鮎川俊介の「幕末・明治の日本を歩く」

渡辺崋山や中江兆民を中心に、幕末・明治の日本を旅行記や古写真、研究書などをもとにして歩き、その取材旅行の報告を行います。

渡辺崋山『参海雑志』の旅-佐久島~藤川宿~吉田宿-その10

2015-06-16 05:57:45 | Weblog
華蔵寺のある岡山と茶臼山、そして横須賀畷(なわて)をまとめて描いた風景画(素描画)の次に出てくるお寺(?)の門前と思われる町のスケッチがどこのものであるか、今のところ私には確定できていません。もしかしたらお城の門前であるのかも知れない。このあたりの近くにあるお城と言えば、西尾城ということになります。となると、崋山は今まで歩いて来た吉良(きら)道を外れて、西尾城下に足を踏み入れたということも考えられます。次のスケッチは「八面」と記されているように「八ツ面(やつおもて)山」を描いたもの。八面山がこのように見える場所はというと、現在の「八ツ面南」交差点のあたりであり、ここは岡崎へと至る県道319号と、安城と蒲郡を結ぶ県道43号が交差するところ。この県道43号はこのあたりでは「平坂道」と重なっており、華蔵寺を出た崋山は吉良道を北進して駒場で左折して平坂道へと入り、八ツ面山の南側を通過した可能性が出て来ます。この道をさらに西へ進むと西尾城下に入ることになり、行程的なことから考えると藤川宿へその日の明るいうちに至ることは困難であり、西尾城下で崋山一行が宿泊した可能性も出てきます。華蔵寺を出た後、吉良道をたどってそのまま藤川宿へ至ったのではないということが、この八ツ面山のスケッチから断定することができるのです。 . . . 本文を読む