梅雨を象徴する植物で、このアジサイの葉にアマガエルが休んでいる様子などは思わずシャッターを押したくなる風景です。
私もアジサイは大好きで、特にここ数年はヤマアジサイの清楚な花に惹かれています。
一般知識として、アジサイの花のように見えるのは花ではなくて萼(ガク)だというようなことは知っていても、こんもりした花を持つアジサイ(或いはホンアジサイ)と、周辺に花が咲いているようなガクアジサイとの詳しい区別や構造などが判っておらず、これを機に改めて調べてみましたので、判った範囲で記しておきます。
(尚、以前アジサイ類はユキノシタ科に含められていましたが、最近はアジサイ科として分類されているようです)
(1)ガクアジサイ (額紫陽花、学名:Hydrangea macrophylla forma normalis)
関東南部,伊豆半島,紀伊半島,四国南部などの沿海地に生える落葉低木。葉は厚く,倒卵形。
大小2種類の花のような部分があるのが特徴で、周りの大きな花のような部分で、真ん中の小さな花を、まるで額縁(がくぶち)のように囲っていることから、このような名前がついたようです。
この大きい花びらを持った周りの花のような部分は、花では無くて萼(ガク)で、装飾花(そうしょくか)と呼ばれ、雄しべや雌しべはありません。この装飾花は、目立つことで本来の花の部分に昆虫(受粉を助ける)を誘引するためにあるようです。
ガクアジサイの場合、真ん中の小さな花の部分が、雄しべと雌しべをもつ本来の花(通常花=両性花)ですが、本来の花はわずかで、実を結ぶ種はほとんどできないようですし、園芸品種のアジサイは実を結びません。
(2)アジサイ(紫陽花、学名: Hydrangea macrophylla)
アジサイは日本で育成された園芸品であり,ガクアジサイがその原種であるとされています。
鎌倉時代に、ガクアジサイの中から装飾花がより多く萼(ガク)片がより大きくなる系統を育種・選抜掛けあわせることで園芸化され,江戸時代にはごく一般的な庭園植物となっていたようです。
従って、花のように見える部分は全て萼(ガク)の装飾花で、雄しべや雌しべはありません。
この、びっしりと並んだ飾り花(装飾花)をかき分けると、雄しべ・雌しべが露出している花が隠れるように咲いているのがわかりますが、有性生殖器官としては、こちらの方が「ふつう」の花(通常花)ですが、種ができることはほとんどありません。
これは、一般的なアジサイが、ガクアジサイの品種改良の過程で出来た品種であるからでしょう。また、ヨーロッパで品種改良されたものはセイヨウアジサイと呼ばれます。
(3)アジサイとガクアジサイの関係
以上述べたように、ガクアジサイが品種改良されてアジサイになったようで、ガクアジサイの学名も“forma normalis”となっています。
しかし、アジサイをホンアジサイと呼ぶこともあり、この関係が逆に思われている部分もあります。
(4)その他のアジサイ <ヤマアジサイ>
私の好きなヤマアジサイ類は、一般的にはガクアジサイに分類されますが、本州では関東より西、また四国、九州などの山地に分布し、山中で沢によく見られることから、サワアジサイとも呼ばれ、アジサイ の亜種 Hydrangea macrophylla subsp. serrata とする説もあります。
高さは1~2mになるものもありますが、全般的に背は低く、6月から7月にかけて咲き、周辺に4枚の花弁状の萼を持つ装飾花が、中心部に多数の普通花がある。花の色は薄く紅色を帯びるものから白色、紫色を帯びるもの、青色のものなど多様である。
(5)アジサイに関するその他
◆花の色
・土壌がPH5.5以下の酸性土壌では青、それ以上のアルカリ性土壌では赤が強くなります。 その理由は
アジサイの根は「アルミニウム」をよく吸収するが、「アルミニウム」は酸性土壌では溶けやすく、アルカリ性土壌では溶けにくい状態になるので、「アルミニウムが土壌に溶け込んでいる酸性土壌では花は青くなり、アルミニウムが土壌に溶けにくいアルカリ性土壌では花は赤くなる」というようです。
・ちなみに、日本は土壌が弱酸性なので、青みの強いアジサイが多いとされていますが、同じ場所で青と赤の花を同時に目にすることも多いですし、時には同じ株の花が青から変化することもあり、素人目にはどうもこれだけが理由ではないようにも思います。
・また、ベニガクアジサイやシロアジサイなどは、土壌に影響されない種類のアジサイとされています。
◆アジサイには毒がある説
・料理に添えられていたアジサイの葉を食べた人が吐き気やめまい、嘔吐などの中毒症状を訴えたり、アメリカでの家畜の中毒例などが報告されていますし、各地のアジサイから青酸配糖体などが検出されたの例もあるようです。
・厚生労働省の「自然毒のリスクプロファイル」では“毒性成分は、未だ明らかではない”とはしているものの、“古くから、アジサイには青酸配糖体が含まれているとされ、半ば定説のようになっている”とも記されています。
・しかし、上記のようにアジサイは土壌からアルミニウムを吸収しますが、この吸収したアルミニウムは葉に貯蔵されるようですので、仮に料理の添え物としてアジサイの葉が出された場合は、食べない方が無難でしょう。
・また、葉に蓄えられたアルミニウムは、秋になると葉の内部に閉じ込めたまま落葉し、毒は捨てられます。このように、落葉には、雪や寒さ、乾燥への適応以外に、老廃物や毒を体外に捨てる役割があるようです。
(この項については、WIKIPEDIAや「いつとは便り」(https://itsutoha.com/392.html)などを参照させていただきました。)
アジサイ
同上の花序。花のように見えるのは全て装飾花です。
アジサイの花のアップ。びっしりと並んだ装飾花をかき分けると、花が隠れるように咲いています
ガクアジサイ
同上の花序。周囲がガクの装飾花で、その内側に花があります
花のアップ
ヤマアジサイ
私もアジサイは大好きで、特にここ数年はヤマアジサイの清楚な花に惹かれています。
一般知識として、アジサイの花のように見えるのは花ではなくて萼(ガク)だというようなことは知っていても、こんもりした花を持つアジサイ(或いはホンアジサイ)と、周辺に花が咲いているようなガクアジサイとの詳しい区別や構造などが判っておらず、これを機に改めて調べてみましたので、判った範囲で記しておきます。
(尚、以前アジサイ類はユキノシタ科に含められていましたが、最近はアジサイ科として分類されているようです)
(1)ガクアジサイ (額紫陽花、学名:Hydrangea macrophylla forma normalis)
関東南部,伊豆半島,紀伊半島,四国南部などの沿海地に生える落葉低木。葉は厚く,倒卵形。
大小2種類の花のような部分があるのが特徴で、周りの大きな花のような部分で、真ん中の小さな花を、まるで額縁(がくぶち)のように囲っていることから、このような名前がついたようです。
この大きい花びらを持った周りの花のような部分は、花では無くて萼(ガク)で、装飾花(そうしょくか)と呼ばれ、雄しべや雌しべはありません。この装飾花は、目立つことで本来の花の部分に昆虫(受粉を助ける)を誘引するためにあるようです。
ガクアジサイの場合、真ん中の小さな花の部分が、雄しべと雌しべをもつ本来の花(通常花=両性花)ですが、本来の花はわずかで、実を結ぶ種はほとんどできないようですし、園芸品種のアジサイは実を結びません。
(2)アジサイ(紫陽花、学名: Hydrangea macrophylla)
アジサイは日本で育成された園芸品であり,ガクアジサイがその原種であるとされています。
鎌倉時代に、ガクアジサイの中から装飾花がより多く萼(ガク)片がより大きくなる系統を育種・選抜掛けあわせることで園芸化され,江戸時代にはごく一般的な庭園植物となっていたようです。
従って、花のように見える部分は全て萼(ガク)の装飾花で、雄しべや雌しべはありません。
この、びっしりと並んだ飾り花(装飾花)をかき分けると、雄しべ・雌しべが露出している花が隠れるように咲いているのがわかりますが、有性生殖器官としては、こちらの方が「ふつう」の花(通常花)ですが、種ができることはほとんどありません。
これは、一般的なアジサイが、ガクアジサイの品種改良の過程で出来た品種であるからでしょう。また、ヨーロッパで品種改良されたものはセイヨウアジサイと呼ばれます。
(3)アジサイとガクアジサイの関係
以上述べたように、ガクアジサイが品種改良されてアジサイになったようで、ガクアジサイの学名も“forma normalis”となっています。
しかし、アジサイをホンアジサイと呼ぶこともあり、この関係が逆に思われている部分もあります。
(4)その他のアジサイ <ヤマアジサイ>
私の好きなヤマアジサイ類は、一般的にはガクアジサイに分類されますが、本州では関東より西、また四国、九州などの山地に分布し、山中で沢によく見られることから、サワアジサイとも呼ばれ、アジサイ の亜種 Hydrangea macrophylla subsp. serrata とする説もあります。
高さは1~2mになるものもありますが、全般的に背は低く、6月から7月にかけて咲き、周辺に4枚の花弁状の萼を持つ装飾花が、中心部に多数の普通花がある。花の色は薄く紅色を帯びるものから白色、紫色を帯びるもの、青色のものなど多様である。
(5)アジサイに関するその他
◆花の色
・土壌がPH5.5以下の酸性土壌では青、それ以上のアルカリ性土壌では赤が強くなります。 その理由は
アジサイの根は「アルミニウム」をよく吸収するが、「アルミニウム」は酸性土壌では溶けやすく、アルカリ性土壌では溶けにくい状態になるので、「アルミニウムが土壌に溶け込んでいる酸性土壌では花は青くなり、アルミニウムが土壌に溶けにくいアルカリ性土壌では花は赤くなる」というようです。
・ちなみに、日本は土壌が弱酸性なので、青みの強いアジサイが多いとされていますが、同じ場所で青と赤の花を同時に目にすることも多いですし、時には同じ株の花が青から変化することもあり、素人目にはどうもこれだけが理由ではないようにも思います。
・また、ベニガクアジサイやシロアジサイなどは、土壌に影響されない種類のアジサイとされています。
◆アジサイには毒がある説
・料理に添えられていたアジサイの葉を食べた人が吐き気やめまい、嘔吐などの中毒症状を訴えたり、アメリカでの家畜の中毒例などが報告されていますし、各地のアジサイから青酸配糖体などが検出されたの例もあるようです。
・厚生労働省の「自然毒のリスクプロファイル」では“毒性成分は、未だ明らかではない”とはしているものの、“古くから、アジサイには青酸配糖体が含まれているとされ、半ば定説のようになっている”とも記されています。
・しかし、上記のようにアジサイは土壌からアルミニウムを吸収しますが、この吸収したアルミニウムは葉に貯蔵されるようですので、仮に料理の添え物としてアジサイの葉が出された場合は、食べない方が無難でしょう。
・また、葉に蓄えられたアルミニウムは、秋になると葉の内部に閉じ込めたまま落葉し、毒は捨てられます。このように、落葉には、雪や寒さ、乾燥への適応以外に、老廃物や毒を体外に捨てる役割があるようです。
(この項については、WIKIPEDIAや「いつとは便り」(https://itsutoha.com/392.html)などを参照させていただきました。)
アジサイ
同上の花序。花のように見えるのは全て装飾花です。
アジサイの花のアップ。びっしりと並んだ装飾花をかき分けると、花が隠れるように咲いています
ガクアジサイ
同上の花序。周囲がガクの装飾花で、その内側に花があります
花のアップ
ヤマアジサイ