硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

「暗幕のゲルニカ」と可愛い水先案内人さん。

2018-06-29 18:35:23 | 日記
久しぶりに電車に乗る。梅雨の晴れ間、車窓から見る緑はとても青々と美しい。隣に座っていた女性は音楽を聴きながら本を開いていた。電車に乗る際は文庫本をショルダーバックに忍ばせてくるのだけれど、今日はぼんやりと電車に揺られてゆこうと思って持ってこなかった。手持ち無沙汰になって、電車の中央にぶら下がっている広告をじっくりと読む。
電車に乗る事が滅多にないのでこれも新鮮であるが、座席から見える広告はすぐに読み切った。隣の女性は、静かにゆっくりとページを進めている。どうしても活字が気になる。
横目でちらりと、且つ、ざっと拾ってみる。すると、登場人物は聞き覚えのある人物であり、時代背景もざっくりと理解していたので、興味が湧いた。
女性は膝の上で本のページをめくってゆくのであったが、途中でうとうととして手が止まった。本の内容は伝記であることは確かであるが、本のタイトルが気になる。
なんとかわからないかなと思案を巡らしていると、電車は終着駅に近づいてきた。女性は本を閉じ膝の上にちょこんと乗せてあったカバンにしまった。このままではと焦る。
しかし、見ず知らずの人に、しかもうら若き女性にいきなり本のタイトルを聴くのはナンパのようで気が引ける。しかし、続きが気になる。声をかけたとしても引かれてしまう可能性が高い。
電車が止まりそうになる。ここは勇気をもって聞くべきだと自分に暗示をかけ、隣の女性の肩を指で突く。イヤホンをつけているからこの方法がベストであろうと思ったが、これも大変危険性の高い事に気づく。しかし、女性は丁寧にイヤホンを耳から外すと、こちらを見て、

「どうしましたか? 」

と、爽やかに返事をしてくれた。振り向いた女性の可愛さに少しときめきながらも、勇気を振り絞って、

「突然すいません。今読まれていた本のタイトルを教えていただけませんか? 」

恥ずかしさもあって、ちょっと声が上ずってしまった。嫌がられはしないだろうかと心配したが、女性は笑みを浮かべ、カバンに入れたハードカバーの本を取り出し、ブックカバーを取って見せてくれた。ちらちらと観ていたのが分かっていたのかもしれないなと、安堵したあとにさらに恥ずかしさがこみあげてきた僕は、

「ちょっと読ませていただいて、とても面白そうな本だったからすごく気になって、すいません」

と、言い訳をすると、女性は満面の笑みを見せ、

「すごく面白いですよ」

と、応えてくれた。僕は軽く会釈をし「ありがとう読んでみますね」と返事をした。

二人は席を立つと、別々の扉へ向かい下車した。改札口に向けてプラットホームを歩く人の波に、一瞬彼女の姿を探したけれどもうどこにも見当たらなかった。

しかし、タイトルは覚えた。本屋に入って歩いていると、なんと、そのタイトルの本は文庫本となり平積みになっているのを発見した。

「あった! 」

手に取り、しばらく宝物を見つけたような喜びと幸福感に包まれる。

原田マハさんの「暗幕のゲルニカ」である。

帰りの電車の中で、ページを開く。やはり面白い。時を忘れどんどんページが進むこの感じがとても好き。

こんな禁じ手は行うべきではないが、何処の誰かも分からないおじさんに対して親切に「その宝物」を分けてくださった可愛い女性さん。
本当にありがとう。今、物語の中を歩いていますよ。

誰かの夢、誰かの希望。ワールドカップサッカー。

2018-06-22 18:09:38 | 日記
チャンネルを合わせれば負けてしまうのではないかと思いつつ、ワールドカップを観ると、香川選手がPKを蹴ろうとしてるところだった。「しまった」と思いながらも、ゴールネットに入る事を祈ると、PKは成功した。安堵しつつチャンネルを変えようしたのだけれど、試合に引き込まれてしまい、結局最後まで観戦する。

このゲームは「死闘」という言葉が当てはまるかもしれないほどに、両チームの選手の本気が伝わってくる。
この人たちはワールドカップというフィールドに立ちフットボールをすることを仕事ではなく、フィールドで相対する選手に勝つことが全てだから、あんなに激しい試合の成るのかなと思いました、

サッカーなどのスポーツは相変わらずニュースのダイジェストで済ませてしまうほどの距離感ではあるけれど、ワールドカップサッカーは不思議と引き込まれる。

メディアは様々な表現で結果を報告しているけれど、西野監督の采配と選手のポテンシャルを持ってもギリギリのところで勝ち切った感が強いから、次の試合はコロンビア戦以上にタフな戦いが要求されるのではないかと思う。

コロンビア戦では長友選手がすごい勢いで最後まで走っていたのが最も印象的であったけれど、次の試合には、あれ以上の運動量を求められるような気がするので、少し心配です。

頑張れ長友選手、頑張れ日本チーム!!

利害の一致は何処にある?

2018-06-12 19:53:19 | 日記
トランプさんと金さんの会談が終わった。あれだけ罵り合っていたのに、友好的な雰囲気がテレビから伝わってきた。
なにがそうさせたのか。利害関係の一致はどんなものだったのかと考えてみた。

僕の稚拙な考えでは、

1 韓国の駐屯地に配備されている核兵器を撤去する代わりに、ミサイルの発射実験を行わない
2 経済制裁の緩和はしないが、その代わりに、シンゾーにお金を出させるから、拉致問題を解決に向けて前進させる。
3 北朝鮮でのスパイ活動を行わない代わりに、互いの国で収集した中国での情報を共有し合う。
4 海外への武器の輸出、石油の輸入を黙認する代わりに、指定された国から輸出入を行う。

現時点で利害関係が一致する事ってこれくらいなのではと思うのだけれど、もしこれが的を射ていたとしても、モヤモヤするばかりですね。

絶望という言葉を知らないまま。

2018-06-07 21:22:38 | 日記
朝、新聞を開けるとひらがなの文章が目に飛び込んできた。気になって読んでみると、少女が頬に涙を伝わせながらペンを持ち、活字によって親に懇願している姿が目に浮かび、胸がキュッと締め付けられた。

五歳の少女はおそらく「絶望」という言葉を知らないままこの世を去った。少女を生んだ親は、我が子の命より自身の身を重んじた。男は自身の身を削り幼い少女を護る事より、少女を利用しお金を儲けようと目論んでいた。

少女は僅か五歳で大人になる事を強いられ、大人になろうとした。

三十代前後の男と女は大人になる事を自ら放棄した。

彼らの親は、彼らのしたことについて、どう思っただろうか。彼らは、少女に接しているとき、自身の親の顔は浮かばなかったのであろうか。

情報過多の時代という背景もあるかもしれないけれど、ニュースを観ていると短絡的で狭量な成人が多いように思う。

多分・・・・・・。

2018-06-06 20:06:48 | 日記
日大問題についてもう少しだけ。

田中理事長さんが自ら会見を開いて事の成り行きを説明しないのは、「田中理事長さんがこの人のいう事を聞いておかないと後でとんでもない目に合ってしまう」という人が公の場に存在しないからだと思う。

そう考えると、すべてに納得がゆくのではないでしょうか。