逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

特攻隊基地だった福島第一 人間を使い捨てる原発のタブー

2011年09月05日 | 放射能と情報操作

『日本以外でも同じ原発の事情』

クリーンで安全、経済的にも優れている夢のエネルギーとの宣伝文句だった原子力による発電には、臨時雇用の作業員を『使い捨て』にする非人道的な恐るべき秘密が隠されている。
しかも、発電会社の正社員では無くて待遇が極端に悪い臨時雇いの下請け作業員に放射能被曝を押し付ける、この『人間の使い捨て』は日本独自の特徴では無くて、世界共通の原子力発電の制度的な絶対に避けれない宿命であったらしいです。
ドイツは人口減少が日本よりも早く始まった為に60年代の高度成長期にトルコ人を労働力不足の穴埋めの必要性から大量に受け入れ、今では全人口の1割にも達する。
勿論、深刻な人種差別や人権問題が多発する。
ドイツ人のジャーナリストが、この問題を告発するためにドイツ語が良く判らない失業中のトルコ人の移民に偽装して仕事を探すのですが、何とあてがわれたのが被曝の危険性が高い原子炉の炉心の清掃という、ドイツ人なら絶対にしない危ない仕事だったのです。
ドイツの原発ですが、やっぱり事情が日本の原発とまったく同じ構造なのです。
ただ日本では、ドイツとは大きく事情が違い移民の外国人労働者の総数が少なすぎて、結果的に日本人の臨時の使い捨て作業員の誕生となったようです。
ドイツで盛り上がった原発全廃の国民世論ですが、これ等の真面目なジャーナリストの『原発の真実の告発』の今までの地道な努力も大きく影響しているのでしょう。

『農地として不適だった福島第一』

福島第一原発ですが、此処には水源が無く農業には不適地で、かっては天日式の『塩田』が作られていた歴史がある。
碑文でも11戸の農家が特攻隊基地建設で移住とあるが、普通ならこれだけの広さなら何十倍の人口があるはずなのです。
今の日本とは大きく違い、昔は山間僻地や遠く離れた不便な離島でも沢山の人々が居住していて、普通に生活していたのです。
沖縄本島から遥かに遠い大東島や与那国島などでも1万人以上の人口が有ったが今では10分の1以下で、これは本州でも事情はまったく同じで交通の便の悪い地域は見捨てられ廃村になっている。
ところが敗戦前では福島第一原発のような人口希薄な場所は逆に珍しかったのではないでしょうか。
原因は矢張り水源が無かったからでしょう。これでは幾ら昔でも人が住めない。
そう思って他の原発の敷地も調べたら矢張り近くに川などが無い水源が無い場所ばかりですね。
田舎で水源が無ければ、生活は極端に不便で貧しくなるが、この事実を戦前は軍部に利用され特攻隊の飛行場にされたが、戦後は電力会社に付け込まれて危険な原発を押し付けられた。
人間を使い捨てにする原発問題と、差別や貧困とは根っこの深い部分では繋がっているのでしょう。

『鹿児島県知覧よりも歴史が古い福島第一の特攻基地』

東京電力福島第一原発の敷地になっている福島県の磐木飛行場の特攻隊基地跡ですが、全国的に見れば誰も知らないらしい。
ところが福島とは大違いで全国的に有名な鹿児島県の知覧特攻隊基地の歴史は昭和16年創設なので実際に存在したのはたったの4年間です。
福島県は1年も早い昭和15年建設であり、歴史的にはこちらの方が古いのです。
ところが福島県では鹿児島知覧とは大違いで記念碑の石碑一つが残るだけで、他はすべては消え果てている。
これだけの未曾有の原発事故の大騒動で『福島第一』の名称や場所は、日本人なら誰一人知らない人は無い。
超有名にも係わらず、そこが特攻隊基地だった事実を一部を除けば知っている人が居ない不思議。
落差が大きすぎて不自然である。
今の大手マスコミですが、鹿児島県にある知覧の特攻隊基地は大好きで何回も何回も繰り返して報道するし映画化までされている。
ところが正反対に、何故か福島県の磐木飛行場特攻隊基地の方は、マスコミが誰も彼も嫌がって話をしたがらない。
その理由とは、いったい何でしょう。
事故から半年間。その間にマスコミでは最大限のとんでもない量の報道が福島第一関連で成されてるのですよ。
辻褄が合わない。
マスコミ関係者全員が、誰一人も気が付かないなど有るわけが無いのです。
ところが『気が付かなかった。』、ことにして報道しなかったらしい。

『中身ではなく、その「存在」がタブー』

ひょっとすると、このブログ記事が指摘している原子力による発電の根本的な欠点と、旧日本軍との非人道的な『人間を使い捨て』にする欠点との、不思議な共通点に誰かが気が付いた。
それならマスコミとして、日本のメディアで報道したくても報道出来ない。『知られざるタブー』、『禁忌の一つ』に、新たに加えたのかも知れないですね。
このように報道のタブーとは、『タブーの内容』(中身)にはたいした意味は無くて、逆に『何がタブーであるか。』との、そのタブー存在自体が、実は最大のタブーなのです。
皇室の菊タブーとか、創価学会の鶴タブーなどは有名ですが、これ等の日本人全員みんなが知っている『タブー』なるものは実は世間でむやみに喋ってはいけない忌み言葉程度の話で、『タブーの定義』からすれば一番高次のタブーでは無いのです。
そもそも最大のタブーとは、『タブーの存在自体が、最高機密でタブーである。』と思って今のマスコミ報道を見れば、色々な不思議の一つ一つが簡単に理解することが誰にでも十分に可能なのですね。
タブー(taboo)とは語源がポリネシアに由来していて『強く徴づけられたもの』を意味していて、その共同体の存立の『根拠』とタブーの『遵守』は密接な関係を持っている。
禁忌(タブー)はまた日本独特の『穢れ』(ケガレ)とも関連していると思われるが、これ等のタブーに対しては合理的な説明は一切必要とはされない。
しかし、タブーを侵犯したあとの、その恐ろしい『結果』だけは共同体の構成員全員に良く知られているのです。

『放射線被曝で最大の問題は累積積算線量』

今までに原発労働者で労災認定された最低被曝量はたったの5ミリシーベルトである事実は驚愕的であるし何とも恐ろしい。
5ミリシーベルトなど福島なら幼稚園児や小学生でも沢山の市民が被曝している。
この被曝数値で死亡した原発作業員の存在は何を意味するのか。
実は5ミリシーベルトとは計測された体を通り抜けたガンマ線の数値であり、今の放射性測定器の多くは原則的に、より人体に被害の大きいヘリウムの原子核であるα線や、γ線よりも電離作用が強い遊離した電子の放射であるβ線は飛距離が短すぎて直接計測出来ないのです。
電離作用が一番強いα線は体内(内部被曝)では飛距離が細胞一個分程度しか飛ばない。
電荷を持つので電離作用が極めて大きいα線やβ線は、飛距離が極短いので外部被曝ではそれほど怖くない。
しかし逆に内部被曝では電荷を持っていないので電離作用が弱いγ線よりも、α線やβ線はその分、より周辺のDNAを傷つけるので恐ろしい。
影響は大きくても飛距離が短すぎて計測が出来ず、尿などで間接的にしか測れない。
だから5ミリシーベルトのガンマ線被曝線量でも、原発労働者が労災認定されたのです。

『短期の大線量よりも長期の低線量の方が怖い放射能の影響』

原爆では大線量被曝による一時の放射線量が問題とされたが、原発では事情が違い低線量の継続的な被曝であり種類が違う。
低線量被曝では、細胞自体の免疫力などの生命の修復力のお蔭で全く影響が無いとの説を唱える原発村の御用学者まで現れているが、癌細胞の発生のメカニズムを全く無視していると言わざるを得ない。
煙草や石綿が怖いのは、数年とか十数年の短期では体の免疫力などの生命の修復力で防ぐが、その修復には一定の限りがあり、その限度を超えた数十年後の段階で発病するのである。
細胞が死滅する大線量の放射能よりも、修復可能な低線量被曝での弱いDNAへの打撃の累積値の積算が長時間続くことが癌の発症に繋がることが疫学的に証明されている。
このように大被曝線量の短期の原爆とは、放射線被害のメカニズムが全く違う。
原爆とは大違いで長期の低線量被曝の原発では、累積での積算値が大事で政府は生涯積算値を100ミリシーベルトであると暫定的に発表しているが、これには内部被曝と外部被曝の関係性の記述が無い。
何ともいい加減なのである。

『非人道的な原子力による発電メカニズム』

しかし累積の『積算値が一番恐ろしい。』とは、言わないだけで原発関係者全員が良く知っていた。
だから正規雇用の正社員の被曝量を下げる目的で、臨時雇いの下請け作業員が大量に電力会社に雇われているのです。
『免疫力云々』が最大の問題とされるのは感染症など極短期の話であろう。
放射能被曝による長期間の癌の発症などは『煙草や石綿』の人体への影響と同じであろうと考える方が、正しい考え方である。
それなら『低線量なら問題ない』などは俗説で腹立たしい間違いである。
放射能では低線量の積算値が一番恐ろしいのであり、『低線量ならかえって健康に良い』など、少量なら煙草や石綿を健康に良いするのと同じ種類の、ためにする不真面目極まるデマの一種である。
放射能は少量でも、間違いなく健康には悪いのです。
この事実を電力会社が一番知っているから、自社の正社員は使いたくても原発の被曝作業現場では使わないのですよ。

『そっくりだった東電と日本軍』

それにしても原子力発電と旧日本軍とは色々な部分で重なっているのですから腹立たしい。
3・11原発事故直後に、復旧に当たる職員達は東京電力福島第一原発構内の体育館などの床にごろ寝で寝泊りして、しかも食事は1日2食、それもレトルトとか乾パンなどの僅かの粗食で睡眠時間も削って頑張っている作業員の話が報道があったので、うっかりとして『事故後に東京電力の職員は良く頑張っている』と勘違いしたのですが、事実は大違い。
旧日本軍とそっくり同じであったのですよ。
東京電力は、正規雇用の正社員でない下請けの臨時作業員を劣悪極まる非人道的な環境で平気で働かしていたのですね。
何とも腹がたつ、目を背けたくなるほどの酷すぎる原子力発電の現実である。
しかもその事実はタブー(禁忌)である為に日本のマスコミで報道されることは無いがメディア関係者全員が良く知っている。
日本の大手メディアは、政府の『ただちに健康に影響は無い。』を繰り返し繰り返し報道したが、自社の記者に対しては(命と健康を守る為)原発からの40~50キロ圏以内への立ち入りを厳重に禁止していたのです。
戦争取材など特殊な仕事の本来持つ性質上、生命の危険性をある程度は甘受すべき日本人記者が50キロ圏以内立ち入り禁止なら、一般市民なら80キロ圏から退避などのアメリカ政府の決定は当然であったのです。
また米政府は東京など名古屋以東の東日本からの在日米人の退避まで考えていたのですが『日本人はゆすりたかりの名人』の国務省の対日政策のトップであるメア日本部長の『日本がパニックになる』との反対で見送られたと、当のメア本人が証言している。

コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 特攻隊基地だった福島第一原... | トップ | 3・11大震災死者行方不明... »

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
(-_-;) (佐藤江美)
2011-09-06 04:19:04
困ったもんだ・・・
返信する
あってはならないこと… (青い鳥)
2011-09-06 14:13:19
人間の命の尊厳を蹂躙する絶対あってはならない事ですね…。 まさに東京電力は、旧日本軍と全く同じ殺人集団であることが良く解りますね…。 東京電力の事実の隠蔽や、殺人捜査に何故に警察や特捜などの司直の手が入らないのか、全くもって理解できませんね…。『国家の禁忌』に司法もなす術がなく、否、隠蔽に加担しているとなれば大問題であり、日本に正義を担保するものは何もないことになりますね…。まさに、戦前・戦中の暗黒社会そのものですね…。
>放射能は少量でも、間違いなく健康には悪いのです。
この事実を電力会社が一番知っているから、自社の正社員は使いたくても原発の被曝作業現場では使わないのですよ。

‘人間の生命の選別,など絶対に許されざる犯罪ですね…。
「放射能は体に良い」などと飛んでもない妄言をホザク御用学者も取り締まるべきですね…。 放射能の量の多寡による人体への影響が医学的(科学的)に不明である現在においては、より安全な方策を採用するのが危機管理の要、国民の生命を守る責を負う政府の大切な役割ではないか…。やはり、「日本は人間の住める国ではない。棄民国家だ。」と吐き棄てた、小田実氏の言葉が、まざまざと甦りますね…。
返信する
調べれば調べるほど (宗純)
2011-09-06 15:37:59
佐藤江美さん、はじめまして。これからの宜しくお願い致します。

1945年の敗戦で解体された旧日本軍ですが、実は『軍隊』組織とは究極の官僚組織でもあるのでそれなら、今のマスコミで言われているような数々の官僚組織の悪弊が、そっくり同じように日本軍にも存在していたのです。
そして今の東京電力ですが、一応は民間会社なのですが法律によって利益が保障された独占企業であり、民間企業とは正反対で発電コストをかければかけるほど、組織として無駄使いすればするほどコスト上昇に比例して利益が増えるとの不思議すぎる構造なのです。
東電ですが、原発が無駄に経費がかかることは最初から判っていたのですね。
東京電力などの政府に守られた独占企業の電力会社とは官僚組織以上に、官僚的な体質があり、それなら究極の官僚組織としての旧日本軍と似ているのは偶然ではないのですよ。ある意味当たり前だとの話に成りますが困った話です。
矢張り解決方法は、完全に解体するしか方法は無いでしょう。
返信する
一応『安全神話』学説を紹介すると (宗純)
2011-09-06 16:05:43
青い鳥さん、コメント有難うございます。

小出助教の『放射能は少なくても危険である』とは正反対の原発安全神話の放射線ホルミシス学説では、

閾値とされる微弱の放射線以下では、生物に対して事実上無害。
理由1. 人間(生物全般)は、生まれつき遺伝子損傷修復機構を備えている。
理由2. チェルノブイリ原発近郊の生態系に関する詳しい疫学調査では、顕著な遺伝的異常は見つかっていない。
理由3. フリーラジカルの研究から、活性酸素を不均化する酵素群(SOD)の活性化によって余分な活性酸素が消去されることが知られており(それは「老化抑制」に寄与する)、微弱な放射能との共通点が推測される。 さらに、リンパ球(T細胞)の活性化(それは生体の免疫力を高めて「がん抑制」に寄与する)に関しても、微弱な放射能との共通点が推測される。

害と成る刺激でも、低レベルなら実害は全く発生し無いだろうとの安易な超楽観的な発想なのですね。
それなら煙草とかアスベストなんか間違いなく人体には影響は無いと結論になるとの、話がこの人たちは完璧に失念しているのですよ。
長い間かかる癌の発症のメカニズムでは、実は低レベルの修復可能な細胞が死なない程度のレベルの損傷が実は怖いのです。
大容量での損傷では細胞が修復されず死ぬので、被害自体は大きくても癌化することは無いとの、癌と免疫力との関連性の煙草の害やアスベストの恐ろしさへの発想が何故か欠落しているのですね。
ほんの少し冷静になって放射線ホルミシス学説を考えて見れば誰でも簡単にインチキが見破れるのですが、何故か騙される人が出てくる。
これは如何も『騙される』のではなくて『騙されたい』との密かな願望があるのですよ。多分。
放射線ホルミシス学説が正しいなら、同じように煙草の煙やアスベストの粉塵に対しても『少量なら安全』との放射線ホルミシス効果が成り立つのとの判断が出来ないのです。
返信する

コメントを投稿

放射能と情報操作」カテゴリの最新記事