彦四郎の中国生活

中国滞在記

ロシア・プーチン大統領によるウクライナ侵略➊―ついに、プーチンは侵略に動いてしまった

2022-02-28 19:46:07 | 滞在記

 北京冬季五輪が始まる前の1月から、ロシア・プーチン大統領はウクライナとの国境に10万以上のロシア軍を配備。その後、北京冬季五輪が終了する2月20日までに、国境付近のロシア軍は19万人超に増強。独裁国家であるベラルーシ・ルカシェンコ大統領とともに、ロシア・ベラルーシの合同演習を行い、いつでもウクライナに多方面から侵攻する準備を整えた。

 2月19日付朝日新聞「ウクライナ首都キエフ地下鉄エスカレーター 日常のラッシュ」の見出し記事。しかし、2月20日には、事態が急展開し始め、「"ロシアが進行決断"―バイデン氏"ウクライナ首都も標的"」の見出し記事。2月22日付同紙には、「米ロ首脳協議へ原則合意(2/21)」の見出し記事。

 キエフ市内には、「UKRAIANS  Will  Resist」(※ウクライナは抵抗するだろう)の横断幕が掲げられた写真も掲載。日本国内のロシア大使館前では、「プーチンは手を出すな!」との、在日ウクライナ人たちの抗議集会が行われていた。

 「米ロ首脳協議への原則合意」から1日たった2月22日(ほぼ北京五輪閉幕から1日後)、事態は急展開。プーチン大統領は、ウクライナ東部の反政府勢力(親ロシア派武装勢力)が実効支配している地域の独立を一方的に承認(自称「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」)、そして、その地域へのロシア軍の侵攻を始めて行った。

 2月23日付朝日新聞には、「親ロシア地域に進駐へ ロシア、独立を一方承認/ウクライナ・米国、本格的侵攻を警戒」、「力ずく 停戦合意(2015年ミンクス合意)を破棄」の見出し記事。

 2月22日付夕刊紙フジには、「ウクライナ東部"独立" 露軍進撃命令」の見出し記事。プーチン大統領は、「進撃の目的は、8年間ウクライナ政府に虐殺され続けてきた市民を守るため」だとし、「ミンクス合意は殺された」と宣言。(※このプーチン大統領の発表は真っ赤な嘘宣伝。ミンクス合意を殺したのもプーチン大統領。) 数万のロシア軍が22日から23日にかけて、ウクライナ東部に侵攻(侵略)してきた。

 2月23日、日本のテレビでは、「ロシア派兵、侵攻の始まり」と報道。アメリカのバイデン大統領は、「ロシアによるウクライナ侵攻の始まり」と述べ、米国ブリンケン国務長官は、「24日に予定されていたロシア・ラブロフ外相との協議を中止」、「米ロ首脳会談は現時点で協議の意味も計画はなくなった」と報道。

 2月24日付朝日新聞朝刊には、「ロシア進軍どこまで 首都攻撃も可能性」の見出し記事。ウクライナ東部の"自称国家"に進駐したロシア軍が、今後ウクライナのどこまで侵攻(侵略)するのかが大きく注目されることとなった。事態は急変を告げる。すでに、ウクライナ東部では、ロシア軍とウクライナ軍との戦闘が始まり、戦死したウクライナ将校の葬儀の模様を伝える映像も流された。

 この時点でも、NATO軍事務局長(上記写真右端)は、「NATO軍のウクライナ派兵はない」と表明した。

   今から3カ月ほど前の、2021年12月上旬、ロシアのプーチン大統領はインドを訪問し、インドのモディ首相と会談した。その会談内容の一つ(プーチンにとって最重要課題)は、「もしウクライナ侵攻を始めても、インドは中立の立場をとってほしい」との確約をとることだったと推測もされていた。この時から、本格的にプーチン大統領の腹は固まっていったのだろう‥。ついに、プーチンは侵略に動いてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


北京冬季五輪閉幕す―良い面も悪い面も五輪だなあ、と‥ 際立ってもいた五輪の政治性

2022-02-23 09:01:30 | 滞在記

 17日間にわたって開催された2022北京冬季オリンピックがついに閉幕した。開幕前から、そして開幕中も、さらに閉幕後も、中国国内においての五輪関連報道の中心にいた選手の一人が谷愛凌選手(19)だった。米国生まれ(父は米国人・母は北京出身の中国人)。父も母も谷愛凌も米国籍だったが、2019年に、おそらく母と谷愛凌だけが中国国籍を取得。アメリカは二重国籍を認めている国なので二人とも米中二つの国籍を現在は持っていると推定されている。しかし、中国は二重国籍を認めない国なので、中国政府の発表では、「谷愛凌はアメリカ国籍を捨てて中国国籍を選んだ」としている。

 この国籍問題を谷愛凌に海外の記者団が質問すると、彼女は回答は避けているので、おそらく二重国籍なのだろうと推測されている。彼女は競技実績も抜群な人な人だったので、米国代表として北京冬季五輪に出場できるのは確実だったが、特に中国政府と母親の強い勧めがあり中国代表としてこの五輪に参加した。いくつかの種目に出場し、金メダル2・銀メダル1を獲得した。

 もう一人の、「米国籍を捨てて中国国籍・中国代表を選んだ選手」として、中国政府がプロパガンダをおこなっていた選手が、フィギュア女子の朱易(17)だった。父も母も中国出身で、米国籍だったが、両親も朱易も2018年に、アメリカ国籍から完全に中国国籍になった。父は世界でも有名なAIの研究者。「父も娘も米国籍を捨てて、中国国籍を取得した」と、ここ半年間あまりは中国国内ではおおいに宣伝された。しかし、国際大会の実績もまったくない朱易は、この北京冬季五輪フィギュア団体では演技らしい演技がなかなかできず、泣き崩れたため、中国国内で大きなバッシングを受けることとなってしまった。しかし、中国政府はこの「米国籍を捨てて中国を選んだ」神話をなんとか維持するために、女子フィギュア個人のSPで、泣かないでなんとか笑顔で演技を終えたことを称賛した。このため、中国国内のバッシングも収まってきた。

 いずれにしても、この二人の選手の存在は、米中対立の政治状況を大きく反映した、中国の「アメリカより中国が優れているんだ」という政治宣伝(プロパガンダ)の象徴的な存在だった。

 2月19日付朝日新聞には、「跳び越えられる米中の枠―米国出身、中国代表 谷愛凌」の見出し記事。この記事は、この中国のプロパガンダについては、ほとんど言及していない記事内容。「称賛とバッシング―中国籍の米国出身五輪選手に」の見出し記事も。

 大会最終日が目前の2月19日、これも注目されるフィギュアペアのフリーの競技が行われた。日本からは木原・三浦ペアが出場した。そして、なんと0.63点の差で中国の韓・隋のペアが悲願の金メダルを獲得した。とても魅了される、二人の演技だった、この二人のペアは10年以上のペア歴をもつ。銀と銅はロシアのペアだった。

 このフィギュアペアの中国代表金メダル獲得により、今大会での金メダル獲得数において、初めて中国はアメリカを越した。(中国9個、アメリカ8個)  これは、中国政府にとっても「米国に勝つ」という政治的目標があっただけに、おおいに宣伝され(プロパガンダ)、中国国内も歓喜に包まれた。中国国内の各マスコミには、「冬奥最新金牌榜:中国代表団9金超越米国」(※冬の五輪、最新金メダル獲得情報:中国代表団はついに米国を追い抜いた)の見出し記事が躍った。金銀銅のメダル獲得総数においては米国は25個(中国は15個)だが、とにかく肝心の金メダル数においては米国に勝ったという大きな宣伝だ。

 19日夜、フィギュアスケートの最後を飾るエキシビションが開催された。このエキシビションで最も注目を集めたのは羽生結弦の演技だったのかと思う。会場の歓声がひときわ大きかった。美しい、「これぞ男子フィギュアの美」という感のある、世界が魅了される演技だった。

 エキシビションのフィナーレ、全選手がリンクに登場。中国代表の金選手が羽生に歩みより手をつなぐ、中国代表のアイスダンスの男性選手(身長は190cm以上ある)も羽生を、なんと抱きかかえるお姫様だっこ。この映像は、世界のみならず、中国国内では大きな歓喜で受け止められた。北京冬季五輪終了後も連日、羽生関連の報道が続き、中国国内での「羽生フィバー」はしばらくは止まりそうもない‥。逆に、米国代表の金メダリスト、ネイサン・チェンに関する報道は冷淡だ。その大きな理由は、彼の父(中国・広西チワン族自治区出身)も母(中国出身)が中国国籍を捨て、米国籍を取得しているからでもある。ここにも米中対立の政治的影に覆われてもいる。

 開会式のあった2月4日は、中国でも日本でも「二十四節気」の「立春」だった。そして半月後の2月20日の閉会式が頃は、季節は「雨水(うすい)」(※春に目覚める植物や虫たちにとっての恵みの雨の季節)となった。1月31日から始まった中国の春節は、2週間後の2月15日の元宵節をもって終わることとなった。この元宵節の夜、中国では各家々にはランタンが灯され、町中の通りもランタンが飾られる。

 2月20日、夜の8時(中国時間)頃から始まった2022北京冬季五輪の閉会式。全体総合演出は、開会式に引き続き張芸謀。閉会式にもストーリーがあった。中国伝統のこのランタンが登場、会場の観客の一人一人もランタンに灯をともした。

 閉会式という別れの場、ここに「中国という国を象徴する樹木である柳(やなぎ)」にまつわる演出があった。中国において、この柳は、「別れと再会」(※柳の下で長い別離を惜しみ、そして、再びこの柳の下で再会する喜び。)を意味する樹木。柳の枝に新葉が芽生えるようすを、薄い緑色の衣装をまとった女性たちが表現。そして、季節は移り、柳の花が咲き、綿毛(種)が飛び散り、再び芽生える。こんなシーンを張芸謀は演出してみせた。見事だった。シンプルな中にも、高い芸術性が演出されていた。

 そして、閉会式の最終場面、何千というランタンの映像が会場内を浮遊し始め、北京の空に舞いあがっていった。見事!。

 会場の国家スタジアム(鳥の巣)を包む花火の美しさ。北京冬季五輪はここに幕を閉じた。

 2月21日付朝日新聞には、「閉幕 異例続き―コロナ下 薬物疑惑も/認め合う姿に 五輪の価値が」、「輝き続けた 最後まで」、「次の舞台 羽生"舞台問わない"」、「日本選手団 最多18メダル 首位はノルウェー」などの見出し記事。ちなみに、今大会でのメダルランキングでは、「1・ノルウェー(金16)、メダル総数37、2・ドイツ(金12)、メダル総数27、3・中国(金9)、メダル総数15、4・アメリカ(金8)、メダル総数25、‥‥‥12・日本(金3)、メダル総数18」などとなっていた。22日には、「北京に見えた4つの課題―①ドーピング できてしまった前例、②技の高難度化 刺激と安全の両立は、③組織委の警告 人権語る空気消えて、④SNS中傷 "自衛"強いたまま」の見出し記事が掲載されていた。

 今秋に開催される中国共産党大会で異例の3期目入りが確実視されている習近平国家主席(党総書記)の実績が、この北京冬季五輪でまた一つ加わった。「外交ボイコット」に踏み切った欧米などのいくつかの国を、「スポーツの政治化に反対する」と批判しながら、五輪を政治的に最大限に利用したのは間違いなく中国だった。私は、この「五輪の政治利用」について一定は、「それはどの五輪でもあるだろう」とは思う。だが、今回の北京冬季五輪は一定以上にそれが際立っていた印象だ。

 2014年のロシア・ソチ冬季五輪における国家ぐるみのドーピング問題で、それ以降の五輪では、ロシアという国の参加は認められず、ROC(ロシア五輪委員会)という名称で個々の選手が五輪に参加している。このため、ロシアのプーチン大統領は五輪大会には招いてはいけない人だったが、中国政府は今回、特例で招待して「国賓」扱いをした。これは欧米日に対抗する政治的意図があることは明らかだ。

 そして、大会が終了し、過去最多のメダル15個(金9)を獲得した中国選手団の活躍と、新型コロナウイルスパンデミックが世界で続く中での2度目の五輪成功は、中国の国威発揚の役割を十分に果たした。中国国営メディアは「五輪を通じ、信頼され、愛され、尊敬される中国を世界は見た」と自賛した。

 習近平中国国家主席とプーチン・ロシア大統領という二人。「78億分の2」の男のこの二人の存在に、世界は揺り動かされている。そんなことを強く感じもする異例の五輪でもあった。

 大会期間中の2月16日発売の中国共産党理論誌『求是』で、「決して西側諸国の法治体系を基準にしたり、"追っかけ"をしたりしてはいけない。中国には中国という国に最も適した法治・統治体制、中国流民主主義があるのだ」と強調した。増大した国力を背景に、盟友プーチン大統領とともに、国際秩序の変更を目指す中国、そしてロシアと、欧米日を中心とした民主主義陣営との対立がより一層に明確、より対立的にもなったこの北京五輪でもあった。

 2月13日付朝日新聞に「ウクライナ選手"NO WAR"訴え IOC容認"一般的な平和の願い"」の小さな見出し記事。政治的・社会的な主張をこの大会期間中に選手に厳禁している中国政府とIOC。そんな中、ウクライナのスケルトン競技の選手が、「NO   WAR  in  UKRAINA」(※ウクライナに戦争はいらない)と書いた用紙を掲げた。そして、「私は戦争を望んでいない。母国と世界の平和を願っている。それが私の立場だ。」とコメントした。この出来事に対し、IOCは「まあ、一般的な平和への願いのメッセージ」として容認した。ウクライナ国内には、ロシア軍の侵略に備えて「UKARINIANS  will  resist」(※ウクライナ人は(ロシア・プーチンに)抵抗し戦うだろう)の大きな横断幕も掲げられている。

 昨日2月22日、ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ東部へのロシア軍の侵攻を許可し、ロシア軍はウクライナ東部に進軍した。侵略という歴史に残る暴挙である。

 今日2月23日付朝日新聞には、「北京 良い面も悪い面も五輪だな、と―相手への称賛と政治面と・東京が意義考える機会に」の見出し記事が掲載されていた。

■—次は、2030年サッカーワールドカップの開催国招致を目指す中国―

 今年2022年6月、サッカーワールドカップは中東のカタールで開催される。その出場をかけて、今、アジア地区での最終予選が行われていて、3月下旬にはアジア圏出場枠の5カ国が決定する。現在のところ、このアジア最終予選での結果は、Aグループ1位イラン・2位韓国・3位UAE(アラブ首長国連邦)、Bグループ1位サウジアラビア・2位日本・3位オーストラリアとなっている。現在時点で中国はすでに、今度の2022サッカーワールドカップへの出場はでかなわなかった。 

 しかし、この6年間ほどで、中国のサッカーレベルは急速に実力をつけつつある。サッカー大好きの習近平国家主席、2017年ころから、中国国内の小・中学・高校の2万校ほどをサッカースポーツ重点校に指定するなど、その強化もしてきている。2026年のサッカーワールドカップは、アメリカ・メキシコ・カナダ三カ国による共同開催が決まっているが、中国は2030年の開催国を目指している。

 1か月ほど前からインドネシアで開催されていたいた、女子サッカーアジアカップで、中国女子は準決勝で日本を、そして決勝で韓国を破り優勝した。この優勝の決定は、中国北京での冬季五輪が開幕した日とほぼ同じ頃だった。中国国内ではこの快挙は、大きく報道され、北京五輪の開会と共に、中国国民を歓喜させた。日本のサッカー女子代表はここ数年間、低迷を続けている。残念ながら、選手のプレーへの気迫というものが伝わってこないチーム状況だ‥。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


バッハ会長、異例のロシアコーチ非難—凍てつく"国家の品格"

2022-02-19 19:20:52 | 滞在記

 2月18日付中国のインターネット記事には、「K宝失误无缘奖牌!花样滑女子単人滑"千金"谢尔巴科娃夺冠」(※ロシアの至宝、メダルとは無縁に!女子フィギュア個人の金は"千金"に値する。ロシアのシェルバコワが優勝をした。)との見出し記事が掲載されていた。シェルバコフの写真とともに、泣き崩れるロシアの至宝ワリエワの写真も掲載されていた。

 2月17日の夜、ワリエワのドーピング発覚問題の衝撃に揺れる中、フィギュア女子フリーでの25人の演技が始まった。17歳の日本代表河辺愛菜は、SPの時と違い、残念ながら彼女らしい演技がほとんど出せなかった。

 最終滑走第6組にいよいよ樋口新葉が出てきた。ちょっとジャンプ失敗はあったものの、なかなか良い演技だった。続くロシアのトゥルソワ(17)、4回転ジャンプの連続、かなり見事な演技を行った。

 そして、坂本花織の演技が始まった。彼女にとっては自己最高のフリー演技。続く、ロシアのシェルバコフ(17)。とても見事、ワリエワと拮抗する実力を発揮した演技だった。

 最後に登場したワリエワだが‥。このフリーでもちょっとのミスはあっても‥、悪くて総合2位、おそらく暫定1位となるだろうと私は思ってもいたのだが‥。ワリエワのフリー演技はまったく思ってもみなかった状況となってしまった。度重なるジャンプの失敗は予想だにできなかった。この数日間の禁止薬物使用・ドーピング問題については、母や祖父の証言にまで及び、その家族ぐるみの「言い訳騒動」(釈明騒動)に、ワリエワも心底疲れ果てていたのだろう。

 「私は何をやっているんだろう?‥」「私の国家は、ここまで虚偽的な言い訳を家族にまでもさせるのか‥!?」「何のためにこの数年間、辛い練習に耐えてきたのだろう?‥」「もう、演技も、なにもかもしたくない‥、つくづくこの世界が嫌になった‥愛する家族にも虚偽言い訳の辛いことをさせて‥」‥‥。そんな思いに繰り返し苦しめられながら、演技に臨んだのだろう‥。彼女の心は演技に臨めるような心ではなかった‥。

 演技終了直後、ワリエワはうつむき、顔を覆い、泣き崩れてもいた‥。坂本花織はワリエワの演技について質問されると、「かわいそうで、見るのが辛かった‥」と話していた。世界のほとんどの人は、そう感じただろう‥。辛すぎる結末だった‥。

 リンクからロシア席のサイトに戻ったワリエワに、トゥトベリゼコーチは、「まったく、何で気を緩めちゃったの!‥、何で戦うのをやめたの!‥、アクセルのあとくらいからまったく集中できていなかったわね!‥、なぜなの!‥」と問い詰め叱責した。頭をかかえるトゥトベリゼコーチ‥。得点を聞き、メダルに届かなかった結果に、ワリエワは2分以上席を立ちあがれなかった。そして、マスクで顔を覆い、会場を去って行った。

 2位銀メダルに決まったロシアのトゥルソワ。表彰台に向かう彼女に、トゥトベリゼコーチが歩みより、祝福のハグを求めたが、トゥルソワはこれを拒否し、「あなたはこうなることを全部知っていたでしょう!」と厳しい言葉をなげかけ、「嫌だ!フィギュアスケートは一生やりたくない!もう二度と氷の上には出ない!」と、言葉をはいた。

 何か、音をたててトゥトベリゼコーチのロシアフィギュア界の支配体制にひびが入っている「不協和音」が露わに‥。金メダリストとなったシェルバコワもトゥルソワも、正式登録コーチはトゥベリゼコーチだが、二人ともトゥベリゼコーチとは最近では距離をとり、実質的なコーチは別にいたともされる。

 米国メディア「SLATE」の報道によれば、エテリ・トゥベリゼコーチの指導は超ハードな練習と厳しい指導にあるとし、「その方法は秘密ではない。エテリガールズは競技練習中に"水は飲めない"と、公然と話し、粉末栄養剤か更年期障害を誘発することで知られるルプテンを接種することで、思春期を遅らせるため最善を尽くしている」と指摘。さらに、「エテリガールズ」は、引退年齢が若すぎることからして「フィギュアファンの間では、"エテリの有効期限"と呼ばれている」と報じていた。

 この報道を聞くと、つまり、「薬の接種により、思春期を遅らせ(まるみのある女性の体になる年齢を遅らせる)、14~17歳までの間をフィギュアスケート選手のピーク(有効期限)として育成している」こととなる。今回の騒動(問題)で、コーチの今後の動向にも注目が集まる。

 表彰式前に歓喜を爆発させ涙ぐむ坂本花織。表彰式後の会見で、ワリエワについて問われた金メダリストのシェルバコワは、「スポーツ選手としてその気持ちがよくわかります‥」と答えていた。

 2月18日付朝日新聞には、「ワリエワ 沈んだ女王 暫定4位 ミス続きぼうぜん/圧巻4回転ROC勢"金""銀"」、「河辺転倒"五輪は怖かった"」、「樋口5位 信頼に支えられ」、「坂本自己新 逆境跳びこえた」、「ワリエワ 転倒相次ぐ フィギュア」などの見出し記事。

 (※米国の反ドーピング機関のタイガート委員長は、17日、「ワリエワ選手は意図的に競技力向上物質を服用したとみとめられる」との私見を述べた。そして、「ワリエワの尿サンプル検査で検出されたトリメタジジンの濃度は、サンプル汚染とされる基準の200倍にもあたった。おじいちゃんの薬がちょっと口に入ってしまったとか言うレベルの問題ではまったくない」とも、明かした。)

 IOCバッハ会長は18日、「彼女(ワリエワ)のコーチやROC{ロシア]陣営は、彼女の演技終了後、彼女に対して非常に冷ややかな態度だった」と、異例の批判声明を出した。「彼女には想像できないほどの重圧がかかっていた。本来ならリンクを離れたいと思うかもしれない。」と騒動の渦中で最後まで滑り切った15歳に同情を寄せるとともに、「その後、彼女の関係者の反応はとても冷ややかな対応で、私も見てひゃっとした。彼女を慰めるのではなく、非常に冷ややかな雰囲気。まるで、彼女を拒絶しているようなボディランゲージをテレビで見た。こんなに(選手に)冷たい態度をとれるのか」と語気を強めた。

 また、銀メダリストとなったトゥルソワ選手に対するこれまでのロシア陣営(コーチ陣)の冷遇などに対しても批判を行った。そして、「今後、彼女(ワリエワ)が今回の事態を乗り越えられるように、彼女をサポートしてくれる人がいることを願うばかり」と話した。

 今日2月19日付朝日新聞には、「跳べないワリエワ沈痛 暫定4位に涙/最低年齢引き上げ案 スケート連盟投票へ」、「メンタルに重大な課題残す 手段選ばない指導/ワリエワの状態 専門家警鐘」などの見出し記事。 

 ドーピング問題に関しては今後、WADA(世界アンチ・ドーピング機関)がROC(ロシア)のコーチや関係者を調査する。「WADAの調査で全ての事実が明らかとなり、このドーピングを企てた者には説明責任が問われることになる。分かりしだい、われわれはも厳格で強いアクションをとる」ともIOCバッハ会長は述べた。

 2月19日付「スポーツ報知」は、「ワリエワを支えるべき大人へ バッハ会長批判―こんなに冷たい態度取れるのか」、「ドーピング問題渦中4位に"15歳の少女は苦しんでいた"年齢制限見直し検討」などの見出し記事。この報道記事には、「天才沈めた」との見出しのロシア・スポーツ紙「エクスプレス」も紹介されていた。それによれば、今回優勝候補だったワリエワが女子フリーで大失速し、4位となった結果を受け、「IOCの対応や過熱した欧米メディアが"天才を沈めた"とワリエワを擁護した」というもの。

 2月18日、カミラ・ワリエワはロシア・モスクワの空港に到着し、帰国を待ちわびていた100人規模のファンらに迎えられた。到着ロビーには、「あなたと共にいる」「愛してる」などと書かれたプラカードや花束を持った人が集まり、ワリエワが姿を現すと「カミラ、カミラ」と声援を送り、拍手でたたえた。それに応えたワリエワは手を振り、時折会釈をして、空港を去ったと北京共同プレスは伝えていた。

 まあ、北京冬季五輪開始後5日後の2月9日ころまでは、女子フィギュア個人はロシア代表3人による「金銀銅」の独占という予想だったが‥。予想だにしていなかった幕切れとなった。だが、「ワリエワの演技の素晴らしさそのものは、女子フィギュア史には刻まれ、私たちの脳裏に残り続けるだろう」とは思う。

 今回のドーピング問題は、いまもなお、ロシアは国家ぐるみでドーピングを容認していると思わざるをえないものだった。その背景にはロシア・プーチン大統領という男の存在がある。北京冬季五輪は明日20日(日)に閉幕をするが、今ロシア軍は19万もの軍をウクライナ国境に配備し、侵略・侵攻しようとしている。明日か、明後日か‥。

 凍てついたままの「国家の品格」だった。

 

 

 

 

 

 

 


ワリエワは無言で北京を去ることになるだろう―ロシアコーチは消耗品のように使い捨て‥

2022-02-17 18:26:45 | 滞在記

 国家ぐるみのドーピングをいまだ続けていることを象徴したのがロシア反ドーピング機構(ロシアのドーピング検査機関・RUSADA)のこの間の動きだった。ワリエワの出場資格停止処分をわずか1日で解除。これではまるで、ロシア国内にドーピング検査をまともにやっている組織がないことを世界に暴露したようなものだ。

 15日から始まる予定のフィギュア女子個人へのワリエワの出場資格の判断は、国際スポーツ仲裁裁判所(CAS)の判断にゆだねられることとなった。そしてその判断が14日の夕方に発表された。14日午後7時のNHKニュース。「スポーツ仲裁裁判所"出場継続は妥当"あす女子シングルスへ」の見出し報道がされた。「世界反ドーピング機構(WADA)、仲裁裁判所の判断に"失望した"」のテロップ流れる。ワリエワの検体を検査したWADAは仲裁裁判所の決定に「失望した」とコメントしたことも報じられた。

 仲裁裁判所は、ワリエワの"出場継続を認めた理由"として、①ワリエワが16歳未満の保護対象であることへの考慮、②今回、出場継続を認めなければ、ワリエワにとって取り返しのつかない損害を与えることとなる、などを挙げていた。

 2月15日付朝日新聞には、「薬物陽性 出場認める―ワリエワ、仲裁裁判にて"15歳"考慮」、「灰色の"出場"裁定―ロシア下院"これは暫定的な勝利だ"、CAS"出場阻むと取返しつかない、薬物問題踏み込まぬまま」、「IOC 薄い危機意識"ワリエワ陽性問題"」などの見出し記事が掲載されていた。

 そして15日の夜(中国時間午後6時から)、フィギュア女子個人のショートプログラム(SP)の演技が開始された。出場選手は30人。前半には、日本代表の一人である河辺愛菜(17・京都両洋高校2年)の演技。初めての国際舞台だった。冒頭ジャンプには失敗したものの、その後は、笑顔もでてきての初々しい演技を行った。

 また、中国代表の朱易も演技をした。私は、この朱易が団体での演技後、中国国民数億人から大パッシングを受けていたので、精神的にこの個人戦に出場できるのか心配していた。冒頭のジャンプには失敗したものの、その後は、団体戦の時のような泣き顔になることはなく、演技を終えてホットした。笑顔も見られ、演技後にはリンクで手でハートマークも作れた。

 演技後半となり、日本代表の樋口新葉が登場。安定した、とても良い演技だった。

 そして、ワリエワが登場。冒頭ジャンプ着地にて少し崩れたものの、その後はやはり圧巻の演技だった。ドーピング問題を抱えるだけに、見ていて心中は複雑な思いはあるが、やはり彼女の演技は見事だった。演技終了後、リンクで少し涙ぐむ場面もみられた。彼女は辛いのだろう‥。リンクサイトのロシアの席からは、ザギトワやメドベージェワも声援を送っていた。今回のドーピング問題を受けて、当然に彼女たちへの過去のドーピング疑念も浮かんでもくる。彼女たちの心境いかに‥。

 29番目、ROC(ロシア)のシェルバコワ(17)の演技も美しかった。そして迫力もあった。ワリエワと拮抗するロシアフィギュア界の逸材なのだろう‥。80点を超えて来た。

  そして、30番目、日本代表坂本花織の演技。彼女の自己ベストを出す、優れた演技を世界に印象付けた。SPの最終結果は、1位ワリエワ82.16、2位シェルバコワ80.20、3位坂本花織79.84、4位トルソワ(ロシア)74.60、5位樋口新葉73.51となった。河辺愛菜は15位で62.69、中国の朱易は27位で53.44となった。このSPで24位までが17日のフリーの演技に進めるが、ワリエワのドーピング問題で、今後、彼女のメダル剥奪処置もありえるため、1人多い、25位までの選手がフリーに進むこととなった。朱易は27位のため、このSPで演技が終わった。

 2月16日付「夕刊フジ」には、「キム・ヨナら非難の声―ワリエワ・ドーピング違反―"規則は例外なしに守られなければならない"と」の見出し記事。真っ黒が画面に英文で、「ドーピング違反をした選手は試合には出場できません。この原則は例外なく順守されるべき。全ての選手の努力と夢は等しく尊いものです」と、韓国の至宝(国民の妹)で、2010年バンクーバー五輪で金、2014年のソチ五輪で銀の彼女の声だった。

 ドーピング違反をしているワリエワの参戦に、「公平な試合ではない」「非常に残念‥」などと、他の数人の選手からも怒りや落胆の声もあがっている。

 17日の日本のテレビ報道では、「ワリエワ 祖父の心臓の薬を間違えて飲んだという趣旨の説明」、「ワリエワの言い訳」、「同じグラスを使って飲み物を飲んだ可能性があると主張」のテロップ。つまり、ワリエワの祖父は心臓病があり、祖父が心臓病の薬を飲んだ時に使ったグラスに薬の成分が残っていて、そのグラスを使ってワリエワが飲み物を飲んだ時に、彼女の体内に薬が入ってしまった可能性があるとの主張だ。まあ、それを信じる人はまれだろう。

 あくまでも、ロシア側は、リンクサイトでワリエワを見守るコーチやスポーツドクターの責任、ロシアスポーツ界の責任、プーチンの責任ではなく、単なるワリエワのミスとして処理とたい思いは伝わる。

 このテレビ報道では、ロシアフィギュア界でかっては「皇帝」とも呼ばれた、羽生結弦の憧れの人でもあったプルシェンコが、「ワリエワが個人戦の出場停止処分を受けたら、手や腕を切断されるのと同じ」と、ワリエワを擁護したと報じていた。また、キム・ヨナの英文での非難の言葉も報道していた。

 さあ、今は女子フィギュアフリーの演技開始まで1時間あまりに迫った。今頃は、リンクで25選手が演技前全体練習が終わり、休憩している時間かと思われる。

 このロシアのワリエワのドーピング問題を巡る騒動は、改めて、ロシアという国家の暗黒面をさらけ出した。私は4度にわたりロシアに行き、サンクトペテルブルクでは短期語学留学をしたほど、ロシア人を親しく思っているだけにとても残念なことだ。特にプーチンの責任はとてもとても大きい。

 また、ロシアのフィギュアコーチ(47)の指導方法は、「才能ある選手を12・3歳ころから徹底的に(1日12時間)練習させ、禁止薬物をチームドクターとともに服用させ?、その過酷な練習に耐えさせる。そして、世界の頂点に立たせたあとに、消耗品のように捨てて、次の若い選手を育て続ける。そして、プーチンから褒められ、恩恵と名誉を維持する」。これが今のロシアのフィギュアの世界。

 たとえ、今日のフリー演技後、ワリエワが総合1位となっても、「ロシアの勝利はなく、ワリエワは敗れ」、大会は終わる。表彰式もなく、そしてワリエワは無言で北京を去っていくだろう。とてもいやなフィギュアの女子五輪の幕切れ‥。だが、坂本・樋口・河辺3選手、頑張って‥。世界も坂本の総合2位を応援しているだろう。

 中国の朱易選手を巡って―「一転して、中国の世論は360度変わった―"朱易は今度は泣かなかった"と称賛」

 フィギュア団体戦での中国女子フィギュア代表の朱選手の演技のようすに、全中国人からは激しいパッシングを受けた。,ネット上でのパッシングは1億5000万近くの投稿に‥。朱選手は自殺に追い込まれる心境になってはいないか心配もあった。「はたして、個人戦に出場できる精神状態になることができるのか‥」と。

 15日の個人戦SPの演技は演技レベルは低いものの、「泣き顔や泣きそうな顔」を一切見せなかった。そして、笑顔が見られた。これに、中国国民は安堵もしたし、私も安堵した。中国の新聞やネット報道では、「今度は転んでばかりいなかった。泣かなかった。」と一転して称賛する報道へと切り替わった。これは、中国政府の意向が強くでている報道でもある。

 「朱易出戦花滑好単人滑 陳紅伊 送上祝福」(※朱易が女子個人フィギュアに出場し、良い演技を行った。陳紅伊も祝福した)との見出し記事も。この陳紅伊とは、中国国民から「花滑の女神」と言われ、今大会に中国代表としての出場を最も期待されていた人。そして、再び、「米国国籍や米国での年俸100万元(約1600万円)を捨て、ただ中国国家のために国籍を得て滑った朱易親子」のキャンペーンが始まっている。

 中国のネット記事にはワリエワのSPについての記事も。また、「日本一姐厉害!阻止俄罗斯"三娃"包攬j前3、赛后痛哭・」(※日本の一人の娘が、ロシアの三人娘[子供]の金・銀・銅の3つの独占を阻んでいる。演技後、日本の娘は慟哭した。[感激して泣いた])との見出し記事もあった。坂本花織についての記事だ。

 あと、30分あまりで、女子フィギュアフリーの演技が、いよいよ始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


プーチンという男による"国家ぐるみのドーピング体質"いまだ続くロシア―中国「元宵節」

2022-02-17 05:39:36 | 滞在記

 今年は2月15日が中国の元宵節(げんしょうせつ)だった。春節開始の日から15日目にあたる満月の日が元宵節の日となる。中国の春節は毎年その時期が異なる。(※春節開始日は、だいたい、1月20日ごろから2月10日ころまでの3週間の期間)   それは、変動するこの2月の満月の日と関係するからだ。そして、春節開始の日や元宵節の日は、歴史的にも時の王朝が発布していた。天体(月)の満ち欠けをも知りうる皇帝というイメージを人々に知らしめるためであった。(王朝や政府の権威を高めるため)   そして、それは今も引き継がれ、春節や元宵節の日は、毎年、中国政府が決定し、人々に布告する。

 例年、春節前夜の大晦日には大規模な「晩会」がCCTV(中国中央放送局)で放映されるが、今年はこの元宵節前夜の大晦日にも「晩会」が放映された。この元宵節の日をもって、中国の2週間あまりの春節時期は終わりを告げる。

 私はこの中国の元宵節のようすを2016年2月に、福建省の三明市尤渓県で見たことがあった。町の家々の窓辺や通りにはずらりと提灯が飾られ、ランタンが夜空に放たれ浮かぶ。龍の舞が町の通りを練り歩く中、おびただしい爆竹が破裂し続け、煙幕のように白い煙が町の通りを覆う。この日、人々は肉や小豆(あずき)などの入った団子を食べるのが習わしだ。この14日・15日・16日と、日本の夜空も満月が美しかった。

 そして、北京冬季オリンピックは終盤に入ってきている。ロシアフィギュア選手のドーピング問題をかかえながら‥‥。

 2月13日付「夕刊フジ」には、「ワリエワ ドーピング問題 出場継続決定にIOCが提訴」「24時間以内に裁定」「米メディア名指しで非難のコーチ—選手短命」などの見出し記事。11日に、国際オリンピック委員会(IOC)と世界反ドーピング機構(WADA)が、国際スポーツ仲裁裁判所(CAS)に、今回のロシア女子フィギュア代表の一人、ワリエワのドーピング問題を提訴した。「15日から始まる個人戦へのワリエワの出場が継続か否か」が急きょCASで検討されることとなった。中国のネットニュースサイトでもこのことが報道されていた。

 米国メディアのニューヨークタイムズ紙は、「五輪の目玉競技であるフィギュアスケートに暗い影を落としている」と伝えた。米国ニュースサイトVOXは、「ワリエワは未成年。非難されるべきなのは周囲の大人で、コーチが責任を負うべきだ」とし、ロシアフィギュア界の実力者である女性コーチ、エテリ・トゥトベリーゼ氏(47)を名指ししていた。同メディアによると、「同コーチはロシアの若手女性有力選手の大多数を指導しており、これまでも18歳未満の五輪メダリストや世界選手権の優勝者を輩出してきた。しかし、厳しい練習とダイエットを課すため、長期間活躍して、複数のタイトルを取ることができる選手はいない」とも報じていた。

 —1974年生まれ47歳のエテリ・トゥトベリーゼ コーチ—、「鉄の女」の異名をもつ―

 もともとはフィギュアの選手だったが、テロ事件に巻き込まれケガをし、選手としての競技生活を終えることとなる。その後、20年間あまり、さまざまな苦労も重ね、2010年頃からロシアフィギュア界におけるフィギュアコーチの実力者の一人となっていった。結婚はこれまでにしていないが、2003年に娘を出産、未婚の母となり、娘が一人いる。娘はフィギュアアイスダンスの選手となり、母は娘(19)へのコーチとしての指導もしている。2018年平昌冬季五輪における、金メダリストのザギトワ(当時15歳)や銀メダリストのメドベージェワ(当時18歳)のコーチでもあった。二人とも、今回は、選手ではなく報道などのスタッフとしてこの北京五輪に参加している。

■この北京冬季五輪に疑惑のスポーツドクター(医師)も、スタッフの一人として北京のフィギュア会場にいる。このドクターは、2014年のロシア・ソチ冬季五輪におけるロシアの国家ぐるみのドーピングに加担し続けているとされる人物。

 ロシアフィギュア女子のコーチとして、有名な人がいる。タチアナ・タラソワ氏だ。(上記写真左端から①枚目)彼女はロシア連邦功労コーチとして、フィギュア界の重鎮だが、「冬季五輪に出場できる資格を17歳以上にするという検討をするべき」との意見を改めて表明した。発育ざかりの13・14・15・16歳の時期の、過酷な練習やダイエット、練習に耐えるだけの体力や心筋力を得るためのドーピング薬物の使用というロシアの実態を憂慮しての発言だろうと思われる。

 今もまた国家ぐるみのドーピング体質が続くロシアのスポーツ界の実態が、このフィギュアのワリエワ選手のドーピング問題で改めて浮き彫りになった。最も大きな責任は誰にあるのか?!ロシアオリンピック委員会(ROC)のジェーコフ会長(上記写真左から②枚目)なのか?  言うまでもなく、国家ぐるみのドーピングをさせているロシアのプーチン大統領であることは明白だ。2014年ロシア・ソチ冬季五輪での国家ぐるみのドーピングの指示、閉会式直後のウクライナ・クリミア半島の武力侵攻による併合、そして、現在のウクライナ武力侵攻問題と続いている‥。

 上記写真右端は、2018年平昌五輪後に、プーチンを表敬訪問しメダルを見せるザキトワとメドベージェワ。