*格力の董明珠・董事長が参入決意の背景にはその政府政策に乗らねばならない、という覚悟が見える、中国のEVが明日の自動車市場の最大の担い手となるという確信がある、
【広州=中村裕】中国エアコン最大手の珠海格力電器で経営トップを務める董明珠・董事長は、不動産大手の大連万達集団など4社と共同で、広東省珠海市にあるEVの中堅メーカーに30億元(約510億円)を出資する。董氏が最大の出資者となるもよう。個人資産を使った異例の巨額出資となる。
共同で出資するのは、中堅EVメーカーの「珠海銀隆新能源」。15年12月期の売上高は38億元(約650億円)だった。同社が発行する新株を董氏個人のほか4社が取得し、出資比率は合計22.4%となる。出資者にはインターネット通販大手の京東集団も加わる。15日、EVメーカー側と董氏らが合意した。
EVの珠海銀隆新能源を巡ってはもともと、格力電器が会社として全株を取得することを検討していた。しかし、買収予定額が中堅EVメーカーとしては約130億元(2千億円強)と巨額で、買収に意欲的だった董氏は社内外の同意が得られず、格力電器は今年11月に会社としての買収を見送ったばかりだった。
董氏は中国を代表する女性経営者。EV参入を諦めきれず、自ら経済界で親しい中国一の大富豪、万達の王健林董事長らを誘い、共同出資にこぎ着けた。万達の出資額は約5億元。不動産が主力の同社が製造業に出資するのは、事実上初めてだという。
董氏は出資について「私個人の全財産を投入していきたい。(出資する)EVメーカーの技術を高く評価している」と表明。一方、万達の王董事長は「董氏を信じた」と中国メディアに語った。