明日につなぎたい

老いのときめき

「焼け跡・闇市派」の介護

2015-12-23 20:27:59 | 日記

 22日夜、地域の「介護を考える会」の総会があった。この齢で介護されることも、することもない未経験者なので、勉強させてもらうつもりで出席した。特に聞きたかったのは、介護される人、する人との間でどんな会話があるかであった。そのわけは、介護って自立を助ける、つまり、自分の意志を表現する、意思表示できる人でいてもらうことだろう、だから会話が大事ではないかと思っていたのである。ヘルパーの仕事は45分単位だから中々だが、ディケアの方が会話の時間はとりやすいそうだ。

 私は、今月初めに85歳で亡くなった作家・野坂昭如さんについて語った。この人は、自身を「焼け跡・闇市派」だと称し、脳梗塞で倒れたあとも、13年間、介護されながら原稿を書き続けた。一貫していたのは反戦(厭戦)だった。小説には守口市や、現旭区の千林、森小路の名がよく出てくる。千林は闇市だったそうだ。この話をすると戦後派の人は目を丸くしていた。「焼け跡・闇市派」の世代は、貧乏と飢えと空襲で戦争を実感した人たちである。介護される人の多くはこの年代だろうと言った。

 戦前、戦中派が殆ど亡くなった今、戦争体験を語れるのは「焼け跡・闇市派」の世代だろう。歴史を語り継ぐことができる貴重な存在なのだ。千林のことでも何でも記憶していることで口を開いてくれたら、介護職員がその聞き役になってくれたらと思う。こんな会話を通して”要介護者”も、いま生きることの大事な意味を再認識されるだろう。安倍政権の「戦争法」強行成立以来いちだんとキナ臭くなっているときだ。「焼け跡・闇市派」の出番である。わが人生を飾るチャンス到来ともいえるのではないか。

 介護の需要にくらべて関係職員の数があまりにも少な過ぎる。賃金はメチャ低い。待遇が悪いから長続きしない。「離職者ゼロにする」との安倍首相の空文句にはしらけるだけだ。こんなことが話題になる。戦争を好む者は平然と社会保障を切り捨てる。福祉、介護の充実は平和への道に通じる。介護とは、社会の発展に貢献してきた人たちの人生を支える。加齢で肉体は衰えていても心は強く持ち続けたい、そんな人生を望む人たちのための事業である。人は老いても希望を捨てない。介護は明るい仕事であるべきだと思った。

 


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