子どものころ住んでいた家では、裏庭にニワトリを数羽飼っていて、その卵が食卓に時々出されました。
ある日、その中の1羽を食べることとなり、だれがそのニワトリを捕まえるか問題になりました。
女性の多い家庭だったので、皆嫌がります。
小学3年生の私に「行け!」と言います。
仕方なくニワトリ小屋に入ると、ニワトリはただならぬ雰囲気を察知し、警戒し、まったくそばに寄らず、逃げ回り、どうしても捕まえることができません。
それを見て、人は、うなだれ、声もなく、結局、二度と食べようとは言わなくなりました。
戦後のまだまだ貧しい頃でしたが、食べなくて良かったと今も思い出します。