彦四郎の中国生活

中国滞在記

「省重点大学」認可に向け施設拡充する大学―これから5〜6年間で、33余りの建物を増設予定

2017-03-27 08:50:44 | 滞在記

 この3月に入ってから、大学構内に大きな立て看板が立てられている。また、正門(南門)の近くには、新しい大学地図盤ができていた。これらによると、今年度9月までに「福建省重点大学」への認可を目指していることや、大学名称の変更、そしてこれから5〜6年間に、新たに33余りの建物を増設し、国の「海のシルクロード戦略」の一環となる海洋学部など、新たな新学部を新設する計画のようだ。地図盤の黄色く塗られている建物が 今後増設される建物となる。この33余りの建物の内、8つが学生寮と第五食堂となり、より大きな総合大学化が進められる計画だ。現在の学生数は2万人を超えるが、2万5千人くらいの学生数になるようだ。

 今年の3月に入り、大学内に点在していた多くの畑地(※毎年、菜の花が咲いていて美しく、畑地で野菜を作る近在の人ののんびりした姿が大学のゆったりした雰囲気をかもしだしていたのだか---)などが、全て平地に整理され、「野菜作禁」の看板が立てられた。平地にされる土地の広さは、京都市内の立命館大学衣笠キャンパスと同志社大学烏丸キャンパスを合わせたぐらいの広さがある。(※大学全体の広さは、日本で一番広い北海道大学札幌キャンパスくらいあるかもしれない。中国の大学の多くは、とにかく広い。)

 現在、中国の大学数は 2800校あまりあると言われている。このうち「本科大学」といわれる4年制大学は1200校弱。それ以外は「専科大学」といわれる短期大学(2〜3年制)。2800校の内、民営大学(私立大学)は500余りだろうか。例えば、福州市内にある「福建師範大学協和学院」「福州大学志誠学院」などは、名前の最初に「福建師範大学」「福州大学」などの難関有名大学の名前はついているが、私立大学である。これらの中国の私立大学は、国公立大学の学費の3〜5倍くらいで、大学偏差値レベルは相当以上に落ちる。卒業証書には、福建師範大学や福州大学の卒業とはならない。まったく別の大学だからだ。これら私立大学に入学した学生たちも、大学独自の入学試験ではなく、全国統一大学入学試験(高試)を受けて入学している。だから、中国の学生たちにとって「私立大学」というのは、いい響きではなくかなりなマイナスイメージなのだ。このため、日本に留学する場合でも、国立・公立大学の名前にこだわる学生が最初は多い。

 福建省内には92の大学がある。このうち国立大学は「厦門大学」と「華僑大学」の2校だけ。多くは省立大学(公立)である。この省立大学の内、省重点大学というレベルが高い大学がいくつかある。現在の重点大学は、福州大学・福建師範大学・福建農林大学・福建医科大学・福建中医薬大学・集美大学・閩南師範大学・厦門理工学院・福建工程学院の9大学となっている。

 大学構内に見られる八重咲き桃は「碧桃」という種類の名前のようだ。蓮華(れんげ)の花が、構内のいたるところに咲いている。藤の花が開花し始めていた。日本の「山桜」とよく似た種の桜も開花し始めていた。

 構内に、「優秀学生」の紹介看板が立てられていた。中国では、中学・高校などでも校門の近くにこのような優秀学生を紹介する看板や横断幕を掲げる場合が多い。優秀学生には、「学生共産党員」になっている学生の比率が高いようだ。

 大学構内の落葉樹の新緑が芽生え始めている。黄緑が美しい。2月に息子のお嫁さんからもらったバレンタインチョコを中国に持ってきていたが、食べるのがもったいないので、大学の研究室に置いておいた。3月14日のホワイトデーを過ぎ、先週あたりから気温が高くなってきたので、そろそろ食べてしまわないといけないなあ。第一食堂の前に「榕漫盛会」というコスプレ・アニメ・漫画の福州大会というイベント案内があった。15年ほど前の2000年代初頭から 福州の各大学を持ち回り会場に開催されているイベントで、中学・高校・大学生で賑わう。

 先週の水曜日22日あたりから、ようやく体の熱が出ることが少なくなってきた。出口の見えないトンネルをずっと入っていたような1カ月半だった。熱のための下半身のだるさや軽い痛みが和らぎ、身体が ちょっとよくなってきた。少し安心している。だが、先週の火曜日21日の早朝、起床して洗面台の鏡に向かってびっくりした。左目が真っ赤なのだ。白目のところが全面、きれいな赤色となっていた。寝ている間に目の毛細血管が切れたようだ。日本にいたら、すぐに眼科医院に行き処方をしてもらうところだが---。この日は、授業がない日だったのでよかった。薬もなかったが、1週間ほどたった今週になって、ようやく充血が薄れてきた。まあ、いろいろ中国生活は大変で心労も多い。これが、上海や北京、大連や長春、蘇州や広州のように、日本人も多く、日本人向けの店、日本人向けの病院まである都市にすんでいれば、苦労も少なくなるのだろうが---。しかし、ここ福州で良いのは、空気が中国国内の沿海の大都市の中では最もきれいなことである。

 大学からの帰り、バスで前の席に座ったヘルメット姿の「工人(地方からの出稼ぎ)」の人。夕食なのかパンを食べ始めた。そして、窓を開けた。新鮮な空気が入ってきて気持ちがいいなあと思った瞬間、パン袋などのゴミを窓から捨てた。近くにゴミ箱はあるのだが。アパート近くの食堂の店先にアジサイの鉢植えが置かれていた。ちょっとアジサイは季節的に早すぎるだろうが、中国の人たちは 日本人のように季節感にあまり敏感ではない。福州では、5月中旬くらいからアジサイが咲き始める。

 いつも困ることの一つに、アパート近くの「新聞掲示板」の前に、車が駐車されていること。ほぼ24時間、だれかの車が駐車されているため、新聞が読めない。掲示板と車の間にも人間が入れる隙間はない。こういう場所での不法駐車の感覚は、私達日本人には理解不能。ここに住み始めて半年以上こういう状態なので、苦情はこないようだ。これもまた不思議。

 野良犬の犬家族が中国は多い。市内のゴミ収集場所は、あらゆるものが分別されず、大きなポリバケツ数個に入れる(蓋はなし)システムなので、夏場になると異臭がただよう。しかし、野良犬たちにとっては、とても住みやすく食べる物にも不自由しない、子育てにも最適な場所なのだろう。鎖につながれることもなく、幸せだなあと思う。

 この日、アパートの部屋がある8階に戻ると、7階に通じる階段は 隣人のゴミが大量に置かれていて通ることも難しい状態になっていた。このへんの感覚も日本人の私には理解できないことだ。

 

 


故郷の酒「紹興酒」を学生が持ち帰ってくれた―中国の酒について―

2017-03-26 18:20:06 | 滞在記

 先日、「先生、故郷に帰った時、故郷の酒を持ち帰ってきました。先生はお酒が好きだと聞いていたから」と、福建師範大学3回生の女子学生からメールが届いた。故郷は浙江省の街「紹興(しょうこう)」らしい。数日後に師範大学の外国語学部楼の前で、待ち合わせをしてお酒をいただいた。スプライトの1リットル・ペットボトルに「紹興酒」が入っていた。ベンチに座ってしばらく話をした。去年の夏に日本に旅行に行き京都にも行ったようだ。将来は日本に留学を希望しているようで、「岡山大学か広島大学」などの中国地方の大学に行きたいですと話していた。

 中国の酒の種類は多い。主なものとしては、「白酒(バイジュウ)」と「黄酒(ファングジュウ)と「紅酒(ホングジョウ)」がある。市内のスーパーなどに行くと、いろいろな中国の酒がたくさん陳列されている。

「白酒」は「高粱酒(こうりゃんしゅ)」とも「焼酒」とも呼ばれる蒸留酒。原料は、「高粱」を原料とするものと「大麦・小麦・エンドウ豆」を原料とするものがある。アルコール度数は、低いもので38度、高いもので55度。50度前後のものが最もたくさん売られている。無色透明な酒だが、中国人が最も多く飲む酒の一つといっていいだろう。私も、何度もこの酒をいろいろな場所で飲んできたが、酔っ払って意識が飛んでしまったことも度々ある。

 「黄酒」は「もち米・うるち米」を原料としている醸造酒だ。「老酒」とも呼ばれる。紹興酒もこの「黄酒」の種類に入るが、紹興で作られた「黄酒」を「紹興酒」という。アルコール度数は、そう高くなく、16度〜18度と日本の清酒とほぼ同じ。少し色が黄色っぽい。

 「紅酒」も「もち米」を原料とした醸造酒だが、麴菌(こうじきん)に「紅麹」を使うので、色が赤くなる。度数はこれも15度〜16度。この紅酒は、福建省の山間地方でも、個人的に家で造っている人も多く、私もよくお土産に「持ち帰って下さい」と渡されたことがよくあった。

 ◆お酒は製造方法によって分類すると、「醸造酒」「蒸留酒」「混成酒」の3種類に分けられる。

 「醸造酒」とは、米や麦などの穀物や果実を酵母菌によって発酵させて造った酒のこと。ビール、ワイン、日本酒(白米を原料)、黄酒などがある。醸造酒のアルコール度数は、最高でも20度程度である。私も神戸市の御影にある剣菱酒造という酒蔵で「蔵人」として日本酒(剣菱)を造る仕事をしたことがある。搾りたての原酒は、「最初 水を飲むように飲みやすく、口に含むと なんとも言えない香りがして、飲むと ふわーつとアルコールの柔らかな いい心地に包まれる」酒である。この原酒を飲んだら、日本酒が苦手な人でも好きになるようだ。ワインのように飲みやすい。

 「蒸留酒」とは、原料を発酵させた醸造酒をさらに蒸留(加熱して、その蒸気を冷やして液体にする)させた酒のこと。大雑把に言えば、ポップなしのビールを蒸留したものがウイスキー、ワインを蒸留したものがブランデー、日本酒を蒸留したものが米焼酎。このほか、蒸留酒には、ウオッカ、ジン、ラム、テキーラ、泡盛などがある。酒を加熱し、その蒸気を冷やして液体にすることで、アルコール度数はかなり高くなる。ウオッカでは、46度〜52度くらいになり、しかも 匂いが少なく飲みやすいので「世界で一番怖い、我を忘れて、記憶が あるとき瞬間に飛ぶ」酒である。ロシアに何度か行った折りに、これを飲み過ぎて大失敗したこともあった。テキーラなどは、度数はとても高いが、飲みにくいので 飲みすぎることはなく あまり失敗することがない。世界一度数が高い酒は96度のポーラン産ウオッカ「スピリタス」というものらしい。

 「混成酒」とは、醸造酒や蒸留酒に、果実や香料を糖分などを加えた再生酒のこと。梅酒、リキュール、薬酒、みりんなどがある。梅酒の度数は8〜20度、リキュールは15度〜55度、みりん(本みりん)は12〜15度である。

 中国の「白酒」も怖い酒だ。少しにおいがあるのだが、けっこう飲みやすいので、酔っ払って意識が急に飛ぶのはウオッカと同じだ。

 


アパート近くの「学生街」という場所❹朝と昼・夜にはガラッと様子が変わる街―学生街の昼と夜②

2017-03-25 17:32:30 | 滞在記

 学生街の通りに隣接している福建師範大学(倉山キャンパス)の運動場。土曜日の夕方は、市民がさまざまなことをしながら過ごしている。お父さんといっしょにグライダー飛行機を飛ばしている小さな男の子。飛行機を飛ばすとき、下で見守っているお父さんの顔とそっくりだった。パソコンで何かしている学生かな?サッカーを楽しむ人たち。中国でもサッカーが徐々に人気スポーツとなってきている。

 師範大学の運動場ちかくにある体育館前で、男どうしが激しい口調でけんかをしている。どうやら、車の駐車場所を巡ってのけんかのようだ。一度おさまっても、すぐまた口論が始まった。5〜6分くらい続く。中国の喧嘩は、お互いが疲れ切るまで続くことが多い。

 大通りの歩道にも露店の屋台が続く。夕方は特に若い客が多い。中国人は、とにかく 食べ歩きが多い。バスの中でも、食べている人の姿がよく見られる。バスの中に食べ物(例えば、カップ麺など)の匂いがこもり、迷惑しごくなのだが、誰も そのことで嫌な顔をする人はいない。

 露店のテント店を営業しているのは、地方出身の人が多い。出稼ぎで都市に来て以来、ここで住みついている人たちだ。少しでも収入を得ようと頑張っているわけだが、このような露店は「市政府」の許可をもらってやっているわけではないようだ。市政府が強制撤去しようと思えばいつでもできる。警察の他に、「執勤(ジーチン)」と呼ばれる地域警備員が多数いて、一定の権限を持っている。一度、執勤たちが露店を襲う(※許可をもらっていないのだから、何をしてもいいと思っている)現場を見たことがある。十数人の執勤たちが、警棒をもって、振りかざし、何棟ものテントをなぎ倒して、商品を押収していった。

 交差点のあたりは、ものすごい人の数と電動バイクと車の洪水のような流れがある。360度の方向に注意を払って横断歩道を渡らなければならない。

 学生街は、楕円形を描くように、店や露店が続く。一周すると ゆうに2km以上はあるだろう。45分ほどの時間がかかる。中国人は盆栽が好きだが、小さなサボテンのようなミニの鉢もよく売れている。

 日が暮れて夕方から夜になっても、午後10時ころまで人並みが絶えない学生街。この日の夜、黒い皮製のリュック鞄を買った。値段は30元(約500円)。

 

 

 

 

 


アパート近くの「学生街」という場所❸朝と昼・夜にはガラッと様子が変わる街―学生街の昼と夜①

2017-03-25 12:02:37 | 滞在記

 アパート近くにある「学生街」の通りは、午前10時を境にして、ガラッと様子が変わってくる。学生街の細い通りにあるいろいろな店が開店をするからだ。早朝6時すぎから店の前で商売をしていた露店は9時半すぎには掃除をして商いを終え帰って行く。そして、10時以降は、中学生・高校生・大学生や専門学校生や若い人たちが集まる場所になっていく。土曜日や日曜日ともなれば、午前10時ごろから大勢の若者でごった返す街となる。

 若者向けのさまざまな小さな店が立ち並ぶ学生街の通り。ここは値段がとても安い。衣服の店、鞄の店、日用雑貨の店、ネイルアートの店、理容の店などなどがずっと並んでいる。小腹を満たす露店の食べ物店もずらっと並ぶ。立ち食い・歩き食いの若い人が通りを歩く。

 ここでデートをしている若者も多い。この近く一帯には、中学・高校も多い。また、大学や短期大学、専門学校も多いので、平日でも 夕方になると けっこう多くの若者が集まる。

 学生街の通りの一角に福建師範大学に通じる門がある。この門を出ればすぐに師範大学になる。壁(塀)を隔てて、大学と学生街の通りが隣接しているのだ。この小さな門から、私が昨年度に授業をしていた外国語学部の建物まで徒歩2分くらいだ。

 ペットの犬や猫の店などもある。大学の塀には、ジーパンなどが並べられ売られている。

 タトゥ(刺青)をする店も数軒ある。30元(約400円)ほどあれば、ちょっとした買い物をして、食べてということができるので、高校生なども学校帰りによく立ち寄る学生街となっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


アパート近くの「学生街」という場所❷朝と昼・夜にはガラッと様子が変わる街―学生街の朝②

2017-03-23 08:12:48 | 滞在記

 陸橋を歩き、学生街の向こう側にある第2学生街に向かって階段を下りる。ウイグル族の男性がいっぱいのニンジンを売っている。形はさまざまなものがあった。ここにも朝市の露店が並んでいる。なにやら不気味な雰囲気の男性が何かを売っている。

 パイナップルを売る露店、3個で10元(約170円)からと安い。猪が黑豚をさばいている女の人。野性的な黒く硬い毛がついたままだ。品のよさそうなおばあさんが2人、顔立ちがよく似ているから姉妹かもしれない。若い頃は美人だっただろう。盆栽花などを売っていたので、「沈丁花(じんちょうげ)」と中国でよく売られている観葉植物を買った。

 買ったものを手にぶら下げながら、ウイグル族の若い夫婦と赤ちゃんの露店(クルミなどを売る)の後ろで一服。沈丁花の匂いをかぎにこの夫婦がやってきた。露店には、赤ちゃんを眠らせる簡易ベットが置かれている。

 この日の朝、学生街の露店でたくさんの物を買って、アパートに戻った。買ったものは、①菜の花の食材、5元(約80円)②沈丁花、20元(約320円)③観葉植物盆栽、18元(約280円)④オレンジの花8元(約130円)

 ⑤西洋梨3個、3元(約50円)⑥ニラ、2元(約40円)⑦たけのこ、8元(約130円)⑧鮑(あわび)8個、32元(約500円)

  合計 約100元(約1600円)

 ◆学生街の朝市・露店は、午前6時ころから午前10時前まで 毎日開かれている。