昨日の夕方、大阪桐蔭高校の吹奏楽を聴く。会場は大阪市中央区のビジネスパークにあるツインタワービルの円形ホール。ミュージカル「河内湖」がよかった。2月の初演で好評を博し、3月にはニューヨークのコンサートでも演奏し喝采をよんだとのこと。古代4世紀の頃の河内湖治水工事をめぐる物語だが、私は2度目の観賞である。フィナーレで歌いあげられる「喜びも悲しみも包み込む川よ~人と人をつなぐ川よ~時を刻み~流れゆく~希望の川よ~」に感動する。何度でも聴きたい。
あの治水工事が、今の茨田の堤(まんだのつつみ)や難波の堀江の起源だと聞くと感慨一入である。当時の人々は暮らしや農耕を守るために土木工事に励んだ。守ることが未来をつくったのだ。自然災害や、ときどきの支配者の圧制から身を守るためのさまざまの営みが、どれほど歴史の発展に貢献してきたか。その積極的な意味を否定することは大間違いだろう。コンサートから帰ったら、こんな思いが浮かんできた。憲法9条・平和を守らねば日本の未来は保障されない。
橋下大阪市長は”大阪都構想”に反対するものは現状維持派だときめつける。今日の社会では、多くの人たちは現状不満派である。橋下氏はそこにつけこむ。「今のままでいいのか」とつめよれば、大阪市の解体・分断がどれほど重大事かを考える前に「何か新しいことが起きるかも」と、漠然とながら期待感をもってしまう人も少なくないようだ。政令指定都市としての権限、財源をもつ大阪市が消滅すれば、行政サービスは現状よりはるかに劣化する。住民自治の大幅後退になるのに。何故だろう。
金も権限も府の支配下におかれるだろう5つの特別区に、今まで以上のことなどやれるはずはない。大阪市の存在という現状を守らなければ大阪の未来は描けない。5つの特別区には都市計画の資格も能力もない。守るべきものを守らねば未来は展望できない。私は、大阪市を守るための与論と運動を「人と人をつなぐ川」「時を刻み流れゆく希望の川」に擬してみた。大阪市解体・分断の危険きわまる構想に反対か賛成かを問う住民投票が始まっている。大阪市は大阪市民が守る。そう信じたい。