竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
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万葉集 集歌4174から集歌4178まで

2023年02月20日 | 新訓 万葉集
追和筑紫太宰之時春花梅謌一首
標訓 追ひて筑紫の太宰の時の春の花梅に謌に和へたる一首
集歌4174 春裏之 樂終者 梅花 手折乎伎都追 遊尓可有
訓読 春し裏(うち)し楽しき終(をへ)は梅の花手折(たお)り招(を)きつつ遊ぶにあるべし
私訳 春の中で風流の極みは、梅の花を手折り、友を招いて風流を共にすることです。
右一首、廿七日、依興作之
注訓 右の一首は、廿七日に、興に依りて之を作る。

詠霍公鳥二首
標訓 霍公鳥(ほととぎす)を詠ねる二首
集歌4175 霍公鳥 今来喧曽無 菖蒲 可都良久麻泥尓 加流々日安良米也
訓読 霍公鳥(ほととぎす)今来(き)喧(な)き始(そ)む菖蒲(あやめくさ)蘰(かづら)くまでに離(か)るる日あらめや
私訳 ホトトギスよ、今、飛び来て鳴き始める。菖蒲の花を蘰にする薬狩りの日まで飛び去る日があるでしょうか。そんなことはありません。
毛能波三箇辞闕之
訓読 も・の・は、三箇の辞(ことば)を闕(か)く
私訳 「も・の・は」の三個の言葉を欠く。

集歌4176 我門従 喧過度 霍公鳥 伊夜奈都可之久 雖聞飽不足
訓読 我が門ゆ喧(な)き過ぎ渡る霍公鳥(ほととぎす)いや懐(なつ)かしく聞けど飽き足らず
私訳 私の家の門を鳴きながら飛び過ぎ渡って行くホトトギスよ、本当に、心惹かれて聞くけれど、聞き飽きることはありません。
毛能波氏尓乎六箇辞闕之
訓読 も・の・は・て・に・を、六箇の辞(ことば)を闕(か)く
私訳 「も・の・は・て・に・を」の六個の言葉を欠く。

四月三日、贈越前判官大伴宿祢池主霍公鳥謌、不勝感舊之意述懐一首并短謌
標訓 四月三日に、越前判官大伴宿祢池主に贈れる霍公鳥(ほととぎす)の謌、舊(ふる)きを感(め)づる意(こころ)に勝(あ)へずして懐(おもひ)を述べたる一首并せて短謌
集歌4177 和我勢故等 手携而 暁来者 出立向 暮去者 授放見都追 念鴨 見奈疑之山尓 八峯尓波 霞多奈婢伎 谿敝尓波 海石榴花咲 宇良悲 春之過者 霍公鳥 伊也之伎喧奴 獨耳 聞婆不怜毛 君与吾 隔而戀流 利波山 飛超去而 明立者 松之狭枝尓 暮去者 向月而 菖蒲 玉貫麻泥尓 鳴等余米 安寐不令宿 君乎奈夜麻勢
訓読 吾(わ)が背子と 手携(たづさ)はりて 明けくれば 出で立ち向ひ 夕されば 振り放(さ)け見つつ 思ひかも 見和(みな)ぎし山に 八峯(やつを)には 霞たなびき 谷辺(たにへ)には 椿花咲き うら悲し 春し過ぐれば 霍公鳥(ほととぎす) いや重き鳴きぬ 独りのみ 聞けば寂しも 君と吾と 隔(へな)てて恋ふる 砺波山(となみやま) 飛び越え行きて 明け立たば 松しさ枝に 夕さらば 月し向ひて 菖蒲(あやめくさ) 玉貫くまでに 鳴き響(とよ)め 安寝(やすい)寝(ね)しめず 君を悩ませ
私訳 尊敬する貴方と手を携えて、夜が明けてくると外に出て立ち向かい、夕べになると見上げて眺めながら、思いにふけるでしょう、その眺める山のたくさんの峰には霞がたなびき、谷間には椿の花が咲き、裏悲しいままに、春が過ぎて行くと、ホトトギスが一層にしきりに鳴いている。独りだけでその鳴き声を聞くと寂しいことです。貴方と私と隔てて、貴方を恋しくなる砺波山を飛び越えて行って、夜が明けたら松の小枝に、夕べになると月に向かって、菖蒲の花を薬玉に貫く日まで、鳴きその声を響かせて、安眠をさせることなく、貴方を悩ませろ。

反哥
集歌4178 吾耳 聞婆不怜毛 霍公鳥 舟生之山邊尓 伊去鳴尓毛
訓読 吾のみし聞けば寂しも霍公鳥(ほととぎす)舟生(ふにふ)し山辺(やまへ)にい去(い)き鳴かにも
私訳 私だけで聞くと寂しいことです、ホトトギスよ。舟生の山のふもとに飛んで行って鳴いてほしい。

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