硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

恋物語 67

2021-06-30 20:57:20 | 日記
しかし、彼女に尽くされている男は、彼女の想いが一途で純粋であるが故に、何をしても許されると勘違いする者と、想いが重すぎると引いてしまう者とのどちらかに移ろってしまい、感情の変化に敏感であった彼女は、僅かでも気持の陰りを見てしまうと、小さな水たまりが、夏の日差しに晒されて蒸発してゆくように、彼への想いが消えてゆくのであった。

しかし、今、村主詩音が好きでしかたがない青年は、これまでの男子とは一線を画している存在であった。

見た目や振る舞いは、どこにでもいても、その場に溶け込んでしまうような普通の男子高校生であり、彼女の性格を十分すぎるほど理解するに至っていたが、どこか踏み込めない影のようなものを纏っていた。
彼女もそれを分かった上で、彼と会うときは、いつも一番かわいい下着をつけていっていたのであるが、手を繋ぐことすら、やんわり断ってしまうという姿勢に、尽くしたいという気持ちを持て余し、時々不安になる事もあった。
それは、村主詩音にとって、好きな人と触れ合う事が幸せを感じる動作の一つであり、精神に安定をもたらすビタミン的要素だったからであるが、彼は彼女と出会ってから、一度も気持ちの移ろいを見せず、むしろ誠実に彼女と時間を過ごしていた。
だから、彼女は、彼を信じ続けられ、満たされなくとも、どんな形であろうとも好きという気持ちに変わりはないのだと、自分を律して、ひたすら待ち続けていたのであった。

恋物語 66 

2021-06-29 21:05:38 | 日記
「でしょ。でしょ。なんか嫌いってわけじゃないんだけど、好きになれないって言うか・・・。内面が大事だっていう人いるけど、そんなの付き合ってみなきゃわかんないじゃん。おかしな人だったらホント大変だよ。」

まったくその通りだわと、心で呟き苦笑いする君塚明日香。

「でも、ぎゃくに、好きになるのは瞬間にわかっちゃうもんだよ。」

君塚明日香とは対照的に、一目惚れ肯定派である村主詩音は、自分の感性に素直だ。情熱に生きる人と言ってもいいかもしれない。初体験は君塚明日香よりも若干早かった為、君塚明日香を焦らせる原因にもなったが、彼女ほど波乱に満ちてはいない。
それは、村主詩音が一目惚れという運命的な出会いを信じているからであり、彼女自身から告白する事でしか、交際が始まらなかったからである。
そして、好きな相手に尽くす事を苦とも思わず、むしろそうする事で、精神は満たされていた。

そういう行為が性差別や不平等を生むのだと批判する者もいるが、ジェンダー問題やSDGs等は生徒会における重要な議題の一つであり、彼女自身にも、平等とは何かという意識は芽生えていて、しっかりとした意見も発信できる社会性を持っていた。
その上で、好きな人に尽くしたいと思うのは、そういった社会問題に正面から取り組む事より、まず、一人の女子としての幸せを感じていたいという想いと、好きという感情に嘘をつかないという気持ちと、その延長線上に、自身の家庭と同じように、温かい家庭を持ちたいと気持ちを秘めていたからである。


恋物語 65

2021-06-28 21:46:15 | 日記
その日、君塚明日香は、来年の総体が最後の大会になるからと、両親におねだりをして、おこずかいとは別にスプリントスパイクのお金をもらうこと事に成功し、金額を気にしないで自分の納得がいくスパイクが買えるという、嬉しさに浸りながら、足取り軽く歩いていると、駅前の人ごみの前方から、隣町の女子高の生徒と先輩が手を繋ぎながら歩いてくるのを偶然に発見したのだった。

一瞬、見間違いだろうと、自分の目を疑ったが、徐々に近づいてくる人物は、先輩で間違いなかった。
陸上競技で共に汗を流す同志であり、先輩だからと信用していた人物の裏切りは、彼女の足取りを重くし覇気を奪った。
それでも、冷静を保ち、こみ上げる怒りをねじ伏せ、すれ違いざまに「先輩こんにちは。今日はデートですか? 」と笑顔で告げると、何か話しかけようとする先輩をしり目に全力で駆けだして、シューズも買わずに帰宅した。
そして、翌日、陸上部を退部し、先輩からの連絡や、友達伝の連絡も、ガン無視を通した。

同じような失敗を繰り返す事に悩んだ君塚明日香は、高校生は子供だから駄目なのだという短絡的な答えを導き出し、SNSで知り合った、サラリーマンの男や大学生の男と付き合ってみたのであるが、結果はさえないもので、サラリーマンの男は、奢ってはくれるが、ナルシストで、口ばかり巧くて、独りよがりのセックスと薄っぺらい人柄に嫌気がさしてしまい、大学生の男は、きちんと勉強もしていて、しっかりしているように見えたが、中身はチャラ男で、地雷を踏んだ形になった。
高3の一学期の終わりには、男という生き物は軽薄なのだという答えを導き出し、受験という理由で関係を清算したが、不思議と悔しさも悲しみも感じなかった。

かくして濃厚な経験を経てきてしまった君塚明日香は、一目ぼれという、衝動的に心を動かされる出会いを知らぬままに、「つまらない男に気を使ってまでして、得られるものってあるのだろうか」という、少し屈折した疑問に突き当たってしまったのであった。

恋物語 64

2021-06-27 20:02:30 | 日記
中高生の男子なら仕方のない事かもしれない。が、彼女にとっては、言い訳にすらならない。
LINEの内容は、君塚明日香の事が好きなのではなく、行為そのものが好きなヤリモクバカだったことを示していたのだ。

心底うんざりしてしまった彼女は、トイレから帰ってきたダメ男に向かって、「ふざけてんじゃねーよ! 」と、怒りを爆発させ、衝動的にダメ男のお尻を陸上で鍛えた足で蹴っ飛ばすと、そのまま彼の部屋を飛び出した。怒る彼女に驚いたダメ男は、突然動かなくなった車を見るように、ただ茫然と立ち尽くしたままで、彼女を追いかけようともしなかった。
数か月の間に、同じ失敗を繰り返してしまった君塚明日香は猛省し、ダメ男からの連絡をすべてガン無視し、受験勉強に専念するからと、友達とも距離をとり、自分自身に、恋愛はしないと誓い、志望校への進学を果たし、陸上に没頭していたのであるが、高校二年の夏、陸上部の先輩から告白されてしまい、再び迷いが生じた。

告白された瞬間、苦い失敗を思い出して、一度は断ったのであるが、熱心な誘いと、部活で顔を合わさなければならないという気まずさと、人となりがよくわかっている人物であった為、今度こそは大丈夫であろうと、中3の誓いを反故にしたのであった。

しかし、悲運と言うべきか、君塚明日香の恋愛は、またも暗礁に乗り上げる。
それは、夏の制服から、秋冬の制服に変わって、しばらくたった休日の出来事であった。

恋物語 63

2021-06-26 20:38:54 | 日記
とはいえ、まだ少女であった君塚明日香は、自分がもて遊ばれていた事に気づくと、怒りが心の底から込み上げてきて、自分の中で消化しきれなくなった。その矛先は、チャラ男を紹介してくれた友達に向けられ、事の顛末をぶつけてしまったのであるが、これまで怒る姿を見せなかった君塚明日香の剣幕にたじろいだ友達は、「私の見る目がなくてごめん。」と、謝罪し、「あんな男、さっさと忘れてしまえ」「あいつは本当にバカだから」と、チャラ男を責め立て、彼女の気持ちをなだめると、「次は、ほんっとにいい人だから」と、埋め合わせのつもりなのか、二つ年上の男子を紹介してくれたのだった。

会ってみると、たしかに、友達の言う通り、その男は、割とかっこよくて、イイヒトそうに見えた。
しかし、付き合ってみだすと、休みの日は、ほぼ彼の家でセックスに耽ることになってしまった。
君塚明日香は、快楽に流されながらも、このままでは駄目になってしまうと自覚しつつも、それ以外の欠点が見られなかった為、なんとなく、その関係を続けていた。

しかし、そんな、ぬるま湯のような関係は、一気に冷水へと変化する。

きっかけは、彼の携帯の画面に映し出されたLINEの着信メッセージが、知らない女子の名前によるものだったが、内容の全容が分からなければどうにもならない。
だが、初動で躓いていた彼女は、相手の言動に鋭敏になっていて為、携帯を操作する彼を横目で観察し、パスコードを覚えてしまっていた。
そして、疑いのかかった者に、ためらいは不要と、秘密を暴こうとするジェームス・ボンドのように、携帯を手に取り、容易くブロックを外し、全容を暴くことに成功したのであるが、そこには知らない女子との、あきれ返るLINEのやりとりが綴られていたのだった。

恋物語 62 

2021-06-25 20:36:14 | 日記
しかし、後悔はなく、むしろ、皆と同じ価値観を共有した事で孤立感が消え、不安定な気持ちを落ち着かせることが出来たのであるが、名前すら思い出せないチャラ男は、彼女の気持ちを推し量ることなく、再び不安定に陥らせた。

事の発端は、ささげた日から一か月もせぬうちに、他の女子と遊んでいる所を部活の友達が発見し、君塚明日香の下に知らされたことによるものだが、自身の眼で見たわけではない為、半信半疑のまま交際を続けていた。しかし、時間が経つにつれ目撃者は増加し、目撃者からの「あの人はやめた方がいい。」という助言を重く受け止め、彼女の不信感と苛立ちは臨界点を超えた。

迷いがなくなった君塚明日香は、チャラ男にその事を問いただすと、チャラ男は「ワリィ、そいつの事好きになっちゃったから、別れて。」と、悪びれもせず言い放った。
その瞬間、彼女の想いは液体窒素につけられた物質のように、凍結され、砕け散った。
チャラ男は彼女にとって、只の他人に変わり、もう気を使わなくてよいのだと理解し、淡々と「こっちこそ、もういいよ。」と、告げた。
そのクールさにチャラ男は戸惑っていたが、君塚明日香は、振り向きもせず歩き出し、カバンから取り出した携帯から、躊躇うことなくチャラ男の存在を削除した。
初動の躓きは、彼女の心に、好きという気持ちも、大好きな彼を失ったという喪失感も与えず、「こんなものなのか」という、気持だけを烙印してしまったのであった。

多くの少女達にとっての最初の失恋とは、神を失った信仰者のように、深い悲しみの中、新たな神が降臨するまで、荒れ野を彷徨い歩くに等しい辛いものであるが、君塚明日香の場合は、先天的に持ち得ていたクールな性格が幸いして、深手を負う事はなかった。

恋物語 61

2021-06-24 21:06:12 | 日記
「あ~。そう見えちゃう? けど、川島君って、友達とは思うけれど、彼氏の対象になるかというとなんか違うんだよね。」

動揺している事を悟られないようにと、きっぱりと真実を語る平川綾乃。こう答えると、それ以上ツッコめないと踏んでの明回答だ。
その隣では、頷きながら長い手足をばたつかせ、「わかる~。そういう人いるよねぇ。イイヒトなんだけど、よく分からない人。」と、おどける君塚明日香は、見た目からでは想像のつかない、意外な体験によって、その解を導きだしていた。しかし、彼女にとって、それは黒歴史であり、なかったことになっている。

その始まりは、中学三年生の夏休みも数日を残した、少し暑さも和らぎ影が伸び始めたクラブ活動終りの部室での出来事であった。
女子中学生が集まれば、自然に会話は盛り上がるものである。そして、多感な少女達の話は、初体験の話になり、君塚明日香を除いた全員が「すませた」と告白した。
当時の君塚明日香は、まだ幼く、そう言う類の話には免疫体制がなかったため、ダイレクトに衝撃を受けてしまい、「私だけ遅れているのだ」と、いう孤立感に苛われ、気持ばかりが焦り、物事を冷静に考える事が出来なくなってしまったのだった。
そんな心理状態を引きずったまま、二学期が始まり、学業にもクラブ活動にも身が入らない悶々とした日々を送っていたある日、何処かぼんやりしている君塚明日香の様子を見かねた友達は、元気づけようと、隣町の中学の同級生で、今では名前も思い出せない、ちょっとカッコよかったチャラ男を紹介してくれたのであるが、好きか嫌いかもわからないまま、雰囲気に流されて、2回目のデートで、ささげてしまったのだった。

恋物語 60

2021-06-23 20:47:07 | 日記
「でね、こっそりハバネロを入れたら、ヤバすぎて、笑っちゃった」

「うそでしょ! 料理台無しじゃん! 」

「お母さん、激おこで、ご飯の間口聞いてくれなかったよぉ。」

「うける~。」

そこへ、川島健吾が登場。それに気づいた平川綾乃は、意識して、いつものように声をかけた。

「川島ぁ、おはよう~。」

昨日の今日だというのに、変わらないテンションで接してくる平川綾乃に戸惑う川島健吾は、軽く俯き、怪訝そうに「おはよう。」と答える。しかし、三人とは好対照なテンションの低さに、「しょうがないな」と思った平川綾乃は、元気づけようと、「川島ぁ~。なんか元気ないぞぉ~。」と笑顔で言った。
これではいけないのだと察した川島圭吾は、少し調子を上げて「いつもと変わらないよ。」と、イメージ回復を図ったが、姦し娘たちにはその心情が伝わらず、

「暗いぞ~川島ぁ~。」

と、総ツッこみを受けてしまった。返す言葉を失した川島健吾は、笑顔を引きつらせながら静かに自席に向かった。その姿を目で追っていた平川綾乃は、ほんの少し顔を曇らせると、それを見過ごさなかった村主詩音はすぐに言語化を図った。

「綾乃さぁ、最近、川島君とよく話してるよねぇ。」

ほんの少し動揺する平川綾乃であったが、さらりとかわす。

「うん! 英語教えてもらってるしね。それにね、喋りやすいんだよね。」

「ふ~ん。」

「なになに? 」

「川島君の事、好きなのかなぁて思ってさ。」

ニヤニヤしながら核心に迫ろうとする村主詩音。さすが学級委員長に選出されただけの人材である。

恋物語 59

2021-06-22 21:08:25 | 日記
あるものにとっては、そんな些細な事くらいで、と、思えるだろう。しかし、人には感情があるのことを忘れてはいけない。人類は未だに感情というものを上手く取り扱うことが出来ず、争いを生み、苦悩を作り出しているのだ。
それを踏まえれば、高校卒業を控えた彼女達が、就職や進学といった進路の悩みよりも、足元にある悩みの方に比重が偏ってしまう気持ちは十分に理解できるであろう。

しかし、この時期は未成年から成人へと移行する時でもある為、恋愛にうつつを抜かしていないで勉強をしろ。将来の為には学歴が大事なのだ。と、口酸っぱくする大人もいるのであるが、その大人たちは、ケイタイという必要不可欠となったツールを与え、ネットニュースに大人たちの失態を垂れ流し、「人生楽しんだ方がいいんじゃね」と、言う価値観を無意識に浸透させ、レコメンドというシステムで意図的に視点を偏らせ、大人が大人になる事を否定するという滑稽な環境を築き上げてしまっていた。

物質が精神を規定するとはこの事である。

そんな大人たちの言葉が思春期真っ盛りの彼女たちの心に刺さるわけがなく、恋愛至上主義に傾倒してしまうのは、彼女たちにとって唯一、肌触りが感じられるrealだったからだ。
しかし、今を生きる彼女達だけの感性ではない。いつの時代も恋愛至上主義の青年はいたのであるが、大人になりきれなかった大人達は、社会という組織の中で、体裁を重んじるようになり、未熟な青年だったこと棚に上げて、未熟な青年達にマウントをとる事で自身が大人であることを演出しているだけなのである。
しかし、そんな事は、今の彼女達にとって、微塵も関係ない話である。

恋物語 58

2021-06-21 20:32:26 | 日記
朝の教室に見られるよくある風景。授業前の自由を享受し尽くすように、仲の良い三人は、教室の隅っこに固まり、猛烈にしゃべっている。三人寄れば姦しいというが、彼女たちの中には「姦しい」という言葉はない。しかも、内容の殆どは、出力されると同時に消費してしまうのであるが、等価交換として、彼女たちの精神に安定と平穏をもたらしていた。
その様子は、一見楽しそうにみえるのであるが、三人の間には微量の揺らぎがあった。

君塚明日香と村主詩音は中学からの付き合いであり、時々互いの家で寝食を共にする中でもあったが、高校から加わった平川綾乃との間には、少しの距離があった。平川綾乃も、うすうすその事を感じとってはいたが、敢えて言葉にしなかったのは、過ごした時間の長さと、親密さからくるものであると思っていたからだが、彼女達の間に存在する微量の揺らぎの本当の原因は、個人的な、告白することに躊躇する悩みによるところが大きかった。

平川綾乃の場合は、昨日、同級生、川島健吾から告白され、中学の時からあこがれていた須藤圭介への想いが揺らぎ始め、どうしたいのかがわからなくなっていた。さらに、口の堅い恋愛マスター、真島きららに相談を乞うたのであるが、悩みはかえって複雑化し、彼との間に不協和音を響かすことは避けたいという想いもあって、これ以上誰にも相談できない所まで追い詰められていた。

平川綾乃の左で腕を組む、長身であることを気にしている、ロングヘア―の君塚明日香は、交際していた男性達が曲者であった為、恋愛感情そのものに不信感が芽生え、迷路に入り込んでしまったように、到達点を見失っていた。

そして、窓に身体を寄せて話している村主詩音は、ムードメーカーであり、リーダーシップも取れる事から学級委員長を任されており、誰もが羨むような順風満帆な女学生に見えるのであるが、それほどぽっちゃり体系でもないのに、体系を気にする余り、食べ物に対して過剰気味に気にしている事や、交際を申し込んだ他校の男子からの想いが、一年経っても「友達」の域から超えてこないもどかしさを抱えていた。

王家の呪いかも。

2021-06-19 15:09:43 | 日記
ツタンカーメンの墳墓の発掘作業を行っていた時代、世界はスペイン風邪が流行していた。
時は移り、2019年10月、王家の谷で古代エジプトの木製の棺が30体発掘された。
その後、コロナウィルスが広まり始めた。

大変非科学的であるが、災いが起きぬようにと、手厚く死者を葬った墳墓を掘り返す行為は、封印されていた災いを開放するということにはならないだろうか。

そして、サン=テグジュペリの残した言葉「人間はもう時間がなくなりすぎて、本当には何も知らないことができないでいる」「大切なものは目に見えない」を、もう一度考え直さなければならない時に差し掛かっているのかもしれない。

オリンピックについての散文。

2021-06-16 16:55:15 | 日記
オリンピック開催に向けて物事が進んでいます。きっと、コロナウィルスパンデミックがなくても開催についての賛否は議論されたであろうと思います。
しかし、勝ち取った権利でもあるので、イベントに関わっている多岐にわたる人が権利を行使したいと思う気持ちは理解できますし、出場するために人生をかけている人達の事を想うとならなおさらです。

でも、このコロナウィルスパンデミックの中でのオリンピック開催について、違和感を覚えているのは、オリンピックというイベントは、地球のイベントであるという所なのです。

地球のイベントであるなら、IOCもWHOもG7という先進国も、安心して開催できるよう、協力して然るべきであるのに、権利ばかり主張して、「権利を勝ち取ったんだから自分で何とかしろよ」という、視座を保っているように感じます。

オリンピックが、アスリートの為、アスリートを目指す人の為、アスリートを見て、叶えられなかった夢を託す人の為、アスリートが頑張る姿を見て、明日への希望を見出す人の為。感情を豊かに動かす人達の為、夢みる人たちの為にあるのだとしたら、世界は、利害抜きで困難である人達のために協力すべきだと思うのです。

もし、それが何らかの理由で協力できないとするのであれば、今後、開催地をギリシャに固定して、ギリシャはホスト国として世界のアスリートを受け入れる施設を整備し、(四年に一回のオリンピックと、ワールドカップを開催すれば、インバウンドで経済が持ち直すのではないかと思う。)
クライミングやサーフィンなどは競技に適した国で、(ワールドカップが行われている競技なら選定できると思う)行った方が、よりその競技の難しさ美しさが表現されるのではないかと思う。

SDGsを世界が目指してるのだとしたら、そうした方が公平性が保てるのではないかと思うのです。

それとも、権力者はまた、ソクラテスに毒を飲ませる事を選ぶのであろうか・・・。

コロナウィルスの足音。

2021-06-05 21:15:03 | 日記
山と田畑にかこまれた、人口減少に歯止めのかからないサイドコーナ―の小さな町に住む僕の半径一キロメートル内で複数人のコロナウィルス感染者が出てしまった。
そこで、どうしてこんな田舎にまで感染者が出てしまったのかを妄想してみる事にしました。

三重県は愛知県が北にあり、西に滋賀県、奈良県、その先に大阪府があります。そして、大阪府と愛知県とは東名阪自動車道と名阪国道、そして近畿日本鉄道でつながっています。
このように、名古屋、大阪間は、たいへんアクセスが良いため、三重から大阪や名古屋に移住し、新しい家庭を持った人もたくさんいます。
そして、関西空港と、中部国際空港、どちらも利用可能な土地でもあるので、人と物流は盛んといえるでしょう。

コロナウィルスが発生した頃は感染者が三重北部の方から出ていたので、関東から愛知へ愛知から三重へというルートが濃厚でした。今年に入ってからは、大阪府での感染者が爆発的に増え、その影響もあってか西側からの感染者も増加してきました。
大阪府での感染者が増えた事に対して、余り言及されていませんでしたが、おそらく、関空から入国してきた人が多かったことと、検査が甘かったことが起因しているように思います。でなければ、大阪府の感染者数はあの数字にはならないと思います。大阪府で増えれば、必然的に、大阪、愛知間のインフラが整備されている三重県に保菌者が往来する可能性は高まります。

また、工場が多い北中部には、外国人労働者の人達も多く暮らしていて、コミニュケーション言語が日本語ではなく母国語を使う人も多いようですので、テレビやラジオ、新聞などで注意喚起を図っていても使用言語が日本語ではないので、人によっては危機感が伝わりにくいという環境でもありました。

独裁国家ではないので、個人の欲望を抑制する事は個人の思考に委ねられています。
国民の倫理や道徳観に委ねられれていたとしても、育った国が違えば価値感も違います。

そういった、様々な要因が重なり合い、遂にはこの田舎町まで運ばれてきたのではないかと考えるのです。