駄獣の群れ

 

　　　「駄獣の群」　　与謝野晶子

　　　ああ、此国の
　　　怖れるべく且つ醜き
　　　議会の心理を知らずして
　　　衆議院の建物を見上ぐる勿れ。
　　　禍なるかな、
　　　此処に入る者は悉く変性す。
　　　たとへば悪貨の多き国に入れば
　　　大英帝国の金貨も
　　　七日にして鑢にて削り取られ
　　　其正しき目方を減ずる如く、一たび此門を跨げば
　　　良心と、徳と、理性との平衡を失はずして
　　　人は此処に在り難し。
　　　見よ、此処は最も無智なる、
　　　最も悖徳なる、はた最も卑劣無作法なる
　　　野人本位を以て
　　　人の価値を最も粗悪に平均する処なり。
　　　此処に在る者は
　　　民衆を代表せずして
　　　私党を樹て、
　　　人類の愛を思はずして
　　　動物的利己を計り、
　　　公論の代わりに
　　　私語と怒号と罵声とを交換す。
　　　此処にして彼等の勝つは
　　　固より正義にも、
　　　聡明にも、大胆にも、雄弁にもあらず、
　　　唯だ彼等互に
　　　阿附し、
　　　模倣し、
　　　妥協し、
　　　屈従して、
　　　政権と黄金とを荷ふ
　　　多数の駄獣と
　　　みづから変性するに在り。
　　　彼等を選挙したるは誰か、
　　　彼等を寛容しつつあるのは誰か。
　　　此国の憲法は
　　　彼等を逐ふ力無し、
　　　まして選挙権なき
　　　われわれ大多数の
　　　貧しき平民の力にては..........
　　　かくしつつ、年毎に、
　　　われわれの正義と愛、
　　　われわれの血と汗、われわれの自由と幸福は
　　　最も醜き
　　　彼等駄獣の群に
　　　寝藁の如く踏みにじらるる..........

いやはや、物凄い憤慨ぶりですな。
情熱の歌人・与謝野晶子がこの詩を発表したのは１９１５年。しかも今では「保守本流」の読売新聞で。
当時の議員も現在の国会議員と殆ど同じテイタラクだが、少し異なる点もある。

それは、「当選するまではまともだったが登院した途端に駄獣に変身する」、というところ。
しかし現在の国会議員は立候補を決意したときから既に駄獣だったのではあるまいか。
そして今では、「成人男女全員が選挙権を持っている」ことである。つまり、駄獣の群れは選挙で追い払えるのだ。

口先兄ちゃん・前原が一番人気では、日本はまだまだ堕ちるだろう。
泣き虫・海江田がいけしゃあしゃあと手を挙げられる民主党は、壊滅させなければならない。
自分だけがかわいい小沢・鳩山には、もう死んでもらいましょう。

この詩を田中康夫が会議で披露した際、仙石由人は直ちに撤回と謝罪を求めたそうだ。
妖怪・仙石にとって、よほどグサッときたのだろう。

この詩は朝日新聞８月１４日朝刊の「ザ・コラム」で一部分を知りました。
全文はドングリ小屋住人さまのブログ「三流読書人」から転記させて頂きました。

挿絵は五味太郎（絵本館暦から）。

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