろいろあって祝日としては残すが、名前を変えて「勤労感謝の日」としたようです。

名前はアメリカのLabor Day とThanksgiving Day(労働祭と感謝祭)を合わせたようですが労働が「勤労」になっているのは日本人の知恵でしょう。

毎年の豊かな実りに感謝する祭りは、世界中に、いろいろな形であるでしょう。これは自然から食料を採集する時期から栽培し農業を発展させる時代に至る中で当然、自然や神に豊穣を感謝する祭り(日本では秋祭り)が年中行事になったことはごく自然でしょう。

勤労感謝の日は、自然や神に感謝する気持ちに加えて、自分たち人間の「働き」にも感謝しようという、まさに現代社会に相応しい祝日ではないでしょうか。

「勤労」というのは大変いい言葉と思うのですが英語には見当たりません。勤勉(industrious, dilgence)はありますが、これは特に「労働に対して」という意味はないようです。

「労働」と言いますと、「労働の対価が賃金」などと言われますように、賃金を受け取って働くというイメージになります。
そうすると年金生活者は、現役の就業者、雇用者に感謝する日になってしまいそうです。

それではちょっとまずいという事で、「勤労ですよ、労働ではないのです」という事になったのではないでしょうか。

「勤労奉仕」という言葉は昔からあります。これは無償の労働です。そして、「大変ご苦労様です、有難うございます」という感謝の念が入った、いわば「尊い活動、働き」という意味を持ちます。

という事ですから、「勤労感謝」の中には、GDPの計算には入らないけれども、社会や家族のためになっているという活動も当然入ってくるのでしょう。

主婦労働、主夫労働、ボランティア、地域における高齢者の多様な活動、今問題になっているヤングケアラー、老老介護などなどです。

勿論、今の労働は肉体労働だけではありません、頭脳労働の方が次第に多くなってきているようです。
その意味では、必ずしも体を動かさなくても、体が不自由でも、社会に役立つことはたくさんあります。

こうしてみますと、人間が、何らかの形で、社会や家庭が「豊かで快適」になるような貢献をしている活動の全てに対して、自分も含めて全ての人に感謝する気持ちを持ちましょうというのが、本当の勤労感謝の日の意味ではないかと考えたらどうでしょうか。

折角ある国民の祝日です、気付いてみれば大変重要で大事な意義を持つ祝日なのだと、それぞれに意義づけして、大切にするのがいいのではないでしょうか。

アメリカと日本のインフレ状態を見る

2022年11月22日 15時22分34秒 | 経済
アメリカのインフレでFRBが大幅な政策金利の引き上げを続けたお陰で日本は円安になり、これは「悪い円安」と言われ、早く$1=120円の方に戻ってくれという事になっています。

一時150円まで行くといわれましたが、アメリカのインフレ鎮静予想で139円ほどまで戻りました。しかし、今日はまた141円90銭と円安に振れています。
今日あたりは、円安で日経平均上昇などという見方もあるようですが、株式市場だけでなく、円レートによっては来春闘の関係も微妙になって来そうです

問題は、アメリカのインフレが止まることがはっきりして、FRBがもう大幅利上げは必要ないと考えるような状況になるかどうかですが、現状で、日米の消費者物価の上昇の具合がどうなっているかを比較してみましょう。

    日米の消費者物価指数の動き(2021年10月=100)

                  資料:各国統計

図は昨年10月から今年10月までの日米の消費者物価指数の動きを比較したものです。
昨年10月を100にして両国の出発点を合わせています。

アメリカは昨年末から上がり始め、今年の6月までは急上昇です。対前年同月比が8%を超えて大騒ぎになったのが6月だったでしょうか。
しかしその後は原油価格の影響を受けた8月を除いて傾向的な上昇は止まっているようです。

一度上った物価が下がるというのは、景気の落ち込みでもないと起きないとすれば、上昇が止まれば一応FRBも政策成功という事になるのでしょうか、この水準が続けば、1年後にはインフレ率ゼロですになります。

日本の方は、上がり幅そのものは小さいですが、上昇ぺースはまだ次第に上がりそうな様子です。
但し、アメリカの政策金利の引き上げが一段落し、今の円安が、円高方向に戻れば、インフレの動きは止まるでしょう。アメリカの金利次第という面も強いのですから。

という事で、このグラフ、この所毎月見ているアメリカの消費者物価上昇の中身などを併せ考えれば、FRBは政策金利引上げの効果ありとみているようで、それでも11月・12月には、駄目押しの大幅引き上げをやるか、それとも政策緩和の姿勢を出すかですが、いずれにしても年内に方向は見えてくるのではないでしょうか。

「悪い円安」ももう少しの辛抱という事ではないかと思われますが、また円レートが120円の方向に戻ることになれば、円高は日本経済にマイナス、などという論調が出て来るかもしれません。

経済評論はどうでもいいのですが、実態経済を担う企業の労使は、円レートの上振れ下振れに惑わされることなく、日本の実体経済の活動の在り方を見据えて、日本経済のターニング・ポイントと期待される来春闘で、労使双方にとって、長い目で見て最も適切な行動をとってくれることを願っています。


日本人はもう少し「潔かった」のでは?

2022年11月21日 14時28分03秒 | 政治
日本人はもう少し「潔かった」のでは?
山際経済再生相、葉梨法相、寺田総務相と立て続けに3人の主要閣僚が辞任、更迭という異常事態が起きました。

岸田総理は任命責任を痛感する由の発言をしています。
岸田総理に人を見る目がないのか、自民党に本当に人材がいないのか理由は解りませんが、いずれにしても国民はこんな情景は見たくないと思っているのではないでしょうか。

それとも大臣という職に就くと、小人は、その地位と名誉にに恋々として、日本の伝統文化である「潔さ」などという概念は、自らの判断基準から飛んでしまうのでしょうか。

気になって仕方がないのは、こうした人たちが一様に、問題を指摘されても、様々な言い訳をして、何とかその職に留まろうと足搔く姿を毎日のマスコミ報道で、繰り返し、繰り返し見せられることです。

そして最後は、自分の発言や行動が間違っていたのではなく、偶々重要問題審議の「国会運営を妨げては申し訳ないから」と自分のお粗末な言動には触れず、国会運営のため、お国のためと考えて身を引くという筋書きは共通しているのです。

しかし、如何に取り繕ってみても、あらゆる言い訳をして足搔く姿を見せつけられれば見えつけられるほど、国民は、そこに寒々とした感じを受け、そんな人だったのかと思う人が増えるという結果が解っているのでしょうか。

この近頃の政治家の「潔さの欠如」は、このブログを書き始めてから、特に気になって来ていることで、何か、ますますエスカレートしているような気がします。

こんな人間の評価の様なことを書かなくてすめばいいのですが、その人が日本の国の在り方を決めるような立場のひとですから書いておかねばならないと思うのです。

振り返ってみれば、嘗てのこのブログ「改めて諺の大切さを知る」、「李下に冠を正して恥じない人」などと当時の安倍総理の言動について書いたころから大変気になっていたようです。

その後、「李下に冠を正しても「結構」、となりそうな日本」という事で、この時(2021年3月)に取り上げました武田総務相の国会審議の中での不規則発言も「隠すより現れる」そのものでひどいものでした。

そして今回という事ですが、考え込んでしまうのは、何故一国の閣僚という高度な責任と権限を持つ立場にある人が、こうも白を切る、言い逃れに終始するといったことが、こうも頻繁に起きるのかという事です。
考えて見ますと、「息を吐くように嘘を言った」といわれ、自らも「私は法に触れるような事はしておりません」と繰り返した安倍総理の言動から影響を受けている人が多いのではないかといった感じを受けています。(それでも総理在職は最長不倒でしたから?)

国葬で送られたリーダーの言動に影響を受けるというのは当然かもしれませんが、どちらかと言えば、国民の批判が多かったことではなく、優れた行動の方を見習ってほしいと思うところです。

それと同時に、やはり、日本の政治家であれば、日本人の伝統文化である、「潔さ」を尊ぶ心を、地位が高く責任が大きくなればなるほど大事すべきだと思うのです。

「潔さ」を大事にする心を持てば、それは、必然的に己の普段からの行動において、常に確りした規範意識をもつことに通じるのではないでしょうか。

2022年10月分消費者物価:上昇基調続く

2022年11月19日 11時12分56秒 | 経済
昨日、総務省より10月分の消費者物価が発表になりました。

今年に入って消費者物価の上昇基調は続いていますが、10月の動きを見ても衰える気配はありません。

     消費者物価指数の動き(原指数)           

                  資料:総務省「消費者物価指数」

ご覧いただきますように消費者物価(原指数)が上がり始めたのは今年に入ってからで、上がっているのは青と赤の線(ほとんど同じ)という事は、エネルギー価格が上がらなければ、(緑の線:生鮮食品とエネルギーを除く総合)、今でも消費者物価は2020年を100にして1.7%しか上がっていないという事です。

     消費者物価指数:対前年同期比(%)

                  資料:上に同じ

対前年同月比で見ますと、青、つまり光熱費が入ると一番上がり、生鮮食品は光熱費より上がっていない、両方除くと年間上昇率は,9月の1.8%から急騰しましたが、それでも2.5%です。
という事は、加工食品、調味料、日用品の価格などが何万品目上がっても消費者物価の上昇は年率2.5%程度だという事です。
そしてこの上昇は長年のコストアップの補填という意味を含みますからそれが一段落すれば上昇率はずっと下がるでしょう。

つまり、皆様ご承知のように、日本の消費者物価の上昇は、欧米のように8%とか10%(年率)といった水準ではなく加速と言っても年率3%台の上昇ですから、インフレの質は違うと言う事が出来ます。

欧米は原油をはじめ輸入原材料が上がれば、国内の物価も同様に上げる動きが出、物価が上がれば賃金上昇も激しくなる(市場原理すぐに反映)するというのが一般的な傾向です。

日本の場合は輸入原材料価格があがっても、国内価格に転嫁するのが困難なことが多く、製造過程がコスト高を負担して合理化で凌ぐといった事が多いようです。

その結果賃金を上げる余裕もなく、賃上げは春闘で4月~6月、春闘相場という事ですので、一部にボーナスや残業が増えるにしても賃金水準はなかなか上がりません。

物価が上がらない事は消費者にとってはいい事という見方もあり(政府はそうですね)、結果的に縮小均衡状態になって、経済成長も縮小という事になっていました。
円高デフレという30年に亘る長期不況の中で出来上がった、こうした社会習慣が、円高が終わってもずっと続いて来ていました。

しかし、昨年から原油や輸入穀物などの値上がりがひどくなり、製造過程の負担も限界という事でしょう、加工食品や日用品の値上げが一斉に広がったようです。

その意味で、今回の物価上昇の波は、円高解消(アベノミクスのスタート)以来のコスト高の積み残しの清算といった意味があるのです。

同時に、積み残された賃金の引き上げ(長期不況で増えた非正規従業員の正規転換に必要な人件費も含め)も、来春闘にかけて行われることになるでしょう。(これは必須ですね)

そう考えれば、今回の物価上昇は上げ幅が大きければ早く完了し、上げ幅が小さければ長くかかる事になるのでしょう。(やらないと日本経済・社会が保たないようですから)

当然に物価上昇への連動ですが、長年の皺寄せの結果である、賃金水準の停滞についても、経団連も「賃上げ容認」というほどに酷くなっているので、来春闘では、物価上昇の後追いですが「それなり」の「水準訂正」が行われることになる(べき)でしょう。

今回の物価上昇はそんな目で、日本経済の再活性化への已むに已まれぬ動きだ見ていただければいいのではないかと思っています。

「ストップ詐欺被害!」を毎日拝見して思う事

2022年11月18日 10時31分30秒 | 文化社会
夕方6時からのNHKの「首都圏ネットワーク」という番組で標記のテーマで、いわゆる「振り込め詐欺」の具体例をいつもやっています。

騙される例は、お年寄りの方ばかりで、金額は、時には30万円。50万円だったり、100万円、200万円だったりいろいろですが、先日3200万円という事例があって、これにはびっくりでした。

週に1回か、2週に1回ぐらい、気が付いて息子に電話したら、「それ詐欺だから、お母さん騙されないでね」と言われたとか、ケータイ片手にATMを操作していたらコンビニの店員さんが心配して来てくれて、結局詐欺だと分かったといったのもありますが、殆どは、電話を信用して騙されてしまたというものです。

手口もいろいろあって、子供や孫を装うだけではなく、銀行協会、市役所、税務署、警察署など、何かドキッとして慌てさせる悪知恵など本当に豊富です。

見ていて感じるのは、やっぱり人間というのは何か虚を突かれるとたちまち信用しまうものなのかな、信じられないけれど、実際にあった例だというから、もともと人間は、多分人の善い人ほど騙されやすいのかなぁ、などと考えながらずっと見ていました。

こういう嫌な社会現象は何とか根絶したいとつくづく思いますし、根絶は無理でも何とか減らしたいものと考えさせられる番組みですが、考えてみれば、そういう詐欺を考えて実行する人がいるからだと気が付きました(当たり前のことですよね)。

そう考えてみると、そうした人の立場でこうした番組を見ると、人というのは、こんなに簡単に騙されるものだ、と考えるだろう、というより、簡単に騙せるものだと知っているからやるのだろうという気がしてきました。

その上で、どうでしょうか、多くの年寄は、人が良くて、こんなに簡単に騙されてしまう、という番組を、そういう人が見れば、やっぱり結構上手くいくものだという気になるのではないかという感じがしてきました。

そのうえ、色々な成功した詐欺の手口も紹介してくれているので、参考になるなどと考える可能性も無きにしも非ずではないでしょか。

そういう目で見ますと、毎回詐欺にあった例では、気が滅入ってしまいますし、それより、こんな「気付き」や「対応」で、詐欺にあわなかったとか、現金やキャッシュカードを取りに来たら警官が待っていたとかいった話なら溜飲も下がります。

それと同時に、詐欺をする方の側から見れば、毎回失敗の例を見ていれば、「やっぱりうまくいかないことが多いな」「失敗したら大変だな」といった強迫観念を植え付ける効果が大きいのではないかといった気もしてきました。

「ストップ詐欺被害!」も、「振り込め詐欺なんて、上手くいかないとが多いよ」「お年寄りだと甘く見ると、とんだことになりますよ」といったメッセージになるような例を、増やしていくというのはどうでしょうか。

そしてその中に、「こう考えたら、ハッと『これはおかしい』と気づいた」といった重要なヒントを確り入れておくと良いような気もします。

特殊詐欺などという嫌な問題をなんとかなくしたいと思いつつですが、皆様いかがお考えでしょうか。

ポーランドにミサイル着弾、望まれる冷静な対応

2022年11月17日 14時46分00秒 | 国際関係
ロシアのウクライナ侵攻では、地上戦におけるロシアの戦力の不振が報道されています。

その代替手段という事でしょうか、ロシアは、ウクライナの至る所に、ミサイルを撃ち込み、特にインフラのための施設、市民のための公共の施設などが狙われているとみられているようです。

ウクライナにとっては過酷な戦いです。現代の戦争は、無人機や、自爆型ドローン、各種のミサイルなどで、人間が出動しなくても、相手に打撃を与えることが可能です。

そして、現在のロシアとウクライナの立場から言えば、ロシアはウクライナ全土にミサイルを撃ち込むことが可能ですが、ウクライナはロシア国内にミサイルを撃ち込むことは出来ないというハンディを持っての戦いになっているのです。

このウクライナにとってまさに過酷な状態は、嘗て太平洋戦争の末期、アメリカの「空の要塞」B29爆撃機が、日本全土に徹底した爆撃を行い、日本の対空砲火も迎撃機も、ほとんどB29の前には役に立たなかったという経験をお思い起こさせます。

こうした、いわばハンディのある戦いの中で、ウクライナを通り越してポーランドにミサイルが撃ち込まれたと見られるような異常事態が起きたのです。

ウクライナは、ロシアのミサイルが飛び過ぎたという見方でしょう、ロシアのミサイルの着弾と発表しましたが、一方アメリカは、即日ウクライナの迎撃ミサイルの可能性というマスコミ報道を出しています。

戦争という異常事態の中ですし、ミサイルにしても何百何千発も打てば、計器のセットや計器自体の誤差や不具合もあり得るかもしれませんが、ロシアはすべて否定します。
いずれ検証の結果は出るのでしょうが、事は大変重大の問題をはらんでいるのです。

というのは、もしロシアのミサイルであれば、間違いにせよ、NATOの加盟国にミサイルを撃ち込んだという事になり、事は対ウクライナを越えて、対NATOという問題に発展しかねません。

これだけは絶対に避けなければならない、これ以上の戦争拡大は、世界にとって巨大な悲劇につながる可能性があるからです。
戦争の早期終結を望むのは世界の人々の共通の意見でしょう。核の使用までちらっつかせるロシア・プーチンに対して、世界は揃って「ノー」と言っているのです。

一方、自由世界対独裁国家の戦いの場となっているウクライナの苦悩に、自由世界は共通に強い共感を持っているでしょう。

現状、徹底した実態調査の結果を待つという事でしょうが、結果を確り検証しつつも、その結果が、これから先のロシアのウクライナ侵攻問題の徒な混乱に繋がらないよう、その早期収拾に関係者の十分な協力を世界の人々のために期待したいところです。

2022年7-9月GDPは家計消費支出に注目

2022年11月15日 14時26分53秒 | 経済
今日、内閣府より今年7-9月の四半期GDPの速報が発表になりました。

マスコミでは、四半期ぶりのマイナス成長でマイナス02%、年率1.2%のマイナス
といった見出しで、コロナ第7波と輸入物価の上昇、加えて消費者物価の値上がりで、日本経済は不振といった感じですが、どうなのでしょうか。

確かに原油価格上昇をはじめ、円安問題が起き、消費物資の広汎な値上げの集中といった何か日本経済の異常事態といった時期に入り心配も多い所ですが、見方を変えると違った面が見えてきます。

下の図表は、このブログではいつもそうですが、少し長期的な動きを見ようと対前年同期比の実質成長率を見たものです。
    
    GDPと消費支出の年間成長率(実質)の推移:%

        資料:内閣府「四半期GDP速報」(2022年7-9月)

この図表だけ見れば、日本経済は、消費支出を中心に順調に伸びているように見えますが、一方では、輸入価格高騰による国際収支のマイナスや政府支出の制約などで、消費が久方振りに元気に伸びたのにGDPは増えないという事になっているのです。

アベノミクスが立派なスローガンを掲げても、長く不振を続けてきた日本経済は、コロナ禍で一層の打撃を受けてきました。
このブログでも、その原因が消費の不振にあると毎度指摘して来ました、消費不振は、アベノミクスのアキレス腱でしたが、ここに来て少し様子が変わってきました。

このブログで毎月追いかけている「平均消費性向」(2人以上勤労初世帯の「可処分所得に占める消費支出の割合)が今年に入って長期低迷を脱して来るような動きをしているのです。

家計の消費支出はGDPの半分強を占めるGDPの最大の構成要素ですが、これまで長い間、将来不安・老後不安などで、家計は貯蓄に専念し、日々の生活である消費支出は、常に切り詰められるような状況でした。

ところが、コロナ禍で蟄居生活を強いられた反動でしょうか、この所、収入は伸びなくても、今日の生活を少しは楽しもう、もう我慢も限界という事でしょうか、平均消費性向の上昇が顕著なのです。

上のGDP速報のグラフでも昨年の7-9月に比べて今年の7-9月の家計消費は4.4%伸びていますが、今日のGD速報の「雇用者報酬(7-9月に支払われた賃金の総額)」は前年同期比でマイナス1.6%なのです。(数字は実質値)

つまり、日本人も勤倹貯蓄一本槍から、少し今の生活を楽しむような気分になって来たのかなと思われるような数字の動きなのです。

皆様のご家庭はどうでしょうか。こうした意識変化が現実であれば、これからの日本経済に必要なのは、来春闘で、長らく抑えられていた「賃金の上昇」を実現し、それにより経済の生産と消費のバランスのとれた日本経済をとっり戻す事でしょう。

昨今の輸入原材料などの値上がり、アメリカの都合で起きた円安、国内の日用品等の一斉値上げといった状況は、基本的には一過性のもので、混乱の時期が過ぎれば、いずれ正常な状態に戻るでしょう。

少し長期に日本経済の動きを見れば、そろそろ長期低迷のトンネルを抜ける条件が揃いつつあるような見方もできるのではないでしょうか。

国民の意識変化と上手にマッチした政府の政策、加えて労使の対応が期待されるところです。

世界史に果たすプーチンの役割

2022年11月14日 11時38分44秒 | 国際政治
人類の歴史は権力の興亡、その興亡を引き起こす手段としての数多くの戦争で彩られてきていることは残念ながら認めなければなりません。

地球が人類にとってそんなに広いものではないことが解ってからも、第一次世界戦争、第二次世界戦争という二度にわたる世界戦争を経験し、その最後には日本に2発の原爆が落ちることになりました。

そして、最終兵器と言われる原爆は人類そのものの存在を否定する可能性すら持つと言われ、人類の平和共存へ意識は強まり、日本のように戦争放棄を憲法で謳う国も出て、戦争より平和、その中での経済開発という「競いの文化」意識は急速に広まったようです。

然し人間の本性はそう簡単に変わらないのでしょうか、「競いの文化」より「争いの文化」を好む人もいて、自由な思想、民主主義の政治体制を、力でリードする機会を狙う動きも残っています。

自由世界が一般化する争いのない社会が進む中で、ポピュリズムを活用して独裁的な行動を選んだり、軍の力を握って独裁者となるリーダーなどの残存が近年一部ですが目立つようになって来ていたように思います。

その、最も極端な例がプーチンでしょう。
プーチンについては、改めて述べる必要はまったくないと思いますが、ロシア帝国、ソビエトロシアの復活と自らがその皇帝の地位に就こうという願望に従って、1億5000万のロシア国民を意のままに動かすことを考えているようです。

世界トップの数の原爆を保有し、20年以上もかけて作ってきた自らの統治機構を利用して、その可能性に賭けたのでしょうが、その時代錯誤は民心よりずっと遅れてしまっていて、すでに多くの民心は離れ、軍や官僚の一部に支えられた危うい存在でしょう。

期待した軍事力は弱体化、最後の手段は核戦力と「原爆」で世界を脅してみても、それは自殺行為と解っていてのことでしょう。

先の事は解りませんが、これからも多分人類の世界史は、長く長く続くでしょう。その中でプーチンは、独裁性が人類を幸せにしないという事を最終的に「駄目押し」したリーダーという事になるのではないでしょうか。

その日が出来るだけ早く来ることを願って、世界人類はそれぞれの形で、協力し努力すべきでしょう。