米国に本拠を置く日用品大手のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は中国で高級紙オムツをうち出しているが、市場シェアを固めて拡大させるにはしばらく時間がかかるとみられる。日本最大の日用品メーカー・花王グループの「メリーズ」はP&Gの「パンパース」のライバルの一つだ。「第一財経日報」が伝えた。
▽日本の紙オムツに奪われた市場シェア
P&Gは100近いブランドを淘汰し、残った65ブランドのうち20数ブランドは年間売上高が10億ドル(1$は約120.1円)を超え、最大のブランドは乳幼児用品のパンパースだ。P&Gはパンパースのみの売上を公表していないが、業界関係者は年間120億ドルと推測する。
ここ数年、P&Gの売上は伸びが鈍化しており、より規模が小さく小回りの利くライバルたちに負けている。ライバルたちはどこも米国や海外での売上を継続的に伸ばしている。
米キンバリークラークの「ハギーズ」ブランドの紙オムツはパンパースの重要なライバルの一つだ。だがパンパースは中国市場では日本ブランドというより手強い相手にも直面しなければならない。
日本最大手の花王グループのメリーズはパンパースのライバルの一つだ。花王の澤田道隆社長はこのほど取材に答える中で、「公式の中国でのメリーズブランド紙オムツの売上高(輸入製品および中国現地生産品を含む)は13年は12年の2倍に達し、14年は13年の2倍で、中国産メリーズ紙オムツの14年の売上は13年の3倍だった。花王の14年度業績報告によると、営業収入は前年度比6.6%増加して、1兆4千億円に達し、過去最高を記録した。営業利益は9年ぶりに過去最高を更新して、1332億円(同6.9%増)に上った」と述べた。
パンパースの中国でのもう一つの競争相手は、「マミーポコ」の紙オムツ、「ソフィ」の生理用品、「プレヴェイル」(海外向けブランド)の大人用紙オムツを展開する日本のユニチャームだ。生理用品の世界市場シェアは8.6%で3位、アジアでは27%で1位。14年にはアジアでの売上高が過去最高を記録し、総売上高の約42.8%を占めた。アジア諸国のうちインドネシアでの売上高が10%、タイが5%、ベトナムが3%、台湾地区が3%を占め、大陸部は15%に達する。
日用化学品業界の関係者は、「中国の1980年代生まれや90年代生まれの親たちは子どものためなら出費を厭わない。子どもの安全に対する親の意識の高まりにともない、12年から中国現地製品の1.7倍ほどの価格の超高級紙オムツの需要が拡大を続けており、消費がグレードアップし、花王の輸入製品のような高級紙オムツが大人気となっている」と話す。中国の高級紙オムツの年増加率は30~40%に達し、シェアは10年の10%未満から13年は15%前後に拡大した。
P&Gは売上増のため、ブランドへの投資を拡大し、ブランドの普及拡大を目指して消費者に試供品を提供するサービスを行っている。同社のジョン・モーラー最高財務責任者(CFO)は、「中国市場で、弊社は高価格の紙オムツをうち出しており、中国の親たちの子どものための出費を楽しむという傾向を利用したい考えだ。弊社は現在の売上高に甘んじることはない。ここ数年来、中国の高所得層の親たちは日本の輸入ブランドを買うようになりP&Gは中国では相対的に低い価格帯にとどまっている」と述べた。
P&Gのアラン・ラフリー社長兼最高経営責任者(CEO)は今年初めに取材に答えた際、「P&Gが中国で犯した過ちは、管理職が中国人消費者を『節約に努める中産階級』とみなしたことだ。弊社は市場の中間地帯に押し込められている。消費者はますます高級志向になり、これは弊社が下方に向かっていることを意味する」と述べている。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年10月27日