広辞苑では、第3勢力のことを「対立する二つの勢力の外に立つ第3の中立勢力」と定義づけている。昔、公明党は保守でも革新でもない第3の道をゆく新しい政党だと、第3勢力面(つら)していたような気がする。発足時の科白だった。日米安保条約即時廃棄とまで唱えたことがある。真っ赤なウソだった。公明党は、日米安保絶対の自民党と仲良く手を組む政権与党に成り下がっている。きっちり閣僚の一角も占めている。第3勢力どころではない。明々白々な当事者・与党である。当事者とは「そのこと、または事件に直接かかわりをもつ人」のことである。公明党は自民党政治の一翼、当事者なのである。無節操ではないかと言いたくなる。
「日本(大阪)維新の会」という新興政党も新米の与党になっている。維新とは「すべてが改まって新しくなること」とされているから、政治の世界では完全な野党であるべきだと思うのだが、この党は自民党べったりの与党というしか言いようがない。何が新しくなったのか、言葉に窮する。国民は維新の名に改革を期待したが、それは幻想に過ぎなかった。国民は、すっかり騙されたのである。第3勢力どころではない。自民・公明政治の協力者の一員になってしまっているのではないか。どういう政党名をつけるか、自由・勝手だろうが、やることが自民党の補完政治の域を出ないのなら、それにふさわしい名にすればよいのにと思ってしまう。
維新といえば「明治維新」を連想する。徳川封建体制に果敢に挑戦、命を賭けた志士もいれば、明治政府に巧妙に取り入って、立身出世を遂げた「英雄」もいたという。甚大な犠牲を伴なった日清、日露戦争を経て、日本の軍国主義化は急ピッチ。それは昭和の日中戦争、太平洋戦争につながっていつた。いずれも日本に相手国の軍隊が入ってきたのではない。日本の他国への侵略戦争だった。やがて敗戦国となり、戦勝国・米軍支配下の屈辱に耐え忍ばされた。日米安保条約はその象徴である。沖縄は未だ占領下にある。この無残な歴史を招いた日本政治の歴代指導部に、国民への謝罪と反省があっただろうか。それを追及する政党は共産党、社民党以外にどこがあろうか。「維新」はどうしてる!?
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