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【日銀、市場原理が機能中の国債市場に過介入!】民間銀の合理的判断が問うマイナス金利の不合理性③

2016-06-17 00:01:47 | 日本

前回からの続き)

 三菱東京UFJ銀行(MUFG)が国債市場特別参加者(プライマリー・ディーラー:PD)の資格を返上しようというのは、これによって黒田日銀の「マイナス金利政策」下で明らかに高値になり過ぎている国債を買わされて自分が多額の評価損を食らうリスクを回避したいから。そしてじつは・・・MUFGには日本のリーディングバンクである自らがPDを返上することで、日銀に対して同政策の見直しそして断念を迫ろうという意図があるのではないか・・・

 「明らかにネガティブ」―――日銀のマイナス金利政策についてMUFGの平野社長はこう断じています。これ、2つの意味で、つまり第一にMUFGを含む金融業界、そして第二に日銀ひいては国家にとってネガティブ・・・という含意だと解釈すべき。というわけで、本稿1回目と多分にダブりますが、まずは銀行にとって同政策がいかにネガティブか、についてあらためて綴ってみましょう・・・

 ・・・こちらを含めて以前から書いているとおり、ポスト資産バブル期の世界市場のどこを探しても、本邦金融機関にとって適切な資金の運用先は日本国債くらいしか見当たりません。だから日銀が「異次元緩和」なんぞ発動する前から自然とジャパンマネーは国債買いに回り、長期金利は主要国中、世界一の低位を保ってきたわけです。これはわが国の債券マーケットにおいて市場メカニズムが健全に働いていたことを意味します

 そんななか、2013年春から始まった異次元緩和。これが平穏に運営されていた同市場にいらぬ混乱をもたらしました(?)。日銀が突如ここに介入して国債を爆買いするものだからその価格は上記メカニズムでは説明が付かないレベルに上がってしまった(長期金利は下がり過ぎてしまった)ということです。それでも本邦機関投資家は日本国債を買い続けるしかなかった(あるいは国債を日銀に買い取ってもらって得たキャッシュを年0.1%の付利を得るために日銀当座預金口座に預けるしかなかった)。なぜなら、繰り返しになりますが彼らには、どんなに価格がつり上げられても(利回りが下げられても)国債を買う以外の選択肢がなかったため。

 ・・・そんな日本国債買いも当座預金も、リターンがどれほど雀の涙でもプラスであれば理屈に合うものでした。ところがこれがマイナスになってしまうと、上述のようにこれらの購入等には合理的な説明がつけられなくなる・・・。だからといってドル米国債なんぞ、買えるわけがない―――なぜ?って、アメリカの次期大統領の座にもっとも近いとされる(?)ドナルド・トランプ氏がその理由を先般、はっきりと口にしています―――アメリカはデフォルトしない、ドルを刷ればいいだけの話だろ?と・・・。

 かくしてわが国の金融機関は利益を得る術―――顧客から預かったおカネを運用する術を失ってしまいました。「それでもマネーのプロか!」って、そんな無茶なこと言わないであげて! 上記のようにドルや外債はインフレで目減り必至だから×、株や不動産もバブル価格だから×、企業等融資はこれまでの長年にわたる超低金利下でニーズがなかったものをいまさら増やせるわけがない・・・。こんな環境では、本邦金融業界はお手上げ―――お客さまからこれ以上おカネを預かってもマトモに利息を付けてお返しできないので新規預金や保険の受け付けは中止!みたいなことをせざるを得ない(?)。しかたがないので人々はタンス預金用の金庫を買う破目に・・・(!?)。当然、金融各社の利益は激減するから株主配当も減らすしかない・・・。てな具合で銀行もその株主も、そして預貯金者も、みんな大迷惑そして大困惑・・・

 ・・・これらはすべて、本邦金融機関にとって唯一の安全確実な投資である日本国債買いを事実上封殺した日銀の「異次元緩和」・・・そのなかでも不合理きわまるマイナス金利政策のせいだ・・・(?)。「明らかにネガティブ」―――上記MUFG社長発言の裏には、銀行界のこうした苦い思いがあるに違いありません・・・(?)

続く

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