非国民通信

ノーモア・コイズミ

ノーモア、コイズミ

2009-08-07 22:47:06 | ニュース

自公政権「構造改革路線なし崩し」に批判集中(読売新聞)

 9団体が2日発表した自公連立政権の実績評価は、前回衆院選での圧勝を受けた小泉内閣の構造改革路線が、その後の内閣で、なし崩し的に転換されたとする点に批判が集中した。

 各団体は総じて、自民党が惨敗した2007年参院選までの約2年間は小泉改革が継承され、福田、麻生両政権で政策転換が進んだとの見方を示した。典型とされたのは歳出・歳入改革を柱とする財政再建だ。

 小泉政権末期の「骨太の方針06」と現状を比べ、国と地方の基礎的財政収支の黒字化目標は「11年度→19年度までの10年以内」、消費税を含む税制抜本改革は「07年度めど→11年度以降」と先送りされた。世界同時不況で、麻生政権が財政出動にカジを切らざるを得なかったことが決定的要因だが、多くの団体は「財政再建路線との整合性や各施策の必要性、経済効果など説明不足の点が多い」(言論NPO)などと批判した。政権側に政策転換を巡る説明責任を果たす意識が希薄だったとの見方だ。

 日本総合研究所は、首相交代の度に「構造改革路線で継承するものと修正・変更するものを明示する必要があった」とし、構想日本は「選挙を経ないままの優先政策の変更は内閣の正統性を危機に陥れてきた」と分析。麻生首相がかつて会頭を務めた日本青年会議所も「国民に信を問わずに変更されるマニフェストの検証は不可能」と酷評した。

 さて、色々とジリ貧の自民党ですが、ここでは主として「右から」批判されています。「構造改革路線なし崩し」に批判が集中しているとか。まぁ右と左では問題意識も全く異なるもの、「右」から批判される要素の多くは「左」から見れば評価できるもののような気がしないでもありません。現に私は麻生内閣が(それが結果的なものであり、かつ不十分なものであるに過ぎないにせよ)構造改革路線の修正へと舵を切ったことを評価していますから。

 新聞報道を読むことの方が圧倒的に多いわけですが、たまにはテレビのニュースも見ます。で、TVニュースと新聞報道では、その力点の置き方もずっと異なる、自民党と民主党の取り扱い方もメディアによって随分とズレがあるように感じるのですが、いかがなものでしょう? まず自民党の場合、活字媒体ですと「民主党の政策への批判」が目立ちます。批判の当否は留保するにしても、すでに与野党が逆転しているような印象を受けますね。まず民主党があって、それに自民党が食い下がるような、主従逆転の印象が拭えません。その一方でテレビをつけてみますと、麻生太郎は「景気対策最優先」を訴えていることが多いような気がします。その辺は活字媒体で流れることが少なく見えるのですが、単に目新しさがないからでしょうか。

 なにはともあれ、麻生内閣では「構造改革路線」から「景気対策優先」へと舵が切られたわけです。この方針変更を自民党の支持母体から酷評されているようなのですが、この方向性自体は評価されるべきだと思います。開始当初から実情に合わなかった構造改革路線の限界を認め、今の日本に必要なものを考えた結果ですから。実態に合わせて党のイデオロギーを修正する姿勢は、決して責められるべきものではないでしょう。自らの党の過ちを頑として認められなかった前任者達よりは、麻生太郎の方がまともだったと思います。

 もっとも、麻生内閣が自ら望んで構造改革路線の修正に走ったわけでもないでしょう。構造改革の「結果」に否応なしに向き合わざるを得なくなり、その路線継続が不可能である、だから嫌でも修正せざるを得なかった、その結果に過ぎません。そして「修正」は甚だ不十分でもありますし、党全体をその方向に導けたわけでもありません。それでもなお、かつて批判がタブーであった構造改革路線に現役の総理大臣として一石を投じたことは、日本が「回復」するための重要な契機には違いないと思うのです。

 一連の政策転換の過程で小泉政権時代の「首相官邸主導」の政策決定が与党主導に変質した、との分析も多い。小泉元首相の右腕だった竹中平蔵・元総務相が代表を務めるチーム・ポリシーウォッチは「経済財政諮問会議の地盤沈下、与党の発言力の増大、官僚主導の政策決定の事実を見る限り、内閣がおかしな方向にぶれていった」と断じた。

 自民党と同様、民主党もまた新聞とテレビでは報道の力点が異なります。新聞では多少の期待できる政策案と、繰り返される右への歩み寄りが目立ちますが、テレビとなると「脱官僚/政治主導」を唱える鳩山の姿ばかりが目立ちます。その主張するところはここで竹中が語っているものに近いのではないでしょうか。官僚主導はダメで、官邸の肝煎りで作られた組織(経済財政諮問会議or国家戦略局)が主導する――小泉路線の踏襲を約束しているわけですから。

 以前にも書いたように、「誰が」政策を決めるのかは重要ではありません。問題は「何を」決めるかです。今、日本に必要なのは何なのでしょうか? テレビで麻生が訴える「景気対策」なのでしょうか? それともテレビで鳩山が訴える「脱官僚/政治主導」なのでしょうか? 麻生と自民党に有効な景気対策を打ち出せるだけの力量があるかどうかは大いに疑わしいですが、少なくとも方向性は正しいと思います。しかし鳩山/民主党の場合は? 官邸(内閣)が政策を決めるか、それとも官僚が政策を決めるか、どちらが主導権を握るのか、霞ヶ関や永田町内部での権力争いが本当に重要なのでしょうか? 結果的に両者の意見が割れることはあるでしょうけれど、わざわざ相手を「敵」と設定して意図的に対立することに、構造改革路線(小泉路線、ポピュリズム路線)の継承以外の意味があるとはとうてい思えないわけです。自民党が論外である理由はいくらでもありますが、どちらの党が構造改革路線に近いかというと、なかなか微妙なところもあるような気がします。ならば自民党と民主党以外の選択し見も目を向けたいところですが、私の住む選挙区は自民と民主と諸派の争いなのですなぁ、これが。

 

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7 コメント

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自民党の生きる道 (ヒイロ)
2009-08-08 08:50:32
小泉路線の全否定から始めること。
財界とかからの批判とか、「支持しない」という脅しは完全無視の方向で。

郵政民営化のゴタゴタを国民に対して説明すること。

民主党の揚げ足取りに終始せずに、真っ向から政策論争を仕掛けること。

憲法改正を先延ばしにして欲しいとか、議員定数の削減は止めてくれとかありますが、最低限は、という思いで書きました。
Unknown (仲@ukiuki)
2009-08-08 10:56:44
諸派って、ショッカー?
と駄洒落を飛ばそうと考えつつ、リンク先に飛んで……御愁傷さまです。。。
Unknown (非国民通信管理人)
2009-08-08 14:06:15
>ヒイロさん

 その財界に背を向けることが、自民にしろ民主にしろ難しいことなのでしょう。完全に死に体の印象を拭えない自民党ではもはや、ライバル政党の揚げ足取りぐらいが限界なのかもしれませんが、せめて「後始末」はしっかりとやってから退場してもらいたいところです。

>仲@ukiukiさん

 共産党のいない選挙区はあっても「諸派」はどこの選挙区にもいますから。いやはや、我が選挙区の民主党候補は許容できても、党そのものには疑問なだけに難しいところです。
Unknown (しろしろ)
2009-08-09 19:49:40
>しかし鳩山/民主党の場合は? 官邸(内閣)が政策を決めるか、それとも官僚が政策を決めるか、どちらが主導権を握るのか、霞ヶ関や永田町内部での権力争いが本当に重要なのでしょうか?

財務省は一貫して消費税増税と緊縮財政によるプライマリーバランスの回復を主張しています。これは民主党の方針にほぼ正反対なので、官僚に主導権を握らせれば民主党の政策実行は無理であり、敵対もやむをえないでしょう。ところで麻生首相も官僚と敵対するよりうまく使うべきといっており、管理人様と親和性が高いようですね。


Unknown (非国民通信管理人)
2009-08-09 23:06:26
>しろしろさん

 必死で難癖つけようと頑張った結果がその程度? 政府与党の方針で官僚がそれに唯々諾々と従っていただけなのか、それとも鳩山の言うように何もかも官僚が決めていて自民党はそれを止められなかっただけなのか、その辺くらいは考えてみることですね。

 ま、しろしろさんにしてみれば民主党の言うことなら黒いものでも白、自民党の言うことなら白いものでも黒なんでしょうけれど、私は「誰が」言ったかではなく「何を」語ったかを重視しますので、たとえ麻生でも正しいことを言えばそれは評価しますよ。誰かさんとは違って。ま、せいぜい鳩山のことを思ってご自分を慰めてなさい。
議員ではありませんが (コンポコ)
2009-08-11 17:43:04
未だに小泉的な新自由主義を肯定し、分断を考えているとんでもない奴のブログです。

http://blog.goo.ne.jp/jyoshige

多分ご存知の人物だと思われますが、政治屋以外でも小泉的なのがいるという事で貼りました。
みんなの党を肯定し、共産党を憎悪する奴ですので、程度の知れてる人物です。



Unknown (非国民通信管理人)
2009-08-11 22:29:43
>コンポコさん

 城ですか、いつの間にかgooブログに移っていたんですね。なんだかんだ言って小泉、竹中時代の残党は健在、小泉本人が影響力を失っても「小泉的手法」もまた衰えていないですから、やれやれです。

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