tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

地味ですが「ばいも(貝母)」花盛り

2019年03月31日 22時47分30秒 | 環境
地味ですが「ばいも(貝母)」花盛り




 我が家の猫の額の庭の隅に「ばいも:貝母」が咲いています。
 春先に芽が出て、急に育ち、今頃が満開になるのです。
 何年か前に家内が友達からもらってきたものですが、葉も緑、花も緑であまり目立ちません。

 ところが先日、長男夫婦が来訪、お茶やお花をやっている、奥方の方が、
「あら、貝母」
「咲き始めてますね。一株ほしいわ。」
 というのです。

 家内も「よく咲くのよ。どうぞ」などと言って、話が合うようです。
 大した花でもないと思っていたのですが、その世界では結構珍重されるようなので、新しく増えた一株、ちょうど花の咲き始めのところを鉢に移しました。紙袋に入れて、息子が運搬係です。

 そんなことで、わたくしも多少興味を持ち、早速ネットで調べてみました。
 中国伝来の「薬草」だそうですが、「山野草」の仲間にも入っています。
 最近の色とりどりの綺麗な花のような人気の出る花ではないですが、「わび、さび」感も持つ風情で、地味ですが、好きな人には、何か好まれる花ということでしょうか。

 調べたついでによく見ると、だんだん、それなりにいい花のように見えるようになりました。
 別名「網笠ユリ」、この名の方が風流でいいかと思いますが、やっぱりもともと薬草ですから名前もお堅いようで・・・
 

 

景気循環論を考える:景気は循環するのか・・・

2019年03月29日 17時32分07秒 | 経済
景気循環論を考える:景気は循環するのか・・・
 経済を齧った方なら、どなたも景気循環論をご存じと思います。わたくしもその端くれで、景気循環はあると言ったらいいのか、ないと言ったらいいのか考えたりします。
 
この所、アベノミクスが戦後最長の好況になるかどうかが話題になっていますが、これを景気循環論で説明しようという主張はあまり聞かれないようです。
 「満ちれば欠ける」というのは自然現象の中では通常のことで、人の世で起きる事にもよく使われますから、人為の結果である社会現象、経済現象にも循環はあるといっても、あながち否定することは出来ないようにも思います。

 このブログでも取り上げる「景気動向指数」等でも、長さの長短はあっても好不況は必ず繰り返されています。
 現実の景気の動きは複雑でも、そうした動きは基本的に、キチン循環、ジュグラー循環、クズネッツ循環、コンドラチエフ循環などの組み合わせで考えれば、それなりの説明がつくというのが伝統的な循環論なのでしょうか。

 しかし、現実にはこうした経済活動の在り方の齎す循環変動のほかに、天変地変や、政治や国際関係(含む種々の抗争・戦争)といった全くイレギュラーな事象によっても景気は影響を受けます。そしてこのところはこの影響の方が大きいようにも見受けられます。

 結論から言えば、上記のような循環論は、客観条件が定常な時に経済活動が在庫や(キチン)設備投資(ジュグラー)、技術革新(コンドラチエフ)などがある程度の期間で繰り返されるという経験則に立つもので、こうした循環期間も経済社会のあり方で変わりますし、さらに、特発的な経済外事象の影響が出ることも多く、そのうえ、不況をなくそうとする経済政策が進歩していますので、現実は必ずしも循環的でない変動をするということではないでしょうか。

 卑近な例を見れば、プラザ合意の円高とか、リーマンショックとか、黒田バズーカといったことで経済も景気も動きます。
 今の景気も、米中経済協議がうまく纏まれば腰折れしないで続く可能性も大きいでしょう。

 現実を見ますと、昔からcounter-cycrical(反循環的)などと言われる経済政策が、今日では多様な発展をし、景気の循環(cycle)を出来るだけなくそうというのが経済政策の目標でもあるわけです。

 一方では、そういう経済政策を発展させながら、他方では、国際関係の意地の張り合いや、国内の政争の思惑から景気の維持に失敗するようなこともあるようで、やっぱり景気には山も谷もあるということになるようです。
 ということで、景気は循環しているのが現実ですが、循環の理由は、伝統的な理論とはかなり違ったものになってきているように思われます。

言葉は世につれ・・・(言葉をめぐるおやじギャグ)

2019年03月27日 20時11分43秒 | 文化社会
言葉は世につれ・・・(言葉をめぐるおやじギャグ)
 このブログではよく諺を引用します。諺は何千年の人類の知恵の積み重ねの中で生まれ、今日なお生き残っているものですから、今の言葉でいえば「サステイナブル」で、人の生き方の役に立つものだと思っているからです。

 それだけに古い言葉づかいも多いので、最近では往々にして、誤解されたり、間違って使われたりすることもあうようです。
「情けは人のためならず」を「情けは人のためにならにない」と誤解して厳しくした方がいいという意味で使われるといった例はよく言われます。

 「他山の石」が「無用な物」という意味だったり、「同床異夢」が「離婚の原因」だったり、『仰げば尊し』の「今こそ別れめ」が「今こそ分かれ目」だったり、いろいろ誤解もあるようです。

 こういうのは、通常、誰かが誤解を正してくれたり、ネットでもキチンと解説してくれるのも沢山あって、諺の意味は正しく伝承されていくようです。何でも気軽に調べられるネットの世界も、諺の正しい伝承に一役買っているようです。

 新しい言葉もいろいろ生まれます。「視線」という言葉は昔からありました。ところが「目線」という言葉が生まれてきました。
はじめは「目線」とはなんだ、「視線」という言葉があるではないか、などと言われたりしましたが、今では「目線」は「視線」とは全く違った意味で、「目線」は「目線」として定着した言葉になっています。

 確かに「言葉は世につれ」ですが、最近、政治の世界でよく使われ、国会中継やニュース番組でも頻繁に耳にする言葉の場合も、新しい意味で使われるように感じられるものが、なにか多くなったような気がします。

「粛々と」という言葉は「他人のことなどは気にせず、自分の思う通りにキチンとやっていくという意味になっていると解釈できそうです。 
「真摯に」という言葉は、「はいはいと真面目に聞いたうえで、そのまま何もしない」という意味で使われるのだと思っている人は多いでしょう。
「丁寧に」という言葉は、「同じ説明を何回でも繰り返して言うこと」という意味で使われるのだと解釈しなければならないようです。

しかも、こうした言葉を使う方々が、もともと立派な方々であるだけに、世のその他の立派な方々達が、広くその使い方を真似し始めたように見受けられるのが、今日この頃の世相です。

 ところで、これらは本来大変立派な言葉ですが、どうも本来の言葉の意味から大分ずれた形で使われてしまっているように感じられます。
私のとんだ勘違いだったらいいなと思いながら書きましたが、どうなのでしょうか。

ロシア疑惑の捜査報告書は出たが・・・

2019年03月26日 17時31分33秒 | 政治
ロシア疑惑の捜査報告書は出たが・・・
 アメリカでは、前回の選挙で、トランプ陣営が、選挙を有利に進めるために、往々にして対立する国、ロシアの政府を利用したのではないかという疑惑があって、その疑惑解明のための捜査が行われ、この程その報告書が出たということです。

 報告書は公表されないことになっているようですが、司法省長官が「報告書の結論に関する書簡」を公表、捜査結果は「疑惑ありとは断定できない」ということになったようで、トランプさんは「疑惑は晴れた」「100%潔白が証明された」と胸を張っているようです。

 我々凡人からしてみれば、アメリカの大統領選挙で、一方がロシアの支援を期待するなどということは、まさに「常識の外」という感じですが、状況証拠の様なものは選挙戦からずっと言われており、すでに、関係者といわれるアメリカ人が何人も起訴されていうのですから、報告書の姿勢は「疑わしきは罰せず」の様なものと感じるところです。

 トランプさんは胸を張っていますが、客観的にみれば、今のアメリカはロシアの望む方向に動いているのではないかと感じられます。

 アメリカが自国の利害だけを優先し、世界で果たすべき覇権国の役割などは忘れ、それを善しとするアメリカ人と、それを憂うアメリカ人との間で国内の対立が進み、現実の場でトランプ政権による国際的な行動に筋の通らないものが多くなり、国際的に評価を落とし、その権威が衰えれば、相対的にロシアは有利と考えるのは当然でしょう。

 胸を張るトランプさん、更にはアメリカの国民が、まさにロシアの戦略に乗せらているという見方も可能でしょう。

トランプさんには何の責任もなく、トランプ陣営の行動に瑕疵はないということは、つまりは、ロシアが勝手にやったサイバー活動が成功したのか、あるいは、トランプさんは純粋にアメリカ国民の意思で選ばれたということですから、すべてはアメリカ国民の自己責任ということでしょう。

 こうして問題は、結局アメリカの国民自身に帰ってくるということになるのでしょう。
 民主党は、捜査の結論がどうであろうと、弾劾などという一層の混乱、国論の分断は選ばず、つぎの大統領選挙で民主党が勝つことを目指すとのことのようですが、やっぱり、それがまともな考え方,それしかない様な気がします。

 国の在り方は、その国の国民の意識や考え方によって決まるのであって、サイバー戦略が横行する時代であればあるほど、そういう意味で国民が確りした意識や知識、識見を持つことが重要になるのではないでしょう。
 今回のアメリカの「ロシア疑惑」という問題は、日本にとっても「他山の石」でしょうか。

家庭(家計)の貯蓄保有額はどのくらいか

2019年03月24日 16時50分41秒 | 経済
家庭(家計)の貯蓄保有額はどのくらいか
 日本の個人貯蓄の額は総額1800兆円を超えているということはよく言われます。GDPの3倍以上の大きな金額で、平成不況に耐えて最近は生活防衛に徹している日本人の勤勉さの表れと説明されます。

 この金額は、日本銀行の「資金循環表」の中で「家計」部門の運用しているお金という形で示されているものです。家計といっても、サラリーマンや年金生活者のほかに自営業主も含みます。1800兆円の中身は現金・預金、証券、保険、その他と家計が貯蓄として持っているものはすべて入ります。

 あまり金額が大きすぎて実感がわかないかもしれません。でも人口12000万人で割れば、日本人1人当たり1500万円ほどということになります。
 もう少し実感に近い数字というのは「家計調査」の「貯蓄・負債編」に詳しく出ています。(日銀の数字と違って現金「タンス預金?」は入っていません)。

 ここでは最も代表的な2人以上所帯(総所帯の73%、単身所帯は27%)の数字を見ていきます。
 日銀の「家計」と家計調査の「所帯」は同じと考えてよいでしょう。また貯蓄の中身は家計調査では現金は入っていませんが、あとは同じとみてよいと思います。

 家計調査では所帯の中に、「勤労者所帯」という区分もありますから、「2人以上所帯」とその中で「勤労者所帯」についての貯蓄残高を図にしました。



「青」は平均値ですが、実感と比較するために「中央値」も「赤」で併記しました。
 ご承知のように、平均値は特別に高額の貯蓄を持っている人がいるとそれに引っ張られて上がります。中央値の方は、最高値の所帯から最低値の所帯まで1列に並べて、真ん中の所帯の貯蓄保有額ですから、分布が歪みを持っている場合にはより実感に近いものになるでしょう。
 (例えば11人のうち10人が1000円から順に1万円まで持っていて、1人が5万5000円持っていれば総額は11万円、1人平均1万円持っていることになりますが、中央値は下から6番目、上からも6番目の人の6千円になります。
 つまり、平均値と中央値の格差が大きいほど、格差社会ということになります。)
 
  図で見ますと自営業を含む2人以上所帯の場合は、平均貯蓄残高は1812万円、中央値は1074万円、勤労者所帯の場合は平均値は1327万円、中央値は792万円(いずれも2017年)となっていて、額としては自営業所帯を含む方が、大分多くなっています。

 一方平均値と中央値の関係を見ますと平均値の60%前後が中央値という比率はほとんど同じで、過去10年間の推移を見ても、年によりプラス・マイナス1~2ポイントの上下があるだけで、貯蓄残高における格差化はあまり見られていないようです。

 実は、もう少し格差化傾向が出るのではないかと思っていたのですが、あるとすれば、問題はこれからということでしょうか。
 「平均と実感の違い」ということも含めて、家計の貯蓄の状況を見てみた次第です。

消費者物価指数はジリ高、中身は・・・

2019年03月22日 23時59分52秒 | 経済
消費者物価指数はジリ高、中身は・・・
 今日、2019年2月の消費者物価指数が発表になりました。生鮮食品を除く総合の上昇率が前年同月比で0.7%というのがマスコミの見出しには多いですが、中身を見ても、基本的には何となく上昇基調という感じではないでしょうか。
 
 何か最近値上げする商品が多いなといった感じを持たれる方は多いと思いますが、細かい中身をよく見るとそのあたりの感じがつかめるのではないでしょうか。

 総合指数は前年同月比0.2%の上昇で1月と同じで殆ど上がっていないという感じです。然し、全体が低かった原因は1月と同じで、2月も生鮮食品昨年2月より11%も下がっているのが主な原因です。

 ですから上に書きましたように、生鮮食品を除く総合は0.7の上昇で、生鮮食品の値下がりがなければ消費者物価は0.7%上がっていたということになるわけです。

 政府は物価が2%上げるのが目標で、1%までいかない状態では「景気が良くならない」と考えているようですが、生活者・家計にしてみれば、物価上昇は1%未満でとどまっていてくれる方が生活しやすいのは当然です。
 何せ、貯金しても金利が付かないのですから物価だけ上がったのではたまりません。

しかし、この所いろいろな商品で値上げの発表がありますから、何となく不安になっているというのが本音かもしれません。

 そこで、少し詳しく中身に入ってみます。
 消費者物価を構成している10大費目というのがあります。
食料、住居、光熱水道、家具家事用品、被服履物、保健医療、交通数審、教育、教養娯楽、諸雑費の10項目です。

 このうち、前年同月比で上昇しているのは、水道光熱6.3%、家具家事用品0.8%、保健医療1.2%、教育0.4%、教養娯楽1.4%、諸雑費0.9%です。
 あとは下がっていますが、その中で食料のうち、生鮮食品を除くと0.6%上がっています。これは実感と一致しそうです。

 ではこれらの上がっている10大費目の中で、さらに細かく見るとどんなものが上がっているかを同順で見てみますと、外食1.0%、電気代7.7%・ガス代エネルギー関連6.2%、家庭用耐久財3.5%、被服関連サービス1.8%、保健医療サービス1.9%、補習教育0.6%、書籍印刷物2.0%、教養娯楽サービス1.9%、たばこ8.6%などとなっています。

 たばこの上がったのは政策によるものですが、それ以外を見ますと○○関連サービスといったものや補習教育が目立つのと、エネルギー関連、それに下がり気味だった家庭用耐久財がこのところ上がっています。
 
 家庭用耐久財は一時的なもののようですが、エネルギー関連はエネルギーの国際価格の影響でしょう。急速ではありませんが、じりじり上がっているのは、やはりサービス関連のようです。これは人件費の反映が大きいので、人手不足の中では避けられません。

 エネルギー関連のようなものは、国内では何ともできない部分が多いのですが、生産性を上げれば人件費が上がっても物価は上がりません。
 人件費が上がっていくのは避けられないし、望ましい事でもあります。できるだけ生産性を上げて、物価があまり上がらないような工夫が、どこまでできるか、これからますます試されるといいうことでしょうか。

平成という時代を改めて振り返ってみましょう:6

2019年03月20日 16時18分57秒 | 文化社会
平成という時代を改めて振り返ってみましょう:6
<経済は残念だったが、文化面では多様な進化>
 このブログはもともと付加価値を中心に経済・経営を論じるのが主眼ですが、そうした面から平成を振り返ると、残念だったり悔しいなと思うようなことが多すぎます。
 これも次の時代の経済発展への知的資源になればと思うところですが、ひとたび経済を離れますと、この30年日本人は随分いろいろなことを成し遂げて来ています。

 その中には他人に言われえ初めて気が付くようなことも多いようですが、日本人が「当たり前」と思っているようなことが、実は世界的に見ればとても立派なことだったりするのです。

 ごく小さな例ですと、外国人旅行者が、日本は安全、盗難がない、遺失物が返ってくると驚く話がよくあります。
 も少し言えば、事故や災害の際の日本人の整然とした行動、運動競技のサポーターの行儀良い行動(あと片付け)などが外国から注目されるのです。

 逆に何かことが起きると、我々より先進国と思っていたような国で、群衆が便乗して破壊活動や略奪、騒擾などを容易に起こすことに我々は驚きます。

 もう少しまともな例を挙げれば、日本人の感覚の良さが広く海外から受け入れられる様になってきたようです。ジャパニーズクール、カワイイ、といった感覚、日本製品なら安心という信頼感、さらには日本型の漫画、劇画、アニメの流行などなどもそうでしょう。

 特筆すべきは食文化でしょうか。和食がユネスコの文化遺産に登録されました。
「日本のTVは食い物番組ばかりやっている」などと言われているうちに、日本の食文化のレベルは平成の時代を通じて、飛躍的に高まったのではないでしょうか。

 日本の食べ物は「どこで何をを食べても」美味しいものばかりになりました。これは日本人自身も驚いているのではないかと思います。
 そして、寿司から日本酒、さらには、ワイン、ウィスキーまで、日本品は世界で珍重されるようになりました。国産有名ウィスキーの品薄状態などはまさに典型的です。

 付け加えれば、日本人はこの30年、肢体の美しさでも改善著しいのではないでしょうか。日本の若者のバレーの世界での驚くべき進化、さらにそうした動きは人の体の動きの美しさと体力、技術を競う運動競技の体操やフィギャースケートに及びます。

 スポーツの分野に入れば、野球選手の大リーグでの活躍から、ウィンタースポーツではスピードスケート、スキージャンプ、スノボー、スポーツクライミング、さらに卓球、テニス、バドミントン、スポーツクライミングなどなど、若い選手の陸続とした登場には驚くべきものがあります。

 経済では不振だった日本も、その他の分野では、世界に冠たる発展を成し遂げてきていると考えても、それなりに肯定してもらえるのではないでしょうか。

 今までも折に触れて書いてきましたように、日本人は本来エネルギーレベルの高い人間の集まりという見方もあります。
 内戦に力を注いだ時は戦いですが、平和な時は文化の華が咲いたのです。平安、室町、江戸時代(例えば元禄時代、「昭和元禄」なとという言葉もありましたね)などです。

 それが、「世界最も多様なDNAが共存する日本」と関係がるかどうかは、今の人間の知では解らないのかもしれませんが、日本人は何かそうした夢を持ってもいいのかもしれません。

 そしてそれが地球人類の癒しと平和につながってくとすれば、それは素晴らしいことではないかと思います。
 経済的には暗かったといわれる平成の時代も、日本人は出来る事、やるべき事はきちんとやってきたと考え、次の時代に進んでいきたいと思います。

平成という時代を改めて振り返ってみましょう:5(つづき)

2019年03月19日 12時10分03秒 | 経済
平成という時代を改めて振り返ってみましょう:5(つづき)
<リーマン不況のトラウマ、企業・家計の活力喪失>
 結論から先に言ってしまえば、日本の経済活動の主体である企業と家計は、「いざなぎ越え」までは自力で経済再建可能と従来通りの気概を持って頑張ってきたと思います。しかし、リーマンショック後の状況は、「いくら真面目に頑張っても駄目の場合もある」ことを経験し、諺でいえば「稼ぐに追いつく貧乏なし」から「ワーキング・プア」もありうることを認めたという意識の変容が日本人を大きく変えたように思われるのです。

 $1=¥75~80で死ぬ思いの苦労をした日本企業、もっと頑張れば、さらに円高になって自分の首を絞める、合理化やコストカットは無駄なのか? という経験です。
 そしてそこからの脱出は、企業の努力でも従業員の協力でもなく、日銀の異次元金融緩和による為替レートの正常化($1=¥120)だったのです。

 背後には世界経済のマネー経済化があります。一国経済の力の強弱は、合理化や生産性向上努力ではなくて、為替レートの変化で簡単に決まる(あくまでも短期・中期の話です)というマネー経済学の世界が来ているということでしょう。
 そこでは、かつての近隣窮乏化政策のように、国策で為替レートを動かすいわゆる「介入」ではなく、「為替レートを決めるのはマーケット」という誰も責任を取らないで済む現実があるのです。

 今、企業も、家計も、自分たちの努力で日本経済が復活したとは思っていないでしょう。自らの努力で復活したと思えば、今後も努力を続ければよいという目標が明確です。
 しかし、企業は、巨大な為替差益が出て、利益が増え自己資本が積み上がっても、円安の結果と分かっていますから、またいつアメリカなども思惑で円高になるかわからない、たまったお金は、その時に備えて大事にしよう、ということになるでしょう。

 世界の驚く新製品・新商品を国内で開発しようというより、円レートに影響されない海外の優良企業に投資し、モノづくり中心から、モノは海外で作り、投資収益を重視する姿勢も顕著で、結果、 第一次所得収支は著増、経常黒字と、企業収益には貢献しますが、GDPに相当する付加価値は海外で発生しているのです。

 政府や日銀も、基本的には同じように、現状に不安を持ち、政府は、そのヘッジを対米依存方式一辺倒(?)に求め、何とか現状を維持しよとしているのでしょうか。
 政策としては国民の「活力」をと、規制緩和や、賃上げ奨励、働き方改革(能力・成果主義)などといいますが、上述のような状態の中では、それは「 格差社会化」に繋がるばかりで、社会の不安定さを増すことになっているようです。

 日銀は、2発の黒田バズーカの成功から、あとどうしたら良いか解らず、いつまでも異次元緩和を続けるばかりです。その 副作用には目をつぶっているのでしょうか。

 家計は、こうした状況を敏感に嗅ぎ取って、まずは生活防衛最優先と無駄遣いを止め、利息も付かない貯蓄に専心しています。その結果の 消費性向の低下は顕著で、これが消費需要抑制につながり、経済を支える最大の柱の家計消費支出の低調が経済の活性化を阻むという困った状態です。

 アベノミクスの行き詰まりの原因でもあるこうした心理的な状態は「一生懸命頑張っても、結果は為替レート次第」というリーマンショック後の日本経済の悲惨な経験からきている部分が極めて大きいと思われます。

 平成という時代の日本経済を考えれば、大方の部分は為替レートの変化によって齎されたものだったということ、そしてそれが、日本人の真面目に働く事とその成果への疑念、不信、不安につながったという、日本人のこれまでの生き方を揺るがす現実の詰まった30年ということになるのではないでしょうか。

 4月1日には新元号が発表されます。新元号に時代には、日本人はどんな日本を作っていくのでしょうか、そのヒントが、経済以外の日本人の活動に見られるような気がします。次回その点を垣間見たいと思います。

平成という時代を改めて振り返ってみましょう:5

2019年03月18日 17時49分29秒 | 経済
平成という時代を改めて振り返ってみましょう:5
<$1=¥120で甦るも、弱い回復力のナゼ?>
 前々回も書きましたように、平成の時代を4つに区分して、それぞれの時期の実体経済について見て来ましたが、今回は4つ目、日銀の政策変更により円高を脱出してから今日までということになります。

 円レートが$1=¥75~80では日本経済はほとんどまともな経済活動ができない状態でした。これは実力上のハンディをもらったゴルファーがコンペで勝てないのと同じでしょう。
 問題は、日銀が円高容認という基本姿勢だったことがあるようです。しかし2012年に至り、日銀も、この円レートでは日本経済に救いはないと気がついてきたようです。
 当時の白川総裁が、 アメリカが2%インフレを目標にするなら、日本は1%インフレを目標に政策変更をしてもいいのではないかという視点を出しました。

 円レートは少しづつ円安に動き、雌伏してきた企業もいくらか元気を取り戻したようでした。
 そして安倍政権(2012年12月)になり、日銀総裁は白川さんから黒田さんに代わりました。この総裁の交代は、マスコミでは、バーナンキさんがリーマ・ンショック対応としてとった政策、 徹底した金融緩和に倣うことを助言した学者の意見を容れたものなどと言われました。

 そして、黒田総裁は就任直後の2013年4月、さらに2014年10月に、いわゆる2発の黒田バズーカを発射し、世界のマネー・マーケットを驚かせて$1=¥120を実現しました。
 その効果が絶大だったことは、すでに皆様ご承知のとおりです。日経平均は急上昇、企業はたちまち積極性を取り戻し、それを端的に示したのは厚労省の業務統計「有効求人倍率」でした。

 円レートが80円から120円に円安になるということは基軸通貨ドルで見れば、日本の物価と、賃金を含むあらゆるコストが全て3分の2に下がるということです。
 いかえれば、日本企業が賃金を33%下げて、物価の33%の引き下げを実現したということと同じです。日本産業の 競争力は大幅改善です。

 その後の日本企業の収益力の向上、自己資本比率の上昇は法人企業統計が示す通りで、日本企業は急速に元気を取り戻しました。参考までに下記の2つの図表をご覧ください。

法人企業(除金融保険)売上高経常利益率率の推移(単位%)

 財務省:法人企業統計年報 


法人企業(除金融保険)自己資本比率の推移(単位%、資本金規模別)

 財務省:法人企業統計年報 


 安倍政権は「アベノミクス」の名のもとに、3本の矢(大胆な金融緩和、機動的な財政政策、積極的規制緩和で)日本経済復活を掲げました。ご存知のように、その後の状態は、悪くはないのですが、政府の思うように良くならないといった状態のようです。
 このあたりの状態、その理由を少し良く見てみたいということになりますが、いささか長くなりそうなので、これは次回にしたいと思います。

 このシリーズは次回アベノミクス下の日本経済の問題点を総括し、そして最後に、この経済的には(さらには災害に関しても)最悪の時代と言われる平成時代にも、やはり日本人は、そのエネルギーレベルの高さの故でしょうか。また違った面で大きな発展を成し遂げてきてきているという点を取り上げ終結にしたいと思っています。

立金花(リュウキンカ)今を盛りと!

2019年03月17日 15時25分34秒 | 環境
立金花(リュウキンカ)今を盛りと!




 2月の24日にリュウキンカが昨年よりも2週間ほど早く咲き始めたと報告したところですが、今年の春は速足ですね。
桜前線の北上も早いようで、東京はもうそろそろでしょうか。

 その後、我が家のリュウキンカは今を盛りと咲いています。花びらがあまり散っている気配もなく、花数が増えてきているように見えます。

 当初家内が知人からいただいて植えた所だけでなく、数メートル離れた豊後梅の木の下に新しい株が出てきたと思いましたら、今年は玄関わきのハナミズキの下に新しい株ができて、数輪の花をつけたりしています。
 どうやって増えるのか不思議ですが、かわいらしい花なので、増えるに任せています。
 
 リュウキンカは元気がいい花で、日向ではもちろんですが、豊後梅やハナミズキの下はほとんど日の当たらない所ですが、元気に咲いていて、「日陰の花」等といじけず、「陰、日向なく」元気に咲いてくれるのもありがたいことだと思っています。
 写真は、日向の株と日蔭の株の2枚です。

平成という時代を改めて振り返ってみましょう:4

2019年03月16日 21時32分10秒 | 経済
平成という時代を改めて振り返ってみましょう:4
<努力の限界を超えたリーマン後の円高>
 平成を振り返るこのシリーズでは(繰り返しますが)平成の30年を
・バブルとその崩壊か2002年「いざなぎ越え」に至る期間
・「いざなぎ越え」の期間
・リーマン・ショックから異次元金融緩和(2013)に至る期間
・異次元緩和以降
の4つに時期に分けて振り返っています。今回はその3つ目、リーマンショック後の超円高、いわば日本経済が「死に体」になった時期について考えてみたいと思います。

 2008年秋、サブプライムローンの破綻で、アメリカの住宅バブルが崩壊、マネー資本主義、金融工学が破綻をきたしたリーマン・ショックの時期、アメリカFRBの議長はバーナンキさんでした。

 バーナンキさんは、1929年の世界金融恐慌の研究から、金融危機は徹底した金融緩和で救えるはずだという理論の持ち主です。そしてアメリカは超金融緩和政策をとります。

 大混乱のマネーマーケットは、ドル売りに走り、$1=¥120がらみだった円レートは$1=¥80円という異常な円高状態になりました。
 日銀は、日本の金融機関はまだ健全な方、という意識だったのでしょうか、対抗して 金融緩和という動きはありませんでした。

 しかし、比較的健全と見られていた日本経済も80円という円レートで正常な活動は不可能でした。「円レートの推移」はこのシリーズ3のものを再掲しますが、80円を切り上げ75円までの円高を記録しています。
 経済学者の中でも、このままでは50円まで円高になって、日本経済は崩壊するとった見方まで出ました。

 現実に実質経済成長率は2008年からマイナスに転じ2009年はマイナス5%を超えます。2010年は反動もあり4%ほどのプラスでしたが、2012年までを見れば、日本経済は「縮小」を続けることになります。



 通常の国であれば、こういう時、国内総支出はあまり減らず(稼ぎは減っても使う方は減らず)経常赤字になって、為替レートは円安になるというのが経済理論ですが、日本人の真面目さは、 収入が減れば支出も切り詰めるというパターンですから、経常収支は一貫して黒字です(下図)。



日本経済は、 円高と経済縮小のスパイラル を経験することになったのです

 2008年から2012年ということの期間は、日本経済は真面目にやればやるだけ自分の首を絞めるという無間地獄のような経済低落の時期だったといえるでしょう。
 対応策としては、バーナンキさんも後年指摘しているように、日本も早期に異次元金融緩和をすべきだったという政策、GDPが縮小しても、金遣いは減らさず、日本は「大幅赤字国」となり、円安を招く方策もあったというのが後知恵です。

 しかし現実は、足掛け5年間、日本は企業も家計も、「節約すればするほど円高になる」という状況の中、打つ手も解らず苦しみ悩んだわけで、この恐ろしい経験は、その後の日本の企業、家計に「将来不安・専守防衛」のトラウマを残すことになりました。

 振り返ってみれば、バブル崩壊からの失われた10年では、日本企業や家計は合理化・コストカット・節約に注力して「自力で」脱出の糸口をつかんだのですが、 リーマン・ショック後は合理化すればするほど円高になるという経験から「自力再建意欲の喪失」ともいうべき状態から抜け切れない状態といえそうです。
 
 今、多くの企業も家計も、残念ながら、アベノミクスも日銀も、適切な対策を見いだせず、為替レートが正常化してからも、半ば茫然自失という状態にあるように思われます。

2019年春闘大手妥結へ

2019年03月14日 15時28分21秒 | 労働
2019年春闘大手妥結へ
 今年の春闘は今日が集中回答日ですが、主要企業では昨日から交渉をまとめようとの労使の努力で、交渉結果がマスコミから報道されています。

 アベノミクスが喧伝されるようになってから、政府が毎年春闘に介入し、官製春闘などと言われてきましたが、今春闘では労使ともに、賃金決定は労使の専管事項という世界の常識に回帰してきたようです。

 折しも、世界経済情勢は米中貿易摩擦などを中心に、先行き不透明な様相になり、日本でも中国経済の減速の影響、これから本格化する日米のFTA交渉の先行きなどを含めて、労使双方がともに 慎重な賃金決定に動いたようです。

 春闘というのは、一般的には労使が交渉して、賃金が何円、何%上がるかという交渉という事だけのように見えますが、この実は、年1回のこうした全国の企業に影響力を持つ労使の活動によって、日本経済のあるべき姿を見定めていく重要な行動なっているのというのが本当の姿というべきではないでしょうか。

 ご承知のように、日本経済の規模はGDPですが、これは1年かけて国民が働いて生み出した経済的価値(付加価値)で、これが雇用者報酬(賃金)と営業余剰(利益)に分配されて、政府は雇用者報酬から所得税や社会保険料を取り、営業余剰からは法人税や社会保険料を取り国家予算を組んでいるということにつきます。
 
 つまり、労使が働いて生み出した付加価値を労使間でどう配分するかが「春闘」で決まるのです」。経済の歴史を見れば、この労使の分配のしかたがその国の経済の先行きを決める基本的なものということが知られます。

 もう少し付け加えれば、労使が生み出した付加価値という「パイ」が大きくなれば労使への配分は増え、「パイ」があまり増えなければ分配もあまり増えないというのは当然で、この「パイ」の分配に失敗すると分配関係が歪んで、経済的、社会的不安定が発生するということになっていくというのがこれまでの経験なのです。

 こうして「春闘」は、日本経済の在り方の基本を形作る作業を、日本経済を担当する労使が年1回、全国的な規模で議論し決定するという大変な行事なのです。
 労使に良識があれば合理的に平穏に収まりますが、労使関係が悪ければ、ゼネラル・ストライキや暴動にまで発展することすら起きるわけです。

 戦後日本の労使関係は、そういった時を克服し、世界に冠たる安定した「日本的労使関係」を確立してきました。
 そして今、日本の労使関係は、健全で安定した社会の実現のため、格差社会化に流されがちな世界的な風潮の中で、格差社会化阻止を目指して、新たな方向を模索しているように思われます。

  日本的労使関係の特徴は、労使それぞれの事情は大事にしながらも、その先にある労使共通の目標である日本経済・社会の安定的発展を目指しているという点が明確なところにあるといってよいでしょう。(「連合白書、経団連「経労委報告」など」

 そんな視点で、今日の集中回答日から、中小企業まで決着を見る6月ごろまでの春闘の姿を見ていくことが「春闘の役割」への理解としては必要ではないでしょうか。

法人企業景気予測調査:2019年1~3月

2019年03月12日 23時08分01秒 | 経営
法人企業景気予測調査:2019年1~3月
 景気の先行きは不透明になってきている中で、財務省の「法人企業景気予測調査」の2019年1~3月が今日発表になりました。

 この調査は、法人企業統計季報の予測版のようなものですが、企業が景気の現状、先行きについて今どんな風に考えているか知るうえで参考になるように思います。
 1~3月期の調査は4~6月、7~9月までの予測を調べていますので、半年先までですが、ちょっと覗いてみましょう。

 分類は、大企業、中堅企業、中小企業で、それぞれ全産業、製造業、非製造業となっています。
 因みに「国内の景況判断」の今年1~3月期、4~6月期、7~9月期を順に並べてみますと(上昇-下降、%ポイント)
<大企業>
製造業:  -6.3、-1.4、4.8
非製造業: -0.2、2.6、7.2
<中堅企業>
製造業:  -11.2、-3.2、6.3
非製造業:  -2.9、-0.5、5.5
<中小企業>
製造業:  -24.3、-14.2、-5.0
非製造業: -11.4、-6.7、-2.0
という結果で、大企業、中堅企業は夏までは下降気味ですが、7=9月期は上向くという見通しです。中小企業はずっと下降(マイナス)ですが、7~9月になると落ち込みは小さくなるという見方です。

総じて、企業としては、「半年ほど停滞するが、その後景気は持ち直す」とみていることがわかります。
米中関係を中心に、当面は予断を許さないが、困った問題は半年ほどで解決し、日米問題も、それほどの問題はなく、夏ごろからは世界経済も正常化し、国内の景気も安定するという見方でしょうか、企業は比較的楽観的のように思われます。

 この調査は景況感のほかにもいろいろ調査していて、その中でちょっと面白かったのは、「今年度(平成30年度)における企業の利益配分スタンス」という調査項目です。
 大企業は、1位:設備投資、2位:株主への還元、3位:内部留保
 中堅企業は、1位:内部留保、2位:設備投資、3位:従業員への還元
 中小企業は、1位:従業員への還元、2位:内部留保、3位:株主への還元
という結果です。
 やはりこれは企業の本音ということなのでしょうか。今春闘でも、あまり変わらないような感じですがどうでしょうか。

FRBはどう動く、日米交渉で円高の危惧は?

2019年03月11日 17時54分36秒 | 国際経済
FRBはどう動く、日米交渉で円高の危惧は?
 早めに心配すると杞憂と言われそうですが、アメリカ経済好調ということで、このところ円レートは111円台で余り円高に振れないようですが、今後はどうでしょうか。

 今のアメリカの経済好調については、米中関係に比較的楽観的な見通しを織り込んでいるのではという意見も多いようです。
 現状中国の対応は予想外に柔軟で、あまり米中経済摩擦がひどくならないことが期待されますが、中国も為替レートについては、しっかりと予防線を張っている様子が見られます。

一方アメリカの方で注目される動きは、FRBがパウエル議長になって、予定されていた年内2回の利上げは取りやめ、「辛抱強く」という言葉で、現状の景気を持たせようという姿勢でしょう。

 もちろん視野には景気減速といった可能性も入っていて、その時点では当然金融緩和政策となるわけでしょうが、今の2.25~2.5%のレートでは緩和の余地は小さいということになるのでしょう
 B/S の再拡大、量的緩和も視野ということで、「日銀方式も参考になる」といったようです。
解説では。日銀が2%という「行き過ぎ型」のインフレ目標を掲げて、(異次元緩和を)続けているという行き方も参考になるということのようですから、どうもこれは要注意のような気がします。

 もともと日銀が異次元金融緩和策をとったのは、リーマンショックに対応して世界金融危機を防止するため、バーナンキさんがとった政策、ゼロ金利と量的緩和を徹底したことの模倣で、現実的な目的としてはそれにより円高を是正するということでした。

 そのおかげで日本経済は何とか復活しましたが、その後も円高を恐れて、異次元金融緩和を改め、金融正常時価を図る気配はありません。
 この異次元金融緩和の異次元的継続をFRBに参考にされたのでは、日銀にはもう円高阻止の手段は残っていないのではないでしょうか。

 平成31年度の「政府経済見通し」では年度平均の円レートは113.4円ということになっていますが、いささか甘すぎるような気もしますし、もし日米FTAの中で、トランプさんの切望する「円高・ドル安」を押し付けられた時、さて日本は何が出来るのでしょうか。

「経済と景気」再論:2019年、時は春、景気は?

2019年03月10日 15時12分58秒 | 経済
「経済と景気」再論:2019年、時は春、景気は?
 このところマスコミでも景気がいいのか悪いのかといった論争が起きてきています。
 日本経済は問題を沢山孕んでいますが、企業の設備投資を中心に何とかもってきました。しかし、昨年秋あたりから何となく怪しくなってきているようです。

 ここでも「景気」という言葉と「日本経済」という言葉が出てきますが、経済と景気とはどこまで同じで、どこが違うのでしょうか。

 実は、同じテーマでだいぶ前に一度書いたことがると思い出して、調べてみましたら、かつて書いたのは >2008年8月でした。
 思い出せば、リーマンショックが世界金融恐慌を起こすかもしれないと危惧される直前でした。

 リーマンショックが起き、100年に一度の不況だといわれる中で、しかし、まだ日本経済は健全という意見もあって、当時の麻生総理は、この不況は全治3年と言っていました。
 今、麻生副総理は、相変わらず「景気は緩やかに回復」と言っています。

やっぱり、このブログも「同じような時期に、同じようなテーマを考えるのかな」と感じているところです。

 ところで、日本経済は「もはや戦後ではない」と言われた昭和30年(1955年)以降「神武景気」から始まって、幾たびも好況と不況を繰り返していきましたが、実質経済成長率がマイナスになったのは第一次オイルショック直後の昭和49年度(1974年度)が初めてです。

その中で、戦後最大の不況と言われた昭和40年不況でも実質6%(39年度は実質10.6%)の成長率です。落込みがひどく、戦後最大の不況といわれたわけです。

 つまり経済成長がプラスでも、景気が悪いことはあるわけで、経済はGDPで計られますが、景気は「気」ですから、みんなが「景気が悪い」と感じる時はやはり不況なのでしょう。そして景気は経済成長鈍化の先行指標のようです。

 いわば、今まで経済状態が良かったのが、それほど良くなくなったという時、不況、「景気が悪くなった」という事になるのでしょう。(金融政策や、経済学でいう加速度原理の影響もありましょう)

 その意味では、経済は拡大しているといって安心するより、打つ手があるならば早めに景気対策を打っていくという考え方が必要でしょう。

 といっても、今の日本経済では、財政政策も金融政策もめいっぱい以上のことをやっていて、通常の回復手段はなさそうです。

 アベノミクスではもう手はなく、あとは消費税の引き上げを止める事ぐらいのようですが、それは単なる一時的鎮痛剤で、効果が切れれば痛みはもっとひどくなるでしょう。
 
 これから政府がどんな政策を考えてくれるか解りませんが、従来路線では国民の将来不安は増すばかりで心配の種は尽きないようです。