私がこれだと思った今月のランキング一位は、22日午後の衆院予算委員会での赤嶺政賢議員(共)の質問であった。私はこのテレビ中継に釘づけになった。聞くほどに胸が熱くゆさぶられた。沖縄出身の赤嶺議員は具体的事実を示して基地・沖縄の悲劇を切々と訴える。圧巻だった。このときの委員会室は静まりかえっていた。いつもと違い、ヤジも怒号もない。そんなことをやれば「お前は日本人か」の声が飛ぶような雰囲気だったのだろう。自分の土地を強奪されて米軍基地に、県民は米軍から虫けらのように扱われてきた。赤嶺議員が突きつける沖縄の歴史と現実、誰もが認めざるをえない厳然とした真実である。どういう態度をとるべきか、政治家はもとより日本人全部が問われているように思えた。
答弁する鳩山首相、岡田外相は沖縄・日本人の心が分かっていないようだ。「あまりにも多くの悲劇が米軍基地によって起きている、多くの県民が感じておられると思う」と赤嶺質問に応じながら「安全保障という立場、状況を踏まえて考えたときに、米軍の存在というものを必要としている」「米軍基地があって、その抑止力によって日本の安全が保たれている」などというのである。沖縄・日本は米軍によって命と財産を脅かされ、数々の被害を受けこそすれ守ってもらったことなどあるだろうか。『米軍基地抑止力』は真っ赤なウソである。普天間の移転先を探しているというが、それは新しくどこかに基地被害地をつくることだ。無茶である。日本人の心で、堂々と基地は要らない、帰ってくださいとアメリカに言えばよいではないか。
沖縄県名護市長選挙は、辺野古新基地建設反対を掲げた陣営の勝利だった。基地のない沖縄・日本を願う多くの国民にとっては一大朗報である。ところがとんでもない発言が政府筋から飛び出した。この選挙結果について「斟酌しなければならない理由はない」「地元の合意がとれないと物事がすすめられないものか」。誰あろう平野官房長官が言ったのである。『赤嶺質問』をまじめに聞いていたのだろうか。民意無視というより敵視か。沖縄の心も民主主義の原理も踏みにじっている。やはり沖縄よりアメリカ優先ということだろうか。情けない。沖縄問題を深く全面的に展開した『赤嶺質問』を無視したマスコミは、この件ではどこまで正義の論陣をはるだろうか。注目していよう。