*アメリカには移民人口が年間150万人超、この人口増は労働需給に大きな影響を与えているが、アメリカの影の部分でもあり、詳細な分析が見当たらない、労働賃金の上昇を阻害する要因の1つ
*永住権の取得者は年間、100万人、
*推移を見ると、2007年をピークに流石に件数は減少しているものの
依然として150万人以上の安定した状態を保っている。
[ワシントン 11日 ロイター] - 米国の最大手クラスの企業における雇用増加ペースは、2001年以降ずっと売上高や営業利益の伸びに遠く及ばない状況にあることが、ロイターによる企業データの分析で明らかになった。これは各企業がグローバル化や新技術のメリットを取り込んで、生産性の向上を図った結果だとみられている。
ロイターがまとめた売上高ベースの全米トップ100社の2001─13年の売上高伸び率は物価調整後で71%、同じく営業利益伸び率は150%だったのに対して、雇用は31%の増加にとどまった。
分析結果からは、雇用が米国外で多く生まれたことがうかがえる。特にこの期間に米企業の事業のアウトソーシングが行われ、海外市場で売上高が大きく増え、海外展開が進んだ点を踏まえれば、そうなってしかるべきだろう。
またこの結果は、米政府やFRBの当局者が直面している最大の疑問も浮き彫りにしている。つまり国内の製造業その他で高い給与を得られる職を生み出す力が、世界経済の変化によって根本的に損なわれてしまったのかどうかということだ。
もしも適切な答えが出せたとすれば、FRBがどのくらいの間、超低金利を続けて雇用増加を促せばよいかといった政策判断に重大な影響を及ぼすことになる。
ただ実際には、イエレンFRB議長が国民所得における「労働から資本への」着実な移行に言及する一方、他の政策担当者からは変化の大きさの全容はまだはっきりしていないのではないかとの懸念が出ている。
労働市場の二極化とは、少数の高給取りの専門職や経営幹部などと大多数の低賃金労働者に分かれ、中間層が恒久的に空洞化していることを意味する。これは米国全体の購買力や経済成長の足かせになる、この100社の合計でみて01─13年の間で雇用が減ったのは、金融危機とそれに伴う景気後退が最も深刻だった09年だけだった。
<増収増益でも雇用縮小>
ただ100社のうち30社は、この間に利益や売上高を伸ばし、場合によっては大幅な増収増益を確保したにもかかわらず、雇用が減少している。例えばベライゾンは01─13年の期間、固定電話事業から携帯電話とネックワークサービス事業へと軸足を移し続けている中で、物価調整後の年間営業利益が2倍以上に増えたが、雇用は30%強も少なくなった。
食肉加工大手タイソン・フーズは戦略的買収や新技術導入などを通じて大きくなり、物価調整後の営業利益は02─13年で20%、売上高は14%増えたものの、雇用は4.2%減った。また急成長を続けるハイテク企業はこの間、雇用増をけん引してきたとはいえ、企業規模が大きくなるにつれてこれまでのような雇用の伸びは持続できないかもしれない。事実、アップルとアマゾン・ドット・コムは12年間にわたってほぼ従業員数を10倍に拡大してきた後、採用ペースは鈍化してきている。ブルッキングス研究所のロバート・リタン研究員は、2001年の景気後退が転換点となり、当時の企業はより効率性の高い海外のサプライチェーンや新技術、米国内雇用のアウトソーシングなどを活用して従業員数の抑制を積極化し始めたと指摘した。
<広がる賃金格差>
米労働省の統計によると、01─13年で高給職種トップ10に属する人数は4%減ったが、実質賃金は28%増加した。対照的に最低水準の賃金グループに属する人は約15%増え、実質賃金は5.5%減った。
ハイエンド分野の製造業や研究関係業界の一部は米国の雇用や賃金上昇にとって重要な意味を持つとみなされている。しかしこれらの業種は、売上高や利益と労働需要の相関性がはっきりと失われている分野でもあるのだ。
ロイターの分析では、逆に雇用と業績が連動する業種の一角には、労働集約的で賃金水準が低いウォルマートなどの小売業が入った。