tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

今年も有難うございました、来年も何卒宜しく

2021年12月31日 11時12分12秒 | 政治経済

今年も tnlabo's blog に多くの方にお立ち寄り頂きました。有難うございました。来年もまたお立ち寄り頂ければ幸甚です。

結局、持越しとなってしまった重要問題が多いですが、まず第一は新型コロナで、オミクロン変異株がどんな展開になるかでしょう。
感染力は強いが、症状は比較的軽いという見方が多くなってきたようですが、これは、ウィルスのことだけに予測がつきません。
勝負は対抗する医薬品の開発という事になるのでしょう。日本の研究機関、関連業界にも期待したところです。

意味合いは全く変わりますが、2つ目は岸田政権への期待です。安倍、菅政権下で日本はいろいろな面で劣化しました。
日本社会が、真面目で、嘘偽りのない、誠意に満ち、潔い社会を取り戻すためには、岸田政権が、安倍・菅ラインと決別しなければならないでしょう。より多くの国民の社会正義への誤りない志向がそれを支えることが必要のようです。

3つ目は、世界における専制主義化、独裁政治への動きの抑止がどこまで力を持てるかでしょう。
習近平の歳と共に強まる独善と独裁志向、それに刺激を受けたのか、しゃにむに独裁制と領土拡大を進めようとするプーチン。この2人の大国のリーダーの暴走の懸念は大です。それを止めるのはそれぞれの国の国民か、国連の努力か、世界人類の意思か、世界を巻き込む騒乱の発生をいかに防止するか、人類社会の大きな課題でしょう。

その他こうした大きな問題の派生現象は、残念ながら、内外ともに沢山あります。
2022年も、このブログは、何とかこうした問題を追いかけ、みな様とともに喜んだリ、ゴマメの歯ぎしりをしたり、嘆いたりしながら、出来るだけ真面目に、辛抱強く、続けていきたいと思っています。

来年もまた、時々お立ち寄りくださいますよう、宜しくお願い申し上げます。

高まる労働分配率を点検する

2021年12月30日 22時03分45秒 | 労働問題
この間まで、主要国では労働分配率が下がっているという論文がいっぱいでしたが、このところ日本に関しては労働分配高まっているいるという傾向が言われています。

確かに長期的には欧米主要国の労働分配率は1980年代に入ってからずと下げてきています。これは、70年代のスタグフレーションの経験に懲りて、労働組合の力を弱め、賃金上昇圧力を封じてきたことが大きな要因でしょう。

そうした中で、MMT理論、赤字財政でもインフレは起きないなどという考え方も出たりしましたが、最近、少し状況は変わってきたようです。

今、アメリカをはじめ、欧米各国で見られるインフレ問題は、国際的な資源価格の上昇、それに、コロナで生産や物流が滞って品薄から物価高というのが主因のようですが、この物価高が賃金の引き上げ圧力になると、賃金コストインフレを誘発する可能性はかなりあるように思います。

日本はどうかと言いますと、アベノミクスの失敗で経済成長が微々たるもので、結果、賃金も殆ど上がらないのですが、中小企業を中心に企業経営が不振で少しでも賃金が上がると労働分配率が上がり気味で、一方支払った賃金は消費に回ればいいのですが、多分に貯蓄に回り、企業の売り上げに貢献しないという悪循環の結果の労働分配率の上昇で、それにコロナによる業績不振が追い打ちをかけて賃金コスト高(労働分配率の上昇)になっているようです。

ところで、労働分配率は国民経済全体で見るマクロの労働分配率と企業経営での労使の分配を見るミクロの労働分配率の二通りの数字がよく使われます。
前者はGDP統計(内閣府の国民経済計算)、後者は財務省の法人企業統計年報によるのが一般的です。

という事で、この両者のこの10年ほどの労働分配率の動きを見てみました。



先ずマクロレベルの動きを見ますと2013年、日銀のゼロ金利政策で円高が解消してからは労働分配率はほぼ横ばいで来ていましたが2018年度辺りから上昇に転じ、2020年には75%という史上最高とも言われる水準に(多分コロナが)押し上げています。



一方法人企業統計の方は、2017年までは低下傾向で、これは円安になって製造業を中心に企業収益が改善したという状況をそのまま反映しています。
然しその後2018年後半からは景気が不況に転じ、売り上げが伸びずすこしのちんあげでも 人件費負担が労働分配率を押し上げ、2020年にはコロナ禍でさらに深刻化の様相です。

いずれにしても、今後が心配される状況であることには違いが無いのですが、マクロレベルとミクロレベルの違いは、法人企業統計は文字通り、法人企業だけで、自営業は入っていません。

自営業はその所得を賃金と利益に分けることが難しい所がありますし、この労働分配率が75%という数字の場合の国民所得は要素費用表示と言って、 賃金と利益と財産所得の合計で、賃金にも利益にも入らない消費税ははいっていません。

消費税が入っているのは市場価格表示の国民所得で消費税の分だけ金額が大きくなりますからそれで計算すると労働分配率は67%です。

企業も労働分配率を下げるためには価格引き上げもやむを得ないという事で、加工食品その他最近値上げが目立ちます。
2020年ごろから我慢していたのが2,022年には我慢も限界という事でしょうか。

労働分配率の上昇というのは、経済にとっては1つの危険信号です。政府にも打つ手はあまり無いでしょう。
政府、経団連、連合、などの関係団体が、かつての日本のように、よく話し合って、三方よし、四方よしになるような相談などをしたらどうでしょうか。

日本人の貯蓄行動と国会の議論

2021年12月28日 10時56分58秒 | 政治経済
オミクロン変異株による新規感染者増加、いわゆる第6波が心配されていますが、確かにこの所、東京の感染者などもじりじり増えてくるような気配が感じられます。

今日のテーマは、その感染拡大の懸念もそうですが、そうした問題に対する政府の政策と財政問題、更には日本経済の今後の全般にかかわる問題です。

岸田総理は、財政の健全化という意識の持つ重要性を理解しておられるようですが、国民の生活を預かる国会の、今までの議論では、問題が起こると安易におカネをばらまくことで対応するといった意識が、与野党ともに強いような気がしています。

これまでも随分バラマキに対する賛否が論じられてきていますが、こうした問題は矢張りしっかりしたデータを集め、過去のデータを参考にして賢く、正確に判断することが必要なようです。
そうしないと、折角効果的な政策を打ったつもりが、全く見当違いで、財政出動が無駄になってしまうからです。

下に2つのグラフを出しました。1つはこのブログで過去に掲載したもので、2020年の国民1人10万円という給付金のかなりの部分が貯蓄に回っていることを示唆するグラフです。
もう一つは、2020年のGDP統計がまとまりその中にある2020年度に家計の貯蓄が著増しているというグラフです。(内閣府も給付金の効果も、と説明したようです)

  2020年の可処分所得と消費支出   

 総務省「家計調査」:2人以上勤労者所帯)

  アベノミクス期の貯蓄率の推移

       (内閣府:国民経済計算)

上のグラフは家計調査の2人以上勤労者所帯のもので、下のグラフは内閣府が推計している自営業を含む家計全体の貯蓄率を示しています。

勤労者の場合と、自営業を含む全家計の場合ではベースが違いますから貯蓄率の水準は違います。しかしそれぞれ2020年(GDPレベル)と、2020 年の給付金支給時期が突出しています。
 
ここから見えてくることは、国民が困っているから給付金という思考は、単なる思い込みで、多くの国民は使わないで貯金しているという現実ではないでしょうか。
本当に困っている人は少数で、均等にばらまくと、財政負担は大きいが、効果は小さいことが見えてくるようです。

このブログでは、今の日本の家計が消費を増やさないのはカネがないからではなくて、お金があっても、あるいは、お金のある人ほど使わない行動が問題で問題で、政治家は(国会は)、なぜ「お金があっても使わないのか」を考えないと、国の将来のために大切な視点や判断がきちんと出来ていないということになるのではないでしょうか。

次の通常国会では、政治家としての議論のレベルを1段も2段も上げてほしいと思う所です。 






自民党内の財政政策に二派?

2021年12月26日 21時55分10秒 | 経済
世界でも断トツの借金過多(国債残高)を誇る(?)日本政府の中枢自民党の中で、「このまま借金財政を続けてもOK」と考える」グループと「やっぱりこのまま借金財政を続けるわけにはいかないだろう」と考えるグループとが生まれようとしているようです。

報道によりますと、1つは、高市政調会長中心の「財政政策検討本部」。最高顧問は元総理の安倍晋三、本部長は、積極財政派で政務調査会長代理の西田昌司という事です。

もう1つは、岸田総理直轄の「財政健全化推進本部」で、最高顧問は麻生太郎副総裁、元副総理兼財務大臣、仕掛け人は茂木幹事長で、本部長は額賀福志郎です。

安倍政権でタッグを組んできた、安倍・麻生が、財政政策で意見を異にするのではないかという事は折に触れて感じていましたが、今回は違いの「見える化」です。

岸田・麻生の「財政健全化推進本部」の方は、コロナのような緊急事態には財政出動も必要だが、今後は(コロナ次第ではあっても)財政の恒常的な借金依存は不健全で、経済正常化の中では財政の健全化をできるだけ進め、必要なときに財政支出を思い切ってできるようにすべき(額賀)という考え方のようです。

一方、高市・安倍の「財政政策検討本部」は、自国通貨建てで国債を発行できる国は、財政赤字を顧慮する必要はないというMMT理論を信奉する立場(西田)で、日本経済はいまだにデフレ状態(アベノミクスの挫折)が財政出動で立て直せると思っている安倍元総理の願望の実現を考えているようです。

この問題については、このブログでは「日本の国債が紙屑になる条件1~9」で徹底的に分析して来ましたが、MMTは特定の条件(例えば基軸通貨国であるとか、安定した万年黒字国であるとか言った条件)の下で、何らかの犠牲において成り立つものでしかないことを明らかにしてきたつもりです。

日本の場合には、国民が真面目で、現在の生活より将来の生活を懸念し貯蓄に励むゆえに、万年黒字というのが現実で、現在の国民生活が犠牲になり、結果、経済成長も阻害されて、将来生活も改善しないという「倹約の罠」「低金利の罠」に嵌っているから、MMTが成立するので、これではいくら財政出動しても効果はないのが実情と思われます。

そして「もし」財政出動が成功すれば、その時はMMTは成立しない国になっている(普通の国になってしまっている)という事になるのだろうというのが、予測される結論です。

こうした条件や現状が解らない安倍さんは、いつまでたっても「まだデフレだ」と思っているようですが、2014年には日本はデフレを脱却して(コロナの異常事態は別として)いるのです。この所では、既に、いわゆるステルス値上げを指摘したりインフレを心配する人も増えているのが現実でしょう。

自民党のことですから、2つの「本部」がいつまでも対立・併存することはないような気もしますが、その時は、間違いのない選択をした上で対立を解消してほしものです。

2022年度政府経済見通しを見る

2021年12月24日 23時10分45秒 | 経済
昨日、閣議了解版の2022年度「政府経済見通し」が発表になりました。
オミクロン変異株の市中感染が出たりしているので、この先の感染状況次第で、日本経済もどうなるか解りませんが、矢張り政府経済見通しは、一つの重要な指標でしょう。

一番大事な「実質経済成長率」を見ますと、
2020年度(実績)     -4.5%
2021年度(実績見込み)  2.6%  
2022年度(見遠し)    3.2%
となっています。

昨年度は、コロナという未経験なパンデミックで最悪、今年度は、コロナ禍でも何とか経済活動を確保したという面もあり、年度後半には感染状況も大分収まり、何とかプラス成長に持ち込み、さて来年度は、な何とか本格回復に持っていきたいという願望も感じる数字です。

民間経済研究機関の発表している「実質経済成長率」の数字を拾ってみますと、
大和総研の4.0%が最も強気で三井住友アセットマネジメント2.9%、第一生命2.9%、三菱UFJ銀行2.8%、三井住友信託銀行2.7%、ニッセイ基礎研究所2.5%といった具合で、政府見通しは強気の方です。

政府の強気を支える経済活動の分野は、民間最終消費支出4.0%、民間企業設備5.1%、財貨・ビスの輸出5.1%で、民間住宅建設は0.9%で昨年度の-0.5%よりは回復ですが、どちらかというと低調との見通しです。

寄与度で見ますと、実質成長率3.2%のうち、民間需要が3.0、貿易黒字0.2で、官公需要は0.0で中立となっています。政府の梃子入れで景気回復ではなく、民間需要と貿易黒字が経済成長を引っ張るという形の見通しになっています。

コロナ対策で、この2年ほど赤字国債を沢山出して、財政支出で経済を支えましたから、もうこれ以上は出来ないというところでしょう。

「実質経済成長率」政府見通しの中身を見ますと、2022年の日本経済が、巧にコロナ(オミクロン変異株)対策に成功すれば、ホッと一息ついた国民が日常、更には非日常の経済活動を活発にし、達成可能の範囲ではないかといった感じです。

ところで、実際の経済活動は、名目値で行われるので、最近些か上ずっている物価の動きを政府はどう見ているのでしょうか。

物価の主要な統計は、消費者物価指数と企業物価指数ですから見てみますと消費者物価指数上昇率は今年度の-0.1%から来年度は0.9%の上昇になり、企業物価指数は今年度の6.5%の大幅上昇から2.0%と鎮静化の見通しです。

2022年度の名目成長率は3.6%で、実質の3.2%との差0.4%がGDPデフレータ(総合物価指数)の上昇率という事になります。

という事で、今年は企業物価指数がこのところ9%も上がって、消費者物価指数もこのところ加工食品などの値上げが目立つので、今年の分はどうかと改めてみてみました。

今年の実績見込みでは企業物価指数は6.5%の上昇、消費者物価指数は‐0.1%と値下がりですが、企業物価指数の上昇が、どのくらいGDPデフレータを押し上げているかを見てみますと「ビックリ!」。GDPデフレータは‐0.8%と下がっているのです。

これは明らかに異常です。企業物価指数が上がっていて、消費者物価指数が僅か0.1%のマイナスで、この両者を3対7程度(7が消費者物価)で合成したのがGDPデフレータというのが常識ですから(輸出物価指数もプラスです)-0.8は異常です。

ミスプリかと思いましたが、たしかに2021年度のGDP成長率は実質2.6%、名目1.7%で、GDPデフレータが大きく下落し、実質成長率が名目成長率を0.9%上回っています。この数字については、更に検討する必要があるように思います。

勝手な責任回避や転嫁を認めてはいけない

2021年12月23日 22時51分16秒 | 政治

このブログも、こんな事は書きたくないと思いながら、でも書いておかなければならない事なので書いています。

公文書改竄の責任感に苛まれ自死された赤木俊夫さんの奥さんの雅子さんが起こされた裁判が、「認諾」という大変奇妙な形で結審になりました。
認諾というのは、被告が原告の主張を正当と認めることだそうです。

既に日本国民の多くの方は、なぜこんなことが起きたかをご存知でしょう。しかしそれを国は何とか隠し通そうと権力を利用して足搔いています。

今、国がやっていることは、赤木夫人からの訴えは1億円の損害賠償だから、「国が悪かった。1億円払います。」という事で「認諾」したのだから、もういいでしょう、という事なのでしょう。

政府の言い方は、公文書改竄に関わる大変な仕事を命じられて、苦しまれた結果の自死だというものです。

何も事情を知らない人は、難しい仕事を命ぜられ、苦労の挙句の自死で、1億円の損害賠償の訴訟が起こされたのでその通りに支払ったのですね、と理解するでしょう。

つまり、これでは何故自死に至るほど赤木さんが苦しんだかは素通りです。そこに、総理大臣の致命的な嘘を隠すための政官合作の邪な芝居があったなどという事は、すべて「認諾」「結審」という言葉にかくされて終わるという計算があるのでしょう。

安倍さん得意の「ご飯論法」です。
「政府は、夫の雇用主として、夫の自死の理由を明らかにしてください」に対して「1億円欲しいというからあげました」というスレ違いです。

しかも1億円は、税金から支払われるのですから、1億人の国民に1円ずつ払わせればいいという事になるのです。

これで安倍政権時代の邪な芝居の一座に関わる人々は、一件落着、晴れて青天白日の身となっていいのでしょうか。

「天網恢恢疎にして漏らさず」と「天」に頼みたいところですが、日本は民主主義国です。矢張り、我々国民が自分たちの力で、こうした誤った国政の在り方を正す努力を徹底してやらなければいけないのではないでしょうか。

トルコインフレ進行曲

2021年12月22日 15時13分35秒 | 経済
ちょっとばかりトルコには失礼なタイトルですが「トルコ行進曲」を口ずさむ癖がありますので、お許しいただきたいと思います。

トルコリラの急落、トルコのインフレ率の急上昇、といった報道がされ、トルコ経済が心配されています。

アメリカがインフレ鎮静のために利上げをするという動きを見せる中で、日本の場合は円安が進み、世界では自国通貨のレートが安くなって輸入インフレが心配されるケースが増えているようです。

日本でも、この所ガソリンに見られますように値上がりがあり、その他の一般物価も輸入品の価格上昇、流通ネックなどでの値上がり、輸入穀物や肉類などの値上がりなどで加工食品などの値上げが増えているようです。

日銀の黒田総裁は、アメリカが利上げしても、日本は金融緩和政策を当分変えないと言い、多少円安に振れても、日本経済全体では円安のプラス効果の方が大きいという説明をしています。

通貨価値が下がるとインフレになって経済的困難に陥る国とそうでない国とがあるという事は確かにその通りだと思います。その違いは一体どこから来るのでしょうか。

原因は大きく分けて2つあるように思います。
① 自国通貨安で競争力が増す輸出や観光収入などの外貨獲得資源があるか。
② 輸入インフレを自家製インフレに転嫁してしまうか否か。

先ず①の外貨獲得資源があれば、通貨安になれば、輸出増や観光客の増加の可能性が大きくなります。それによって貿易収支や経常収支が黒字になり通貨安は止まるる可能性があります。

つまりその国がコスト安の国になり、お陰で経済活動が活発になって、インバウンドも増加、成長率も高まり黒字国になるわけですから、通貨安になる原因はなくなります。

丁度日本が、2013、年2014年の金融の異次元緩和政策で、円高から円安になり、長期不況から脱出できたのと同じことが起きる可能性が大きいわけです。

トルコでも今年の夏から、これまでほとんど赤字続きだった経常収支が黒字になり、これが唯一の希望と言われています。


次に②のインフレの問題です。現状のトルコはこちらの方が問題だと思われるところです

というのは、トルコリラ安になって、輸入物価が上がって来たのに対して、「これでは国民の生活が大変だ」という事で、最低賃金を大幅に引き上げています、

トルコでは労働者の50%前後が最低賃金の近辺の賃金でそれより低い場合もかなりあると言われます。
その最低賃金を2019年14%、2020年13%、2021年15%、2020年12%と大幅に引き上げています。(来年1月からはどうするかです)

もともとトルコは、賃金とインフレがスパイラルで10%以上のインフレ、10%以上の賃上げが続いていたような状況もありましたので、国際競争力が落ち、リラ安になりやすく、そこに資源インフレやアメリカの金利問題が重なってのリラ安、インフレ深刻化(最近は年率20%)という事だったのでしょう。

経済政策の王道から言えば、ここで国民の生活を賃上げや金融政策で救うのではなく(結果的にはそれは不可能)、リラ安によるインフレを耐え忍び、人件費をはじめとしてトルコ経済のコストをリラ安とともに下ることで、競争力を回復し、経済成長を軌道に乗せることが必要でしょう。

デジタル国家に近づくには? 続

2021年12月21日 12時34分06秒 | 政治
今朝の新聞には、中小企業のデジタル化を進めるために政府が検討を始め、紙の書類ではなく電子帳票で領収証などを済ますことが出来るような統一システムを作り、現状では、専門業者がいろいろなシステムを作っているのを国際的な基準に揃えて共通化し、税務処理なども容易に迅速化出来るように進めるという記事がありました。

大変結構なことだと思います。
デジタル国家にするためには、国(将来は国際)として共通なシステムづくりを進めることが必要です。 

その意味で国民全体に共通なシステムのベースを作るというのがマイナンバーカードでしょう。
それを使って全体主義の統制国家にするかどうかはその国の為政者次第ですが、民主主義国家ではそういう事はないとして、国民生活の利便性のために使うのです。

その意味では、日本国も、マイナンバーカード導入は決めたのですから、それを如何に早期に効率よく本来の目的が果たされるようにしなければなりません。

その際、今一番のネックになっているのは、マイナンバーカードを作らない人がいるという事のように思います。
マイナポイントなどという飴玉で、勧誘するのですが、本当にそれだけで出来ると思っているのでしょうか。恐らく百年河清を待つに似たことになるでしょう。

マイナンバーカードの普及率は現状40%を超えたかどうかですが、法律は平成25年に通って、本格運用は28年から(私も家内もその時作りましたが、私が使ったのは確定申告だけ、家内は使ったことが無いうちに更改期限切れ)といった状態でこれでは普及しようがないと実感していました。

そこに来てマイナポイントで、今年も来年もやるようですが、目標は来年中に「ほぼ全国民」だそうですが、如何に真面目な日本人でも、無理でしょう。大体、飴につられてといった形で普及を図るというのは日本人には向かないのではないでしょうか。

国民にその必要性を説き、国政の合理化、あらゆる行政経費の削減、国民生活の質の向上に役立つ大事な国家の基盤を作ることだとの理解を訴え、更には、長い目で見れば、行政効率化で小さな政府、減税も可能になるといった所まで言うべきでしょう。

そして、高齢化が進んでいる現状にかんがみ、国民に市役所や区役所に行く面倒をかけるのではなく、現在の政府がもっている国民一人一人に就いての情報を政府の手でマイナンバーカードに入れ、本人証明の方法も余計な手間をかけない良い方法を考え、出来上がったカードを国民に郵送してシステム完成とするぐらいの努力をすべきでしょう。

行政関連の手続きに毎度市役所、区役所に行かなくてもデジタルシステムで、いつでもどこでも手続きができるというのがデジタルの良さでしょう。
高齢者も、スマホかPCで行政と話をすればすべて済むというのが理想でしょう。

それには、国民の代表が仕事をする国会が真っ先にデジタル化をすることが大事でしょう。 国会は先ず、国民の生活や活動のロールモデルになる必要があります。

国会で嘘の答弁をし、過ちを認めなくて済ます総理が居たりすると、国民の中でも、嘘を言い張り、過ちを認めない人間が増えることは明らかです。

先ず隗より始めよ。国会のデジタル化、さらに最近の例で言えば、統計調査は、まさにデジタル化に最もふさわしいものではないでしょうか。

政治や行政、そこに携わす人たちが、率先、ここまでデジタル化していますという姿を見たいものです。

デジタル国家に近づくには?

2021年12月20日 17時12分26秒 | 政治
デジタル庁が出来ました。大臣には新進の女性が座りました。実戦部隊の長のデジタル監はデジタル化の経験豊富なベテランの女性だという方です。

さてこれから「デジタルリテラシーが重要」などという言葉が出てくるのでしょうか。
明治になって識字率を高めなければ国は発展しないと気づいた政府は全国民に「読み書き」能力を徹底するために、そして計算が出来ることを目指して「読み書き算盤」の教育を本気でやりました。

時代は変わりましたが、昔の「読み書き算盤」は「読み」以外はデジタル化になりました。
「読み」は相変わらず眼ですが「書く」と「算盤」はキーボードになりました。

しかも、書けない字も「デジタル機器」が書いてくれ、出来ない計算も「デジタル機器」が正確にやってくれるのです。

そして大変な変化は、遠くて聞こえないところでも、見えないところでも、音声でも文字でも写真でも、隣にいるのと同じように直接伝えることが可能なのです。

出来ない事は「頭の中で考えていることを直接相手に伝えること」だけでしょう。でもこれが出来たら世の中恐ろしい事になるでしょから、出来ない方がいいのでしょう。

話を戻してデジタル化がここまで進んできたとき、それを使うか使わないかという選択は人間次第という事でいいのでしょうか。

明治政府は「読み書き算盤」は国民必須の知識として全日本人に強制しました。結果的に、それは正しい選択だったと今の人達は考えているのではないでしょうか。

千数百年前にも、実は同じようなことがありました。中國から文字が入ってきました。その当時は誰も強制しなかったでしょう、しかし日本人は、それを自己流に使って、万葉仮名をつくり出し、万葉の人々は、万葉集に見るように、こぞって使ったようです。

それに比べると、今の日本人は些かズボラになってしまったようです。
まず国会です。相変わらず堂々巡りの投票をやっています。総選挙にしてからが、いちいち投票所に行って、紙に「鉛筆」で書いて、それを1枚1枚勘定して結果を出しています。

先日の建設受注の統計でもそうです。紙に鉛筆で書いて届けにいったり郵送したりで手間がかかったり、忙しいので間に合わず月次集計に間になわないことが多くなって、その結果,困った挙句に起きた不祥事です。(デジタルの手段もあるのにです)

「もうデジタル機器が進歩しているのですよ」と言っても、国会をはじめ、誰も変えようといわないのです。明治初年の文盲、無筆の人達が、「字が読めなくても、書けなくても、世の中一応回っているんだからいいんじゃないの」と言ったでしょうか。

多分当時の日本人には、そういう人は少なく、みんな頑張って字を覚えようとしたようです。字の覚え方の言い回しや、字の読めることを自慢する落語などもいろいろあるようです。

そして今度は、進んでいる人たちが、マイナンバーカードという国民の基本情報を登録するシステムをやろうと言い出したのです。
賛成という日本人も沢山いて、カードは出来たのですが、こうしたシステムは日本人全体の為ですから、日本人全体をカバーしなければ、本来の役には立ちません。

然し国会の投票のように、デジタルが嫌いな人も多いのでしょう。政府自体が「言う事とやる事」が違うようです。

日本人は、今、万葉時代と明治初年と同じ問題に直面しているのですが、さて、どう乗り切るのがベストなのでしょうか。少し考えてみましょう

チューリップの球根を植えました

2021年12月19日 22時42分51秒 | 環境
近年チューリップづくりは人気のようで、例年通りに(売れ残りを)種類を問わず100球纏めてという注文をしましたら、球根が間に合わないので、配送出来るのは12月下旬か1月上旬と事でした。

それで些か慌てて、年内に配送されるのは何かありますか、と聞いたところ、3色取り揃え80球という定番がありますという事でした。 

ほっとして、それを注文しましたら、一昨日到着しました。
昨日は、狭い花壇のスペースを整備して、今日朝から植える積りでした。 

ところが今朝は、都下国分寺市は、この冬初めての初氷、温度計はマイナス2℃、庭は一面霜柱です。
温暖化は何処へ行ったのかと思いましたが、温暖化は、気候の変動が激しくなる現象を伴うと聞いtことを思い出して、納得して午後まで待つことにしました。

球根を出してみましたら、赤、黄色、ピンク、白、そのほか混色などが10球ずつ8袋でした。

例年とおり1列30球のつもりで並べていきましたが、端の方に子供が苗が余ったと言ってソラマメを3本植えたいたので、「大」と書いてある大きな球根が8球余りました。

それは無理して一番後ろに4列目を作り「一番後ろが一番背の高いのならば恰好がつくだろう」と理屈をつけることにしました。

とがった緑の芽が出るのは1月か2月か解りませんが、お蔭様で来年も春には狭い花壇にあふれるようにチューリップが咲いてくれるだろうと楽しみにして待つことになります。

球根を植えるのには腰を屈めるので、今日は夕食のころから腰骨が痛い痛いです。これからゆっくり寝むことにします。

農林水産物輸出1兆円突破

2021年12月17日 16時08分07秒 | 文化社会
食糧自給率が50%を切る日本ですが、それとは裏腹に、食料品などの輸出額が、今年、1兆円を超えることになったようです。

輸出の伸び方も急速で9年前2012年には4500億円ほどでしたから、10年を経ずして9年倍増というスピードです。
日本の食品の味の良さが、世界的に認められ、人気に火が付いたというところでしょか。

コロナで中断しているインバウンド、訪日外国人の数も、増え始めると急増という状態でしたが、いろいろな意味で日本という国の良さが世界で認識されて来ているのは大変結構なことだと思います。

恐らくは日本食が世界の無形文化遺産になったことも関係があると思いますが、グルメとは縁遠い私でも、最近日本の食べ物は美味しくなったと実感します。
インスタントラーメンから寿司まで、一足先に世界に広まったものも沢山なりますが、いよいよ日本の「味」が世界に広がるようです。

何が違うのかと考えてみますと、日本人の舌というのは、特別に繊細に出来ているような気がするのですがどうでしょうか。
日本には「山海の珍味」という言葉がありますが、これは縄文時代から海の幸、山の幸を味わい尽くしてきた日本人ならではのものかもしれません。

最近輸出が伸びている品目には、養殖の貝類(ホタテなど)、和牛、メロンや柑橘、それにウィスキー、日本酒などのアルコール飲料などが並んでいますが、牛肉やウィスキーは欧米の特産品のはずで、かつては、舶来のウィスキーや牛肉が日本で珍重されていたものです。

ところが、味で勝負という事になりますと、値段は高くても和牛が人気になり、日本人も知らない埼玉県のウィスキーが、世界の金賞に輝き、品不足に陥るといったことになるようです。
日本人特有の味覚、舌の性能に感謝しなければいけないのかもしれません。

勿論これは味覚の世界だけではありません。食料については輸入ばっかりと思っていた日本の農林水産業の、新たな発展、世界を相手にした発展の可能性を大きく開いていくことにつながるのです。

10頭単位の日本の飼育規模でアメリカの何千頭規模の農場の牛に敵う筈がないという規模基準の考え方は「味」という要素の前では崩れ去るのです。

考えてみれば、マグロもウナギも、日本人の味覚が発見開発し今や世界中の食欲に迎えられ乱獲の憂き目にあっています。
日本人が腕によりをかけた旨味絶佳の食品は、ますます世界に広がっていくのではないかと思うところです。

長い眼、広い視野で見れば、これは日本の伝統文化である「常に自然を大切にし、自然を育て、自然からの恩恵を享受する」という日本人の生き方から生まれたものと考えられます。

食べるものも基本的には量より質、人体機能のバランスを重視、肥満を避け、健康な生活をする。これは究極的にエコであり、SDGsにつながるものではないかと考えられるものではないでしょうか。

農林水産物輸出1兆円突破は小さいニュースかもしれませんが、考え方によっては、日本の未来を大きく開く何かを含んでいるように思われるところです。

建設受注統計問題(前回)の補遺

2021年12月16日 20時01分58秒 | 政治
今日の参議院の討議でも、建設受注統計の不祥事問題が論じられ、その中でも「二重集計」による受注額の水増し問題が指摘されていました。

担当大臣や国交省の担当者の説明があまりに不十分なので、どんな問題があるのか具体的に調べてみました。

結果は、何か意図的に「鉛筆を舐めて」受注額を増やすようなことになっていることが解りました。

前回書きましたが、事業者が報告をサボっていて「何カ月か纏めて届けた場合」に問題は発生します。
この統計は「月報」ですから提出が遅れると速報の発表などには当然間に合いませんから、その分は受注がなかった事になり、その月の受注統計の額が少なくなります。

後から、前の月の記入票(事業者が記入した「原票」)が届いても、既に発表した統計に後から足すわけにはいきません。
そこで、そうした欠落分の補正するために、届かなかった事業者の分は届いた原票の数字の平均(架空の推計値)を本省で書き込むというルールを作っていたのだそうです。

そこに後から何カ月も以前からの原票が纏めて届いても扱いに困るので、「何故か」纏めて届いた何カ月の分は纏めて、届いた月の受注という事にして「原票」を消しゴムと鉛筆で書き直して本省に送れという事にしたという事です。

これですでに間に合わせで入れておいた「架空の推計値」は、まさに「二重計上」という事になります。

また、地方の担当者が消しゴムで消したブランクの原票にも、届け出た月の「平均の推計値」を書き込んだという説明も(マスコミによっては)あって、これはまた三重計上になるわけで、かなり不適切なことが行われていたようです。

ネットで調査票を見ますと、大変丁寧に記入方法の説明もあり、提出期限は翌月10日、期限での提出をお願いしますと書いてあります。
提出の覚書欄として、4月から翌年3月までのチェックが出来る表までついています。
それでも半年分纏めてなどというケースもあるそうです。

不祥事発生の原因は基本的には、そこにあるのでしょう。業者みんなが翌月10日の提出期限を守れば何も起きないのです。

何故提出が遅れるのかという根本問題は、国会でも何の議論もないようです。国交省の調査ガイドでは「電子データによる回答の説明もありますが、どのくらい使われているのでしょうか。

ただ、気になるのは、改竄が、数字が多くなるように、多くなるようにと考えられていることです。
毎月勤労統計の場合もそうですが、賃金が増えるのがいいとの判断でしょうか、取扱い錯誤の訂正を黙ってやっています。毎 勤統計の賃金水準が急に上がって驚きました。

当時政府がGDP増加を熱望したり、賃上げ奨励をしたりでしたので、お役所がそれを忖度して不合理な辻褄合わせをしたのでしょうかなどと下司の勘繰りもしたくなります。

いずれにしても困った事で、統計調査の原票は、大切に保管して、何かあった時の決定的な証拠資料と考えるべきものです。書き換えれば「真実が消える」のです
それを書き換えてしまうなど、統計に関わるものの最大の恥であり汚点でしょう。
この所は官僚のあるべき姿、その使命の自覚に関わる問題です。

もう1つは、不祥事の根本原因については議論もなく、時代遅れの法律や政策の結果に困った挙句の姑息な官僚の粗末な対応ばかりを糾弾したり、責任回避に汲々として答弁を繰り返すといった選良の方々の姿を見るのも、何か情けなさを感じるところです。

日本の官庁統計は大丈夫か

2021年12月15日 15時50分29秒 | 政治
残念なことですがまた官庁統計で不祥事が明らかになりました。
国土交通省が主管する「建設工事受注動態統計」です。先に問題になった厚生労働省の「毎月勤労統計」も「基幹統計」、今回の「建設工事受注動態統計)も基幹統計で統計法により、違反すれば罰則があるという重要な統計です。

全国の建設事業者を母集団にしたサンプリング調査ですが、毎月調査なので、多分毎月調査票に記入して提出というのが手間なのでしょう、きちんと調査票が返ってこないというのが問題の原点のようです。

デジタル化すれば問題ないのでしょうが、「必ず鉛筆またはシャーペン」で「調査票に記入する」のが大変なので、ついつい遅れて、2、3か月溜めたりということになることもあるのでしょう。

マスコミによれば、そういう時は受け付けた地方自治体の担当者が、その分は、提出した月の受注として書き換え、前の1、2か月の分の調査票の受注は消ゴムで消してゼロにするようにという本章からの指示が出ていたとのことです。

結局、毎月統計が発表されていても月次の数字の動きは宛にならないことになるわけです。「提出が遅れたが毎月の正確な数字を書いた事業者のデータ」は無視され、月々の統計数字は提出月の受注となり、月次統計は実体を示さない無意味なものになります。

それでも、年統計の場合は、1年の合計ですからまあ何とか実態に近いものになるでしょうが、もう1つ大変奇妙な事があります。

それは、全国から上がってきたデータを纏める国交省では、調査票に回答しない事業者の分をゼロではなく、回答しないが受注はあったはずだという仮定で、「毎月回答してきた事業者の受注額の平均を推定値として計上する」というルールにしていたというのです。

これでどういう事が起きるかと考えれば、先ず、毎月の統計は纏め報告の月は膨らむので月々の変動は不正確なものだということになります。

そして回答のない事業者については、その月の平均の受注額があったと仮定しますから、回答の無い事業者の分は統計上説明できない誤差が出ることになります。無回答は中小に多いでしょうから、平均は上振れか?)

若し、纏め提出した事業者の、消ゴムで消した数字がゼロでなくて、回答がなかったといった事になっていると二重集計の可能性も出てきます。

統計は沢山ありますが、基幹統計は特に重要です。日本全体を表す「国民経済計算」は多くの基幹統計の集大成として作られるものです。誤ったものを積み上げれば誤った日本の姿が出来上がります。それを判断材料に政策を打てば効果には狂いが出ます。

正確な調査、正確な報告、正確な集計、正確なシステム設計、全てが揃わなければならないのですが、統計不祥事の起きるのは調査、報告、集計といった手間のかかる部分のようです。

折りしもデジタル庁が出来ました、「集計用紙に鉛筆かシャーペンで」、「消しゴムで消せるように」などと言っている時代ではないようです。
今後の国会論議に期待します。

2021年12月「日銀短観」:企業活動回復へ

2021年12月14日 13時57分50秒 | 経済
昨日12月現在の「日銀短期経済観測」が発表になりました。
コロナの新規感染者数が、小康状態を続けていることが主因でしょう、経済の動きは比較的順調で、前回3か月前の9月調査の製造業の大幅回復(12月はDIは18で横ばい)に続いて、今回は非製造業も回復のペース(DIで7ポイントの改善)に乗ってきました。

こうした状況はまず大企業で顕著ですが、今回の調査では中堅企業中小企業でも、企業環境がかなり改善し、企業の元気度も上がって来ている様子が見えています。

大企業では製造業のDIが前回の大幅改善後、引き続いてその水準を維持(DI18→18)していますし、ずっとさえなかった非製造業も順調な回復(DIは2→9) を示しています。

中堅企業、中小企業はも似たような動きで製造業では中堅企業は横ばい(DI6→6)ですが中小企業ではDIはマイナスながら改善(-3→-1)です。

非製造業でも中堅企業のDIが改善(-6→+1)していますし、特筆すべきはマイナス続きの中小企業も、DIは改善(-10→-4)していることはマイナスながら大幅改善といえそうです。

残念ながら、非製造業の中でもコロナ禍の影響が最も深刻な「宿泊・飲食サービス」のDIは大幅マイナスが続いていますが、それでも、DIの数字は、大企業-74→-50、中堅企業-76→-51、中小企業-70→-36で、中小企業の大幅改善が目立ちます。

毎月定点観測している個人消費支出、平均消費性向の動向もコロナ次第、更には企業の景況も同じくコロナ次第、結果的に四半期GDP速報のコロナ次第、というのが日本経済の現状です。

最近、製造業関係では、輸入資源価格の上昇が問題になっていますが、これは世界各国に同じ水準の影響があるわけで、世界中同じなので、日本だけ特に心配することはないのですが、コロナは、その点、国や地域の対策のやり方如何で、それぞれに大きく差が出るようです。

一昨日のNHKの日曜討論で、コロナ対策と経済対策が背反か共通かといった問題が出ていましたが、現状では、コロナ対策が最大の経済対策だという事がこのあたりから解るのではないでしょうか。

先行き、オミクロン変異株の心配で、今回の日銀短観でも3カ月後の予想のDIは一様に下がっていますが、日本で言えば、新規感染者の情況がこのまま減少傾向を持続できれば、次回の日銀短観でも、DIの改善は進むのではないでしょうか。

日本経済の先行きは、まさにコロナ対策の成否にかかっているようですから、給付金のバラマキだけではなく、この辺りを、国会でも、もっともっと真剣に議論してほしいものです。

最近気になる政治家の言葉2つ

2021年12月12日 12時01分58秒 | 政治
岸田政権が具体的な政策につての議論に、いろいろな場で入ってくる時期になりました。総理をはじめ自民党幹事長などが要所で発言している中で、何か聞いていて違和感のある、気になる言葉がこれまでに2つありました。

一つは「国益」という言葉です。もう一つは「私が決めます」という言葉です。
「国益」という言葉は、国際問題、国際関係などについて、種々の状況や考え方を説明したうえで、最終的には「国益」を考慮して決めていきたい、といった言い方になっているようです。

「私が決めます」という言葉は、矢張り議論が多く、いろいろな意見があることを説明しながら、決める立場にあるのは自分だから「私が決めます」という発言になるようです。

なぜこの2つの言葉に違和感を感じ、聞いた途端に気になってしまうという理由ですが、
原点はトランプさんにあるような気がしています。

トランプさんの人気の秘密は、「世界中がアメリカを利用し、アメリカは損ばかりしている。私としてはアメリカの国益が第1だ、だから『アメリカファースト』だ」と言って、多くの不満を持つアメリカ人(プアー・ホワイトなど)の被害者意識に訴えた事にあると言われます。

しかし、世界の人達は、「覇権国を持って任ずるアメリカが、自分の利益だけ考えるのでいいのか」と思い、また発言し、現実にアメリカのその後の行動は、多く世界中に混乱を齎すものでした。
それでもまだアメリカではトランプ支持が結構あるようですが、日本人はもう少しまともでしょう。

多くの日本人は、本当の国益は、世界各国、地球人類の共存共栄の中にあると理解しているのではないでしょうか。
そうであってみれば、日本という国のリーダーである人たちが「国益」を判断基準にすると公の場(マスコミなど)で発言することに違和感を持っても当然と思うのです。

日本に理解のある外国人でも、日本のリーダーから「国益」という言葉を聞けば、「ああそうか、やっぱり日本も国益中心の考え方になったのか」と受け取り、もしかしたらトランプさんを連想するかもしれません。

「私が決めます」という言葉は、安倍さんの「決める政治」というスローガンから始まったのでしょうか。
総理大臣になれば、確かに最終決定権者かもしれませんが、日本には「衆に諮る」という素晴らしい伝統文化があります。
聖徳太子の17条の憲法の「第17条」には「夫れ事は一人にて決めるべからず」と書いていあります。  

大体民主主義というのは多数決が基本です。最近、独裁色を強めてきた習近平さんも、「民主主義と言っても選挙の時だけで、選挙で勝てば、後は何でも出来るのが民主主義国だ」などと民主主義サミットを批判しましたが、トランプさんや安倍さんの事を知っていて言っているのでしょう。(中国はアメリカ、日本を確り見ています)

たしか、朝日新聞の「かたえくぼ」に
「私が決めます」/「『私』が決めるから心配だ」
というのがあったかと思いますが、思い出すのは、前総理の菅さんの「私が決めました」で、未だ問題が解決しない学術会議委員の任命問題が思い出されます。

未だいろいろなことがあるのかもしれませんが、一国のリーダーの方がたには、国民の気になるような言葉は使わないで頂きたいと思う所です。