竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻3 歌番号86から90まで

2023年06月22日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻3
歌番号八六
原文 遠无奈尓徒可者之个留
読下 女につかはしける

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 者留乃比乃奈可幾於毛日者和寸礼之遠比止乃己々呂尓安幾也多川良无
和歌 はるのひの なかきおもひは わすれしを ひとのこころに あきやたつらむ
読下 春の日の永き思ひは忘れじを人の心に秋や立つらん
解釈 春の日が長いように、貴女への永い恋心は忘れることはありませんが、貴女の心には肌寒い風が吹く秋、その言葉の響きのような、私への飽きが生じているのでしょうか。

歌番号八七
原文 多以之良寸
読下 題知らす

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 与曽尓天毛者奈三留己止尓祢遠曽奈久和可身尓宇止幾者留乃川良左尓
和歌 よそにても はなみることに ねをそなく わかみにうとき はるのつらさに
読下 よそにても花見るごとに音をぞ泣く我が身にうとき春のつらさに
解釈 よそ(遠く)からでも見える、あの桜の花を見るたびに、声を上げて泣きます、私の身の上に、(その言葉の響きのような貴方のよそよそしい)、忌々しい、その春の辛さに。

歌番号八八
原文 多以之良寸
読下 題知らす

原文 徒良由幾
読下 貫之

原文 可世遠多尓満知天曽者奈乃知利奈末之己々呂川可良尓宇川呂不可宇左
和歌 かせをたに まちてそはなの ちりなまし こころつからに うつろふかうさ
読下 風をだに待ちてぞ花の散りなまし心づからに移ろふがうさ
解釈 せめて、風が吹くのを待ってから、桜の花は散ったらいいのに、風を待つことなく自ら花を散らす、残念に思う私の気持ちを汲まない、その姿に恨めしいものがあります。

歌番号八九
原文 安礼多留止己呂尓春美者部利个留遠无奈徒礼/\尓
於毛保衣者部礼遣連者尓和尓安留寸三礼乃者奈遠
徒美天以比徒可者之个留
読下 荒れたる所に住み侍りける女、つれづれに
思ほえ侍りければ、庭にある菫の花を
摘みて、言ひつかはしける

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 和可也止尓寸美礼乃者奈乃於本可礼者幾也止留比止也安留止満川可那
和歌 わかやとに すみれのはなの おほけれは きやとるひとや あるとまつかな
読下 我が宿に菫の花の多かれば来宿る人やあると待つかな
解釈 私の家に菫の花が、このようにたくさんに咲くので、それを眺めに来て宿る人がいるかと思って待っています。(ねぇ、貴方。)

歌番号九〇
原文 多以之良寸
読下 題知らす

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 也満多可美可寸美遠和遣天知留者奈遠由幾止也与曽乃比止者三留良无
和歌 やまたかみ かすみをわけて ちるはなを ゆきとやよその ひとはみるらむ
読下 山高み霞をわけて散る花を雪とやよその人は見るらん
解釈 山の高みに懸かる霞を切り別けるように散る桜の花を、まるで雪が降っているかと、遠くの人は眺めるでしょうか。

コメント
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