なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肺癌で死亡

2013年09月26日 | Weblog

 肺癌の緩和ケアで入院していた75歳男性が午前5時前に亡くなった。当直の脳外科医が看取ってくれた。看護師さんには、このまま死ぬんだろうかなどと言っていたらしい。ベットに座ってうつむいている姿が印象的だった。

 抗うつ剤を投与したが、効果はなかった。スピリチュアルな問題なのかもしれない。妻子はなく、兄弟は他県にいて、時々来てくれていたが、毎日というわけにもいかない。当地で仕事をしていて、仕事を辞めてからも、そのまま当地に残っていた。経済的に可能であれば、兄弟たちのいる出身地に戻った方がよかったのではないだろうか。

 一般病院では。教科書通りにオピオイドやステロイドを投与するのが精一杯で、ホスピスのようなケアをする余裕はない。もっとも、県内には大学病院とがんセンターにホスピスがあるが、病床数も少ないし、待っている間に病状が悪化してしまう。また、県内からといっても、遠くてホスピスまでそうそう頻回に家族が見舞いに行けない。居住地近くの病院で、ホスピスに準じたケアができればいいのだろうが、どこの病院でもそんな余裕はないだろう。

 亡くなった患者さんは基幹病院呼吸器科からの紹介だった。外来でオピオイド投与を継続して、悪化した時は入院で看取って下さいという依頼だった。しかし当院外来を受診した時から食欲不振と倦怠感があった。一人暮らしで、兄弟が他県から世話に来ているということで、そのまま入院としたのだった。前医では、一人暮らしなので在宅給食サービスを斡旋したが、患者さんは暗い顔でおいしくないんですと言っていた。付き添いで来ていた兄弟は、入院できると聞いて喜んでいた。兄弟と2日前に病棟であった時に、今週末まで持つかどうかと伝えていた。地元に戻らず、患者さんの自宅に泊まっていたので、急変時(予想されたことだが)にはすぐに病院に来た。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする