今回ご紹介するのは「オーデュボンの祈り」(著:伊坂幸太郎)です。
-----内容-----
コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。
江戸以来外界から遮断されている”荻島”には、妙な人間ばかりが住んでいた。
嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。
次の日カカシが殺される。
無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。
未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?
-----感想-----
「オーデュボンの祈り」は、伊坂幸太郎さんのデビュー作です。
いつか読みたいなと思いながらも、他の伊坂作品に興味が向いていたため後回しになっていました。
今回読んでみて、序盤はデビュー作なだけに文章の切れ味がイマイチかもと思いました。
特にここ最近はゴールデンスランバーやモダンタイムスなど、スピード感のある作品を読んでいたので、そう感じたのかも知れません。
それでも読み進めていくにつれ、面白さが出てきます。
本作の舞台となる”荻島”は、仙台の先の牡鹿半島をずっと南に来たところにあるようです。
そこは150年も昔から島の外と全く交流を持っていなくて、外の世界と隔絶されています。
荻島には人語を喋ることが出来る「カカシ」がいます。
名前は優午(ゆうご)といいます。
カカシが人語を喋れるなんて、すごい突飛な設定だなと思いました。
このカカシは未来を見通すことが出来て、島の人たちからはとても頼りにされています。
島で殺人事件などが起きたときも、優午に聞けばあっという間に犯人が分かります。
未来を見通せるのですから、これから殺人事件が起きることも優午はお見通しというわけです。
しかし優午は、「これから○○さんが殺人事件を起こします」というようないことは言いません。
未来のことについては話さないようです。
そんな優午が、ある日殺されてしまいます。
田んぼから引き抜かれ、体はバラバラにされて。
そしてその死体は、なぜか頭だけがなくなっていました。
この優午の死について、大きな疑問が出てきます。
優午は未来を見通せるのに、なぜ自分の死を阻止出来なかったのかということです。
100年先のことでも見通せる優午なのだから、自分に死が迫っているのを察知出来ないはずがない。。。
主人公の伊藤が、この謎を少しずつ解き明かしていきます。
優午を殺したのは誰なのか、またなぜ優午は自分の死を阻止出来なかったのか。
伊藤はもともと仙台市内に住んでいて、コンビニ強盗に失敗して逃走していたのがきっかけになり、荻島に来ました。
荻島では優午の死以外にも、色々な事件が起きていきます。
それらが意外なところでつながる辺りは、伊坂さん得意の書き方です。
この上手さはデビューの頃からあったのだなと思いました
後半になるにつれて、物語も盛り上がっていって面白かったです。
今回で伊坂さんの作品を読むのは10冊目となりました。
晴れてデビュー作も読めたので、他の未読の作品も機会を見て読んでいきたいと思います
※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。
-----内容-----
コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。
江戸以来外界から遮断されている”荻島”には、妙な人間ばかりが住んでいた。
嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。
次の日カカシが殺される。
無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。
未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?
-----感想-----
「オーデュボンの祈り」は、伊坂幸太郎さんのデビュー作です。
いつか読みたいなと思いながらも、他の伊坂作品に興味が向いていたため後回しになっていました。
今回読んでみて、序盤はデビュー作なだけに文章の切れ味がイマイチかもと思いました。
特にここ最近はゴールデンスランバーやモダンタイムスなど、スピード感のある作品を読んでいたので、そう感じたのかも知れません。
それでも読み進めていくにつれ、面白さが出てきます。
本作の舞台となる”荻島”は、仙台の先の牡鹿半島をずっと南に来たところにあるようです。
そこは150年も昔から島の外と全く交流を持っていなくて、外の世界と隔絶されています。
荻島には人語を喋ることが出来る「カカシ」がいます。
名前は優午(ゆうご)といいます。
カカシが人語を喋れるなんて、すごい突飛な設定だなと思いました。
このカカシは未来を見通すことが出来て、島の人たちからはとても頼りにされています。
島で殺人事件などが起きたときも、優午に聞けばあっという間に犯人が分かります。
未来を見通せるのですから、これから殺人事件が起きることも優午はお見通しというわけです。
しかし優午は、「これから○○さんが殺人事件を起こします」というようないことは言いません。
未来のことについては話さないようです。
そんな優午が、ある日殺されてしまいます。
田んぼから引き抜かれ、体はバラバラにされて。
そしてその死体は、なぜか頭だけがなくなっていました。
この優午の死について、大きな疑問が出てきます。
優午は未来を見通せるのに、なぜ自分の死を阻止出来なかったのかということです。
100年先のことでも見通せる優午なのだから、自分に死が迫っているのを察知出来ないはずがない。。。
主人公の伊藤が、この謎を少しずつ解き明かしていきます。
優午を殺したのは誰なのか、またなぜ優午は自分の死を阻止出来なかったのか。
伊藤はもともと仙台市内に住んでいて、コンビニ強盗に失敗して逃走していたのがきっかけになり、荻島に来ました。
荻島では優午の死以外にも、色々な事件が起きていきます。
それらが意外なところでつながる辺りは、伊坂さん得意の書き方です。
この上手さはデビューの頃からあったのだなと思いました
後半になるにつれて、物語も盛り上がっていって面白かったです。
今回で伊坂さんの作品を読むのは10冊目となりました。
晴れてデビュー作も読めたので、他の未読の作品も機会を見て読んでいきたいと思います
※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。
読んでみたいと思っているのですが、
身の回りの未読本が多すぎて(^^;
でも、読む本がまだいっぱいあると思ったら、うれしくなってしまいます♪
デビュー作って、その作家の「核」のような部分が、
ちゃんと既に入ってますよね。
そこからどの部分が進化したのかを知ることもできるので、
同じ作家を色々読むのは楽しいです☆
先々の楽しみになりますし
viviandpianoさんのおっしゃるとおり、「核」になるものが入っていました。
他の伊坂作品でよく見られる傾向が、この作品にもありました。
全てはこの「オーデュボンの祈り」から始まったのかと思うと、感慨深いものがあります。
最近の作品ではますます切れ味が増しているし、これからの伊坂作品にも注目です
わたしも大好きな作品です。
というか優午が好きです(笑)。
島の人々も、独特で面白いですよね。
トラックバックさせていただきました♪
はるみんさんもオーデュボンを読んでいましたね。
優午は良い味を出していたと思います。
カカシが喋って、しかも丁寧な敬語なので、何となく面白かったです
出てくる人たちはみな個性があって、物語を盛り上げていたと思います
不思議な設定、不思議な島の人々、人々の不思議な行動…
全てが最後につながる。
優午や伊藤の祖母の言葉がちょっと深かったりもしましたね。
島に欠けているものが分かった時もなんだか「あぁっ!」と思いました。
世の中、あれが欠けていたら寂しいですよね☆
伊坂ワールドの原点ですかね。
面白いお話でしたよね!
デビューの時点でそのスタイルが出来ていたのだなと思いました。
島に欠けているものは、意外なものでしたね。
たしかにあれが欠けていたら、寂しいかも知れません。
後半にいくにつれて盛り上がっていって、面白かったです
見落としがちな複線に驚きがありました。
だけどあれって初読みで気づくものでしょうか。
しかしあれに気づいたときは、伊坂恐るべし、となりました。
なかなか初読みでは気付かないかと思います。
やはり伊坂さんは、伏線の張り方がうまいですよね。
関係ないと思っていた事柄同士が意外なところで結びつくのには、毎回驚かされています。
テンポ良く読めました。
後半は、行動の1つ1つに驚きです。
まるでパズルが最後にパタパタと
はまっていくようでした。
別々に進んでいた物語が一緒になったりもしましたね。
デビュー作のころから伊坂さんのこの技は発揮されていたのだなと思いました☆