竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻17 歌番号1245から1249まで

2024年05月14日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻17

歌番号一二四五

原文 止幾尓安者寸之天三遠宇良美天己毛利者部利个留止幾

読下 時に遇はずして、身を恨みて籠もり侍りける時

 

原文 布无也乃也寸比天

読下 文屋康秀

 

原文 之良久毛乃幾也止留美祢乃己末川者良恵多志个々礼也日乃比可利美奴

和歌 しらくもの きやとるみねの こまつはら えたしけけれや ひのひかりみぬ

読下 白雲の来宿る峯の小松原枝繁けれや日の光見ぬ

解釈 白雲がやって来て留まる峯の小松原、その小松の枝が茂っているからでしょうか、中に籠ると日の光が見えません。(きっと、大きな松ではない小松のような私には恩寵の日の光が当たらないのでしょう。)

 

歌番号一二四六

原文 己々呂尓毛安良奴己止遠以不己呂於止己乃於保幾尓

加幾川計者部利个留

読下 心にもあらぬことを言ふころ、男の扇に

書きつけ侍りける

 

原文 止左

読下 土左

 

原文 三尓左武久安良奴毛乃可良和比之幾者飛止乃己々呂乃安良之奈利个利

和歌 みにさむく あらぬものから わひしきは ひとのこころの あらしなりけり

読下 身に寒くあらぬものからわびしきは人の心の嵐なりけり

解釈 この扇を使っても我が身に寒くは感じませんが、ただ辛く悲しいものは、私のことを信用せずに貴方に湧く疑いの感情の嵐のようです。

 

歌番号一二四七

原文 奈可良部八飛止乃己々呂毛三留部幾遠川由乃以乃知曽加奈之可利个累

和歌 なからへは ひとのこころも みるへきを つゆのいのちそ かなしかりける

読下 ながらへば人の心も見るべきを露の命ぞ悲しかりける

解釈 生きていれば人の気持ちも変らぬか、それを見定めるべきでしょうが、それを確かめることの出来ない、露のような儚い私の命が悲しいことです。

注意 この歌は恋五の歌番号八九四と同首で、重複しています。

 

歌番号一二四八

原文 飛止乃毛止与利比左之宇己々知和川良日天本止/\

之久奈无安利川留止以比天者部利个礼八

読下 人の許より、久しう心地わづらひて、ほとほと

しくなんありつる、と言ひて侍りければ

 

原文 加武為无乃於保幾美

読下 閑院大君

 

原文 毛呂止毛尓以左止者以者天志天乃也末以可天可比止利己衣无止者世之

和歌 もろともに いさとはいはて してのやま いかてかひとり こえむとはせし

読下 もろともにいざとは言はで死出の山いかでか一人越えんとはせし

解釈 一緒に、さぁ旅立ちましょうとは言わないで、死出の山を一人で越えようとしたのですか。

 

歌番号一二四九

原文 川幾与尓加礼己礼之天

読下 月夜にかれこれして

 

原文 加武川計乃美祢於

読下 かむつけのみねを(上野峯雄)

 

原文 遠之奈部天美祢毛多比良尓奈利奈々无也末乃者奈久八川幾毛加具礼之

和歌 おしなへて みねもたひらに なりななむ やまのはなくは つきもかくれし

読下 おしなべて峯も平らになりななん山の端なくは月も隠れじ

解釈 見える景色全体が、峯までも平らになって欲しいものです、そうすれば山の端が無くなれば月も隠れようとはしないでしょうから。

注意 伊勢物語第八二段「おしなべて峰も平らになりななむ山の端なくは月も入らじを」を紹介しての歌です。

 

 

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