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人工透析装置で国内シェア7割の、澁谷工業、日機装の両社はそれぞれに同装置の増産体制

2018年02月02日 13時11分03秒 | thinklive

北陸に拠点を持つ医療機器メーカーが相次ぎ人工透析装置の生産拡大に乗り出す。渋谷工業は金沢市に工場を新設し生産能力を倍増。米国などに販路を広げ、医療機器の売上高を5年で7割増やす金沢に工場を持つ日機装は中国で合弁生産を拡充する。腎臓病患者が増えるアジアや米国で透析装置の需要が伸びるとみて増産体制を整える

人工透析を受ける世界の患者数は年率5~6%のペースで増え続けるとみられている。中間所得層が増える新興国を中心に糖尿病や腎不全などの患者が増加。医療保険制度の普及も高額な透析治療の拡大につながっている。中国やインド、米国の市場規模が大きく、金沢市に製造拠点を構える国内の大手2社は海外向け生産を伸ばす。

澁谷工業株価推移 4,695前日比-80(-1.68%)

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日機装株か推移 1,325前日比-12(-0.90%)


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 渋谷工業は人工透析装置をニプロにOEM(相手先ブランドによる生産)供給している。ニプロは透析に必要な人工腎臓(ダイアライザー)やチューブといった消耗品を生産し、渋谷工業の透析装置とセットで販売している。アジアや南米のほか最近は米国の市場開拓を進めており、渋谷工業も設備増強で対応する。

 新工場は金沢市内に4つある生産棟の1つを建て替える形で設ける。4階建てで延べ床面積は約8千平方メートル。7月に着工し2019年3月の完成を見込む。旧棟の解体や設備費用を含めた投資額は約20億円。透析装置の生産能力を現状の年1万台から2万台に増やす。

渋谷工業は主力の飲料充填機などで培った液体の制御技術を生かし、1987年からニプロと医療機器の共同開発に取り組んできた。医療機器分野の年間売上高は120億円程度。大半が透析装置関連で、7割を海外向けが占める。輸出を伸ばすことで2022年6月期に医療機器の売上高を200億円に増やす。

 同社は透析装置以外に、皮膚科向けのレーザー治療器などを自社ブランドで手掛ける。これらは国内向けが主力だが、将来的には輸出も視野に新工場で生産を増やす。医療機器事業は派遣社員を中心に約150人が生産に従事している。人手不足に対応し、組み立てにロボットを導入するなど省力化を進める。

国内シェア5割を持つ日機装は中国での現地生産を強化する。今年秋に山東省の合弁企業が2つ目となる生産拠点を完成させ、20年前半をメドに中国での生産能力を5倍に増やす計画。同社は金沢市の工場で国内や欧州向けを中心に生産しているほか、中国の合弁工場に供給する部材も手掛けている。新興国では現地生産に軸足を置き競争力を高める。

 透析装置の国内シェアは日機装と渋谷工業の2社合計で7割程度。渋谷工業は飲料・食品充填機や再生医療向けの装置などを手掛け、18年6月期の連結売上高は950億円を見込む。翌期には1000億円をめざす。

  ▼人工透析装置 機能の衰えた腎臓の代わりに人工的に血液を浄化し、老廃物を取り除いたり水分を調整したりする装置。透析液や血液の流れを正確に制御する技術が求められる。慢性腎不全などで透析治療を受けている世界の患者数は2016年末時点で約300万人にのぼるとされ、20年には370万人に増えるとの予測がある。


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