非国民通信

ノーモア・コイズミ

テロ支援国家

2020-10-25 22:09:39 | 政治・国際

トランプ氏「収監してしまえ」 民主党知事に向け 新型コロナ感染防止策を批判(毎日新聞)

 米共和党のドナルド・トランプ大統領(74)は17日、11月の大統領選で接戦となっている中西部ミシガン州で演説した。新型コロナウイルスの感染防止に向けた同州の行動規制は厳し過ぎるとして「知事はこの州をもっとオープンにしなければならない。学校を再開しなければならない」と、民主党のウィットマー知事(49)を批判した。

 集会では、トランプ氏が知事を批判する言葉に呼応するかのように聴衆から「ロック・ハー・アップ(彼女を収監しろ)!」というシュプレヒコールが上がった。すると、トランプ氏は笑いながら「ロック・ゼム・オール・アップ(みんな収監してしまえ)」と応じ、同調する姿勢を見せた。

 連邦捜査局(FBI)などは8日、ウィットマー氏を拉致し、州政府を転覆させることを企てたとして極右武装グループのメンバーとみられる13人を訴追したと発表した。

 

 これまでアメリカは中南米や中東を皮切りに各国の反政府勢力を支援して来ました。アメリカを後ろ盾とする武装勢力によって崩壊させられた政権は少なくありません。アメリカのテロ支援は共和党政権か民主党政権かを問うことはなく、国是として行われてきたこととも言えますが、今回の大統領発言はどうでしょうか。

 アメリカにとって不都合な政権の転覆を企てる武装勢力を後援するのは、アメリカの政策としては伝統的と言えます。ただ、それはあくまで「外交」の話として扱われるものでした。しかるに今回は「国内」に向けて州知事の収監を煽り立てるというのですから、一線を踏み越えたイメージがないでもありません。

 トランプ陣営が追い詰められているサインと受け止めることもできます。民主的な投票によっては勝てない、ならば武力によるクーデターで政権を奪取すれば済む話だと――そういう考え方はアメリカの「外交」においてはトランプ以前から一般的でした。こうした考え方を内政に適用したとしても、そう驚くものではないのかも知れません。

 事前の世論調査では、民主党候補のバイデン元副大統領がリードしています。ただ4年前は同様にリードしていたはずのヒラリー・クリントン候補が敗れるという波乱がありました。今回も同様の番狂わせが起こりうると予想している人も多いのではないでしょうか。

 不安定要因は幾つかあります。一つは選挙制度の恩恵をどちらが受けるかというもの、4年前も全体の得票数ではクリントン候補が上回りましたが、僅差であろうとも勝者総取りの選挙区を制したことで選挙人獲得数はトランプが上回る展開となりました。これは今回も起こりえない話ではありません。

 もう一つは「隠れトランプ支持者」の存在ですね。公然とトランプを支持する差別主義者もいれば、頭では世間体の悪いことと理解して自身の思いを隠しているトランプ支持者もいるわけです。普段は良識を装い自身の思想信条を伏せて世論調査に回答するけれども、匿名の投票ともなればレイシストの英雄に投票する等々。

 3つめの要因は、全二者に比べれば事前に傾向が見えやすいところではありますが、無党派層が何処まで「変革」に期待するかです。とにもかくにも「変化」は良いことだと考えている人は少なくありません。それが良い方向に向かうか悪い方向に向かうかは二の次、現状維持こそが最悪であって変化することが大切なのだと思い込んでいる人もいるわけです。

 では両候補のどちらが「変化」を期待できる政治家かと言えば、トランプを選ぶ人が多いのではないでしょうか。4年前の民主党代表選では革新派のサンダースを抑えて保守派のクリントンが勝利しました。敗れたサンダース支持層の中には、後にクリントンではなくトランプに票を投じた人も少なくなかったと伝えられます。彼らが何を期待したのか――それは「変化」だと言えます。

 ヒラリー・クリントンなりバイデンなり、伝統的なアメリカ政治家の大統領就任に変化を期待している人は決して多くないことでしょう。むしろトランプが政治への理解が乏しく支離滅裂であるほど、(方向性はさておき)変化がもたらされるであろうと、そう期待した人は多かったと考えられます。

 ただトランプ政権発足から4年が経過しました。トランプ路線から保守への回帰もまた変化であると、そう考える人も出て来る頃かも知れません。トランプ政治の継続と、保守への回帰、どちらを「変化」と受け止められるかで無党派層の動向は変わってくるように思います。国外だけではなく国内の武装勢力も支援し始めるようなら、それもまた「変化」ですが――

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人事ならそんなものかのかも知れない

2020-10-18 22:05:59 | 政治・国際

 さて日本学術会議の任命を巡る問題は引き続き争点化していますが、週明けには新たな動きがあるでしょうか。野党側は説明を求めるも、与党側は「総合的・俯瞰的観点」と称して要求を退ける模様です。今まで通りの運用でなければならない、あるいは過去の政府説明をそのまま引き継がなければならないものではありませんが、何かを変更する上で説明は求められるのかも知れません。

 「人事にかかるプロセスであるからコメントは控えさせて頂きたい」と、加藤官房長官は今月6日の記者会見で述べたそうです。この辺はどうでしょう、ヨソの国はどうか知りませんが確かに我が国において「人事」とは説明の必要がない存在であると言えます。人事とはブラックボックスであるのが当たり前、不採用の理由も異動の理由も転勤の理由も、説明など行われないのが我々の社会の常識です。

 人事に説明はいらない――それが良いことはどうかは全くの別問題ですが、長年に渡って受け入れられてきたことでもあります。不採用の理由を知りたいという希望が求職者側にどれだけ多くても、人事は会社側の専権事項であり秘儀が明かされることはありません。そして採用後は誰しも、首をかしげながら人事の決定に沿って各ポジションを転々とするわけです。

 異動の理由を問うたことがある人は、多少なりともいるかも知れません。私も、実際に尋ねてみたことはあります。しかし異動の理由をしかるべく説明されたことのある人となると、劇的に少なくなるのではないでしょうか。私もまた異動の理由を教えてもらうことは出来ませんでした。たぶん「総合的・俯瞰的観点」で決められたことだったのでしょう。

 実際のところ、説明を求められても「できない」ことも多いのが現実ではという気もします。その人の「成長のために」と称して可能な限り不得意な仕事を厳選した「意図のある」人事異動もあれば、単なるパズルのピースを探していただけで無作為に人を当てはめただけの人事異動もあるわけです。そうなると説明を求められても回答は不可能ですよね。

 ただ結局、人事異動に説明を求めた事なんてない人の方が多数派だとも思います。人事とは天災のようなもの、それに理由を問うなんて考えたこともない人が多いのではないでしょうか。答えなんて返ってくるはずがない、分かりきったことです。人事もそれを心得て採用や配属を決めるもの、民間企業の感覚からすれば「人事にかかるプロセス」に説明などあるはずがないのです。

 野党や野党支持層からすれば、今回の任命拒否を「不都合な人間を排除した」みたいに印象づけたいところでしょうか。説明もないのですから、普通の会社の人事異動と同様に納得がいかないのは致し方ないところです。ただ会社の人事と似たようなものと考えるならば、任命拒否には実のところ深い意味はないのかも知れません。単に新総裁が自分の色を出してみたかった、何か「変化」をアピールしてみたかったぐらいで、説明できるような理由は本当に存在していない可能性があります。

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これまで学術会議のことを気にしていた人はいたのかな

2020-10-11 23:20:24 | 政治・国際

 さて日本学術会議が推薦した新会員候補の一部メンバーを、菅内閣が拒否したとして世間を騒がせています。何でもこれまでは推薦されたメンバーをそのまま任命していたとのこと、任命拒否は異例の事態なのだそうです。そこから報道は過熱、どうやら安倍内閣時代から選別の動きがあったとも伝えられています。

 ただ安倍晋三の実行力の不足故に学術会議メンバーの選別は実行に移されていなかった模様、一方で安倍よりは実行力のありそうな菅首相は、諸々の反発を受けても己の意を貫く姿勢を見せています。安倍内閣の「継続」を期待されて総裁選に勝利した菅首相ですが、本人は「自分の色」を出したいのかも知れませんね。

 それはさておき、安倍内閣の時代から動きはあったわけです。ならば政府与党への攻撃材料を探していたはずの民主党系の諸政党や朝日新聞は、当時から問題として扱っていても良さそうな気がします。今になってようやく問題視される辺り、「日本学術会議」という代物の重要性が伺われないでもありません。

 

フジテレビがフェイク拡散で大炎上!上席解説委員の学術会議“口撃”は全くの誤り(日刊ゲンダイ)

「総合的・俯瞰的活動を確保する観点から判断」――。日本学術会議が推薦した新会員候補の任命を拒否した理由をこう話した菅首相。拒否された6人がいると「俯瞰的活動ができない」なんてあまりにも乱暴な言い分だが、ここにきて“応援団”が学術会議を攻撃し始めている。しかも、とんでもないフェイクを拡散。さすがに、SNSは大炎上だ。

(中略)

 問題は、このフェイクに乗っかったのか、それとも平井氏の“ネタ元”だったのか不明だが、大ハシャギで“学術会議攻撃”を展開した国会議員が2人もいたことだ。自民党の長島昭久衆院議員と、無所属で自民党・二階派特別会員の細野豪志衆院議員だ。2人とも元民進党議員。野党から政権与党への転身組である。

 

 長島昭久に細野豪志と言えば民主党政権時代はそれなりのポストに就いていた議員ですが、今は自民党で「ヒラ」の議員をしているわけです。久々にメディアに名前が載ったものの、偽情報を拡散して炎上したとか。自民党も、議席が増えるからと言って安易に間抜けを身内に引き入れるのは再考した方が良いのではないかと思います。

 ただ菅内閣が主導する形で学術会議メンバーの選別が行われようとしているからこそ、それを批判する人も出てくるわけで、逆の未来もあっただろうな、という気もします。事業仕分けや官僚叩きと似たようなノリで、学術会議の削減を野党や野党支持のメディアが求める可能性だってあったのではないでしょうか。

 推薦されたメンバー全員を、そのまま任命するのが常に正しいとは限りません。むしろこれを公費の無駄遣いや癒着と問われる可能性だってあるはずです。緊縮財政や議員定数削減に好意的なのは自民よりも民主や維新であることを鑑みれば、野党の方が学術会議を「無駄」と認定して人員削減を訴えたとしても、決して驚くことではありません。

 そうならなかったのは偏に、学術会議への注目度が低かったからかな、と思います。菅内閣が独自色を出そうとしたから争点になっただけ、「これまで」は在り方を問われてこなかっただけです。政府による選別は批判の対象になりますが、何も選別しない現状維持だって批判の対象になります。批判の対象にならないのは、注目されない存在だけでしょう。

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人事の意図

2020-10-04 22:29:49 | 雇用・経済

 傍目には愚かな決定として知られるものが歴史上にはいくらでもあるわけですが、それは必ずしも間違った判断によるものではなく、何かしらの理由があって行われたものだったりすることも少なくありません。国家を弱体化させた大粛正も統治体制を盤石なものにするという面では合理性があったり等々、成功か失敗かは目的次第で判断が分かれます。

 「景気が回復したら、改革する意欲がなくなってしまう」と、小泉純一郎は宣いました。この小泉時代に日本経済は息の根を止められ、世界的な成長から完全に取り残されるようになったわけですが、では小泉改革は愚かな失敗だったのでしょうか? 経済成長を目標とするなら、何ら擁護の余地はありません。しかし、今に至る低成長と格差の固定化を目標にしたのであれば、意図するところは達成されたと言えます。

 そこで私が思うのは、会社の人事のことです。とかく会社の人事は不適在不適所、不適切な人材を不適切なポジションに着け、組織に混乱と停滞をもたらしているわけですが、この目的は何処にあるのでしょう? 人材の有効活用や組織の活性化という面では、失敗に見えるのが普通かも知れません。しかし別の目的があるとしたら、それは合理的なのかも知れません。

 先日は私の勤務先で、経理業務に会社発足以来ずっと携わってきたベテランが辞めました。次の就職先はもう決まっていて、異業種ではあるけれども結局は経理として勤めるとのこと。会社が変わってもやることは変わらない不思議な転職ですが――どうやら秋の人事異動で別の部署への異動を打診されていたそうです。しかし経理として働き続けることを望んだ彼は、他部署への異動ではなく他社への転職を選びました。

 どうしてウチの会社の人事は、経理担当の生き字引であった彼を異動させようとしたのでしょうか。実務上の中心メンバーであった大ベテランを失い、半期の決算業務は大混乱の模様です。仮に辞職に至らなかったとしても経理で最も頼りになる人が担当を外れてしまえば業務が滞ることは必至でした。それでも会社は異動を選ぶ、何故でしょう?

 経理の専門家は組織にとっては有為の人材ですが、「キャリアデザイン」などと言い出す人がいれば「経理しか出来ない人」はダメな人と扱われてしまうのかも知れません。そんな「経理しか出来ない人」の「キャリアを広げるため」経理とは全く無関係の別の業務に従事させる、それが本人の成長のためであると、会社の人事は信じている可能性があります。

 「仕事の幅を広げるため」との旗印があれば、むしろ「不得意な業務」にこそ人を配属させるのが正義になると言えます。得意な仕事が出来るのは当たり前⇒得意な仕事だけでは成長しない⇒「本人の成長のために」未経験な仕事をやらせよう…… かくしてその人の得意な仕事は剥奪され、興味も経験もない未知の分野に配属される、そうしてパフォーマンスを落とす人や退職する人が続出するのが弊社です。

 時には技術開発一筋だった人が営業に配属され、地位確認を巡って裁判に発展する、なんてことがあります。本人から見れば遠回しに退職を勧めるハラスメントにしか見えないでしょうし、客観的にもそう受け止められるところですが、会社の人事にとっては違う可能性があります。人事は本気で「その人の成長のため」技術職から営業所に配置換えをしているのかも知れません。

 もちろん、得意な仕事を取り上げて不得意な仕事を押しつければ、パフォーマンスもモチベーションも低下します。でも、それを「乗り越えて成長する」のが人事の思い描いているプランなのではないでしょうか。だから人事は積極的に、その人の能力が活かせる部署ではなく、その人が最も腐ってしまうであろうポジションを宛がうわけです。人事は愚かである故に適材を適所に配置できないのではなく、もっと別の目的のために不適在不適所を続けているのだと思いますね。

コメント (1)
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