なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

脳静脈血栓症

2017年03月17日 | Weblog

 一昨日、朝病院に来ると、前夜の当直医から連絡が来た。心肺停止の患者さんをみているので、これから救急車で来る患者さんを診てほしいという。その方は90第代の女性で、先月誤嚥性肺炎で入院した病院から嚥下訓練のため転院してきた。幸い順調に嚥下できるようになって(全粥刻み食)数日前に退院したばかりだった。

 心肺停止で救急搬入されたのは、精神遅滞・てんかんで他院に通院している20歳代前半の男性だった。救急隊到着時から心肺停止で蘇生術が開始され、病院搬入後も継続されたがまったく反応せず、死亡確認がなされていた。前に感冒症状で外来を受診したことがあった。体格がよく力が強いし、少しもじっとしていなかった。家族ふたりが付き添っていたが、診察しようとすると両手で思い切り払いのけるので、実際はできなかった。

 今回は数日前から発熱があったらしいが、受診させること自体が難しいので、自宅で様子をみていた。早朝に家族が意識がないのに気づいて救急要請した。心肺停止に陥ってから気づかれるまで、かなり時間が経っていたと推定される。

 死因精査のためAIが行われた。胸腹部CTでは両側肺背側に淡い陰影を認めるが、有意な所見ではないようだ。頭部CTではくも膜下出血・脳出血はなかった。両側の横静脈洞・直静脈洞に血栓症をきたしているようだ。あまり見ない所見なので、すぐに放射線科医に診てもらったが、脳静脈血栓症だった。アーチファクトでも、心肺停止後の二次的なものでもなく、これが急変の原因になったのだろうか。原因として心疾患が発症した可能性もあるが。

 これまで脳静脈血栓症は1例だけみたことがある。片側の横静脈洞の血栓症だったと記憶している。その後脳外科医(当時は常勤医がいた)に回したのでその後の経過は覚えていない。

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