tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

進化するインターンシップ:学生から社会人への架橋

2023年08月03日 13時31分07秒 | 労働問題
昨年、経団連と大学サイドの協議会で、インターンシップと採用の関係が柔軟化し、今迄のインターンシップを採用に結び付けてはいけないという考え方が見直され、2025年卒業生からつまり今年のインターンシップ(3年生)からは、採用直結のインターンシップも一般的になるようです。

ご承知のように日本では学生から社会人になる人生の大変化の時期をできるだけスムーズに通過できるような方式「新卒一括採用」という方式が上手く成立しています。

それは、若年層の失業率が欧米諸国に比べても圧倒的に低い事に示されています。
何故そうなのかという理由は、欧米流の「ジョブ型」採用でない、人物本位の採用で、即戦力でなくても、良い素材を採用して給料を払いながら企業が育てるという考え方が一般的だからです。

その意味では、将来この企業に馴染んでくれる人間を選ぶことは大変大事で「就活」に学生も企業も真剣に取り組む熱心さは日本ならではのものでしょう。

就活での学生と企業の接触が、短時間の面接だけではなく、より長い時間を掛けて出来れば、それは双方にとって良い事でしょう。
インターンシップがその機会を提供することになれば、それぞれの企業の現場で、実際の仕事や人間関係の雰囲気を感じながら学生と企業の摺り合せが出来るわけで、大変結構なことだと思うわけです。

今迄は、学業がおろそかになるなどの理由で、採用選考に繋がるようなインターンシップの在り方は認められなかったのですが、それは何かのこじつけのようなもので、企業が、わが社への就職が希望ならば、こういう専門領域でここまで勉強して来てくれと言えば、学生は安心して卒業まで一生懸命勉強するでしょう。

当然、インターンシップも、今迄の会社見学のようなものだけではなく、仕事の現場に入って、仕事の経験もするような長期に亘るものも必要になるでしょう。
当然それは夏休みなどの期間の利用という事になるとすれば、現3年生、2025年3月卒業生からは、早速今年という事になるのでしょうか。

インターンシップの在り方の柔軟化で、今後の就活事情は、学生側、企業側の経験が蓄積されれば、双方にとってより良いものに進化していくと思われます。
こうした問題は、規制をするより出来るだけ自由にして、不合理な行き過ぎについては、良識を信頼し、世論に耳を傾けることで学生も企業も対処すべきでしょう。

最後に望まれるのは、現実を知らない政府の「働き方改革」の中で、欧米流の「ジョブ型」がベストであるとか、採用も「ジョブ型」にすべきで、新卒一括採用はやめるべきだなどという、誰も従わない方針などは、熟慮の上、早期に「改める」ようにすべきだという点でしょうか。