「自下は第三に下を生じ総じて結す。」(『述記』)
(まとめて結ぶ。「依彼転」が示す第七識の所依は因縁依と倶有依であることを明らかにする。)
「傍論は已に了んぬ、応に正論を弁ず応し。」(『論』第四・二十六右)
(「此の識の依に因って、遂に広く分別するを以て傍論と名く。」これはすでに述べ終わった。今まさに正論を述べることにしよう。)」
第二能変の所依を明らかにする(彼の所依には三種あること)しているのが、これまでの説明になりますが、これらはすべて傍論であるという。そして今まさに正論を述べようとしているわけです。
「述して曰く、此の識の依に因って、遂に広く分別するを以て傍論と名くなり。諸識の所依なりというを総じて頌を説いて曰く、
五には四あり、 六には二有り、
七と八には一つの倶依なり
及び開導と因縁とあり
一々に皆二を増す。
問、上に依を説くに遂に三種あるが如し。此の頌の中に依彼転と言うは、何れの依に約して説く。」(『述記』第五本・十九右)
諸識の「依」についての護法の正義を述べる。
- 五識には四つの倶有依がある。(同境依で五根、分別依で第六識、染浄依で第七識、根本依で第八識)
- 第六識には二つの倶有依がある。(一は意根であり第七識、二は根本依で第八識)
- 第七識と第八識は互いに倶有依となる。
- 「及開導因縁 一々皆増二」というのは五識と第六識、第七識、第八識に、さらに依として開導依と因縁依の二つを加えるということ。
「一々に皆二を増す」ということは五識には四つの倶有依があるが、その他に開導依と因縁依の二つを加え、六つの所依があるということです。従って六識には四つの所依があり、第七識と第八識にはそれぞれ三つの所依があるということです。