鮎川俊介の「幕末・明治の日本を歩く」

渡辺崋山や中江兆民を中心に、幕末・明治の日本を旅行記や古写真、研究書などをもとにして歩き、その取材旅行の報告を行います。

2012.冬の取材旅行「東松島~石巻~南三陸町」 その3

2013-01-26 06:55:36 | Weblog
今回の取材旅行で携行したもう一冊の本は、『広重と浮世絵風景画』大久保純一(東京大学出版会)。この本は以前から購入したいと思っていた本ですが、なかなか機会がなく、町田市立国際版画美術館での「北斎と広重 きそいあう江戸の風景」の企画展を観に行った際、ミュージアムショップにたまたま置いてあり、やや高額ながらも思い切って購入したもの。購入して読むのを楽しみにしていたのですが、まとまった時間を必要とし、取材旅行前までまだ目を通していませんでした。この本の序章の「[三]広重研究の経過」には、「那珂川町馬頭広重美術館」のことが触れられています。大量の広重肉筆画を含む青木コレクションが栃木県馬頭町(当時)に寄贈され、広重の肉筆画に対する関心が高まって、馬頭町広重美術館(当時)の開館につながったわけですが、その広重美術館を設計した建築家が隈研吾氏であったことは、すでに触れたところ。「天童広重」ゆかりの天童市の広重美術館についても触れられており、ぜひ訪れてみたい美術館の一つです。「[五]本書の視点」では、二つの視点が示されています。一つは「浮世絵風景画を、…それを生みだし、あるいは需要するその当時の人々との関わりで理解しよう」としたこと。そしてもう一つは、「広重を中心とした江戸末期の浮世絵風景画を、同時代の他の絵画領域との関係でとらえよう」としたこと。個人的には、とくに前者の視点に関心があり、どうして江戸末期の庶民が「真景」であることを浮世絵風景画に求めるようになったのか、その背景や理由を知りたいと思いました。 . . . 本文を読む