唯識に学ぶ・誓喚の折々の記

私は、私の幸せを求めて、何故苦悩するのでしょうか。私の心の奥深くに潜む明と闇を読み解きたいと思っています。

第二能変 所依門 (142) 結び 

2011-07-29 20:43:09 | 心の構造について

 「自下は第三に下を生じ総じて結す。」(『述記』)

  (まとめて結ぶ。「依彼転」が示す第七識の所依は因縁依と倶有依であることを明らかにする。)

 「傍論は已に了んぬ、応に正論を弁ず応し。」(『論』第四・二十六右)

 (「此の識の依に因って、遂に広く分別するを以て傍論と名く。」これはすでに述べ終わった。今まさに正論を述べることにしよう。)」

 第二能変の所依を明らかにする(彼の所依には三種あること)しているのが、これまでの説明になりますが、これらはすべて傍論であるという。そして今まさに正論を述べようとしているわけです。

 「述して曰く、此の識の依に因って、遂に広く分別するを以て傍論と名くなり。諸識の所依なりというを総じて頌を説いて曰く、

       五には四あり、 六には二有り、 

       七と八には一つの倶依なり

       及び開導と因縁とあり

       一々に皆二を増す。

問、上に依を説くに遂に三種あるが如し。此の頌の中に依彼転と言うは、何れの依に約して説く。」(『述記』第五本・十九右)

 諸識の「依」についての護法の正義を述べる。

  •  五識には四つの倶有依がある。(同境依で五根、分別依で第六識、染浄依で第七識、根本依で第八識)
  •  第六識には二つの倶有依がある。(一は意根であり第七識、二は根本依で第八識)
  •  第七識と第八識は互いに倶有依となる。
  •  「及開導因縁 一々皆増二」というのは五識と第六識、第七識、第八識に、さらに依として開導依と因縁依の二つを加えるということ。

 「一々に皆二を増す」ということは五識には四つの倶有依があるが、その他に開導依と因縁依の二つを加え、六つの所依があるということです。従って六識には四つの所依があり、第七識と第八識にはそれぞれ三つの所依があるということです。