老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

梅雨の斑鳩へ その②  ~慈光院・最高の茶席~

2018年06月11日 19時49分47秒 | 旅行/色々な風景
 矢田寺でアジサイを堪能した後、直ぐ近くにありそれ程ポピュラーではありませんが、慈光院に寄ることにしました。随分前のことですが仕事の関係で郡山を訪れることが多く、その時にこの横を通るたびに気になっていた寺院です。

 正式名称は、円通山慈光院と言い、奈良のお寺としては比較的に新しく、寛文3年(1663年)に石州流茶道の祖・片桐石見守貞昌(石州)が父・貞隆の菩提寺として大徳寺185世・玉舟和尚(大徹明應禅師)を開山に迎え建立した臨済宗大徳寺派の寺院です。

 初めての訪問でしたが、入口といい、書院の作りなど、普通のお寺とは随分と趣が異なる雰囲気で、訪問客が少ない事もあり、妙に落ち着く感じなのです。

 小さなお寺の割に拝観料が1,000円というのは少し高いかなぁと思ったのですが、これにはお抹茶が含まれており、しかも私たち二人だけで書院(国指定重要文化財)の中で床の間を背にし、名勝指定の庭園を眺めながら頂けるのですから、これ以上の贅沢はありませんでした。

 通常は茶道などには全く縁のない夫婦ですが、流石にこのゆったりとした体験で、茶道を志す人達の気持に少しでも触れられたような気がしました。

 良く考えてみると、この慈光院は、寺院というよりも境内全体が一つの茶席として造られているようで、表の門や建物までの道、更に座敷や庭園などがまるで茶席のように設えてある、非常に稀有な場所なのです。

 更に、
書院(重要文化財)は、農家風の外観をもつ慈光院の中心的な建物で、全体に天井や鴨居の高さを低くしており、座ったときに安らぎや落ち着きが出るよう熟慮されていますし、広い開口部からは庭園や、奈良盆地の眺望が素晴らしいことでも有名です。

庭園は大和三名園の一つともいわれていますが、多くの花木を使うのではなく、サツキをメインにし、後は松などの緑を主役にした質素な作りで、更に禅寺の庭園としては珍しく石を余り使っているのが大きな特徴でしょう。

山門にあたる茨木門は、徳川家康の一国一城令により取り壊された片桐石州の出生地でもある摂津茨木城の楼門をもらい受けたもので、屋根を書院と合わせて茅葺きに葺き替えて慈光院の山門とされたようです。

など、茶席仕様への大きな特徴がありました。
正に、前知識もないままの訪れでしたが、心に残る風景に出合ったという感じでした。(まさ)


書院から見た庭園(同寺のホームページより)

石畳参道。まさかこの奥に駐車場があるとは気付かずに駐車場を暫く探していました。

境内への入口

石張りの参道。木の根っ子も剥き出しです

茨木門(同寺のホームページより)

同上 内側より

書院と庭園

同上

書院内部 この床の間の前の赤い毛氈の上で抹茶を頂きました

書院から本堂への渡り廊下にある吹き抜けの窓

同上
 
本堂(方丈)

同上

本堂から見た、書院横にある茶室

本堂から見た書院

中庭 五葉松など