逝きし世の面影

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福島第一、飯舘村の汚染濃度はチェルノブイリの26・5倍から5・5倍

2011年05月14日 | 放射能と情報操作

文部科学省が初めて公表した東京電力福島第1原発から半径80キロ圏内の地表の放射性物質による汚染地図。

福島第一原発から北西方向に放射性物質の汚染が広がり、計画的避難区域外の居住域でも高濃度の汚染地域が見つかった。
しかし、住民の避難措置などは空気中の放射線量が基準のため、国の原子力安全委員会は『避難区域の変更は不要』と態度を変えていない。

『福島県の汚染濃度はチェルノブイリの10倍超』 原発北西セシウム高濃度

当ブログ記事、2011年05月06日の(放射能と情報操作)『福島第一、チェルノブイリ原発の1/10ではなく10倍の汚染濃度』での指摘を証明する資料が、文部省から出された実際の数字で裏付けられたようです。
チェルノブイリ原発事故では、半減期30年のセシウム137の濃度が55・5万ベクレル以上の地域が強制移住の対象となっていた。
ところが福島県では、それ以上の高濃度地帯が、福島県飯舘村南部まで、1平方メートル当たり約1470万~300万ベクレルの高濃度の汚染地域が帯状に広がっているのですから恐ろしい。
この数値は、チェルノブイリ原発事故での強制移住の対象の濃度の、26・5倍から5・5倍の猛烈に高い異常な数値である。
ところが政府や安全院は、日本では旧ソ連とは違い地表ではなくて空気中の放射線量を基準にしているので、『ただちに避難エリアを変える必要はない』との、とんでもない見解です。
当たり前ですが一般市民は1年中空気中ではなくて、誰でも一人の例外もなく地表に立って生きているのだとの基本的な普通の認識が欠如している。
旧ソ連の基準値の何十倍もの高濃度の放射能汚染地帯でも『ただちに健康に問題はない。安全です』と結論付ける日本政府の姿勢には絶句するしかない。何とも無責任極まる恐ろしい酷い話である。
政府が基準とする国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告とは、原発やレントゲンなど放射線物質を取り扱う為の安全基準であるので、当然なことに放射性物質との距離の二乗に反比例する放射線の特徴から、大気中の放射線量の値を『基準値』と定めている。
大気中の数値では、爆発した福島第一から放出されたヨウ素など希ガス類は測定出来るので事故直後では一番正確な数値が出る。
ところが現在のように一定期間時間が経過した後では、半減期の短いヨウ素は微量になり他の放射性汚染物質も雨などで地上に落ちて、大気中の数値は低くなる。
大気中だけを計ったのでは、土壌に降り積もった放射性汚染物質の量は十分には測定出来ないので、これでは舞い上がった放射性汚染物質による住民の放射能汚染は避けれない。

『福島県の北西側地域の土壌、チェルノブイリの避難レベルを超す』5月11日毎日(抜粋)

『原発北西セシウム高濃度』 『土壌蓄積 チェルノブイリ超す』
東京電力福島第一原発からの放射性物質の放出が続き、福島県内の土壌に放射性物質が蓄積することによる、影響の長期化が懸念される。
文部科学省は4月、米エネルギー省と共同で航空機を使ってセシウム137(半減期約30年) の土壌蓄積量を調べたところ、原発の北西方向にあたる同県浪江町、双葉町、南相馬市、飯舘村、 葛尾村などで、1平方メートルあたり300万~1470万ベクレルに達した。
旧ソ連の チェルノブイリ原発事故(86年)で、住民避難の判断基準とされた1平方メートルあたり 55万ベクレル以上という数値を大幅に上回った。
今回の事故による避難地域は、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告をもとに、空間線量が 年20ミリシーベルトという数値を基準としたため、蓄積が多くても避難対象ではない地域がある。
文科省は、『土壌の放射性物質が、すぐ体内に入るわけではない。測定場所によって濃度も異なる。』と説明する。
一方、今後の住民の帰宅や農業の可否の判断にあたり、土壌の汚染度が議論になる 可能性がある。
名古屋大大学院の山沢弘実教授(環境放射能)は、『土壌汚染は、土に付着する セシウムから出るガンマ線による外部被ばくが問題。』と指摘、放射線量低減には土の入れ替えが 有効と提案する。

(注1)
ICRPの勧告は20ではなく1~20まで。20ミリシーベルトとは被曝限度の上限のことで基準値とは言い難い。
また妊娠可能な女性の被曝限度は男性の5分の1以下と定められているし、未成年の放射線被曝も本来認められていない。
(注2)
ベータ崩壊で放出される電子がベータ線の正体で、ベータ線は1 mも飛ばず、また皮膚から体の中に向けてベータ線は空気中の1/1000程度の距離しか届かない。
一方、ガンマ線は電波と同じ電磁波で物質を透過する力が大きく遠くまで飛び体ぐらいは十分に突き抜けてるので、放射性ヨウ素や放射性セシウムを体内に取り込んだ場合、ベータ線による体内被曝が問題となる。
ただし、放射性物質が外部にある場合に限定すれば、山沢氏の指摘のとおりでガンマ線の外部被曝が問題となる。
α線は、β線以上に飛距離が極端に短いので、その影響は皮膚への付着と体内に取り込んだ時の内部被曝だけに限定される。
プルトニウムなどのアルファ崩壊で放出されるアルファ線の正体はヘリウムの原子核で、強力な電離作用を持つため非常に危険であると言われているが、エネルギーは大きいが透過力が弱く紙1枚でも遮断できる放射線で、通常の放射線測定器では検知されない。
現在文部省が発表している放射線量の数値とは、ほぼガンマ線量に限定された値であろうと思われる。

『福島・飯舘村に避難勧告を IAEAが日本政府に要請』

3月の時点で既に、放射性汚染物質による土壌汚染が酷い福島県飯舘村に国際原子力機関(IAEA)が日本政府に対して避難勧告を出していた。
【ベルリン時事】
国際原子力機関(IAEA)のフローリー事務次長は3月30日、ウィーンの本部で記者会見し、事故を起こした福島第1原発の北西約40キロにあり、避難地域に指定されていない『福島県飯舘村について』、高い濃度の放射性物質が検出されたとして、『住民に避難を勧告するよう』『日本政府に』促した。
同事務次長は『飯舘村の放射性物質はIAEAの避難基準を上回っている。』と指摘。
日本側からは調査を開始したとの連絡があったことを明らかにした。(2011/03/31)



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