読書日和

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「モダンタイムス」伊坂幸太郎

2008-11-18 21:25:42 | 小説
今回ご紹介するのは「モダンタイムス」(著:伊坂幸太郎)です。

-----内容-----
岡本猛はいきなり現われ脅す。「勇気はあるか?」
五反田正臣は警告する。「見て見ぬふりも勇気だ」
渡辺拓海は言う。「勇気は実家に忘れてきました」
大石倉之助は訝る。「ちょっと異常な気がします」
井坂好太郎は嘯く。「人生は要約できねえんだよ」
渡辺佳代子は怒る。「善悪なんて、見る角度次第」
永嶋丈は語る。「本当の英雄になってみたかった」

検索から、監視が始まる。
知ってはいけない秘密に迫ったとき、巨大な力が牙を剥く。
「魔王」の続編となる傑作長編。

-----感想-----
最初は一週間くらいかけて読む予定でしたが、あまりに面白い内容だったため三日で読みきってしまいました。
特に日曜日はカフェで何時間も読み耽り、この日だけで300ページ以上読みました。
普段の休みの日は200ページくらいが平均なので、久々の快進撃でした。

「モダンタイムス」にはそれだけの魅力がありました。
この作品は、魔王という作品の50年後くらいが舞台となっています。
直接的な続編ではないので、魔王を読んでいない人でも楽しめる内容です。

「播磨崎中学校事件」というのがあるのですが、この事件についてネットで検索をすると、その者に恐ろしい出来事が起こります。
それも、ある特定のキーワードで検索した者だけに。
ある者は陥れられ、ある者は自殺し、ある者は拷問され…というように、この事件を調べようとした者は、ことごとく痛い目に遭わされます。
いったい、この事件には何が隠されているのか。
なぜ、ある特定のキーワードで検索した者だけが狙われるのか。
そこには、「システムとは何なのか」という考えにまでつながっていく、巨大な「何か」が潜んでいました。
そもそも、ネットで検索しただけでこちらの居場所が突き止められ、さらに危害を加えられるなどというのは、個人に出来ることではないはず。
もっと大きな、国家的な力が働いているのではないか?
主人公の渡辺拓海たちは危険を承知で、少しずつこの謎に迫っていきます。

魔王の続編だけあって、そのときに主役級だった人物達も登場します。
ただ50年の歳月を経て、当時は若かった者たちも既に高齢になっていました。
彼ら、彼女らは存在感のある脇役として、物語を盛り上げてくれました。
「モダンタイムス」での主役級は内容欄に書かれている人たちです。
この中でひと際異彩を放っているのが、「井坂好太郎」ではないでしょうか。
これは明らかに、「伊坂幸太郎」のパロディなのではと思いました。
「井坂。。。好太郎!?」という感じで、けっこうウケましたね(笑)
現実の伊坂幸太郎と同じく、「井坂好太郎」も作家として登場していましたが、だいぶ適当な男として描かれていました。
それでも所々で存在感を見せていたし、重要な役割を担っていたと思います。
まさかあのような結末になるとは…

内容欄を見ると、渡辺という人が二人いるのがわかると思います。
この二人は夫婦なのですが、妻の渡辺佳代子は「最恐の奥さん」として大活躍していました。
旦那のみならず、周りにいる者みな震え上がるその実力とは。。。

また、魔王のときと同じく、モダンタイムスでも「超能力」が重要なテーマとして登場します。
物語の中核を担う言葉として、その言葉が出るたびに「ついに来るか」と思いながら読んでいました。
特に後半は息つく暇もないほどスピーディな展開が繰り広げれていきます。
超能力VS超能力のような対決もあるし、最恐奥さん本領発揮の場面もあるし、本当に怒涛のような展開で、一気に読んでいきました。

伊坂幸太郎さんの作品は、読んでいるうちにペースが上がっていくことが多いです。
文章もリズムよく読める感じになっていると思います。
今回は500ページを超える大作でしたが、読者を飽きさせないのはさすがだなと思います
次回作にも期待します


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (藍色)
2008-11-20 02:05:50
こんばんは。
軽妙な語り口で面白く読めました。
情報操作によって仕立て上げられる怖さがとても印象に残りました。
緊迫した場面でも登場人物の台詞や考えていることがちょっと抜けていて、
思わず笑ってしまったりして、比較的、
いい読後感です。
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こんにちは~ (hito)
2008-11-20 09:06:45
TBありがとうございます!

「魔王」の続編ということだったので、もっと直接的な続編なのかと思ったらちょっとだけリンクしていてかなり独立していましたね。
「魔王」よりはこちらの方が好みです♪

最初は恐ろしいだけの奥さんだったのに、なかなか味があるいい人でしたね~
そしてインパクト大だったのはやっぱり井坂好太郎!まさかあの結末とは・・病院のシーンは泣けてしまいました。
実際に、無闇に検索するのが危ない時代になるかもしれないですね~

スピード感あってサクサクと読める作品でしたね☆
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Unknown (しんちゃん)
2008-11-20 18:30:11
こんばんは。
怖いとだけ思っていた妻ですが、ねぇ。
主人公は結婚して正解だったのでしょうか。
男なら簡単には答えが出せそうにない、かな(笑)
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藍色さんへ (はまかぜ)
2008-11-21 01:18:11
たしかに、緊迫した場面の中にも、面白い台詞があったりしましたね。
兎面の男が所々で間の抜けた反応をしていたのが印象に残っています。
会話も軽妙だったし、そのあたりはいつもながら見事です☆
ゴールデンスランバーと良い勝負の面白い内容でした♪
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hitoさんへ (はまかぜ)
2008-11-21 01:27:31
私も「魔王」よりこちらのほうが面白いと感じました。
「魔王」よりだいぶスリリングな展開になっていましたよね。
次から次に色々なことが起こるので、読み進めるのが楽しかったです♪

井坂好太郎は、まさかの展開が待っていましたね。
何だかんだで、重要なところで活躍を見せてくれる男でした。

無闇に検索するのが危ない時代…そんな時代が来たら怖いですね
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しんちゃんさんへ (はまかぜ)
2008-11-21 01:35:59
佳代子は怖い奥さんでしたね。
浮気を疑って岡本猛のような男を差し向けるとは、恐ろしい限りです
でも後半になるにつれて、佳代子が大活躍しましたよね。
佳代子なしでは切り抜けられない局面も何度かあったし、いったい何者なのだろうと思います。
結婚して正解だったかどうかは、迷うところでしょうね
でも後半では奥さんのことを大事に思っている台詞が出てきましたし、正解と思っているかも知れませんね。
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Unknown (masako)
2009-06-10 13:45:36
こんにちは。
TBさせていただきました。
伊坂ワールドでしたね~。
それにしても「検索」から始まる「監視」
恐ろしいです。
井坂好太郎はなんか実際の伊坂さんとは違うとわかっていても、意識しちゃいました。
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masakoさんへ (はまかぜ)
2009-06-10 19:35:38
こんばんは♪
TBありがとうございます。
検索しただけで監視が始まり、ひどい目に遭わされたりして、恐ろしいですよね。
兎の男が何とも不気味でした。
一人一人個性的なキャラが多かったのも印象に残りました。
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こんにちは~! (latifa)
2009-09-14 14:57:47
はまかぜさん、こんにちは!
お名前通り、海からの風が気持ち良く感じられる季節に段々なって来ました^^

これ、読みました。
う~ん、、、私は残念ながら、はまかぜさんほどは楽しめなかったみたいでしたが、でも面白かったです。
伊坂さんの面白い小説を他に幾つも読んでしまったせいで、ハードルがかなり高くなっちゃってる為もあるんですけれど。

私も伊坂→井坂という小説家にはとても笑わせてもらいました。本筋よりも、ちりばめられているエピソードや笑えるネタに満足した本でした。
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latifaさんへ (はまかぜ)
2009-09-15 01:35:31
こんにちは♪
たしかにそんな感じの季節になってきましたね^^

ハードルが高くなるのは分かる気がします。
伊坂さんの作品はどれも面白いですし

latifaさんも井坂にウケましたか。
変な感じのキャラですが、憎めないところがありますよね。
おっしゃるように、エピソードや笑えるネタが充実した本だったと思います
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