彦四郎の中国生活

中国滞在記

「日本概況」期末考査―12月29日に最後の前期授業となった―

2016-12-31 15:12:00 | 滞在記

 12月26日(月)、授業はない日だが、午前11から日本留学に関する4回生との懇談があるので大学に向かう。前に座っている50代くらいの男性が バスの床に「鼻ビュー(鼻水を上手に指を使って飛ばす)」をやっていた。「汚い!!バスの中でするなや!!」と思う。前日の帰りのバスの中では、40代の男が バスの昇降口付近で 痰(たん)を吐いていた。こんなことをする人は少数だが、よく目にする光景だ。大学のバス停に近づくと、たくさんの人が白い装束をして歩いていた。葬儀の行列だった。葬列の先頭は 賑やかな音楽を演奏する楽団(葬儀専門)。

 11時から陳さんと日本留学に関する相談を始めた。彼女は7月から日本に行くことになっている。懇談が終わり、休憩を1時間ほどして2時ころ研究室を出る。測量をしている工学部の学生たちの姿。

 12月27日(火)、8時半からの授業に行くために 6時半にアパートを出る。まだ薄暗い。付近は不法駐車の列が道路に整然と並んでいる。このため自動車のすれ違いはできなくなるので たいへん迷惑するが、警察の取り締まりはない。中国全土 同じだろうと思う。大学で、スミレの花が開花していた。椿の蕾が膨らみ、一輪が開花していた。冬の進行と春の到来が同時進行のような亜熱帯の福州。今週は、授業をする教員はほとんどいないので 学生たちも のんびりと過ごしている。大学構内で釣りをする学生の姿も見られた。

 この日の午後2時から4時まで、「日本概況」の期末考査を実施した。

 福州には「綿の木」が多くある。私達日本人が知っている背の低い綿の木ではない。高くて太い樹木。春先から夏にかけて種ができる。その種の周りにはたくさんの綿が付く。そして、今の季節に種が大きくなって果実となる。夜の大学構内。

 翌日28日(水)、通勤のバスに乗る。バスの中にあるテレビ報道で、真珠湾に慰霊に行った安倍首相に対して「先に慰霊・謝罪に行くべきなのは アメリカではなく まずは 中国に来るのが筋だろう!」という報道内容。「中国の大学関係者がこのことに関して 公開質問書簡を日本側に送る」とも報道していた。

 安倍首相とともに真珠湾に行った稲田防衛大臣。その翌日に彼女は靖国神社を参拝したことも物議をかもしだしていた。安倍首相の重要女性側近である稲田朋美 そして高市早苗は 右翼団体とのつながりもある。これからの日本の未来を考える際に、中国との関係・アメリカとの関係、ロシアとの関係をどう構築していくのかが最重要の課題である。安倍首相という人は、首相としていろいろ評価できることはある。しかし、歴史認識については 非常に勉強不足の感がいがめない。はっきり言ってできが悪い。これが彼の最大の弱点・アキレス腱だ。

 ちなみに、稲田朋美は福井県の今立郡今立町(現・越前市)の出身(私の故郷の隣町)。福井県選出の衆議院議員だが、彼女の歴史認識も コメントなどを聞く限り かなりできが悪いと思う。カジノ法案を推進した日本維新の会をのさばらしている大阪人は もう恥ずかしくないのか言いたいが、稲田朋美が同郷と知って、私も少し恥ずかしい。高校は京都の乙訓高校を卒業し早稲田大学に進学したようだ。父親は高校の教員(校長)だった。

 この日、8時半から10時10分まで2回生の「総合日本語3」の授業をする。授業終了後、学生たちは 30日(金)にせまった「日本語劇」の発表に向けての練習を始めていた。11時より、3回生の馬さん(河南省出身)の進路相談(日本の大学の大学院か中国の大学の大学院かを希望している)のため研究室で会って話した。

 大学のバス停付近で バス待ちをする(工人―地方からの出稼ぎ労働者)の姿。バスに乗ったら、女子学生が座ろうとした席に、学生を押しのけて座ってしまった50代の男性が前に座った。マナーのなさに見ていて気分が悪くなる。

 翌日29日(木)が、前期最後の担当授業となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「イー・アル・サン・ス―」がこだまし続ける行軍練習や武闘練習―大学一回生の「軍事訓練」 

2016-12-31 05:43:24 | 滞在記

 中国には韓国などのような「徴兵制度」はないが、1990年代の江沢民政権下より始められた学校教育における「軍事訓練」というものがある。小学校では高学年になると2〜3日間、中学校では新入生を対象に5日間あまり、高校では新入生を対象に1週間あまり、そして大学では一回生の軍事訓練が通常2週間あまり行われる。その「軍事訓練」の実施時期や実施期間は学校の裁量に任せられているようだ。

 中国の学校は9月から新学年が始まるので、全国的には9月に軍事訓練が行われることが多い。閩江大学では2年前までは、9月に2週間行われていた。この時期、福州は ほぼ連日35度を超える季節である。昨年は、11月に2週間実施されたようだ。福建師範大学では昨年は3月に実施されていたように記憶している。休日なしの14日間の訓練はなかなか厳しいものがある。

 12月24日(土)のクリスマスイブの日より始まった今年の閩江大学の軍事訓練。朝8時から訓練開始、昼に2時間半あまりの昼休み時間があって、午後2時から4時半ころまで訓練が続く。ひたすら、「イー・アル・サン・スー(1・2・3・4)」の大きな掛け声とともに行進の練習。武闘訓練もある。実弾射撃訓練が行われる大学もあるようだ。今年は、12月30日(金)までの7日間に短縮されたらしい。

 閩江大学の学生数は2万人。各学年は5000人あまりだから、この軍事訓練には5000人が一堂に訓練を受けていることになる。私の研究室のある「福万楼」の近くにある大学のスタジアムとその周辺に 「イーアルサンスー」が連日大きくこだます。

 上記の左3枚の写真は、昨年の「軍事訓練」での写真だが、今年度の服と違い「模様の入った迷彩服」だ。今年は、シンプルな軍服。昼時、午前中の訓練を終えた 一回生たちで 第一食堂は ごった返していた。

 12月26日(月)、この日は朝から天気が良すぎて 青空と太陽が全開。陽射しが強く、日傘をさして「軍事訓練」の場所に向かう女子学生も多かった。陽射しのあたる場所は、34度くらいの体感温度。軍隊の部隊が来て 軍事訓練の教官として訓練を指導する。教官たちが訓練場に行軍しながら向かう。さすがに行進が堂に入っている。

 12月30日(金)、訓練の最終日。訓練が全て終了し、軍隊の部隊の5台の大型トラックが 訓練を終えて隊員たちが帰る際、数十人の学生たちが トラックを囲み 別れを惜しんでいた。中には涙ぐんでいる女子学生もいた。

 

 

 

 


クリスマスイブの日、「日式クラブ」に行く―『花戦さ』、『セックスボランティア』を読む―

2016-12-28 06:20:20 | 滞在記

 12月24日(土)、クリスマスイブの日。昼頃、アパートの下の「先祖廟」から炎が舞い上がっていた。年末の雰囲気が街にも流れ始めた感じがする。中国の人たちにとっての本当の年末・年始は「春節」[旧正月](※今年は2017年1月28日)である。しかし、12月末ともなると 「春節」の前哨戦的な それなりの年末となる。(◆大学は12月30日まで授業があり、12月31日[土]〜1月2日[月]までが休み。3日から始まる。)

 クリスマスイブの夜を 一人で過ごすのは お互いにちょっと寂しいなということで、福建師範大学教員の亀山さんから数日前に連絡があり、この日の夕方の7時すぎに 市内の日本料理店「福膳」で 待ち合わせをした。お客さんがいっぱい(※ほとんどが中国人)で席がとれなかったので、隣の店で まずはビールで乾杯した。

 福州には180人あまりの日本人がいるようだが、そのほとんどは日系企業の駐在員の人たちだ。そして その駐在員の人たちが よく行く「日式クラブ(日本式クラブ)」というのが5〜6軒ある。店の女性は、多少は日本語会話ができる中国人たちだ。まあ、日本でいえば 「スナック」という感じだろうか。こういう「日式クラブ」に 久しぶりに亀山さんと2人で行った。店に行くと たくさんの日本人たちで溢れていた。福州日本企業会の副会長・小池さんなど 顔見知りの人もいた。

 この日は、「クリスマス・イベント」があって、ビンゴゲームやローソクの炎を息で吹き消すゲームなどが行われた。いずれも景品が当たる。(私は日本の「焼酎-いいちこ」がもらえた)  アパートに帰ると、入り口のドアノブに「りんご」と「ショートケーキ」の小箱が掛けられていた。福建師範大学の2人の学生が置いて行ってくれたようだ。ありがたい。この日、亀山さんが泊まっていった。

 『花戦さ』(鬼塚忠)を読んだ。花の名手「池坊専好」を主人公とした史実をもとにした物語。利休との深い相互理解と友情、秀吉に対する怒り----。私は、この本を読んで 華道の家元「池坊」の歴史の一端を初めて知った。この物語の映画は2017年6月に全国公開されるようだ。原作はとても優れた「歴史小説」だった。生け花をする日本人の自然への感受性や自然観の不思議さというものを 外国生活の中で思うようになった。

 同じような題名の『花いくさ』(岩崎峰子)という本を、7〜8年前に読んだことがある。なかなか素晴らしい本だった。祇園の名芸妓 岩崎峰子さんの 実話が綴られていた。祇園など京都五花街のことや舞妓や芸妓、茶屋、置屋など この世界のことがよくわかる本でもあった。3年間の間 、毎日通い続けて 峰子を指名し続けた勝新太郎との恋(彼は当時、中村玉緒と結婚していたが、その後離婚。)など 彼女は この世界では とても有名な人のようだ。現在も この祇園で暮らしているようだが-----。12月23日の夕方、たまたま この『花いくさ』を映画化したものが、BSフジで放映されていたので見た。峰子役は井上真央だったが、「井上真央さんってなかなかいい女優さんなんだ--。」と初めて思った。ああ、京都の町並みと鴨川が懐かしいなあ。

 『セックスボランティア』(河合香織)という本を読了した。「性」とは 人間にとって生きる根本-----。それは たとえ障害者であっても同じこと。「性」という文字は「心が生きる」という意味をあらわしている。まさに、その文字が意味するように、人間にとって 異性というものの存在は 生きる根本の一つなのだと つくづく思い知らせてくれるルポルタージュの著作であった。(2006年頃に初版、現在も重版[18版]が重ねられている)        川端康成の『山の音』や『眠れる美女』、谷崎潤一郎の 作品群、そしてこの河合さんの本など---。「人間とは どんな生き物なのか--」ということの根源の一つ「性」ということを 教えてくれる。

 

 

 

 

 

 

 


いつでも何処でも人の輪ができるという中国社会―これは、この国の良さだな……。—

2016-12-26 05:51:43 | 滞在記

 いつもは、午後8時半〜9時ころに眠くなり、翌朝の午前3時〜4時頃に目覚める。これは、日本にいたころからの十数年来の習慣のようになっている。12月23日(金)、この日は授業がない日だが 午後から卒業論文指導や日本留学相談等があったので、大学の研究室に行った。住宅団地のアパートの部屋を出てしばらく歩く。9月の大型台風で根こそぎ倒れて枝も伐られた樹木から 再び若い枝が少し伸び始め葉をつけてきていた。多くの洗濯物を 工夫しながら干している風景も見られる。

 今住んでいる「蘭庭新天地」というマンション型住宅団地は、3000世帯あまりが暮らすけっこう大きな新興住宅団地である。ここらのお年寄りや年配の人たちが、天気がよければ 自然に人が集まり ひがな一日 おしゃべりをして過ごすという光景が日常的にみられる。お年寄りに限らず、いろいろな年代の人たちが いろいろな場所に集まって トランプやマージャン たんなるおしゃべり などをしていると、そこに輪を描くように 人が集まってその様子を見たりしている。

 このような新興住宅の場所でも 人々が集まって そこに輪ができて 暮らし合うという中国社会。日本でも 地方の農漁村に行けば まだ少しはこのような光景が見られるかもしれないが、ここ中国では 大都市の新興団地でも人々が集まりあうという光景が いたる所に見かけられる。これは、この国の 良いところだなと思う。

 福建師範大学倉山校区のバス停から43番バスに乗って30分〜40分。途中のバス停でバスを降りて41番バスを待つ。これに乗ってさらに20分~30分くらいすると閩江大学の北門バス停に到着する。そしてバス停付近にいるオートバイタクシーに乗車して研究室のある建物まで4〜5分。いつ来るかわからないバスの待ち時間を含めると通勤に アパートから大学研究室まで1時間半以上かかる。これは けっこう大変なので、途中のバス停からオートバイタクシーを利用することが多い。週に4回ほどは利用する。オートバイタクシーの運転手たちとは もうすっかり顔なじみとなってしまった。このバス停から研究室まで約10分くらいなので とても早く研究室まで到着できるので助かる。料金は15元(約250円)。

 ただし、このオートバイタクシーへの乗車は けっこう怖い。オートバイはほとんど信号を無視して走るし、運転手によっては かなりとばして走行する人も多いからだ。ちょっとした「命を預ける」という感覚で毎回乗車している。しかし、便利なので つい利用してしまう。研究室のある福万楼に隣接しているの建物群は、芸術学部や工学部などの建物。いろいろな彫像なども置かれている。

 ここ福州は空気がいいので、初冬の青空が広がっている。

 大学のグランドとその周辺は 針葉樹林の紅葉が始まっていた。たくさん見られる背の高いユーカリの樹木群は紅葉しない。

 午後、日本語学科ではないが 日本語学科の授業に1回生のときから 時間があれば授業にきて熱心に日本語を勉強していた学生(※中国の大学では、他の学部学科であっても聴講は自由である)の一人である陳さん(※中文学部)の卒業論文や日本留学に関する相談を受けた。また、午後4時半ころから1時間あまり 日本語学科3回生の学生二人への日本留学に関する相談を受けた。日がとっぷりと暮れていた。

 午後6時頃、バス停のある北門周辺では 屋台で食べる学生たちで溢れていた。(※大学構内には第一食堂〜第四食堂まで4つの大きな食堂があるのだが、大学周辺の屋台も 人気がある。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


外国語学部の学生による「ヨーロッパ・イベント」―初冬の大学(前期期末考査がせまる年末)

2016-12-25 10:34:10 | 滞在記

 初冬に入った福州。今年の初冬は暖かい。朝八時前に大学の研究室に着いて、八時半から始まる1時間目からの授業に必要なものを確認して、教学楼の建物に向かう。朝日に照らされた大学構内が美しい。

 教学楼に着くと、寮から教室に向かう学生たちが多くなる。広い廊下の机で自習にいそしむ学生たちも。クリスマスの花「ポインセチア」が最も美しくなっている。

 午前中の授業が終わって、研究室に戻る途中で 外国語学部(英語学科・日本語学科)の学生によるイベントが行われていた。今回は、「ヨーロッパの伝統衣装」を着てダンスなどを披露するというもののようだ。私が担当している日本語学科2回生の学生たちも一つのコーナーを担当していた。

 今週が終わると来週(12月26日〜)からぼちぼち期末試験が始まる。今週で「日本概況」と「日本近現代文学」の授業を終了したので、来週は 2回生の「総合日本語3」の授業を残すのみだ。