輸入牛を国産牛だと銘打って売られていたウソがばれた。牛肉のミンチ、コロッケなどに、豚肉などが使われていた。賞味期限がとっくに済んでいるのを隠して食品が売られていた。去年、大問題になったマンション、ホテルの耐震構造偽装事件や、「ここが危ない」と脅して、法外な「修理代」をせしめていた、悪質なリフォーム業者のことも思い出す。庶民の食、住の世界に、これほどウソやニセ物が横行するとなると、衣類はどうだろうかと疑いたくなる。もし何かあれば、衣食住「三位一体」が成り立つ。そんな皮肉も出そうだ。「衣食足りて礼節を知る」が通用しない世間だ。その主たる原因は、今日の政治がつくった「規制緩和万能」「弱肉強食」の「競争社会」にあるのではなかろうか。
「上(かみ)清ければ下(しも)濁らず」という諺がある。この「上」を「安倍政治」にあてはめたらどうだろう。正反対だ。なんとウソ、偽りの多いことか。最近のいくつかの例をあげてみよう。定率減税の廃止で地方税は大増税なのに「納税額は変わらぬ」と大ウソ。安倍総理は昨年末から「宙に浮いた年金記録」のことを知っていながら、すぐに手をうたず、社会保険庁の解体・民営化にすりかえる。天下りをやめると言いながら、国家公務員法”改正”で再就職斡旋の「新人材バンク」(天下り自由化)をつくる。閣僚の事務所費・光熱費の不正疑惑をかばい続ける。世界に隠れなき不正・不義のイラク戦争支持に反省なく、自衛隊派兵2年延長を決める。ウソにまみれた濁った政治というしかにない。
ただ、濁っているだけではない。歴史観が危なっかしいのである。安倍総理は「過去の戦争が正しかった」というグループの中心にあった。しかし、内外の注視を気にしたのだろう。就任直後、侵略戦争と植民地支配を反省した”村山首相談話”や「従軍慰安婦」問題を謝罪した”河野衆院議長談話”を継承すると表明した。だが、まもなくして、日本軍の「強制性の事実はなかった」とも言った。本音が出たのだろう。いずれにしても、歴史の偽造も、政治の偽装も許せない。その罪「万死に値する」。安倍総理は「戦後レジーム(体制)からの脱却」というスローガンを掲げた。戦後民主主義の否定だろうか。国民投票法成立を強行し、憲法改定を現実の政治日程にあげた。意のままにさせたら日本の前途は危ない。一ヶ月後の参院選がだいじだ。