tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

IMF経済成長率予測上方修正、日本は?

2024年01月31日 14時12分42秒 | 経済

IMF(国際通貨基金)は世界各国の液剤成長見通しの2024年1月版を発表しました。それによりますと2024年の経済成長率の見通しは昨年と同じ3.1%で、新興国・途上国の平均は4.1%で前年と変わらず、先進国平均は1.5%で昨年の1.6%より0.1ポイント下がりますが、昨年10月より0.2ポイント高く、2025年にかけて上向くという予測のようです。

以下先進主要国についての様子を見てみたいと思います。先進主要国はアメリカ、EUを中心に急激なインフレに見舞われ、その抑制のための中央銀行の政策金利の引き上げで、インフレ抑制には成功しても、経済を冷やし成長率は下げるとみてていました。

今回のIMFの見方は、金利の急上昇でインフレ抑制が早期に成功したため、経済のハードランディングが避けられ、実体経済への損傷が少なく得済む可能性が高く、昨年10月時点の見通しより改善しているという事のようです。(2025年は1.8%と上昇の見通し)

国別に見てみますと、下の図の通りで、アメリカ経済の強さが目立ちます。アメリカもユーロ圏も中央銀行が金利引き下げには、中々動けないようですが、リーダー格のアメリカのFRBが今日までのFOMCでどんな結論を出すかが注目されるところです。

    IMFの実質経済成長率の見通し(2024年1月、単位%)

             資料:IMF「2024年1月予測」

比較的順調なのはカナダでフランス、イギリスもインフレ対応の金融引締めが効いたようです。ドイツは極端な不振で、昨年はマイナス成長、今年も0.5%の低成長です。これはロシアとのエネルギー関係の不調で、国内エネルギー価格が異常に値上がりしていることが大きいようです。

余計なことを付け加えますと同じIMFの調査で、2023年のGDPで日本はドイツに抜かれ、世界4位に転落というのは、実体経済より円安の影響が甚大ということが解るのではないでしょうか。

日本の場合は23年度が1.9%と高く24年度が0.9%と下がっています。政府経済見通しでは23年度1.6%、24年度1.3%ですが、これはIMFは暦年、政府見通しは年度という事もありますが、昨年は円安、今年は多分円高という円レートの動きによる違いが出るはず(IMF統計はドル建て)ですから違って当然です(IMF予想は低過ぎ?)。

もしアメリカが利下げ、日本がゼロ金利脱出となれば多分円高が進むでしょうからドル建ての成長率は上がります。

こうした実体経済と関係ない事で国際比較は影響を受けますから、成長率は、先ず円建てで着実に成長する事が基本でしょう。

その意味では、今年は春闘の賃上げ率も高くなり、消費支出も伸びて経済成長が順調と期待されますから、政府経済見通しの前年度以下の見込みは情けない事で、何とか政府見通しを上回る成長率を達成したい感じです。

頑張れば、ドル建てのランキングも後からついてくるのではないでしょうか。


リュウキンカ(立金花)今年は早かった

2024年01月30日 14時21分20秒 | 環境

先日、今年は特に元気な日本水仙の写真をご紹介しましたが、春の花で、我が家の狭い庭で春真っ先に咲くのはリュウキンカです。もう10年以上も前になりましょうか、家内が友達から分けてもらって植えたのですが、この花の特徴は春の開花が早いのと、良く増えることです。特にこの数年は、リュウキンカが「狭いながらも楽しい我が家」と思ったのでしょうか、あちこちに広がって特にチューリップの花壇は昨年一面のリュウキンカで、チューリップと妍を競う状態でした。

今年の最初の1輪は1月19日でした。今まで最も早かった一昨年が1月31日、昨年が2月1日だったので、温暖化のせいでしょうか新記録の速さです。その日も写真は撮ったのですが、上手く撮れなかったので、載せませんでした。今日になって、記録しておこうと思い直したところです。

東側、玄関の脇の窓の下に飛び飛びに4輪咲いてしていました。まだ華やかさはありません。

うちの2輪をアップにしてみました。

大方の花は花弁は8弁ですが、9弁の花が最もスッキリ咲いていました。腕のせいか、光線のせいか、カメラのせいか、明るく濃い黄色がどうしても少し褪せた色になってしまうのが残念です。


日本経済の動向と株価の2筋道

2024年01月29日 15時17分42秒 | 経済

昨年来日本の株価は大きく上昇して来ました。政府は、国民の資産形成は「貯蓄から投資へ」という事で2000兆円を越える貯蓄を、NISAなどで誘導して株投資に向け、日経平均を上げ、株価の上昇で資産形成を加速しようという考えのようです。

とはいえ、国民の個人貯蓄の半分は政府が国債発行で借りて使ってしまっていますから、その部分は使えないという事でしょう。

それにしても貯蓄額は膨大ですから、年初から株価が上がったのもNISA枠拡大のせいだなどという見方もあるようです。

以前から、貯蓄から投資へと言って、株投資を奨励して、人びとがその気になるのは株が高い時で、結果はピークの時に買って、下がって損する事が多いなどと言われます。

最近も、株価急上昇で、家内が株で1億円貯めたとか、日経平均はバブル時のピーク38000円を越えて40000円に行くという声もあるようですが、これからはどうでしょう。

株価の動向には大きく2筋の道があるようです。1つは実態経済が好調で、経済成長率も高く、企業収益も増益が期待される時で、これは、健全な株価上昇でそう。

もう一つは、マネー経済の事情で、実体経済とはあまり関係なく、主要国の金融政策や国際投機資本の動きなどで株価が変動する場合で、この場合はバブルやその崩壊も起きます。

勿論この2つの要因は、絡み合っていますから、判断は容易ではないでしょう。しかしそれぞれの要因について気づいていれば、それなりの役に立つのではないかとも思います。

という事で、問題は今の日本の急激な株価上昇について見てみますと、ネットでは家内が株で1億円貯めたとか、日経平均はバブル期の38000円を越えて40000円はいくといった話が飛び交う所は、すでにバブルの雰囲気もあるようです。

この所の株価上昇の大きな要因は、円安で、主要輸出企業の利益の急増、インバウンドの急増など、アメリカの金融政策(金利上昇)によるものもあります。これは現実に利益やインバウンドで売り上げ急増とかいう企業業績好転の結果です。

とはいえ、その原因はアメリカの金利引上げによる円安効果が大きいので、国際投機筋も、FRBの動き、日銀の動き、つまり日米金利差の動向につては極めて敏感、この所の株価の上下動はその反映ですから、実体経済の動きの反映とは言えないでしょう。

今年1年間ぐらいを見れば、日米金利差は縮小するでしょうから、円高になり、株価には下押し材料と見るのが当然でしょう。マネー経済面からは株価は下降予想です。

では上昇要因はと言いますと、今春闘の様相からすれば、賃上げ率は多少高まり、物価は低下傾向ですから、実質賃金はマイナスからプラスに転じ、家計には少し明るさが見え、それが消費需要拡大につながって経済成長が上向き(政府経済見通しは令和6年度の実質経済成長率は前年度の1.6%から1.3%に低下するとのことですが)、日本経済新時代へ一歩踏み出すといった実質経済の回復期待でしょう。

マネー要因は短期的視点のもの、実体経済要因は長期的視点です。さらに、アメリカは自国の都合で今後金利を下げ、日銀は「バブル→崩壊」は避けようとするでしょう。


「成長と分配」か「分配と成長」か?

2024年01月27日 15時01分01秒 | 経済

前回、国際収支の「第一次所得収支」(海外からの利子配当所得)は、海外進出した企業が海外で人件費を払った後の利益の配分だから、日本の従業員の人件費にそれを分配する必要はない、との考え方もあると書きました。

 この問題はかなり基本的な問題で、代表的には労使、つまり労働と資本の分配の最重要テーマになるところです。

何を分配するのかは、このブログの基本テーマである「付加価値」です。日本経済でいえばGDPあるいは国民総所得(GNI)です。

付加価値は人間(労働)が資本を使って生産活動を行って生み出したものですから、当然人件費(賃金)と資本費に分配されます。賃金は社長以下の人間(労働)に分配され、その生活を支えるだけでなく人間の知識や知的活動の高度化に活用されます。資本費は利益(配当や内部留保)や金利(借入資本に帰属)になって、企業成長のための設備投資やより高度な設備の開発の原資になります。

そして人間サイドの「知識や知的活動の高度化」と資本サイドの「設備やその開発資金」が組み合わされてイノベーションが起き、経済成長、社会の進歩・発展が起きるわけです。

 

ですから付加価値の分配では、国民経済、ひいては人類社会の「進歩・発展」が起きやすくなるような比率(人件費/付加価値=労働分配率)が望ましいことになります。

経済学的には、この進歩・発展は「経済成長率」で計測されます。

という事で、本来「付加価値の分配」は、将来がより良くないように分配するという事になるのでしょう。

しかし、分配論の歴史を見れば、「貢献度に従って分配する」という考え方が主流でした。蒸気機関が出来たから、輸送や生産の効率が大きく上り付加価値が増えた、これは蒸気機関のお蔭だから付加価値の増加分は資本家の利益になるべきだ。人間の仕事は楽になったから人件費は増やす必要はないといった経験などがそうさせたのかもしれません。

しかし世の中にはエッセンシャルワーカー、介護や教育などの対個人サービス、社会システムの維持などの仕事に従事する人が必要です。物理的な貢献度(仕事の内容)は昔とあまり変わりません。では賃金は上がらなくてよいのかというと、矢張り社会全体の経済水準の向上に従って上げなければならないでしょう。これは政治家や公務員も同様です。している仕事は同じでも先進国では報酬・賃金は高いのです。

典型的なのは家庭です。家計への貢献度は親が殆どですが、配分はより多く子供にために分配されます。

 

付加価値の分配というのは、貢献度への考慮と同時に、家庭から国まで、その人間集団の目的(経済成長や社会の安定)に沿って考えられなければならないのです。

この10年来、日本の分配は資本に偏り労働への分配が不十分でしたその結果、「自家製デフレになり」経営者サイド迄が「賃上げが大事」という事になりました。「成長と分配」ではなくて「分配と成長」、分配の適正化による成長の促進が必要だったのです。

仮令、海外投資の利子配当による収入でも、日本国の所得になれば、見本国の将来のために出来るだけ役立つように分配し活用しなければならないのです。

付加価値の分配の問題は、かように組織の命運に影響します。企業では経営者が、国では為政者が、それぞれ労使交渉や税制・社会保障で、それぞれに目的に照らして適正な付加価値の分配に責任を持つ立場にあるのです。


日本の国際収支の状況の示唆するもの

2024年01月26日 15時21分06秒 | 経済

労使が共に賃金を上げましょうという、世界にも稀な労使交渉をしている今春闘です。その春闘が、3月中旬の集中回答に向けて始まったばかりですが、マスコミでは、連合の要求をかなり上回るような賃上げをする・している企業の例が続々と紹介されえています。

従業員の事を考えてくれる良い企業という事になるわけですが、それだけ収益が出ていたと考えると、この所の企業収益の高さと賃上げ率の低さが、経営者サイドにも解っていたという事にもなります。矢張りここで労使配分の是正が必要なのでしょう。

前回賃金の上げ過ぎかどうかは、国際収支の状況で判断出来ると書きましたが、そのアタリが今の日本ではどうなのかという点を今回は見ておきたいと思います。

財務省の「国際収支統計」で明らかですが、考え方は基本的には、家計も財政も国際収支も同じで、月々、年々の収支、つまり「経常収支」が「赤字に続き」になったら、要注意という事です。

経常収支の項目は、貿易収支、サービス収支、第一次所得収支、第二次所得収支です。貿易収支は「輸出-輸入」、サービス収支は特許、映画や興業などのロイヤルティーの収支、第一次所得収支は、海外進出企業の利子配当などの収支、第二次は海外援助などです。

下の図は、経常収支とその主要な構成要素の貿易収支と第一次所得収支を並べてみたものです。(サービス収支はいつも多少のマイナス、第二次所得収支はマイナスのみです)

     経常収支、貿易収支、第一次所得収支の推移(単位:兆円)

                 資料:財務省「国際収支統計」

先ず、経常収支(青)を見て頂きますと、リーマンショック前の2007年から2022年までずっと黒字です。日本は万年黒字と言われる所以です。2012年~14年は黒字幅が小さくなっていますが、これは貿易収支の赤字が大きかったせいで、その後は年20兆円(GDPの4%程度)ほどで安定です。2022年の黒字が減ったのも貿易収支の赤字のせいで、23年もその傾向は続きそうです。

次に貿易収支(茶色)で、これは日本製品の国際競争力の強さを示しますが、殆どの年は黒字です。2012年~14年と2022~23年は赤字ですが、この2つの時期は原油価格の上昇と急激な円安が重なった時期です。昨年の貿易収支は先日発表になったばかりですが、今年には黒字転換かという解説もついていました。

こうした長期の推移から見れば、日本の貿易収支は黒字基調と言えるでしょう。

3番目の第一次所得収支(緑)は、ほぼ一貫して増加傾向で、この所の増加は急ピッチです。理由ははっきりしていて、アベノミクス以来円安になりましたが、円建ての収益の向上と異次元金融緩和で、資金が豊富になり、成長しない国内より海外投資を指向する企業が増え、海外投資の成功に円安も重なり海外からの利子配当の収入が拡大したことによります。

企業が国内投資より海外投資を進めた結果、国内の事業は伸びず、GDPも伸びず、その分第一次所得収支が増えたという事でしょう。

第一次所得収支は、海外で人件費を支払った後の利益の分配ですから、国内でまた人件費に配分する必要はない、という理解で賃上げの原資にはしないという考え方もあったようです。

利益が増えても賃金は上がらなかったという現実の背後には、そんな考え方もあったのかもしれません。(この考え方の適否は、また別に論じたいと思います)

いずれにしても、万年赤字のアメリカと反対に万年黒字の日本ですから、多少賃金コストが上がったからと言って、みんなが真面目に働けば、国際収支の天井にぶつかるような事は今の段階では心配なさそうです。


問題の「人件費・原材料費の価格転嫁」とは?

2024年01月25日 15時45分22秒 | 経済

昨日今日、経団連の「労使フォーラム」です、マスコミは「春闘のキック・オフ」と言っていまいます。

今年は、労使が共に賃上げの必要で一致していて、連合は5%以上、経団連は昨年以上と言い、十倉会長は「働き手への還元は経営者の責務」と言っています。こんな発言はかつての日本的経営理念全盛時代を彷彿させます。

加えて特に中小企業の賃上げや非正規の賃上げの必要性についての議論が盛んになっています。特に中小企業の大多数を擁する日商の小林会頭は、中小企業にとって、人件費・原材料費の価格転嫁は不可欠と言っています。

今回は、この人件費などのコストの価格転嫁について整理したいと思います。輸入原材料の価格が上がったから納入価格が上がりましたというのは通り易いのですが、「従業員の賃金が上がったので」というと「君のところの賃金上昇分をウチに払えと言うのか」などと言われえそうで・・・、ということになりそうですが、親会社はそう言ってはいけない、「解った、その分の価格引き上げは認めよう」と言いなさいという事です。

それだけではありません。今の話が3次下請けと二次下請けの間の事だとしますと、その二次下請けは1次下請けのところへ行って、「うちも賃上げをしてコストが上がりました。うちの下請けも賃上げをしてコストが上がったので、それは見てやりました。その分は材料費に含まれています。それにプラスしてウチの賃上げ分がこれだけです。原料費の上昇とウチの賃上げ分の両方を見て頂くことになりますが宜しく」となります。

第一次下請けは親会社の所に行って、同じような説明を3段階分することになります。図式的に言えばこうなるわけです。

という事で経団連や日商が言うように、大企業(親会社)が率先して値上げを認めないと中小は価格転嫁が出来ないから、大企業が率先して理解する事が大事となるわけです。

こうして結局日本の物価水準が上がります。しかし「今の日本」ではそれでいいのです。理由は、これまで日本の中小企業は、人件費が上がっても価格転嫁が難しく、結局賃上げを抑えて価格を抑えてきました。それが長く続き、その上に、円安になって、日本は世界でも物価の安いという事になりました。当然賃金も割安の国になっているのです。

お陰で企業の利益は結構増えてきました。今、経団連や日商が「企業としても賃上げが必要」といっているのは賃金レベルが低くなり過ぎて消費者が節約志向で消費が伸びない。それでは企業も困る、という状態になっているからです。

そうした中で積極的な賃上げをすれば、国内の消費需要も増えて、デフレ脱出、経済成長に貢献し、国際的には多少物価が高くなっても、競争力は十分確保できるという、企業も消費者(従業員)ともに喜ぶという事になるのです。

勿論、こんな状態は国際的にも極めて稀なものですから、いつまでもこんな事は出来ません。賃金が上がれば物価が上がって国際競争力が落ちるから賃上げは程ほどにというのが何処の国でも当たり前の状態です。

元はと言えば、円高で徹底して賃金を抑えた時代が長く、それが習慣の様になって、円安になっても賃金を上げなかったことが大きな原因なのです。

ですから、当面、春闘では大手を振って賃金を引き上げましょう。そして、賃金水準が国際的に見て「まともな水準(注)」になったら、それからは、生産性が上がった分に添った賃上げにするという、経済状況への柔軟な応が、本当は一番重要なのです。

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(注)この判定はかなり難しいものです。多分経営者が、賃上げを奨励しなくなる事で解るでしょう。客観的判定は、国際収支のバランスで決まるのです。


日銀の目指す方向が次第に明らかに

2024年01月23日 16時41分01秒 | 経済

昨日の植田日銀総裁の記者会見のニュースから、これから日銀が進めようとしている金融政策の方向が次第に見えてきたような気がします。

前任の黒田総裁が10年の在任期間中「異次元金融緩和」一本で過ごした事に政府が不満ぞくといった雰囲気がある中での登場となった植田総裁です。しかしその後もゼロマイナス金利政策は変わらずでした。

ゼロ金利という非常時対応の政策をいつまでも続けることは不可能ですから、いつかはゼロマイナス金利脱出、いわゆる出口政策に踏み切ることになるはずです。

それが遅れに遅れているのは、日銀のせいではなく、政府の財政政策を含めた経済政策が、見当違いだったからでしょう。

金融政策はあくまで経済活動の潤滑油のようなもので、油が切れれば機械は動きませんが、油をさしたからといって、機械がその性能以上に動くわけではありません。

日本経済は、余り上手くない経済政策の下でしたから油をさしても、この程度だったということでしょう。

溢れた油が実体経済に行かず、株価を上昇させるといった副作用もあって、一見経済が良くなったような感じを齎したりしていますが、その評価は今後されるでしょう。

政府の経済運営の下で、企業や労組、消費者つまり民間サイドが、政府が掲げる「決める政治」の裏まで見てしまい、「民間がやるしかない」となったのが昨今の状況でしょう。

民間が本気になることは大変結構なことで、経団連まで賃上げをしよう(分配構造を変えよう)と言い出すのは労使関係上はじめてでしょう。植田総裁もそれを見て、いよいよ日銀も動く時期だなと感じたと思います。

こうした場合2つの選択肢があります。1つは、多少無理があっても急ぐべきだという道、2つは、世の中良い方向へ動くなら、なるべくその動きに乗って、一歩一歩着実に、出来るだけ波乱を避けてという道です。

植田総裁は後者を選んでいるようです。物価は今年春には長年の懸案の2%台に下がりそうだ、実質賃金もプラス転換する可能性が出て来た、国民の消費意欲も改善の可能性もある、政府も少しは反省するだろう、日本経済の回復への明かりが見えれば、ゼロマイナス金利の必要もななくなる、民間中心の自然な動きをよく見て、政策を打とう・・・。

出口政策を急いで、円高にしたり株価を下げても民間のやる気にマイナスになるだけではないか。急いては事をし損じる・・・。

勿論これは憶測です。

植田総裁は着実派のようです。岸田さんは「成長と分配の好循環」と言いますが意味ははっきりしません。植田さんは「賃金と物価の好循環」、具体的ですし、今春闘等に直結です。そして「それが実現する確度は少しずつ高まっている」といった慎重な物言い、更には、中小企業の賃上げの重要性に確りと言及している点、「3月の次回会合までにはデータや情報がもう少しはっきりする」という実態の動き重視の姿勢です。

これを4月には出口政策に動くと読んでいるマスコミもありますが、日銀の行動は現実の実体経済活動の動き次第でしょう。

国会が始まりましたが、国会のゴタゴタが、こうした民間経済の流れを邪魔しないように願いたいものです。

   


2023年12月全国消費者物価も沈静傾向

2024年01月23日 10時24分19秒 | 経済

1月の10日に全国消費者物価指数の先行指標と言える東京都区部の消費者物価統計で、消費者物価の沈静傾向を確認しました。

アベノミクス以降、消費不況の中で値上げできなかった生活必需品部門の遅れた値上げがコロナ明けで波状的な一斉に上げの波となり、自家製デフレの中で異常な値上げが続きましたが、その値上げも一巡、これで不況下の物価上昇という異常事態、結果の20カ月連続の実質賃金の前年比低下も終息の時期に向かうかという重要な転換点を出来るだけ早く確認したかったからです。

結果は予想通りのなりましたが、先日19日には全国の統計も発表になり、基本的の同様な方向が確認されました。紹介が少し遅れましたが、折角例月続けてきた消費者物価の動きのグラフを、矢張り載せておくべきと思い、、説明は繰り返しませんが。沈静傾向がはっきりのグラフを載せることにしました。

    消費者物価3指数の動き(総務省統計局「消費者物価指数」)

 

    消費者物価3指数の対前年上昇率(出所同じ)

どちらのグラフでも、緑の線の「生鮮とエネルギーを除く総合」いわゆるコアコア指数、過去2年近くの実質賃金押し下げの主因の沈静傾向が明らかになってきました。

今後の消費者物価の上昇は、人件費(賃金)上昇の価格転嫁が主因となるでしょう。しかしその影響は、便乗値上げが無ければ、人件費上昇率の半分強のはずですから、実質賃金低下にはならないはずです。

その他国内物価に影響を与えるのは、国際資源価格の変化と円レートの変化です。国際資源価格は日本の力ではどうにもなりませんが、円レートの方は、政府・日銀の努力で上手に対応してくれるよう願いたいところです。


「令和の改革」が必要になって来た

2024年01月22日 16時42分56秒 | 文化社会

昔の日本でしたら、今年劈頭の能登の災害は「天が怒っている」と考えたでしょう。沖縄の辺野古では県民の意思を無視して粛々・着々と進む軟弱地盤補強工事、能登では現地の人達は天を仰ぎつつ天災の不運に耐える辛苦の毎日です。

今の日本では、こうした極端に鮮烈な対比が「天の意思」と考えなくてもよいのかもしれません。こうした今の科学では「偶然」として見過ごすような自然現象を、かつってのにほんでは「天の意思」と受け取り自らを省みる文化がありました。

そしてそれが、権力者の行き過ぎた権力の乱用を許さないという権力者への自戒の圧力、更には優れた社会的な意識や行動に繋がっていたことは、人間の知恵の深さを感じさせるものではないでしょうか。

「小人玉を抱いて罪あり。」選良の先生方を小人と例えては恐縮です。これは諺です。「権力は腐敗する。」という諺は洋の東西を問いません。

罪や腐敗を防ぎ、新しい人々が新しい思いで国造りに励むことの繰り返しが進歩発展を生むのでしょう。徳川260年の歴史なかでも3回の改革が行われています。

技術革新のない時代、今でいえばGDPは増えません。権力が無駄をすれば幕府の財政は保ちません。「倹約令と新田開発」の享保の改革(1716)、「不作・凶作に備え備蓄」を図った寛政の改革(1787)、「インフレ対応」の天保の改革(1841)です。

こうした改革があって、260年に及ぶ幕府の存続に貢献したという事でしょう。天保の改革はマネー経済の発達と貨幣発行のバランスの問題の理解不足が社会の混乱につながり、外国船の来訪もあって幕末に突入、国際情勢の変化に幕藩政治が対応できず明治維新という大改革になったのでしょう。

つまり、国という社会は、統治者を必要とするのですが、統治者は、「権力は腐敗する」の原理や、時代の変化に対応できず、改革が必要となり、改革が成功して社会が安定し進歩するというサイクルを繰り返しているのです。

戦後の日本を見れば、戦後の政財界を背負ったのは40代ぐらいの若い人たちでした。この清新の気迫が、抑圧された軍国主義から新たな平和と民主主義の社会をめざす、国民の真摯な努力に支えられて高度成長の実現につながったのでしょう。

しかしこの間権力を維持した自民党政権は、長期化と共に驕り高ぶり、1985年のプラザ合意による円高の本質の理解も怠り、その後は政権維持が目的という時代に入ってしまったようです。

この傾向は安倍政権以来急激に高まり、マネー経済と天保銭の増鋳(赤字国債増発)、新たな黒船を受け入れ、カジノもミサイルもという、明治維新の自主性もない民意と離れた支持率の極端に低い日本になりつつあるようです。

徳川時代の改革は老中がやったのでしょうか。今の日本の改革は誰がやるのでしょうか。今の日本は民主主義国ですから、矢張り国民がやるのでしょう。その手段は現実には「選挙しかない」のです。今の日本人は、能く必要な改革をやり遂げることが出来るでしょうか。


にほんすいせん(日本水仙)も元気です

2024年01月20日 10時42分46秒 | 環境

「にほんすいせんが良く咲いてますね」と家内が言うので、

「なに、もう咲いてるの」というと、

「気が付かなかったんですか。新年早々から咲き始めてますよ、先週あたりから花の数が増えて、今年は元気ですよ、」と家内。

今日は曇りで、明日にかけて雪が降るかもしれないとの気象情報。戸を開けると暖房が逃げるな、などと思いながら、狭く開けて少し乗り出して覗いてみました。

狭い庭の西側の塀の際のアケボノの下です。アケボノの落ち葉の中から、例年より一回り大きくなった日本水仙の株が艶のある緑に育ち花茎は折れずに、いつもより賑やかに花を咲かせていました。

温暖化のせいか、この年末、年始は氷点下の朝も少なく、水仙にとても育ちやすかったのかななどと考えながら「折角良く咲いてくれたのだから写真に撮っておこう」とスマホを持って何枚かの写真を撮り、パソコンに送ってトリミングし、こんなところかなとブログに載せることにした次第です。

花のところをクローズアップするとこんな具合で、例年は3~4輪ちらほらですが、今年は大分多いですね。嬉しい事にまだ蕾も沢山あってさらに賑やかになりそうです。

温暖化を喜んではいけないと思いながらですが、花が綺麗に咲いてくれるのはいいですね。

 

 

 

 

 

 


株価、物価、実質賃金、経済成長・・・

2024年01月19日 12時36分31秒 | 経済

日経平均の上昇は海外投資家の買いに支えられて急上昇、国内投資家の利益確定売りで1、2日の踊り場の後、また今日は大幅上昇のようです。証券関係の専門家の中には、バブル期の38000円を越えて42000円ぐらい迄行くといった元気のいい意見も聞かれます。

しかしいずれFRBは利下げに動き、日銀もゼロ金利脱出に動くとなれば、日米金利差の縮小で、為替レートは円高に動いて輸出企業の差益は消える可能性が大きいでしょう。

企業収益の改善は、企業の努力結果というのが正常な状態ですから、日米経済の正常化というのは株価にとっては現状の「浮利」が消えるというマイナス要因になる可能性をはらんでいるようです。

 

但し実体経済の原則として、円高になればそれは国内物価にとっては低下要因です。既に先日の日銀発表の企業物価の12月の対前年上昇率は0.0%になって、輸入物価の値下がりを追いかけています。しかも昨年から続いた消費者物価の調理食品、加工食品、飲料、調味料からトイレットペーパーに至る生活必需品の一斉値上げの動きもこの所終息傾向が明らかですから、消費者物価上昇率は昨年の3.1%をピークに次第に落ち着くでしょう。

政府も経団連も今年は本気になって、賃上げ分の価格転嫁の促進を言っていますから、その分の消費者物価の上昇はあるでしょう。

しかし賃金上昇が消費者物価を押し上げるのは、雇用者報酬がGDPの半分強ですから、生産性にの上昇を上回った賃上げ分の半分強が消費者物価の上昇になるとうのが、便乗値上げがない場合の賃金と物価の関係です。

春闘賃上げが昨年プラスXになっても生産性向上もあるでしょうし、それほど大幅な消費者物価の上昇にならず、消費者物価は政府・日銀の目標の2%に向かって上昇率を下げていくという所でしょう。

 

結果的に、今年の早いうちに、昨年12月で20カ月連続になった実質賃金の対前年低下の記録も終わるのではないかと考えます。

労使関係という意味では長期不況に悩まされた長すぎた記憶が、日本的労使関係に歪みを与えた結果の、世界にも例を見ないような長期の「自家製デフレ」現象も多分消滅して、労使の付加価値配分関係も、正常化に向かっていくのではないでしょうか。

その結果は経済成長率が急にはあがらなくても、国民所得の6割以上を占める個人消費が、勤労者世帯の「平均消費性向」の回復と共に軌道に乗り、社会全体の雰囲気も変わってくるのではないでしょうか。

 

賃上げ率の改善は、昨年以上となるでしょうし、遅れていた生活必需品の一斉値上げの時期も過ぎ、消費者物価の安定と相まって実質賃金が前年比プラスになって安定すれば、それはそのまま実質経済成長率のプラスの要因になるわけです。そしてそれはバランスのとれた日本経済の正常な成長路線に繋がるでしょう。

多分、放っておいてもこうした傾向に自由経済の復元(バランス回復)力で進むはずですから、先ず労使がマクロ経済のバランスについての相互理解を進め、政府は、そうした安定状態を破壊するような為替変動、更には物理的な戦争状態に入るような事を避けるよう徹底した努力をすることを肝に銘じてほしいと思うところです。

それが「国民の生命と財産を守る」という政府の最も重要な役割の具体策でしょう。


岸田総理、近く政労使会議開催の意向

2024年01月18日 14時29分20秒 | 労働問題

2024年春闘で、最も関心の高いのは、何と言っても賃上げについての労使双方の見解です。連合の定昇込み5%以上、経団連の昨年以上の賃上げが望ましい、といった基本路線はすでに取り上げていますが、組合サイドでは金属労協の1万円、基幹労連12000円など産別レベルではかなり高めの要求基準も出ています。春闘リーダー格の全トヨタ労連はこのところこうした平均数字の発表はしていないようです。

経団連は十倉会長が賃上げは持続的でなければならないという持論を披歴され、2024年については、昨春闘の経団連集計3.9%を意識しつつ4%以上といった発言もされている様です。

厚労省の昨春闘の集計は3.6%ですが、今春闘のエコノミストや経済研究機関の予想は3.8%から3.9%辺りに集中しているようで、マスコミもこれで長いデフレからの脱出が可能にといった論調のようです。

春闘キックオフ前の段階で、2024年春闘賃上げの見通しはかなり絞られてきているようですが、そうした中で岸田総理は、近く政労使会議を開催するという意向を示されたようです。

安倍政権以来、政府が春闘に介入するというのは日本の常識になっているようですが、これは極めて異常なことで、それを黙認している企業労使も、その代表組織も、領空侵犯に対して寛容過ぎるのではないでしょうか。

政労使会議を開くことはいいことですが、春闘の時期にだけやるというのは、賃上げに影響を与えたい、結果が政府の意に沿ったものであれば、自分の功名にして、票につなげたいという意識が見え見えです。

それも偶々賃上げをした方が良いという条件が揃っているからで、これが賃上げ抑制だったら多分介入はしないでしょう。

政労使会議といった大事なものは得点稼ぎにやるのではなく、嘗ての産労懇の様に、経済活動のプレイヤーである労使との十分なコミュニケーションのために必要と考えて定期的に行う真剣さが必要です。

些か八つ当たりのきらいもありますが、人気取りに走る政権に、「主役は我々だ、我々が決めるのだ」と毅然と言えるというのが権威ある労使の見識でしょう。

企業の労使なら労使で自分たちの企業をいかにより良い企業にするか、労使のナショナルセンターであれば、日本の経済社会をより豊かで快適なものにするかを常に真剣に考え、その考えを世に問い、その共通の目標の実現のために、徹底議論し意見の一致を実践するというのが戦後培ってきた日本的労使関係の極意だったのではないでしょうか。(そうした意識の経営者もマスコミ上で散見されることは喜ばしい事です)

繰り返して書いていますように、政府はプレイヤーではなくレフェリーなのです。近く行われる政労使会議でも、三者が、対等の立場で、日本経済活性化のために役立つ有用な知見の真剣な展開を行い、労使のより効果的な賃金決定活動に役立つようなコンセンサスに近づく成果を期待したいと思っています。


物価は内外ともに安定傾向か

2024年01月17日 15時06分28秒 | 経済

今日、日本銀行から昨年12月の輸出入物価と企業物価が発表になりました。企業物価の対前年同月比が2枚目の図のように0.0%になっていますので、マスコミでは「企業物価安定」という見出しが多いようです。

2021年あたりから、原油をはじめ国際資源価格が急上昇し、それによる輸入物価の上昇から国内の企業物価、消費者物価に影響が強まり、ほぼ3年に亘りインフレ傾向が強まった物価問題も、昨年からの資源価格の下落、アメリカ、ヨーロッパでは中央銀行の強力な金融引き締め政策で落ちついて来たようです。

原油価格は産油国の思惑もありますからなかなか安定しない面もありますが、長期的に見れば、再生可能エネルギーの急速な進展状況もあり、何とか安定したものになることを願うところです。

下のグラフで見ますと、日本の輸入物価も3年前に比べ一時は2倍近くになりましたが、この所は50~60%の上昇で落ちつきそうな形で、そのうち20%以上が円安によるものですから、今後日米金利差の縮小などがあれば、円レートも110円程度の円高の可能性もあり輸入物価の沈静は続くでしょう。

     主要3物価指数の推移(消費者物価は東京都区部速報)

                 資料:日本銀行、総務省

その動きは当然企業物価にそして消費者物価に影響してくることになるでしょうから、円レートの面からも物価安定傾向は出て来るという事になりそうです。       

下の対前年同月比の動きで状況を見れば、昨年夏には輸入物価はー14%で底を打ちその後の上昇は円安による部分も大きいと思われます。企業物価は上昇率が年10%を超えていた時期から。昨年秋には消費者物価の上昇率を下回り12月は0.0%まで下がってきました。

   主要3物価指数の対前年同月上昇率(%)

                資料:上に同じ

もともと、卸売物価(今の企業物価)は消費者物価より上昇率が低いというのが、日本経済では普通の状態で、今後賃金上昇率が上がり輸入物価が日銀の目標の2%程度で安定すれば、それが正常の姿という事になって行くのではないでしょうか。

低成長の中で、消費者物価が上がり、実質賃金が20カ月連続で対前年同月比マイナスなどという異常な経済・物価の状態は、次第に正常な経済活動の日本経済に変わって行ってほしいと思っています。

こんな異常な物価賃金の関係なったのも、国際価格の高騰はあったものの、国内の経済政策、労使の賃金決定の方法がそろって変則的なものになっていたという事ですから、今年は春闘の賃金決定も含めて、経済正常化に向かう年になって欲しいと思うところです。

多分そうなれば、経済成長も自然に付いてくるのが経済の原則のようなものだと考えて、日本経済の回復を期待するところです。


日本GDP , ドイツに抜かれ世界4位に

2024年01月16日 12時32分25秒 | 経済

今朝の新聞テレビは一斉に世界3位の日本のGDPが2023年にはドイツに抜かれ4位になるという予想を報道しています。

このブログでは、昨年11月16日付の記事で、IMF(国際通貨基金)が2023年の各国のGDP推計で日本がドイツに抜かれで4位という数字を出している事を取り上げましたが、そのあたりの確実性が高くなったので一斉に報道となったのでしょう。

1969年日本はドイツを抜いて世界第2位の経済大国となりましたが、その後2010年に中国に抜かれ3位に、今度はドイツに抜き返されて4位という事です。

中国に抜かれた時には「人口が10倍だから1人当たりのGDPは日本の10分の1」などと言ってあまり気にしていませんでした。

ドイツとは、いわば抜きつ抜かれつというところで、拮抗していますので気になるという事でしょうが、2023年でドイツに抜かれるという最大の原因は、為替レートでしょう。

2年前までは$1=110円程度でしたが、この所は145円前後であまり動きません。IMFの国際比較は勿論ドル換算ですから年平均140円としてもその間日本のGDPは2割以上減ることになります

ドイツの場合はユーロですから、ドル対ユーロは1.1前後でそれほど大きくは動かないし、ユーロ高の場面もありますから日本の円安継続とは違うでしょう。

マスコミでは、ドイツのインフレがGDPを押し上げたとの説明もありますが、これはインフレの進行で政策金利を引き上げた結果のユーロ高のためという事になるようです。

日本もインフレになりましたが、日銀がゼロ金利を据え置いた結果の円安で、ドル建てのGDPが減ったという事になるわけです。

そんなことで、日本のGDPが4位に落ちたら、実体経済を上向きにすれば、順位はついてくるという事で、実体経済の再建に頑張ろうというきっかけになるようにマスコミがみんなに発破をかけたと受け取りたいと思います。

これを機会に、順位の下がりつつある賃金水準も、今春闘で民間労使が協議しで積極的に引き上げ、民間消費需要主導でGDPを拡大、消費と投資のバランスのとれた成長経済を実現するよう、少し元気の出て来た民間労使の気力と実力で日本経済の構造を変えていけばGDPの規模も世界のランキングも、結果はIMFがきちんと報告してくれるでしょう。


「人口8千万人、安定・成長国家」:「人口戦略会議」が提言

2024年01月15日 15時49分18秒 | 文化社会

人口戦略会議というのは、前日商会頭の三村明夫氏が代表を務める民間経営者、学者などからなる民間団体です。

この「人口戦略会」が提言書「人口ビジョン2100-安定的で、成長力のある『8000万人国家』へ-」を発表,新春早々岸田総理に提出しました。

 

この背景にあるのは政府(厚労省)の出している日本の人口の将来推計で、良く知られているのは、2100年には日本の人口は6300万人と今の半分になるという事でしょう。

勿論政府は人口減少には危機感を持っていて、岸田総理も少子化対策は重視していて子育て予算倍増を目指すなどの政策を掲げていますが、矢張り最優先は防衛予算倍増のようで、これは戦争に巻き込まれ、若者の命が失われる事にも繋がるものです。

そういう中ですから民間の確りした組織が政府に圧力をかけないといけないのです。政府が独断で何でも閣議決定すませては困るので、純粋の民間組織が、国民の立場から政府に提言をするというのは大変良い事だと思っています。

人口の規模というのは、国家の最も基本的な枠組みですから、その具体的な指摘がされた事は最も大事な視点だと言えると思います。2017年の春闘の際だったかと思いますが、労使が共に、人口減少を逆手にとって良い国づくりを考えようと指摘したことがありましたが、今回はさらに一歩前進です。

提言の骨格としては、2100年に合計特殊出生率2.07(人口安定レベル)を目指し出生率の上昇のプロセスを示し、その間人口減少の中でも人口の質的強靭化、多様性を持つ成長社会を目指すという観点です。

そのために豊かで幸福度の高い社会(次代の子供を産み育てる気になる社会という意味でしょう)、そしてそのために必要になる効果的・効率的な社会政策・国土政策などを解り易く述べている感じです。

考えてみれば、プラザ合意で円高にされてから、バブルをやり、崩壊し、コスト不況を乗り切ったと思った途端にリーマンショック、黒田バズーカで円安に戻しても、アベノミクスの迷走という政策の失敗続きで疲れ果てた日本人に展望を与え活を入れ、政府には、もう政策の失敗は許されないぞという檄を飛ばした提言ではないでしょうか。

このブログでは、「政府が駄目なら民間で」と書いて来ていますが、こうした国民の心を掴む民間レベルの真剣な提言が種々の分野で続出する事が望まれるところですし、それが、政府の「(勝手に)決める政治」が、いかに日本を貶めてきたかを、今後の日本のために明らかにすることを望んでやまないところです。

この提言が生きて効果を発揮するプロセスは、カネまみれの政治貴族に堕した政治家が民主主義国の政治家に生まれ変わり、国民が国家の主権者であることを改めて認識し、誇り高き主権者に成長するプロセスでもあるのではないでしょうか。

(tnlaboでは、人口1億~8千万人で安定を目指すぐらいでもと思っています)