妻の入院で、臨時の「おひとりさま」になっている。今日で4日目になる。そんなに物を買いこんだはずではないのに、結構ゴミが溜まっている。今朝の一番の仕事はこれの始末だった。ゴミは3種類、普通ごみ、プラスチック製品、ペットポトル・空き缶類である。それらを入れたポリ袋を下げて集積所まで運ぶ。専門の係りが2名いる。曜日によって廊下に出しておけば持っていってくれる。このマンションに来て30年を越すが、廊下や敷地内でゴミが散乱している状態を見たことはない。有り難いことだ。
横着で不器用な私である。自炊に手が出ない。やむを得ず、ス―パ―やコンビニで”既製品”を買って口にするが、正直なところ美味いと思ったものはない。贅沢な種族だといわれるかもしれない。月額10万円にも満たない年金で、身を切るように暮らしている「お一人様」もいるのだ。役所に生活保護を申し出たら、マンションを自宅にしている者に受給資格はないと門前払いだったという。それは過去のことで現実は悲惨なのに。年寄りは若いときと違って働けないのである。身寄りもいないそうである。あゝ無情と嘆くしかないのか。
”独り暮らし”のお陰で、日常生活の現実を体験した。正直に言えば分からないことが多すぎる。いい歳なのに”世間知らず”の我が身を恥じるしかない。毎日の食事も自分で考え、行動しなければ得られないのである。厳しい。しかし、これも新しい体験だ、前向きになれ、自分に言い聞かせている。細々と暮らす高齢者の切なさも、今までより深く理解できる機会にもなったようだ。しかし、私は幸せ者である。「お一人で大変でしょう」と気遣ってくれる人たちに囲まれている。こんな格好いいことを書きながら、一日も早い妻の退院を待ちわびている。