彦四郎の中国生活

中国滞在記

20億人超が国内外に移動、中国の超大型連休始まる―日本への旅行客も多数来日―処理水問題を気にする人々とあまり気にしない人々との違いについて

2023-09-30 08:49:19 | 滞在記

  9月27日(水)に厦門(アモイ)航空・福州―関空便で日本に一時帰国したのだが、この飛行機はほぼ満席だった。福州空港のチケットカウンターで、廈門航空・福州―成田便には長蛇の列ができていた。29日(金)、日本の毎日放送系の報道番組「ひるおび」を久しぶりに視聴した。「20億人超 今日から大型連休で大移動—訪日団体客に異変!?―"脱中国"の動きも」と題された特集報道がされていた。中秋節や土日の週末、そして国慶節での祝祭日が合計して10日間余り連続して続く今年の中国の"スーパーゴールデンウィーク"。この報道では、「超大型連休スタート 20億人超大移動!旅行先に異変!?」「航空会社 明日まで日本行の便はほぼ満席」などのテレップ(画面文字)。

 「国慶節海外旅行先ランキング 2019年:1位日本、2位マカオ、3位香港、4位タイ、5位アラブ首長国連邦 2023年:1位タイ・韓国、2位マレーシア、3位シンガポール、4位オーストラリア、5位イギリスなど」(中国のある旅行会社発表)、「観光庁高橋長官―処理水放出が日本への旅行客に与える影響は限定的と報告」のテレップ。

 29日に日本の羽田空港に到着した中国からの複数の旅行客への質問インタビューでは、「Q:日本食に心配は? A:来る前にネットで調べて、処理水に問題はなかったので心配していないです。」「Q:処理水については?  A:農業関係の知識があるので、処理されたあとの水はそう心配じゃないです。」「Q:日本食に心配は? A:(処理水の問題は)少し心配です。海鮮を食べる量を減らします。」などと答えていた。

 また、今回の国慶節期間中に日本に旅行に行くことを断念したりキャンセルした人に関しては、「日本に行きたかったのだが、親に反対されたのでキャンセルしました。もし、日本に行っていたら、多分、海鮮は食べます。でも、心配するので親には言いませんが‥」「以前日本を訪れた時には楽しかったので、また行きたかったです。でも今は行けない‥。地方公務員で、パスポートは職場で保管されていて、(日本旅行を)言い出しにくい雰囲気ですから‥」との報道も。

 8月上旬に日本を含む60ヵ国余りの国々への団体旅行が解禁されたばかりの中国だが、福島原発処理水放出問題を巡って、一定数の日本行キャンセルや日本行自粛があるようだ。最近の海外からの日本旅行に関しては、特に北米大陸からの観光客が激増傾向にある(2019年と比較して、カナダ34%増・米国18%増・メキシコ71%増)との報道もされていた。

■2019年の1年間、中国から日本に旅行した人は約900万人にものぼった。そのうち、70%は個人旅行客で、団体旅行客は約30%だった。今年2023年の国慶節期間、原発処理水放出問題で、日本への団体旅行客はブレーキがかかったが、個人旅行客のキャンセルなどの影響は限定的になったようでもある。(※現在、日本—中国との航空便数は、コロナ前の2019年と比較して、まだ50%ほどしか回復していない。)

 29日(金)の関西放送系の報道番組「NEWSランナー」では、この国慶節期間の海外旅行先の人気国として、「1位日本、2位タイ、3位韓国、4位マレーシア、5位シンガポール」(中国ネットサイト「百度」の発表)と報道されていた。この「百度(バイドゥ)は、中国では大手3社に入るネットサイトだ。

■中国人で「処理水問題を気にする人と気にしない人―その違いは何か?」

 この問題はなかなか難しいが、まあ推定されることは、団体旅行をする人々は、この問題を比較的、気にする傾向があり、個人旅行をする人々は比較的、気にしない傾向があるのではないか、ということだ。なぜ、そうした違いが出てくるかと言えば、中国では、団体旅行をする人々と個人旅行をする人々には、所得の差、情報入手の差があることに関係している。比較的所得の低い人々は個人旅行のビザ取得ができず、(年収25万元[日本円で約500万円]の年収証明がないと個人旅行ビザは取得できない。)

 中国の場合、この違いは、単なる所得の差というだけでない。その人の情報量や、海外からの情報量取得の差と深く結びつく。所得の比較的低い人々は国内メディアを中心に見ており、友人・知人などからの情報もほぼ国内が中心となる。一方、所得が比較的高い人は、国内外からの多様な情報を取得している傾向がある。

 

 


中秋節と国慶節が続き10連休の中国―私は"ふくらはぎの痛み"で歩行が辛い、日本に一時帰国し、診察と治療を受けることにした

2023-09-28 08:18:08 | 滞在記

 中国古代からの伝統的な四大節(祝祭日)は、1~2月の「春節」、4月の清明節、6月の端午節、そして9月の中秋節。その四大節の期間や日は、暦の上から毎年変わる。「春節」には手作り餃子を食べ、「端午節」では手作り粽(ちまき)を食べ、中秋節では売られている月餅(げっぺい)を家族で食べるのが習わしだ。今年の中国は、中秋節と国慶節が続くため、とても長い10連休もの休みとなる。(※4月の「清明節」は、先祖供養で墓参りなどをする日。この四大伝統節の他に、「国慶節」(10月)と「労働節」(5月)がある。)

 明日9月29日(金)は今年の中国の中秋節。月が最も美しくなるとされるこの日、街中にはランタンが灯され、月餅を食べながら祝う。日本での中秋の名月ではお団子だが中国では月餅‥。翌日の30日は土曜日、翌々日の10月1日(日)は「国慶節」となる。

 「国慶節」は、1949年10月1日に、北京の故宮にある天安門で毛沢東が中華人民共和国の成立を宣言したことを記念する祝祭日。毎年10月1日にはこの天安門広場や、全国津々浦々で、建国記念日式典が開催される。そして、この日から1週間余りが国民の祝祭日となる。(中国のゴールデンウィーク期間とも呼ばれる。)

 今年は10月1日から10月8日(日)が休みとなるため、9月29日(金)から10月8日(日)にかけて10連休にもなる。私は、今学期は毎週水曜日・木曜日は担当授業がない日なので、9月27日(水)から11日間もの休みとなった。例年、11月の大学運動会(3日間)の授業休講に合わせて日本に一週間ほど一時帰国することが多かったのだが、さて11日間もの休みにどのようにして中国で暮らすのか、悩むことにもなった。

 35度前後の悶熱の続く毎日、アパートから出かけるのも一苦労だ‥。アパートの二台の空調(エアコン)はとても古く、室温もかなり高いままで、快適に生活できるわけではない。さて、どうするか‥。この時期、観光地は人の波で埋め尽くされ、ホテルや列車や飛行機も予約しにくくもなるし、値段もとても高くなる。この10連休期間、9月23日までには、新幹線などの列車チケット予約販売数がすでに2億枚超を突破していた。

 迷ったがこの時期に日本に一時帰国することにし、その旨を大学に連絡し、了解をもらった。そして、9月16日頃に厦門(アモイ)航空便・中国福建省福州空港—日本関西空港を予約購入した。航空運賃(往復)は、国慶節期間のため、通常期間の2倍以上の約6000元(日本円で約12万円)もした。9月27日(水)に日本に帰国、10月6日(金)に中国に戻るという、10日間の日本一時帰国。そして、昨日27日に日本に帰国した。

 航空運賃がとても高くても、今回、日本に一時帰国することを決めた最大の理由は、右足の"ふくらはぎ"の痛みで歩行がとても辛くなっているからだ。今年の6月中旬から発症した坐骨神経痛による左足の太腿や臀部(でんぶ)の痛みは、6月25日から大学の夏休みで日本に帰国し、すぐに診察や治療に専念し、約1か月半後の8月10日頃には痛みが発症しなくなっていた。そのため安心して、京都鴨川の源流域を巡ることもやり、小高い山に登ることなどもした。

 お盆をすぎた頃から、右足のふくらはぎの痛みが少し始めたのだが、単なる山登りなどによる筋肉痛なので、湿布を貼ったりすれば1週間ほどで痛みは消えるだろうと思っていた。薬局に行って薬剤師に聞くと「まあ、日にち薬ですわ」と‥。そして、8月31日に中国に渡航‥。そのうちにふくらはぎの痛みも治まるだろうと思っていたのだが‥。なかなか痛みが引かず、より痛みが大きくなってきてしまった。50mから100m歩くと、右足のふくらはぎ全体がだるくなり始め、痛んできて、歩けなくなる。足のふくらはぎが「軽くつる(こむらがえり)」ような症状だ。そして4〜5分ほど腰をかけて休むと、痛みがなくなるので歩く。すると50mから100mほど歩くとまた痛み始めるので休むという症状だ。

 このため、大学に行くためにアパート近くのバス停まで、普通ならば10分ほどで着けるが、休み休みなので30分間はかかることに‥。「悶熱」の蒸し暑さと歩行の辛さのこの1か月間の中国生活だった。つまり、この症状は、単なる筋肉痛とはまったく違うということがインターネットで調べたらわかった。血管性の症状のようだ‥。

 この状態で11月の日本一時帰国まで体がもたないと判断し、日本で診察と治療を急遽受けるために、この9月下旬から10月中旬の一時帰国を決めた次第だ。今日から日本での病院通いの1週間余りの日々が始まる。一日も早く痛みを少しでも治めて、中国に戻れたらと‥。

 広い大学構内を徒歩で移動することもできないので。大学構内のいたるところに置かれているレンタル自転車を利用している。自転車で走る時は、ふくらはぎの筋肉を使うことはあまりなく、太腿の筋肉を使うので、痛みが生じることはほとんどないので助かる。市内でもいたるところにこの自転車があるので、利用できる。また、自転車のサドルを下げて一番低くし、痛みが生じた時にここに座って痛みが鎮まるのを待ったりもしている。レンタル自転車様さまだ。

 9月に入り、私の隣の部屋で工事が始まった。全面改修・リホームするようで、壁も壊して、新しい間取りにもするようだった。朝8時頃から夕方5時ころまでの工事の音や、振動が私の部屋に直撃してくる。ドッドッド、バリバリバリの電動と振動だ。私の部屋の台所の水道(水廻り)がおかしくなり始めたのもこの工事が始まってからだった。水道管や排水管からの水漏れで台所が濡れる。9月21日(水)、この日は授業がない日なので、一日アパートにいた。そして、台所の水道や排水管が振動のためか、ついに破裂し、水が少し噴水のようになってしまった。

 この日の午後、たまたま卒業生の王文重君がアパートに午後3時頃来てくれることになっていたので、私のアパートの大家さんに台所の状況を伝えてもらった。1時間後に大家さん(40代後半の恰幅のいい女性)が来て、状況を見て、隣の部屋で工事している人たちに、「あんたらの工事のせいでこんな状況になっている。修理が必要なので、この工事の責任があるから修理費を相当額だしてほしい」と交渉を始めていた。(築20年以上は経つので、もう、台所の水廻りもかなり老朽化していたのだが‥)そして、午後7時頃、修理屋さんと大家さんが来て、15分ほどで新しい水廻り設備修理が完了した。おかげで、このアパートに2016年より暮らし始めて、台所の水廻りが一番よくなった。

 ちなみに、工事に伴い、隣室や隣近所への工事関係者の挨拶などは、中国では一切ないようだ。日本では、タオルなどを持参して、「御迷惑をかけます」などと一言のべて挨拶に廻るのが礼儀だが‥。中国では、けたたましい突然の工事の音から始まる。

 9月10日(日)に、王君に「いい茶館がありますから」と、言われて一緒にその茶館にいくことになった。珈琲(コーヒー)と、いろいな中国福建省産の茶が飲める店だった。店主はまだ若い20代後半の男性。なんでも、彼の両親は日本で働いている時に知り合い結婚。10年間ほど日本で共に働いている間に彼が生まれたそうだ。出産のために母親は中国に帰国して、しばらくして父親も中国に帰国したとのこと。(ちなみに、彼は日本語はほとんど話せない。)

    店の前には、彼の赤いバイクが停められていた。イタリア映画「ローマ―の休日」で主人公の女優・オードリー・ヘプバーンが搭乗するバイクと同じ型の、イタリア製のバイクのようだ。

 この茶館の抹茶は絶品だった。抹茶の上にミルクで葉っぱのアート。ミルクの少しの甘さと抹茶の苦み・しぶさが絶妙にマッチして、飲みやすい。一緒に出された菓子も、食べたことがないような餅菓子。素晴らしい一服だった。(抹茶16元[日本円で320円]。餅菓子2個で6元[日本円で120円]。併せて22元で約440円の結構なお点前でした。)

 

 

 

 


前期授業の担当は4教科(2・3・4回生たち100人余り対象)、さらに11月からは「日本語劇」の指導も始まる―

2023-09-28 04:27:07 | 滞在記

 9月上旬から始まった大学の新学期(学年)の授業も、1か月余りが経過した。中国南部にある亜熱帯性気候の福建省福州市の夏は10月下旬まで続く。この9月の日中の最高気温はほぼ36度〜37度くらい。湿気も、ものすごいので、「悶熱(メンロウ)」と呼ばれる。中国国内で最も「悶熱」なところとして知られる福建省福州市の亜熱帯気候がまだまだ続く。

 広い大学構内には水辺も多い。9月上旬の台風11号(海葵)の影響で、ものすごい暴雨が降った福建省福州市(5〜6時間で約500mm)。大学構内の水辺もまっ茶色になったが、3週間余りを経過して、かなり水の色も澄み始めてきている。

 だだっ広い大学構内には森林が多い。バス停がある大学北門や南門までは徒歩20分くらいかかる。門や自分の大学研究室のある建物、授業を行う教学楼の建物、食堂などへの移動の際には、大学構内に置かれたレンタル自転車(20分以内なら1.5元[約30円]/スマホのアプリ使用で利用できる。)を日々利用している。大学の授業がある日は、1日に3~5回ほど利用することになる。

 大学構内にで授業を行う建物はたくさんあるが、その中心的な建物は教学楼と呼ばれる建物だ。この7月・8月の夏休み期間中に、1階から3階までの教室は、全てがリニューアルされていた。新しくきれいな机、新しい教室コンピューターが設置されていたのだ。この新しいコンピューターシステムに慣れるのに2週間余りを要した。4階から6階の教室は、現在も以前のままで、教室の後方の黒板には中国共産党の標語などが書かれたものが今も見られる。

 今学期(前期)、私が担当する授業は4教科。4回生(2クラス・約40名)の「日本文学作品選読」(2クラス合同授業)、3回生(2クラス・約30名―この学年は他に、現在、この9月より広島大学[4名]や神戸松蔭女学院大学[2名]、中国国内の他の大学[2名]などに1年間留学する学生が8名いる。)の「日本概況」と「日本語基礎写作」の2教科(共に2クラス合同授業)。そして2回生(2クラス・約30人)の「日本語会話3」(クラス別授業)。合計、約100人余りの学生たちとの授業担当となった。

 2回生たちは、この9月からの授業で初めて会った学生たちだ。1か月間でこの2年生たちとの人間関係も徐々にできてきているように思う。

 合計で、1週間に14時間(45分×14回)の担当となるが、それらの授業を準備するには、1週間に20時間以上の時間を要する。11月からはこれに加えて、2回生たちの「日本語劇」の指導を毎週、別の時間帯に行う担当にもなっている。「日本語劇」は、4グループくらいが12月下旬~1月上旬頃に、大学のホールで上演することになる。

■学生たちとの授業は、この1か月間をふりかえって、まあ、まずまずの内容だったかと思っている。だが、生活の苦労は、この1か月間、とても大変である‥。日々の歩行がとても辛い症状になっているからだ。このことについては次号に記したい。

 

 

 

 

 

 

 


福島原発処理水の海洋放出から1か月、この問題を巡る中国でのようす―日本料理(和食)店では、この1カ月間‥

2023-09-24 18:38:47 | 滞在記

 東京電力の福島第一原発の処理水海洋放出が8月24日に行われてから今日で1か月間が経過した。「日本大臣承認 日本排水"核汚染水"」と、8月24日より、中国のネットニュースではトップニュースとして報道され続けることとなった。

 この1か月間、中国の各局のインターネットニュースは、連日、トップ10ニュースのうちの2〜4までもがこの福島原発処理水問題ニュースに占められていた。「処理水」ではなく、「核汚染水」と報道され、それらのニュースで用いられる映像や動画、写真などの多くは、いかに"今回の海洋放出が人類に対する犯罪的な行為なのか""海産物に対する不安"を強く印象付ける内容のものが多かった。「我真的想殺了他門」(本当に彼等(日本)を殺したいです)」との字幕付きで、海洋放出に泣いて抗議する若い女性の姿などもネットで拡散した。潮流の関係で福島原発近くの海の色が少し変わる自然な現象の映像なども海洋放出と関連付けてニュース化されていた。

 海洋生物の多くの種類のDNAが核汚染水の海洋放出によって起き、30種類余りが絶滅の危機を迎えるや、癌(がん)の多発の危機などもニュースとして流されていた。今年の日本は9月下旬になっても残暑がとても厳しく、食中毒も多くの都道府県にて発生しているのだが、これも、ネットニュースを閲覧している中国国民としては、海洋放出との関連性を考えてしまうというニュース配列がされてもいた。

 日本の市民団体による、「原発止めろ! 放射能汚染水を海に流すな!」などの街宣行動での横断幕の映像も、中国のネットニュースでよく流されていた。

 この問題について、中国人の人たちと話すこともあったが、中国の原発の年間処理水と福島原発の年間処理水と比べて、中国の原発の処理水の方が何倍もトリチュウム許容基準値(安全基準値)が高いことや、年間放出量も日本より何倍も多いことなどは中国の人たちは知らないし、またそのような事実は中国の人たちには知らされないような報道規制がされてもいるようだった。つまり、中国では原発処理水の海洋放出はないというように思っている人がほとんどなのだろうと思う。このような報道環境にあっては、中国の人たちが今回の福島原発処理水の海洋放出を、「人類に対する犯罪」と思い込んでしまうのは自然なことなのだろう‥。 

 この福島原発処理水の海洋放出を巡って、最も大きな影響を受けたのは、おそらく中国国内の日本料理や和食の店かと思う。福建省福州市内の私のアパートからほど近くにある日本料理、和食の二軒の店(※これまでにも週に1~2回は通っている店)は、この1か月間はお客がほぼ入っていなかった。

 9月上旬頃、この和食の店の店主(日本語が堪能な中国人)たちは、「この3年間は、新型コロナのゼロコロナ政策の影響で客が来なくなり、なんとか出前のデリバリーなどでしのいできていた。そのゼロコロナ政策が今年の1月には撤廃され、ようやく店に客が戻り始め、春からは中国で日本食ブームも起きて、たくさんの客が来てくれるようになって喜んでいたのですが‥。今回の問題で、客がほとんど来なくなりました」と困り果ててもいた。

 そして、1か月間が経過してのこの9月下旬になり、以前ほどではないが、ようやく中国人客がぽつぽつと来店するようになっても来ている。昨日の23日(土)の夕方、そのうちの一軒の和食店に行ったら、中国人のお客でほぼ満席となっていたのには驚いた。1週間前までは閑古鳥が鳴いていたのだが‥。そして、中国のネットニュースのトップ10にも変化が出てきていて、トップ10ニュースのうち2〜4本の記事が海水放出問題だったのが、現在ではトップ10ニュースのうち1~2本くらいに減少している。つまり、かなり下火になっているのだ。これは、9月4日からインドネシアで開催されたASEAN国際会議や9日からインドで開催されたG20の国際会議において、今回の福島原発海水放出問題で中国政府の抗議に同調する国々がほとんどなかったこととも関係しているようにも思われる。

■中国の漁業関係者にも、この福島原発処理水海洋排出を巡る、中国国内の世論が大きく影響してきているようだった。中国国内で海産物が売れなくなってきたのだ。中国の漁業は、日本近海での漁獲量がとても多いため、影響は大きく、水産物市場の減少につながってしまったようだ。

 9月4日からインドネシアのジャカルタで開催されたASEAN・アジア諸国連合の国際会議で6日、中国の李強首相(序列NO.2)は「核汚染水」と表現して日本政府の海水放出を強く批判した。それに対して、日本の岸田首相は、国際原子力機関(IAEA)の認可も降りている放出であり、中国政府による日本の水産物全面禁輸の即時撤廃を訴えた。

 この中国政府は日本政府に対する批判に同調することをASEAN諸国に期待したが、そうならず、李強首相は翌日7日からは日本批判のトーンを下げることとなった。

 そして、9月9日からインドのニューデリーで開催されたG20では、中国政府は処理水を巡る問題の日本批判はしなかった。このような中国政府のトーンダウンを受け、日本の岸田首相はG20会議では、「一部の国が突出した行動をとっている」として、日本産水産物の輸出停止措置を批判した際、中国を名指しすることは避けることともなった。そして、9月22日の国連総会で、中国の一帯一路政策などに強い共感をもっている太平洋にある国・ソロモン諸島の首相は、「日本の海洋放出に愕然(がくぜん)としている」として、日本政府を批判する演説を行った。中国、ロシアや北朝鮮についで、4つ目の福島原発処理水への批判国となった。

 中国外交部報道局の毛寧報道官(副局長)は、8月10日頃から、福島原発処理水(核汚染水と表現)海洋放出問題に強い:懸念や批判声明を出し続けてきていた。しかし、9月中旬になり、日本の岸田内閣の内閣改造発表に際して、「中国政府は、日本との建設的で安定的な関係を築きたい」との声明を出したり、9月22日には「日中韓の首脳会議開催は共通の利益にかなうだろう」との声明を出したりと、日本や韓国とのこれ以上の政治的緊張関係の拡大を避け、関係修復を探る発言が目立つようになってもきてもいる。

■日本の日本共産党も中国共産党と同じように、「処理水」と表現をせず、「汚染水」との表現をとり続けている。

 8月11日付朝日新聞には、「中国訪日客 秋に期待―8/10 団体旅行解禁を発表 業者歓迎」の見出し記事が掲載されていた。そして、8月24日付の日本のYahooニュースには、「8/23夜 羽田空港に到着 中国の団体旅行客解禁第1弾」との見出し記事が掲載されてもいた。

 中国では、9月29日(金)が中秋節の祝日、10月1日(日)から8日(日)までは国慶節の祝日となり、10日間は学校や会社も休業となるため海外旅行に出かける人も多い。8月上旬までは、日本がその外国旅行先人気の第1位となっていたが、この福島原発の処理水問題を巡り、その影響で訪日キャンセルもかなり出たようだ。タイ政府は中国人観客をこの国慶節期間に合わせ呼び込むために、9月25日から40日間の「中国人旅行客のビザ免除措置」を出したこともあり、タイに海外旅行先を変えた人も多いと予測もされる。

 


6000人余りの新入生たちが入学してきた―父母とともに寮生活に必要な生活用品を買う光景も

2023-09-24 05:48:16 | 滞在記

 9月4日(月)から新学年での授業が開始された閩江大学だが、今年の9月入学の新入生たち(約6000人余り)は9月8日(金)に大学に一斉にやってきた。学生たちは全員が大学での寮生活がスタートする日でもあり、父母とともに大学に来ている学生たちもかなり多い。なかには祖父母らしき人や兄弟姉妹らしき姿もみられる。大学には第一食堂から第四食堂までの4つの大食堂があるが、この日、父母たちとともに食事をとる光景がたくさん見られた。

 大学の各学部の寮が集まる付近には、各学部の案内ブーステントがあり、在学生たちのボランティアが学生や父母を寮内の部屋まで案内したりしていた。寮の部屋は4人〜6人が一般的だ。第一食堂のとなりには外国語学部の女子寮の建物群があり、外国語学部ブーステントが置かれていた。

 第一食堂横には便利店(中国のコンビニ)があり、この日は店の外まで、寮生活に必要な生活用品が売られている。洗面用具や布団、布団の下に敷くマットレスなど‥。父母とともにそれらを買い求める光景だ。遠方より父母や親せきの人が運転する自動車で大学に来た人もけっこうあり、車には生活用品を持ち込んでくる。福州市内の新幹線駅には布団を持参してきている学生たちの姿もよくみられる中国。

 8日(金)の午後、私の研究室のある建物近くの運動場(大学スタジアム)では、翌日9日(土)に行われる「入学式典」の準備がリハーサルが行われていた。この入学式に参加する父母たちもけっこう多いようだ。「入学式典」のあと、各学部・学科ごとのオリエンテーションが大学構内各所の教室で行われ、11日(月)から新入生たちの授業(講義)も開始された。

 8日(金)、午前に2コマ(90分×2)、午後に1コマの授業を終えて、午後4時頃に大学正門(南門)近くのバス停からアパート方面に向かうバスに乗った。10年前の2013年頃に比べると、ごみのポイ捨てなどのマナーはずいぶんと良くなってきている。特に20代や30代の人たちのマナーが‥。しかし、50代・60代・70代の年輩の人たちの社会的なマナーはなかなか良くならない。目の前にゴミ箱があるのにゴミのポイ捨てをする、バス車内での大声での電話や仲間との話などなど‥。この日も、そんな光景をたびたび見ることになった。

 50代後半とくらいとおぼしき女性、鼻をかんだテッシュペーパーをバスの窓に挟んで捨てていた。乗り換えのバス停では、40代くらいの男性と女性が、バス停の椅子に人がいるにも関わらす、その前で車を一旦停車して、車内から突然に空(から)のペットボトル数本を投げ捨てた。バス待ちをしている人の足元にペットボトルが転がってきていた。こんな光景をぼぼ毎日のように目にする。

 8日(金)の夕方、アパート近くのバス停で下車。女性か男性か分からないほど、コートを着て、つば広帽子を被った人が歩道に正座をして物乞いをしていた。5元札(約100円)を入れる。

 この物乞いの人が座ってる場所から50mほどの所に、かって勤務していた福建師範大学の倉山校区の正門がある。福建師範大学でもこの日に新入生たちが父母たちとともに来校してきていたようで、正門前でいっしょに記念写真を撮っている光景がみられた。